穏やかな田園風景が広がるイギリスの地方都市。
そこには有名な大学があり、日々学生たちが学問に励んでいます。
でも、その平和な街並みの裏側では、信じられないような恐ろしい存在が潜んでいるとしたら…?
クトゥルフ神話に登場する「ブリチェスター」は、まさにそんな二面性を持つ架空の町なんです。
この記事では、平穏な仮面の下に旧支配者の影が潜む禁断の町「ブリチェスター」について、詳しくご紹介します。
概要

ブリチェスター(Brichester)は、クトゥルフ神話に登場する架空の町です。
イギリス南東部のグロスターシャー州、セヴァン渓谷の近くに位置する設定になっています。
主にイギリスの作家ラムジー・キャンベルの作品に登場し、クトゥルフ神話におけるイギリス版の恐怖の舞台として知られているんですね。
表向きは、オックスフォードやケンブリッジに次ぐ名門「ブリチェスター大学」を擁する教育都市。
のどかな田園地帯に囲まれた、一見すると何の変哲もない地方都市に見えます。
しかし、その平穏な外観とは裏腹に、この町では奇怪な事件が頻発しています。
アメリカのアーカムやセイレムと同じように、魔女の伝統を色濃く残す古い町でもあるんです。
地下には恐ろしい旧支配者が徘徊し、周辺には不穏な噂が絶えない場所が点在する、まさに禁断の町と言えるでしょう。
ブリチェスターってどんな場所?
ブリチェスターは、イギリスのグロスターシャー州セヴァン渓谷近くにある町という設定です。
町の特徴
- ブリチェスター大学:イギリス有数の教育機関として知られる名門大学
- 外見:穏やかな田園風景に囲まれた、のどかな地方都市
- 実態:奇怪な事件が多発する、魔女の伝統が残る古い町
- 周辺環境:ゴーツウッド、セヴァンフォードなど、不穏な場所が点在
この地域一帯には、正体不明の何者かの力が働いているという人もいます。
平和そうに見える街並みの影で、人間の理解を超えた存在が活動しているんですね。
アイホート – 地下迷宮の旧支配者
ブリチェスターの地下深くには、恐ろしい迷宮が広がっています。
地下迷宮への入口
町の郊外にある「魔女のすみか」と呼ばれる場所から、セヴァン渓谷の地下迷宮に入り込むことができるそうです。
この迷宮には、アイホートという名の旧支配者(クトゥルフ神話における強大な邪神)がうごめいているんです。
アイホートの姿
アイホートは、非常に奇妙な外見をしています。
アイホートの特徴
- 胴体:ぶよぶよした楕円形で、焼いたパン生地のような青白い色
- 目:楕円形のゼリー状の眼が無数についている
- 脚:先端に脚のついた幾つもの脚を持つ
まるで悪夢から飛び出してきたような、おぞましい姿なんですね。
アイホートの雛
さらに恐ろしいのは、アイホートの雛と呼ばれる落とし子の存在です。
これらの雛は、時に人間の姿を取って町の人々に紛れ込んでいるらしいんです。
つまり、あなたの隣にいる人が、実はアイホートの化身かもしれないということ。
想像するだけでも背筋が凍りますね。
ブリチェスターとその近くのカムサイドという町には、このアイホートを崇拝する狂った人間たちの教団も存在しているそうです。
グラーキ – 幽霊湖の暗黒の支配者
ブリチェスター北部には、もう一つの恐怖が眠っています。
幽霊湖の誕生
遠い昔、宇宙から隕石が地球に落下しました。
その衝突によってできた湖が、現在「幽霊湖」と呼ばれる場所なんです。
そして恐ろしいことに、落下した隕石とともに、ある存在が地球へ飛来したとされています。
それが、暗黒の旧支配者「グラーキ」です。
グラーキの姿
グラーキは、見る者を恐怖に陥れる醜悪な姿をしています。
グラーキの外見
- 背中:巨大なウニのように、金属のような鋭いトゲが無数に生えている
- 顔:中心から伸びる三つの組織の先に、それぞれ奇妙な目が輝いている
- 全体:楕円形の姿で、おぞましい雰囲気を放つ
グラーキの恐るべき能力
グラーキの真の恐ろしさは、その外見だけではありません。
グラーキの能力と行動
