ゲームボーイポケットは、1996年7月21日に任天堂が発売した携帯型ゲーム機です。
初代ゲームボーイの小型軽量化モデルとして登場し、液晶の視認性向上や真のモノクロディスプレイ採用により、多くのゲームファンから支持を受けました。
ゲームボーイポケットの基本情報
ゲームボーイポケットは、初代ゲームボーイ(1989年発売)のマイナーチェンジモデルとして開発されました。
発売当初の価格は6,800円でしたが、2回の価格改定を経て最終的には3,800円まで値下げされ、多くのユーザーが複数台購入する現象も起きました。
発売日と価格の変遷
日本では1996年7月21日に発売され、北米では同年9月2日に69.99ドルで発売されました。
価格の変遷は以下の通りです。
- 1996年7月21日:6,800円で発売
- 1998年:5,800円に値下げ
- 1998年11月14日:3,800円に値下げ
この価格設定は当時としては非常に安く、『ポケットモンスター』ブームと相まって、2台目・3台目として購入するユーザーも多くいました。
本体仕様
ゲームボーイポケットの主な仕様は以下の通りです。
- 型番:MGB-001
- サイズ:127.6mm × 77.6mm × 25.3mm
- 重量:125g(本体のみ)、150g(電池含む)
- CPU:LR35902(4MHz)
- RAM:8KB
- VRAM:8KB
- 画面:2.5インチFSTN液晶(モノクロ、160×144ドット、4階調)
- 電源:単4形乾電池2本
- バッテリー持続時間:約8時間
- サウンド:パルス波2ch + 波形メモリ音源1ch + ノイズ1ch(ステレオ出力可能)
初代ゲームボーイが単3形乾電池4本を使用していたのに対し、単4形乾電池2本で駆動するため、大幅な小型化と軽量化を実現しました。
初代ゲームボーイとの違い
ゲームボーイポケットは初代ゲームボーイから多くの点で改良されています。
サイズと重量
初代ゲームボーイは重量220g(本体のみ)で、単3形乾電池4本を含めると約394gでした。
ゲームボーイポケットは本体のみで125g、電池を含めても150gと、約半分の重量になりました。
この軽量化により、文字通りポケットに入れて持ち運ぶことが容易になりました。
液晶ディスプレイの改良
初代ゲームボーイは「ピースープ(エンドウ豆のスープ)」と呼ばれる緑がかったモノクロ液晶を採用していました。
ゲームボーイポケットでは、FSTN液晶(Film Compensated Super-Twisted Nematic LCD)を採用し、真の黒白ディスプレイに変更されました。
これにより画面の視認性が大幅に向上し、残像(ゴースト現象)も軽減されました。
通信ポートの変更
ゲームボーイポケットでは通信ポートが小型化され、形状が変更されました。
そのため、初代ゲームボーイと通信する際には専用の変換コネクタ(MGB-004)が必要になりました。
この新しいポートデザインは、以降のゲームボーイライトやゲームボーイカラーでも採用されています。
カラーバリエーション
ゲームボーイポケットは、ゲームボーイシリーズ最多の9色のカラーバリエーションが展開されました。
初期カラー(1996年7月21日発売時)
発売時には5色が用意されていました。
- シルバー
- 赤
- 黄
- 緑
- 黒
追加カラー
その後、以下のカラーが追加されました。
- 金(1997年4月18日発売):元々1996年8月にトイザらスで限定販売された後、ユーザーの要望により一般販売されました。メタリック塗装が施され、価格は7,800円とやや高めでした。
- 銀:金と同様にメタリック塗装が施されています。
- ピンク:「女の子だって、ゲームボーイ。」というキャッチコピーとともに発売されました。
- クリアパープル
これらのカラーバリエーションに加え、トイザらスや全日空などの企業とのコラボレーションによる限定モデルも多数発売されました。
また、ファミ通限定エディション「MODEL-F」というスケルトン仕様のモデルも販売されています。
初期型と後期型の違い
ゲームボーイポケットには、初期型と後期型で仕様の違いがあります。
