古代エジプト神話には多くの神々が登場しますが、その中でも特別な存在感を放つ神がいます。
それが「アメン(Amun/アモン)」です。目に見えない強大な力を持ち、やがてエジプト全土で最も崇拝される神となったアメンの謎に迫ります。
名前の意味

「アメン(アモン)」という名前には、「隠された者」という意味があります。
これは、彼が目に見えない神、つまり空気や風のように存在するけど捉えにくい存在と考えられていたからなんです。
その「見えない力」が、エジプト最大の神格へとつながることになります。
系譜
アメンは、テーベ(現在のルクソール)地方で崇拝された地方神が起源です。
のちに他の神々と習合(融合)して強力な神へと変貌していきます。
系譜と関連神:
- 妻:アマウネト もしくは ムト(Mut)
- 子:コンス(Khonsu) → 月の神とされる
- ラーとの習合:アメン=ラー(Amun-Ra) → 太陽神ラーと合体し、国家神として崇拝される
アメンは最初は地域限定の神でしたが、王権との関係で他の神と結びつき、かなり高い地位を得た。
姿・見た目
アメンは「見えない神」であるため、本来は姿を持たない存在とされていました。
ですが、神殿や壁画では、いくつかの代表的な姿で描かれています。
主な姿:

- 人間の体+羽根付きの冠
- 青い肌をした男性像
- アンクやウアスを持つ
元々は赤色の肌をしていましたが、時代の変化とともに青い肌になりました。
また、彼は牡羊やミン、原初の蛇の姿でも描かれる。
神格・神性
アメンの神格について見ていく。
主な神格と役割:
- 大気の神
- 生殖と豊穣
- 創造神
- 国家神: → 新王国時代にファラオとともに力を増し、国全体の守護神に
- 太陽神ラーとの融合: → アメン=ラーとして、太陽神となる
元々は単なる大気の神だったが、他の神々を取り込んだことで多様な神格を得た。
神話

アメンそのものに関する具体的な物語は少ないですが、歴史的な背景が面白い神です。
- 初期はローカルな神だったが、中王国時代第11王朝あたりから変化
- テーベの影響力増大と王権の移り変わりによって、国家レベルで信仰されるように
- テーベが首都になるとともにアメン信仰がさらに強まり、アメン・ラーとして神々の王になった
この後、アメン信仰が強くなりすぎて弾圧されたり、首都がテーベから移ったりもした。
しかし、その弾圧は長く続かず、アメン信仰が復活し、アメンは長く愛され続けた。
まとめ
アメン(アモン)は、見えないけど絶大な影響力を持つ神。
その存在は、古代エジプトの宗教・政治の中心にまでなりました。
❍ 最重要ポイントまとめ:
- 「アメン」は「隠された者」を意味する
- テーベ発の神だが、やがて国家神へ
- 羽根冠・青肌の姿で描かれる
- 創造・大気・太陽の力などの多様な神格をあわせ持つ
- アメン信仰は神話以上に現実の歴史で重要
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