「Microsoft Teamsのインテリジェントスピーカー」という言葉を耳にしたことはありますか?
会議中に「誰が何を発言したか」をAIが自動で識別し、文字起こしに名前まで反映してくれる仕組みです。
この記事では、インテリジェントスピーカーの機能・利用要件・認定デバイス・設定の流れをまとめて解説します。
インテリジェントスピーカーとは

Microsoft Teamsにおける「インテリジェントスピーカー」は、大きく2つの意味で使われています。
① Microsoft Teams Rooms(MTR)向けの話者識別機能
会議室に設置した認定デバイスが、複数の参加者の声を識別して「誰が発言したか」をリアルタイムで文字起こしに反映する機能です。
事前に登録した音声プロファイルと照合することで、発言者の名前が自動でトランスクリプトに表示されます。
② Teamsデスクトップアプリの「音声分離」機能
個人向けのTeamsクライアントに搭載されたAIノイズ除去機能です。
オフィスのざわめきや周囲の話し声を除去し、自分の声だけをクリアに相手に届けます。
この記事では、企業の会議室での導入が広がっている①の話者識別機能を中心に解説します。
インテリジェントスピーカーでできること
リアルタイム話者識別と文字起こし
会議室内にいる複数の参加者を音声プロファイルで識別し、「〇〇さん:△△と発言」という形式でトランスクリプトをリアルタイム生成します。
従来の文字起こしでは「複数人が同じPCから参加すると誰が話したか不明」という問題がありましたが、インテリジェントスピーカーがこれを解消します。
Copilotとの連携
Microsoft 365 Copilotと組み合わせることで、次のことが自動化されます。
- 誰が何を発言したかに基づいたAI議事録の生成
- 担当者ごとのフォローアップタスクの割り当て
- 会議後のインテリジェントミーティングリキャップの生成
Copilotにとって「誰が発言したか」は最も重要な入力情報であり、インテリジェントスピーカーはその精度を高める役割を担っています(Microsoft Learn「Tenant Administration control for voice recognition」より)。
音声コントロール
会議への参加やマイクのミュート操作を、デバイスに触れずに声で操作できる機種もあります。
利用に必要な要件
インテリジェントスピーカー機能(話者識別)を利用するには、以下の条件をすべて満たす必要があります(Microsoft公式ドキュメント、2025年時点)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| OS | Windows版またはAndroid版のTeams Rooms(Android版は2025年5月以降対応) |
| ライセンス | Teams Rooms Proライセンス(リソースアカウントに割り当て必須) |
| BYODルーム | ルームホストにTeams PremiumまたはCopilotライセンスが必要 |
| デバイス | Microsoft認定のインテリジェントスピーカー対応デバイス(推奨)、または全Teams Roomsデバイス |
| 音声プロファイル | 各参加者がTeamsデスクトップアプリで事前登録必須 |
| ネットワーク | アップロード速度7 Mbps以上推奨 |
| 識別可能人数 | 同時識別は最大10名推奨、音声プロファイル登録者の上限は20名 |
| カレンダー | 会議主催者のメールボックスがExchange Online上にあること |
| 会議形式 | スケジュール設定済みの会議のみ対応(「今すぐ会議」は対象外) |
注意: 13歳未満のニンテンドーアカウントと同様の制約として、音声プロファイルはTeams Onlineメンバーが対象です。音声プロファイルの登録・使用はビジネス向けアカウントに限られます。
音声プロファイルの登録方法
参加者それぞれが事前に音声プロファイルを登録しておく必要があります。
- TeamsデスクトップアプリでTeamsを起動する(WindowsまたはmacOS)
- 画面右上のプロフィールアイコンをクリックし「設定」を開く
- 「認識」メニューから「音声プロファイルの作成」を選択する
- 画面の指示に従って自分の声を録音する
登録した音声プロファイルはMicrosoftクラウド上に安全に保存され、招待されたスケジュール済み会議でのみ話者識別に使用されます。
Microsoft認定インテリジェントスピーカー対応デバイスの例
