「スタートアップフォルダにショートカットを置いたのに、アプリが起動しない…」「再起動しても何も立ち上がらない…」と困っていませんか。
その原因は、おそらくアプリが「管理者権限」を必要としているからです。
Windows 10では、セキュリティ強化のため、スタートアップフォルダから起動されたアプリは通常の権限でしか実行されません。
そのため、管理者権限が必要なアプリは、スタートアップフォルダに登録しても自動起動できないのです。
この記事では、管理者権限が必要なアプリをPC起動時に自動で立ち上げる方法を、初心者にもわかりやすく詳しく解説します。
タスクスケジューラを使った確実な設定方法から、よくあるトラブルの対処法まで、すべてお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
なぜ管理者権限が必要なアプリはスタートアップで起動しないのか
まず、問題の原因を理解しておきましょう。
ユーザーアカウント制御(UAC)とは
Windows Vistaから導入された「ユーザーアカウント制御(UAC: User Account Control)」という機能が関係しています。
UACは、パソコンに重要な変更を加える可能性があるプログラムを実行するとき、「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」という確認画面を表示する機能です。
この機能により、悪意のあるプログラムが勝手にシステムを変更することを防いでいます。
スタートアップフォルダからの起動は通常権限
セキュリティ対策として、スタートアップフォルダから起動されたプログラムは、すべて「通常のユーザー権限」で実行されます。
たとえショートカットのプロパティで「管理者として実行する」にチェックを入れていても、スタートアップフォルダから起動された場合、この設定は無視されます。
そのため、管理者権限が必要なアプリは、エラーが出るか、機能が制限された状態で起動するか、または起動自体に失敗します。
どんなアプリが管理者権限を必要とするか
以下のようなアプリは、管理者権限が必要なことが多いです。
- システム監視ツール(CPU温度、メモリ使用率など)
- ネットワーク監視・制御ツール
- マウスやキーボードのカスタマイズソフト(キー入力エミュレーション)
- 一部のゲーミングデバイス用ソフト
- ファイアウォールやセキュリティソフト
- バックアップソフト
- 仮想ドライブソフト
これらのアプリを自動起動させるには、特別な設定が必要です。
タスクスケジューラを使った解決方法(基本手順)
管理者権限が必要なアプリを自動起動させるには、「タスクスケジューラ」を使います。
タスクスケジューラとは、指定した条件でプログラムを自動実行できるWindows標準機能です。
手順1. タスクスケジューラを開く
タスクスケジューラを起動する方法はいくつかあります。
方法A:検索から開く
- タスクバーの検索ボックスに「タスク」と入力
- 「タスク スケジューラ」が表示されるのでクリック
方法B:ファイル名を指定して実行から開く
- Windowsキー + R を押す
- 「taskschd.msc」と入力してEnterキーを押す
方法C:スタートメニューから開く
- スタートボタンをクリック
- 「Windows 管理ツール」を展開
- 「タスク スケジューラ」をクリック
手順2. 新しいタスクを作成する
タスクスケジューラが開いたら、新しいタスクを作成します。
- 右側の「操作」パネルで「タスクの作成」をクリック
(注:「基本タスクの作成」ではなく「タスクの作成」を選んでください)
「タスクの作成」ウィンドウが開きます。
手順3. 全般タブの設定
最初に表示される「全般」タブで、以下の設定を行います。
名前
わかりやすい名前を入力します。
例:「Real Temp 自動起動」「マウスアシスタント起動」など
説明(任意)
タスクの目的を簡単に記入しておくと、後で見返したときに便利です。
セキュリティオプション
- 「最上位の特権で実行する」にチェックを入れる(これが最重要)
- 「ユーザーがログオンしているかどうかにかかわらず実行する」は、通常はチェック不要
構成
プルダウンメニューで「Windows 10」を選択します。
手順4. トリガータブの設定
次に「トリガー」タブに移動し、起動条件を設定します。
- 「新規」ボタンをクリック
- 「新しいトリガー」ウィンドウが開く
タスクの開始
プルダウンメニューから以下のいずれかを選択します。
- 「ログオン時」:ユーザーがサインインしたときに起動(推奨)
- 「スタートアップ時」:PCの電源を入れたときに起動(ログイン前)
通常は「ログオン時」を選ぶのがおすすめです。
設定
- 「特定のユーザー」または「任意のユーザー」を選択
- 自分だけが使うPCなら「特定のユーザー」で十分です
詳細設定(任意)
- 「遅延時間を指定する」:起動を少し遅らせたい場合に使用(例:30秒)
- 「有効」:チェックが入っていることを確認
- 「OK」ボタンをクリック
手順5. 操作タブの設定
「操作」タブに移動し、実行するプログラムを指定します。
- 「新規」ボタンをクリック
- 「新しい操作」ウィンドウが開く
操作
