【家を豊かにする代償は…?】リトアニア伝承の精霊「アイトワラス」とは?その姿・特徴・伝承をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

ある日突然、家が裕福になったら嬉しいですよね?

でも、その富が「魂と引き換え」だったとしたら、あなたはどうしますか?

リトアニアに伝わる精霊「アイトワラス」は、まさにそんな恐ろしくも魅力的な存在なんです。

この記事では、家に富をもたらすけれど、その代償が恐ろしいリトアニアの精霊「アイトワラス」について、その不思議な姿や特徴、興味深い伝承を分かりやすくご紹介します。

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概要

アイトワラス(Aitvaras)は、リトアニアの伝承に登場する蛇の精霊、あるいはとして知られる存在です。

「アイトヴァラス」と呼ばれることもあり、場所によって姿を変える不思議な精霊なんです。基本的には家を豊かにしてくれる福の神のような存在ですが、その入手方法と代償がちょっと恐ろしいんですね。

この精霊の最大の特徴は、一度家に入ると追い出すのがとても難しいということ。そして、家を豊かにする方法が隣人から物を盗むという、道徳的にかなり問題のある手段なんです。

姿・見た目

アイトワラスの姿は、いる場所によってコロコロ変わるんです。

アイトワラスの変身パターン

屋内にいるとき

  • 黒猫の姿
  • 黒い雄鶏(オスのニワトリ)の姿

屋外にいるとき

  • 空飛ぶドラゴンの姿
  • 尾が燃えている蛇(火の尾を持つ蛇)の姿

つまり、家の中では比較的普通の動物に見えるけど、外に出ると幻想的で恐ろしい姿になるということですね。特に外での姿は、流れ星のような火の尾を引いて飛ぶこともあり、夜空に現れたら相当目立つ存在だったでしょう。

面白いのは、この変身能力によって、家の中では気づかれにくく、外では強力な存在として活動できるという点です。

特徴

アイトワラスには、他の精霊とは違う独特な特徴があります。

入手方法が特殊

アイトワラスを手に入れる方法は主に3つあります。

  1. 悪魔から購入する:自分の魂と引き換えに手に入れる
  2. 7歳の雄鶏の卵から孵化させる:特殊な卵から生まれてくる
  3. いつの間にか家に住み着いている:気づいたときには手遅れ

どの方法も普通じゃないですよね。特に「魂と引き換え」というのは、後で取り返しのつかないことになりそうです。

家を豊かにする能力

アイトワラスの主な仕事は、家の所有者を何としても金持ちにすることです。

その方法は:

  • 牛乳を盗んでくる
  • 穀物を盗んでくる
  • 金品を盗んでくる

問題は、これらがすべて隣人から盗んだものだということ。つまり、自分が豊かになる代わりに、近所の人が被害を受けるんです。

唯一の要求

面白いことに、アイトワラスが要求する食べ物はオムレツだけなんです。

当時、鶏の卵は貴重品でした。今のように品種改良された鶏がいなかったので、卵を産む頻度が少なく、オムレツは相当な贅沢品だったんですね。それでも、もたらす富に比べれば安いものかもしれません。

伝承

アイトワラスに関する記録は1547年から見つかっています。

それ以降、不自然に豊かになった家には、アイトワラスが関わっているという話がたくさん残されているんです。

穀物蔵の恐怖

ある有名な伝説があります。

若い花嫁が姑(しゅうとめ)から穀物を挽く仕事を命じられました。でも、どんなに頑張っても穀物が減らないんです。不思議に思った花嫁は、教会から持ってきた清めたろうそくを手に、穀物蔵を覗き込みました。

すると、そこにはアイトワラスが絶えず穀物を吐き出している姿が!

清められた火の力でアイトワラスは消滅してしまい、姑は大変悲しみました。なぜなら、富の源を失っただけでなく、自分の魂も失ったからです。アイトワラスが死んだことで、契約していた悪魔が彼女の魂を奪い去ったんですね。

この話から分かるのは:

  • アイトワラスは聖なるもの(清めたろうそく)に弱い
  • 悪魔との契約はアイトワラスが死ぬと魂を失う
  • 富の代償は想像以上に重い

ポーランドでの目撃例

2012年には、ポーランドのクラクフで開催されたドラゴンパレードに、アイトワラスをモチーフにした山車が登場しました。現代でも、東欧の人々の記憶に残る存在なんですね。

起源

アイトワラスという存在は、リトアニアの古い信仰に根ざしています。

蛇の精霊としての位置づけ

リトアニアには、蛇に関する精霊が複数存在します。

  • ザルテュス:家を守る蛇の精霊
  • アイトワラス:「飛ぶザルテュス」とも呼ばれる

蛇は古来より、豊穣と富の象徴として崇められてきました。アイトワラスもその流れを汲んでいるんですね。

現代リトアニア語での意味

興味深いことに、現代のリトアニア語では「aitvaras」という言葉は「凧(たこ)」を意味する一般名詞になっています。空を飛ぶものという共通点から、この意味に変化したのかもしれません。

キリスト教の影響

1547年以降の記録に多く登場するのは、キリスト教化が進んだ時期と重なります。元々は豊穣をもたらす精霊だったものが、キリスト教の価値観で「悪魔と取引する邪悪な存在」として解釈されるようになった可能性があります。

まとめ

アイトワラスは、富と引き換えに魂を要求する、リトアニアの複雑な精霊です。

重要なポイント

  • 場所によって姿を変える変身能力を持つ
  • 家を豊かにしてくれるが、その方法は隣人からの盗み
  • 悪魔から魂と引き換えに購入することができる
  • 一度家に入ると追い出すのが困難
  • 要求するのはオムレツだけという意外な一面
  • 聖なるものに弱いという弱点がある
  • 1547年から文献に登場し、富への警告として語り継がれている

アイトワラスの伝承は、「楽して得た富には必ず代償がある」という教訓を私たちに伝えているのかもしれませんね。もしあなたの家が急に豊かになったら、それはアイトワラスの仕業かも…?でも、その代償を考えると、普通に働いて稼ぐ方が安全かもしれません。

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