Microsoftは独自の認定プログラムを通じて、品質基準を満たしたデバイスのみを認定しています。
2025年5月以降は認定製品以外のTeams Roomsデバイスでも本機能が使えるようになりましたが、Microsoftは認定製品の使用を引き続き推奨しています。
代表的な認定デバイスは以下のとおりです。
| メーカー | 製品名 | 備考 |
|---|---|---|
| Jabra(GNオーディオ) | PanaCast 50 / PanaCast 50 Room System | ビデオバーとして世界初の認定取得(2024年) |
| Sennheiser(ゼンハイザー) | TeamConnect Intelligent Speaker | 会議室設置型スピーカー |
| Lenovo | ThinkSmart Bar 180 | Windows版Teams Rooms対応 |
| MAXHUB | XCore Kit for Microsoft Teams Rooms | ゼンハイザーのTCISとの組み合わせで対応 |
最新の認定デバイス一覧はMicrosoft Learn「Teams Rooms 認定システムと周辺機器」から確認できます。
認定デバイスと非認定デバイスの違い
認定デバイスは複数のマイクアレイを搭載しており、音声取得の精度が高く、文字起こしの精度(ワードエラーレート)が業界トップ水準とされています。
非認定デバイスでも機能は使えますが、精度が認定デバイスに及ばない場合があります。
特に重要な会議や役員会議など、精度が求められる場面では認定デバイスの導入が推奨されます(Microsoft Learnより)。
管理者向け:機能有効化の大まかな流れ
インテリジェントスピーカー機能はデフォルトで無効になっています。
有効化にはMicrosoft Teams管理センターおよびPowerShellでの設定変更が必要です。
- Teams Rooms Proライセンスを会議室リソースアカウントに割り当てる
- PowerShellでカスタム会議ポリシーを作成し、インテリジェントスピーカーを有効にする
- デバイスの設定から話者識別(音声認識)機能をオンにする
- 各ユーザーが音声プロファイルを登録する
詳細な設定手順はMicrosoft公式ドキュメント「Teams Roomsでのユーザー認識の有効化」を参照してください。
使用上の注意点と精度について
実際の導入・検証を行った企業の報告によると、以下の点に注意が必要です。
- 文字起こしの精度は参加者の話し方に依存する。 はっきり話した場合でも8割程度の精度になるケースがある
- 小規模会議室(5名程度)での使用を推奨。 マイク・スピーカー一体型の構造上、人数が増えると精度が落ちる場合がある
- マスク着用時は精度が低下する ことがある
- 参加者の事前登録が必要なため、定例メンバーが固定されている会議に向いている(役員会議・プロジェクトチーム会議など)
- 「今すぐ会議」ではなく、カレンダーに登録されたスケジュール済み会議のみ話者識別に対応
インテリジェントスピーカー機能(音声分離):個人向け解説
Teams Rooms用とは別に、Teamsデスクトップアプリには個人向けの「音声分離(インテリジェントスピーカー)」機能もあります。
オープンオフィスやカフェなど周囲に会話がある環境で通話するとき、AIが自分の声だけを抽出してノイズをカットします。
この機能はPowerShellでテナント単位の許可設定を行った後、各ユーザーが音声プロファイルを登録することで利用できます。
ハードウェアの追加は不要で、TeamsデスクトップアプリとTeamsライセンスがあれば使用可能です。
まとめ
Microsoft Teamsのインテリジェントスピーカーは、会議室内の複数の話者を識別してリアルタイムで文字起こしに名前を反映する機能です。
Microsoft 365 CopilotやTeams Roomsと組み合わせることで、議事録作成やタスク管理の自動化につながります。
導入にはTeams Rooms Proライセンスと音声プロファイルの事前登録が必要で、認定デバイスを使うことで精度の高い文字起こしが期待できます。
参加メンバーが固定されている定例会議や、ハイブリッド会議の効率化を検討している場合は、導入を検討する価値があります。
Microsoft Teams Roomsのライセンス詳細についてはTeams Roomsライセンス比較(Microsoftサポート)もあわせてご確認ください。
参考情報源:


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