「プログラムの開始」が選択されていることを確認します。
プログラム/スクリプト
「参照」ボタンをクリックして、自動起動させたいアプリの実行ファイル(.exe)を選択します。
例:C:\Program Files\RealTemp\RealTemp.exe
引数の追加(オプション)
アプリに特定のオプションを付けて起動したい場合に入力します。
通常は空欄のままで問題ありません。
開始(オプション)
通常は空欄で構いません。
アプリの作業フォルダを指定する必要がある場合のみ使用します。
- 「OK」ボタンをクリック
手順6. 条件タブの設定
「条件」タブに移動し、起動条件を調整します。
電源の項目
デフォルトでは「コンピューターをAC電源で使用している場合のみタスクを開始する」にチェックが入っています。
ノートPCでバッテリー駆動中も起動させたい場合は、このチェックを外してください。
デスクトップPCなら、チェックを外しておくのが無難です。
その他の設定
通常はデフォルトのままで問題ありません。
手順7. 設定タブの設定
「設定」タブに移動し、最終調整を行います。
推奨設定
- 「タスクが失敗した場合の再起動の間隔」:チェックを入れる
- 間隔:1分
- 再試行回数:3回
これにより、万が一起動に失敗しても自動的に再試行されます。
その他の項目
- 「タスクを停止するまでの時間」:チェックを外す(常駐アプリの場合)
- 「タスクが既に実行中の場合に適用される規則」:「新しいインスタンスを開始しない」を選択
手順8. 設定を保存
すべての設定が完了したら、「OK」ボタンをクリックして保存します。
パスワードの入力を求められた場合は、Windowsのユーザーパスワードを入力してください。
手順9. 動作確認
設定が完了したら、正しく動作するか確認しましょう。
- PCを再起動(またはサインアウト→サインイン)
- 設定したアプリが自動的に起動するか確認
起動しない場合は、次の「よくあるトラブルと対処法」を参考にしてください。
基本タスクの作成を使う方法(簡易版)
上記の方法が難しいと感じた方は、「基本タスクの作成」を使う方法もあります。
手順
- タスクスケジューラを開く
- 右側の「基本タスクの作成」をクリック
- ウィザードに従って設定
名前と説明
タスク名を入力して「次へ」
トリガー
「ログオン時」を選択して「次へ」
操作
「プログラムの開始」を選択して「次へ」
プログラムの開始
「参照」ボタンから実行ファイルを選択して「次へ」
完了
「プロパティを開く」にチェックを入れて「完了」
追加設定
プロパティウィンドウが開くので、「全般」タブで「最上位の特権で実行する」にチェックを入れて「OK」
この方法でも、管理者権限での自動起動が可能です。
よくあるトラブルと対処法
タスクスケジューラで設定しても起動しない場合の対処法を紹介します。
トラブル1:タスクが実行されない
原因A:パスが間違っている
実行ファイルのパスが正しいか確認してください。
特に、日本語や全角スペースが含まれるパスは問題を起こすことがあります。
対処法
- パスを半角英数字のみの場所に変更
- またはパスを「”」(ダブルクォーテーション)で囲む
原因B:最上位の特権にチェックが入っていない
作成したタスクのプロパティを開き、「全般」タブで「最上位の特権で実行する」にチェックが入っているか確認してください。
原因C:トリガーの条件が合っていない
「トリガー」タブで、「ログオン時」または「スタートアップ時」が正しく設定されているか確認してください。
トラブル2:複数のタスクが同時に実行されると失敗する
原因
Windows 10では、「スタートアップ時」のトリガーを持つタスクが複数ある場合、それらがランダムに実行失敗することがあります。
対処法A:トリガーを「ログオン時」に変更
「スタートアップ時」ではなく「ログオン時」に変更すると、問題が解決することがあります。
対処法B:遅延時間を設定する
各タスクのトリガーに異なる遅延時間を設定します。
- トリガーの編集画面を開く
- 「詳細設定」の「遅延時間を指定する」にチェック
- それぞれのタスクに異なる時間を設定(例:1秒、5秒、10秒)
対処法C:実行アカウントを「SYSTEM」に変更
より確実な方法として、実行アカウントを「SYSTEM」に変更する方法があります。
- タスクのプロパティを開く
- 「全般」タブで「ユーザーまたはグループの変更」をクリック
- 「SYSTEM」と入力して「名前の確認」をクリック
- 「OK」をクリック
SYSTEMアカウントは、管理者と同等またはそれ以上の権限を持つ特殊なアカウントです。
トラブル3:アプリが起動するが正常に動作しない
原因A:作業フォルダが設定されていない
一部のアプリは、特定のフォルダから実行される必要があります。
対処法
「操作」タブの「開始(オプション)」に、アプリがインストールされているフォルダのパスを入力します。
例:C:\Program Files\RealTemp\
原因B:必要なファイルが見つからない
アプリが依存している設定ファイルやライブラリが見つからない可能性があります。
対処法
バッチファイルを作成し、カレントディレクトリを変更してからアプリを起動します。
@echo off
cd /d "C:\Program Files\RealTemp"