バッテリー残量ランプの有無
初期型にはバッテリー残量を示す赤いランプが搭載されていませんでした。
また、ゲームボーイポケット以降の機種では、バッテリー残量が不足すると本体側で強制的に電源が切れる仕様に変更されました。
そのため、バッテリー残量が判別できない上に突然電源が切れるという問題が発生しました。
この問題への対応として、ピンクカラー発売(1997年)以降のすべての本体にバッテリー残量ランプが搭載されるようになりました。
開発背景
ゲームボーイポケットの開発は、徹底的なコスト削減を目指して進められました。
開発者
ゲームボーイの開発者である横井軍平氏が関わった最後のゲーム機です。
横井氏は任天堂退社の置き土産として、共に任天堂の商品を手掛けていた瀧良博氏に「3か月で作れ」と指示し、ゲームボーイポケットが完成しました。
コスト削減の取り組み
価格を抑えるため、開発では以下のようなコスト削減策が取られました。
- バッテリー残量表示ランプの廃止(初期型)
- 外部拡張コネクタの小型化
- コネクタカバーの廃止
特に通信ポートについては、廃止すればさらなるコスト削減や薄型化が見込めるとして廃止が検討されました。
しかし、ソフト開発者側からの猛反発を受け、妥協案としてコネクタの形状を小型化することで落ち着きました。
この判断は結果的に正しいものでした。
開発に携わった出石武宏氏は、後年のインタビューで「もし通信ポートを無くしていればポケモンの交換もできなかったわけで、田尻智さんにどうお詫びしたらいいやら」と冗談交じりに語っています。
販売実績と評価
ゲームボーイポケットは商業的にも大きな成功を収めました。
販売台数
日本国内では900万台を超える売上を記録しました。
この成功には、1996年2月に発売された『ポケットモンスター 赤・緑』の大ヒットが大きく影響しています。
デザイン評価
1997年にはグッドデザイン賞を受賞し、デザイン面でも高い評価を受けました。
製品名の由来
ゲームボーイポケットの開発は『ポケットモンスター』とは無関係に進んでいましたが、製品名の「ポケット」は『ポケットモンスター』のヒットにあやかったものです。
後継機種
ゲームボーイポケットの後継機として、以下の機種が発売されました。
ゲームボーイライト
1998年4月14日に日本国内のみで発売されました。
ゲームボーイポケットとほぼ同じサイズで、画面にバックライトを搭載しています。
電源は単3形乾電池2本に変更され、バッテリー持続時間はポケットより長くなりました。
価格は6,800円で、カラーバリエーションは金と銀の2色でした。
ゲームボーイライトは発売直後にゲームボーイカラーが発表されたため、販売台数は少なく、海外では発売されませんでした。
ゲームボーイカラー
1998年10月21日に発売され、カラー表示が可能になりました。
ゲームボーイポケットやゲームボーイライトのソフトウェアとの後方互換性を持ち、ゲームボーイシリーズの進化版として位置づけられました。
サポート終了と生産終了
ゲームボーイポケットは2003年9月に生産が終了し、2007年10月31日に公式サポートが終了しました。
初代ゲームボーイ、ゲームボーイライトも同時に公式サポートが終了しています。
互換性
ゲームボーイポケットは、初代ゲームボーイ用のすべてのソフトウェアと互換性があります。
通信ポートの形状が変更されましたが、変換コネクタを使用することで初代ゲームボーイとの通信も可能です。
まとめ
ゲームボーイポケットは、初代ゲームボーイの小型軽量化と液晶の視認性向上を実現した携帯ゲーム機です。
1996年の発売から2003年の生産終了まで、多くのゲームファンに愛されました。
『ポケットモンスター』シリーズの大ヒットと相まって、日本国内で900万台以上の販売を記録し、ゲームボーイシリーズの中でも重要な位置を占める製品となりました。
徹底的なコスト削減により低価格を実現しながらも、通信機能を残したことで『ポケットモンスター』の通信交換を楽しむユーザーを支え、携帯ゲーム機の歴史に大きな足跡を残しました。

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