- 夢を通じた誘惑:湖底から周辺の人間に夢を送り込む
- 呼び寄せ:夢に惑わされた人々を自分の元へおびき寄せる
- 奴隷化:背中のトゲで人々の体を突き刺し、ゾンビのような従者を作り出す
つまり、グラーキは夢という見えない手段で人間を操り、自分の奴隷として支配するんですね。
ブードゥー教のゾンビに似た存在として、永遠に従う従者を増やし続けているんです。
グラーキの黙示録
19世紀には、グラーキを崇拝する教団(カルト)が実際に存在していたとされています。
その崇拝者たちによってまとめられた書物が、「グラーキの黙示録」です。
この書物には、グラーキについての詳しい情報が記されているそうです。
19世紀初めに作成されたこの書物は、一時期外部に流出して海賊版が出版されましたが、複数の組織によって回収されました。
現在でも、ブリチェスター大学などで秘密裏に保管されているようです。
周辺に広がる恐怖
ブリチェスターの恐怖は、町だけにとどまりません。
ゴーツウッドの森
ブリチェスター周辺にはゴーツウッドという森があり、そこにも不穏な存在が潜んでいるとされています。
17世紀には、「シャガイの昆虫」という異形の存在が空間移動によって実体化したという記録も残っているんです。
悪魔の階
町の郊外にある「悪魔の階」と呼ばれる岩山も、注目すべき場所です。
この岩山には、「ユゴスよりのもの」(別の異星生命体)の基地があるとされています。
さらに頂上には、なんと冥王星へと繋がっている石塔が存在しているそうです。
セヴァンフォード
ブリチェスターに近いセヴァンフォードという場所も、似たような奇妙な噂が絶えない地域です。
この一帯全体が、何か未知の力に支配されているかのようですね。
ブリチェスターの歴史
ブリチェスターには、恐怖に満ちた長い歴史があります。
古代から続く暗黒の伝統
紀元43年、ブリテン島全域がローマの支配下になった頃には、既にシュブ=ニグラスの祭祀場が存在していたとされています。
つまり、2000年近く前から、この地には邪悪な儀式の伝統があったんですね。
17世紀の到来
17世紀は、ブリチェスターにとって重要な転換点でした。
- シャガイの昆虫がゴーツウッドの森に実体化
- ブリチェスター北部に隕石が落下し、グラーキが棲みつく
この時期に、現在知られる恐怖の多くが始まったんです。
20世紀の事件
近代に入っても、奇怪な事件は続きました。
1920年代
- 秘密教団の中心人物、エドワード・テイラーらがブリチェスター大学を追放
- 「グラーキの黙示録」を入手して「悪魔の階」へ赴き、発狂して発見される
1930年代
- 大学教授が異次元通信機を作成後、失踪
1950年代
- 学生が異次元通信機を発見するも、発狂した学生により破壊
- 「グラーキの黙示録」が回収される
1960年代
- 幽霊湖から怪音が響く
- グラーキの従者が暗躍
- ゴーツウッドでムーンレンズによる儀式が行われる
このように、つい最近まで恐ろしい出来事が続いているんです。
まとめ
ブリチェスターは、平穏な外観の裏に恐怖を秘めた、クトゥルフ神話における禁断の町です。
重要なポイント
- イギリスのクトゥルフ神話の舞台として、ラムジー・キャンベルの作品に登場
- 表向きは名門大学を擁する平穏な地方都市
- 地下迷宮には旧支配者アイホートが徘徊
- 北部の幽霊湖には旧支配者グラーキが棲む
- グラーキは夢を通じて人間を奴隷化する恐るべき能力を持つ
- 周辺にはゴーツウッドや悪魔の階など、不穏な場所が点在
- 紀元前から続く暗黒の伝統を持つ
- 20世紀に入っても奇怪な事件が続発している
アメリカのアーカムが「東海岸の恐怖の町」なら、ブリチェスターは「イギリスの恐怖の町」と言えるでしょう。
穏やかな田園地帯に潜む暗黒の秘密。
それこそが、クトゥルフ神話が描く恐怖の本質なのかもしれませんね。


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