KeePassXCを起動しようとしたら「.dll が見つかりません」というエラーが出た、アイコンをクリックしても何も起動しない、起動途中で強制終了する——そんな症状で困っている方向けに、原因と対処法を解説する。
Windowsではバージョン2.7.0以降でMicrosoft Visual C++ Redistributableが必要になっており、これが未インストールまたは古いままだと起動できないケースが非常に多い。
まずこの確認から始めよう。
症状ごとの原因早見表
| 症状 | 主な原因 |
|---|---|
| 「.dll が見つかりません」エラーが出る | Microsoft Visual C++ Redistributableの不足 |
| 何も起動せず画面が変わらない | MSVC不足 / セキュリティソフトによるブロック |
| 起動途中でクラッシュ・強制終了する | MSVC不足 / インストールの破損 |
| 起動はするがデータベースが開けない | パスワード誤入力 / データベースファイルの破損 |
対処法①:Microsoft Visual C++ Redistributableをインストールする(Windows)
Windowsでの起動失敗の最多原因がこれだ。
KeePassXCはバージョン2.7.0からWindowsのビルドツールをMSVCツールチェーンに切り替えた。
その結果、「Microsoft Visual C++ Redistributable」が別途インストールされていないと、起動時に以下のようなエラーが表示される。
MSVCP140.dll が見つかりません
VCRUNTIME140.dll が見つかりません
VCRUNTIME140_1.dll が見つかりません
このエラーはWindows 10 / 11のクリーンインストール直後の環境や、OSを再インストールした後の環境で特に発生しやすい。
KeePassXCの公式ダウンロードページにも「DLLの問題が発生した場合はMSVC Redistributableをインストールしてください」と明記されている。
インストール手順
- 以下のMicrosoft公式URLから
vc_redist.x64.exe(64ビット版)をダウンロードする
- ダウンロードした
vc_redist.x64.exeを実行する - ライセンスに同意してインストールを完了させる
- PCを再起動し、KeePassXCを起動する
なお、32ビット版OSを使用している場合は vc_redist.x86.exe が必要だが、現在のWindowsは64ビットが主流のため、通常は上記の64ビット版で問題ない。
すでにインストール済みの場合でも、バージョンが古いと問題が起きることがある。
一度アンインストールして最新版を再インストールすることで解決した事例も複数報告されている。
対処法②:KeePassXCを再インストールする
MSVC Redistributableをインストールしても解消しない場合、KeePassXC本体のインストールが破損している可能性がある。
- 「設定」→「アプリ」から「KeePassXC」をアンインストールする
- KeePassXC公式ダウンロードページから最新版をダウンロードする
- ダウンロードしたインストーラー(
KeePassXC-X.X.X-Win64.msi)を実行してインストールする - KeePassXCを起動する
注意: アンインストールしてもデータベースファイル(.kdbx)は削除されない。
パスワードデータは別のフォルダに保存してあるため、再インストールしてもデータは残る。
対処法③:セキュリティソフトによるブロックを確認する
ウイルス対策ソフトや、Windows Defenderがファイルをブロックしていると、起動できないことがある。
確認手順は以下の通りだ。
- ウイルス対策ソフトの「隔離されたファイル」「ブロック履歴」を確認する
- KeePassXCに関するファイルが隔離・ブロックされていた場合は、「許可」または「除外」として登録する
- Windows Defenderの場合は「Windowsセキュリティ」→「ウイルスと脅威の防止」→「保護の履歴」から確認できる
対処法④:タスクマネージャーでプロセスを終了させる
KeePassXCが「起動しているように見えないのに、再起動しようとするとエラーが出る」場合、バックグラウンドでプロセスが残っていることがある。
Ctrl + Shift + Escでタスクマネージャーを開く- 「プロセス」タブで「KeePassXC」を探す
- 見つかった場合は右クリック→「タスクの終了」を選択する
- 再度KeePassXCを起動する
KeePassXCはデフォルトで複数のインスタンス起動を制限する設定になっているため、前回のプロセスが残っていると新たに起動できないケースがある。
対処法⑤:ダウンロードしたファイルのブロックを解除する(Windows)
Windowsはインターネットからダウンロードしたファイルに「このファイルは安全ではない可能性があります」という制限をかけることがある。
これが原因でKeePassXCのインストーラーや実行ファイルがブロックされている場合がある。
- ダウンロードしたインストーラー(
.msiファイル)を右クリックする - 「プロパティ」を開く
- 「全般」タブ下部の「セキュリティ」欄に「このファイルは他のコンピューターから取得したものです。このコンピューターを保護するため、このファイルへのアクセスはブロックされる可能性があります。」と表示されていれば「ブロックの解除」にチェックを入れる
- 「OK」をクリックして再度インストールを試みる
KeePassXC公式ダウンロードページの案内を確認する
KeePassXC公式のダウンロードページには、DLL関連のエラーが発生した場合向けに「Requires MSVC Support Libraries」というリンクが直接掲載されている。
インストール直後に起動できない場合は、ダウンロードページのこのリンクからMSVC Redistributableをインストールするのが公式が推奨する対処法だ。
対処法を試しても解決しない場合
上記の手順をすべて試しても起動しない場合は、KeePassXCのGitHub Issue Trackerに同様の報告がないか確認しよう。
報告がない場合は新しいIssueとして投稿することで、開発チームのサポートを受けられる可能性がある。
投稿の際は以下の情報を添付すると対応が早くなる。
- Windowsのバージョン(例:Windows 11 24H2)
- KeePassXCのバージョン
- 表示されているエラーメッセージの全文
まとめ
KeePassXCが起動しない場合、Windowsでは「Microsoft Visual C++ Redistributable」の不足が最も多い原因だ。
公式ダウンロードページからMSVC Redistributable(vc_redist.x64.exe)をインストールするだけで解決するケースが多い。
それでも改善しない場合は、KeePassXC本体の再インストール、セキュリティソフトによるブロックの確認、タスクマネージャーでのプロセス強制終了を順番に試してみよう。
参考情報源:
- KeePassXC 公式ダウンロードページ(KeePassXC公式)
- KeePassXC 2.7.0 リリースノート(KeePassXC公式)
- GitHub Issue #7564「VCRUNTIME140_1.dll was not found」(KeePassXC GitHub)
- GitHub Issue #10925「Windows 10 silently crashes → REINSTALL MSVC REDIST」(KeePassXC GitHub)
- GitHub Issue #11716「KeePassXC won’t run in clean Windows 11 24H2 install」(KeePassXC GitHub)
- Qiita「KeePassXC 2.7.9 が Windows 11 で起動しなかった時に行った対処」(2024年11月)

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