渦巻くような美しい形で知られるアンモナイトの化石。
地学の教科書や博物館でもおなじみですが、この「アンモナイト」という名前には、実は古代エジプトの神「アモン(Ammon)」が関わっていることをご存知でしょうか?
この記事では、アンモナイトの名前の由来をたどりながら、科学と神話が交差する不思議な語源の世界をご紹介します。
アンモナイトとは?簡単なおさらい

アンモナイト(Ammonite)は、中生代(およそ2億年前〜6600万年前)に海に生息していた頭足類の絶滅生物です。
イカやタコの仲間で、殻は渦巻き状(螺旋状)をしており、美しい縞模様が特徴です。
化石として世界中から出土しており、古生物ファンにも人気の存在です。
アンモナイトの語源:「アムンの角」から来ている!

Ammonite(アンモナイト)の語源は?
アンモナイトという名前は、ラテン語の”Ammonis cornua”(アムモニス・コルヌア)=アムンの角に由来しています。
なぜ”アムンの角”?
古代ローマや中世ヨーロッパの学者たちは、この渦巻き状の化石の形が、古代エジプトの神アモン(Ammon)の羊の角に似ていると考えました。
アモンは、時に大きく湾曲した羊の角を持つ神として描かれていたため、この角に似た形の化石を「アモンの角」と呼ぶようになったのです。
結果として:
- Ammon(アモン) + -ite(鉱物・化石を表す接尾語) → Ammonite(アンモナイト)
アモンとは?―語源の元になった神の正体

創造神にして”隠された神”
アモン(Ammon/Amun)は、古代エジプトで最も重要視された神の一柱で、のちに太陽神ラーと融合して「アメン=ラー」となりました。
- 姿:人間の身体+羊の角を持つ顔
- 象徴:生命力、隠された知恵、王権
- 信仰の中心:テーベの神殿
元は地方神だったのですが、最終的には最高神となった。
彼の特徴的な羊の角が、まさか数億年後の化石命名にまで影響を与えるとは、まさに神話の力が時を超えた瞬間です。
まとめ:アンモナイトは”神の角”から名づけられた化石
- アンモナイト(Ammonite)の語源は、古代エジプトの神アムン(Ammon)の羊の角(cornua)に由来
- 化石の渦巻き形が、アムン神の角と似ていたため
- 科学用語の中にも、歴史や神話が静かに息づいている
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