Microsoft Teams「勤務場所の自動検出」とは?Wi-Fiで出社状況が上司にバレる新機能を解説

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「会社のWi-Fiにつなぐだけで、自分がオフィスにいるかどうかが上司に丸わかりになる」――そんなMicrosoft Teamsの新機能が話題を集めています。
2025年秋にMicrosoft 365のロードマップで明らかになったこの機能は、リモートワークと出社義務化をめぐる議論に大きな波紋を広げました。
この記事では、機能の仕組みと現状、プライバシー問題、Microsoftの公式見解をわかりやすく整理します。


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どんな機能なのか

Microsoft Teamsに追加される「勤務場所の自動更新(Automatic Update of work location)」は、従業員が会社のWi-Fiネットワークに接続した際に、Teamsが自動的にその従業員の勤務場所ステータスを更新する機能です。

Microsoftは公式ドキュメントでこう説明しています。「ユーザーが所属組織のWi-Fiに接続すると、Teamsは自動的に、そのユーザーが働いている建物を反映するよう勤務場所を設定する。」

つまり、会社のWi-Fiに接続している=特定の建物にいる、と判定されます。
逆に、会社のWi-Fiに接続していない場合は「リモート勤務」と表示される仕組みです。

Wi-Fiによる検出のほかに、モニターやドッキングステーションなどのデスク周辺機器への接続でも同様に「出社中」と自動更新される機能も用意されています。
周辺機器による検出はすでに一般提供が始まっており、Wi-Fi経由の検出は2025年2月時点でプレビュー段階です。


機能の経緯とリリーススケジュール

この機能はMicrosoftが2025年9月に開発中であることを公表し、同年10月にTechRadarなど複数のメディアがMicrosoft 365ロードマップから詳細を発見したことで広く報道されました。

当初は2025年12月にリリース予定とされていましたが、ユーザーや専門家からの批判を受けて2026年1月へ延期されました。
その後さらにスケジュールが見直され、Wi-Fi経由の機能については2026年2〜3月中を目途に広く提供される見通しになっています。
Microsoftはスケジュール変更の理由について公式な説明をしていません。


仕組みの詳細

この機能は「Microsoft Places」という組織向けの場所管理基盤と連携して動作します。

管理者がTeams管理センターでWi-FiのSSID(ネットワーク名)とBSSID(アクセスポイントのMACアドレス)を建物・フロアに紐づけて登録します。
従業員がそのWi-Fiに接続すると、Teamsが対応する建物情報を参照して勤務場所を自動的に更新する、という流れです。

検出できる情報は「どの建物(またはフロア)にいるか」に限られます。
GPSのような詳細な位置情報の追跡や、建物内での移動ログの記録は行われません。

また、従業員は手動でいつでも勤務場所を上書き・消去できます。
つまり、自宅にいながら「オフィス勤務」と手動設定することも技術的には可能です。


デフォルトはオフ、でも管理者が決める

Microsoftはこの機能を「デフォルトオフ」として提供します。
有効化するにはテナント管理者が機能をオンにし、さらにエンドユーザー側の同意(オプトイン)を求める必要があります。

ただし、ここに問題の核心があります。
「機能を有効にするかどうかを決めるのは従業員ではなく管理者」であり、会社がオプトインを事実上の業務命令とした場合、従業員が断るのは難しい状況が生まれます。

ロールアウトはWindowsとmacOSのTeamsデスクトップアプリを対象としており、モバイル版では利用できません。


なぜ炎上したのか

この機能の発表は大きな批判を浴びました。
代表的な批判として以下の点が挙げられています。

プライバシーへの懸念
位置情報データは「機密性の高い個人データ」の一種であり、自動収集・共有されることへの抵抗感は大きいです。
欧州ではGDPR(一般データ保護規則)との整合性も問われています。

「バレる」のは出社時だけではない
出社していればオフィスの建物名が表示されます。
会社のWi-Fiに接続していなければ「リモート勤務」と表示されるため、結果的に「今日は在宅勤務だ」ということも上司から一目でわかります。
仮想背景でオフィス風に見せていても、Teamsのステータスには場所が表示されます。

出社義務化の流れとの重なり
Microsoftは2025年9月に「オフィスから50マイル(約80キロ)圏内に住む従業員は、2026年2月末までに週3日出社を義務化する」という自社の出社方針を発表しています。
この出社義務化とTeamsの位置追跡機能がほぼ同時期に打ち出されたため、「従業員の出社管理を強化するための監視ツールではないか」という疑念が広まりました。

「ボスウェア」問題
Windowsセントラルは「Teamsが従業員の居場所を上司に”告げ口”するボスの犬になる」と痛烈に批判しました。
コロナ禍以降、キーロガーやウェブカメラ監視といった従業員監視ツール(通称「ボスウェア」)への警戒感が高まっており、今回の機能もその流れで受け止められました。


Microsoftの公式見解

批判に対してMicrosoftは、機能の目的は「監視」ではなく「社内での連携の円滑化」であると説明しています。

公式ドキュメントでは「この機能は従業員の出勤状況を監視するためのツールではなく、コラボレーションを促進することを目的に設計されている」と明記されています。

また次の点も強調しています。

  • 管理者は従業員の位置情報に関するモニタリングビューや履歴データにアクセスできない
  • 位置情報データはMicrosoft自体には見えない(組織内でのみ共有される)
  • 従業員はいつでも手動で勤務場所を上書きできる
  • 機能は定義された就業時間内にのみ有効

Microsoftが想定する主なユースケースは「大規模なキャンパス型オフィスで、同僚がどの建物にいるかをすばやく確認したい」という場面であり、数十棟のビルが立ち並ぶ大企業での活用を念頭においています。


日本の職場への影響

日本でも多くの企業がMicrosoft 365とTeamsを導入しているため、この機能は決して対岸の話ではありません。

特に以下のような状況で影響が出ることが考えられます。

ハイブリッド勤務制度がある企業
週〇日出社といったルールが設定されている企業では、管理者が出社実績の把握にこの機能を利用する可能性があります。

大規模オフィスや複数拠点がある企業
どの社員がどの建物にいるかをリアルタイムで把握したい場合、利便性は高まります。

従業員のモチベーションへの影響
監視されているという心理的プレッシャーが、士気低下や信頼関係の損失につながるリスクも指摘されています。


まとめ

Microsoft Teamsに追加予定の「勤務場所の自動更新」機能は、会社のWi-Fiへの接続を検知して従業員の出社・在宅ステータスを自動表示するものです。

機能自体はデフォルトオフで、有効化には管理者の設定と従業員の同意が必要とされています。
ただし、管理者が有効化を求めた場合に従業員が実質的に断れるかどうかは別問題です。

Microsoftは「コラボレーション促進ツール」と位置づけていますが、同時期に自社で出社義務化方針を打ち出していることもあり、「監視強化の一環ではないか」という懸念は根強く残っています。

Wi-Fiによる位置追跡は2025年2月時点でプレビュー中であり、広く一般提供されるのは2026年春ごろの見通しです。
導入を検討している企業は、従業員とのコミュニケーションや社内ポリシーの整備を先行して行うことが重要です。


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