夜中に人形が勝手に動いたり、「たすけて」と書かれたメモが突然現れたら、あなたはどう感じるでしょうか?
1970年代のアメリカで、ある看護学生が体験したこの恐ろしい出来事は、やがて世界中に知られる都市伝説となりました。
それが、悪魔に取りつかれたとされる「アナベル人形」の物語です。
この記事では、映画『死霊館』シリーズでも有名になった呪いの人形「アナベル」について、その不気味な姿や恐ろしい特徴、背筋が凍る伝承を分かりやすくご紹介します。
概要

アナベル人形は、アメリカで最も有名な呪われた人形として知られています。
超常現象研究家のエド・ウォーレンとロレイン・ウォーレン夫妻によれば、この人形には亡くなった少女の霊が取りついているとされています。いや、正確には悪魔が憑依(ひょうい)しているというんです。
もともとは普通のぬいぐるみだったのに、1970年代に起きた奇怪な出来事をきっかけに、アメリカ中に知られる恐怖の存在となりました。
現在はコネチカット州モンローにあるウォーレン夫妻のオカルト博物館で、厳重にガラスケースに封印されています。触ることはもちろん、近づくことさえ危険だとされているんですね。
姿・見た目
実際のアナベル人形の姿は、映画で見るような不気味な磁器人形ではないんです。
本物のアナベル人形の外見
- 人形の種類:ラガディ・アン(Raggedy Ann)という布製のぬいぐるみ
- 髪の毛:赤い毛糸で作られた髪
- 鼻:三角形の赤い鼻
- 表情:にこやかな笑顔(普通に見ればかわいらしい)
- サイズ:一般的な抱き人形サイズ
- 製造時期:1970年代のニッカーボッカー社製
つまり、見た目はごく普通の、むしろかわいらしいアメリカの伝統的な人形なんですね。
でも、この普通の見た目こそが逆に不気味さを増しているとも言われます。なぜなら、どこにでもある人形が実は恐ろしい存在だという、そのギャップが人々の恐怖心をあおるからです。
映画版との違い
映画『死霊館』シリーズでは、より恐ろしい磁器人形として描かれています。これは制作側が意図的に変更したもので、観客により強い恐怖を与えるためだったそうです。
特徴
アナベル人形には、普通の人形にはない恐ろしい特徴があるとされています。
超常現象的な行動パターン
勝手に動く能力
- 部屋の中で位置が変わっている
- 座っていた人形が立っていることがある
- 別の部屋に移動していることも
メッセージを残す
- 「たすけて(Help me)」と書かれた紙が現れる
- 文字は子供のような筆跡
- 誰もいない時に書かれている
物理的な危害
- 触った人に原因不明の傷ができる(「精神的な切り傷」と呼ばれる)
- 人形を侮辱した神父が交通事故に遭う
- 刑事を刺したという報告もある
負のエネルギー
ウォーレン夫妻によれば、この人形からは強力な負のエネルギーが放出されているそうです。ガラスケース越しでも、その邪悪な気配を感じる人がいるとか。
博物館を訪れた人の中には、気分が悪くなったり、胸が苦しくなったりする人もいるそうです。
伝承

アナベル人形にまつわる最も有名な伝承は、1970年の看護学生の体験です。
始まりの物語
人形との出会い
28歳の看護学生ドナは、母親から誕生日プレゼントとしてラガディ・アンの人形をもらいました。最初は普通のプレゼントとして、部屋に飾っていたそうです。
奇怪な現象の始まり
しかし、すぐに奇妙なことが起き始めます。
- 朝出かける時と帰ってきた時で人形の位置が違う
- ベッドに寝かせたはずが、椅子に座っている
- 閉じていたはずの目が開いている
霊媒師の鑑定
不安になったドナは霊媒師に相談しました。すると、「この人形にはアナベル・ヒギンズという6歳で亡くなった少女の霊が宿っている」と告げられたんです。
ウォーレン夫妻の介入
霊媒師の話を聞いて、最初ドナたちは人形を受け入れようとしました。でも、状況はどんどん悪化していきます。
エスカレートする現象
- ルームメイトの恋人が人形に襲われ、胸に深い傷を負う
- 部屋中に血のような跡が現れる
- 悪意のある行動が増える
ついにドナたちは、有名な超常現象研究家のウォーレン夫妻に助けを求めました。
夫妻は調査の結果、「これは少女の霊ではなく、悪魔の憑依だ」と結論づけたんです。人形は即座に彼らの博物館に移され、現在まで厳重に保管されています。
その後の事件
博物館に移された後も、アナベル人形の呪いは続いているとされます。
- ある若者が人形を馬鹿にしたところ、帰り道にバイク事故で死亡
- 博物館の警備員が原因不明の傷を負う
- 2025年には一時的に「行方不明」騒動も(実際は巡回展示のため)
起源
アナベル人形の物語には、いくつかの起源があります。
ラガディ・アンの歴史
人形自体は、1915年にジョニー・グルエルという作家が生み出したキャラクターです。アメリカでは100年以上愛されている、伝統的な子供向けの人形なんですね。
普通なら子供たちに夢と希望を与えるはずの人形が、呪いの象徴となってしまったわけです。
都市伝説としての発展
1980年、ジェラルド・ブリットルが書いた『The Demonologist(悪魔学者)』という本で、アナベル人形の話が初めて詳しく紹介されました。
その後、インターネットの普及とともに、この話は急速に広まっていきます。特に2013年の映画『死霊館』の公開で、世界中に知られるようになりました。
懐疑的な見解
一方で、宗教学者のジョセフ・レイコックは、アナベル人形の話を「現代の民間伝承」と位置づけています。
彼によれば、悪魔に取りつかれた人形という概念は、1960年代のテレビドラマ『トワイライト・ゾーン』の「生きている人形」というエピソードから影響を受けている可能性があるそうです。
また、科学ライターのシャロン・A・ヒルは、「証拠はウォーレン夫妻の証言だけ」と指摘しています。つまり、客観的な証拠は存在しないということですね。
まとめ
アナベル人形は、現代アメリカで最も有名な呪われた人形の伝説です。
重要なポイント
- 1970年代にアメリカで始まった都市伝説
- 見た目は普通のラガディ・アン人形
- 勝手に動く、メッセージを残す、人を傷つけるという特徴
- アナベル・ヒギンズという少女の霊、実は悪魔の憑依とされる
- ウォーレン夫妻のオカルト博物館に厳重保管
- 映画『死霊館』シリーズで世界的に有名に
- 科学的証拠はなく、現代の民間伝承という見方も
かわいらしい見た目の人形に宿る恐ろしい存在。この不気味なギャップこそが、アナベル人形を現代最恐の都市伝説の一つにしているのかもしれませんね。
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