start "" "RealTemp.exe"
このバッチファイルをタスクスケジューラで実行します。
トラブル4:パスワードを求められる
原因
タスクの保存時に、Windowsのユーザーアカウントのパスワードが設定されていない場合があります。
対処法
Windowsのユーザーアカウントにパスワードを設定してください。
パスワードを設定したくない場合は、タスクの「全般」タブで「ユーザーがログオンしているときのみ実行する」にチェックを入れます。
トラブル5:AC電源接続時のみ実行される
原因
デフォルトでは、「コンピューターをAC電源で使用している場合のみタスクを開始する」にチェックが入っています。
対処法
「条件」タブで、このチェックを外してください。
代替方法:レジストリを使った自動起動
タスクスケジューラ以外の方法として、レジストリを直接編集する方法もあります。
ただし、レジストリの編集は慎重に行う必要があります。
手順
- Windowsキー + R を押す
- 「regedit」と入力してEnterキーを押す
- 以下のいずれかのキーを開く
現在のユーザーのみ
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run
すべてのユーザー
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run
- 右側の空白部分を右クリック
- 「新規」→「文字列値」を選択
- 名前を入力(例:RealTemp)
- ダブルクリックして、値のデータに実行ファイルのフルパスを入力
例:"C:\Program Files\RealTemp\RealTemp.exe"
ただし、この方法でも管理者権限では実行されません。
管理者権限が必要な場合は、やはりタスクスケジューラを使うのが確実です。
セキュリティ上の注意点
管理者権限で自動起動する設定は便利ですが、セキュリティリスクも伴います。
信頼できるアプリのみ設定する
管理者権限で実行されるプログラムは、システムに大きな変更を加えられます。
信頼できる開発元のアプリのみを設定してください。
定期的な見直し
使わなくなったアプリは、タスクスケジューラから削除しましょう。
タスクスケジューラを開き、不要なタスクを選択して「削除」をクリックします。
ウイルス対策ソフトの導入
管理者権限で実行されるマルウェアは、システムに致命的な被害を与える可能性があります。
必ず信頼できるウイルス対策ソフトを導入してください。
バッチファイルを使った複数アプリの順次起動
複数のアプリを特定の順序で起動したい場合、バッチファイルが便利です。
バッチファイルの作成例
メモ帳を開き、以下の内容を入力します。
@echo off
REM 1つ目のアプリを起動
start "" "C:\Program Files\App1\App1.exe"
REM 5秒待機
timeout /t 5 /nobreak > nul
REM 2つ目のアプリを起動
start "" "C:\Program Files\App2\App2.exe"
REM 3秒待機
timeout /t 3 /nobreak > nul
REM 3つ目のアプリを起動
start "" "C:\Program Files\App3\App3.exe"
ファイル名を「startup.bat」として保存します。
タスクスケジューラでバッチファイルを実行
作成したバッチファイル(startup.bat)を、タスクスケジューラの「操作」タブで指定します。
これにより、複数のアプリを順番に、適切な間隔で起動できます。
よくある質問
スタートアップフォルダに置いても起動しないのはなぜですか?
管理者権限が必要なアプリは、セキュリティ上の理由から、スタートアップフォルダからは通常の権限でしか起動されません。
そのため、管理者権限が必要な機能が使えず、起動に失敗したり、機能が制限されたりします。
ショートカットのプロパティで「管理者として実行」にチェックしても起動しません。
スタートアップフォルダから起動された場合、この設定は無視されます。
タスクスケジューラを使って設定してください。
タスクスケジューラで設定したのに起動しません。
以下の点を確認してください。
- 「最上位の特権で実行する」にチェックが入っているか
- 実行ファイルのパスが正しいか
- トリガーが「ログオン時」または「スタートアップ時」に設定されているか
- 「条件」タブのAC電源のチェックが適切か
「ログオン時」と「スタートアップ時」の違いは何ですか?
- ログオン時:ユーザーがサインインした直後に実行されます。
- スタートアップ時:PCの電源を入れた直後(Windowsが起動した直後)に実行されます。
通常は「ログオン時」を選ぶのがおすすめです。
複数のアプリを自動起動させたいです。
それぞれのアプリに対して、個別にタスクを作成してください。
または、バッチファイルで複数のアプリをまとめて起動する方法もあります。
設定後、パスワードを変更したらタスクが動かなくなりました。
Windowsのユーザーパスワードを変更した場合、タスクスケジューラの設定も更新する必要があります。
タスクのプロパティを開き、「全般」タブで「ユーザーまたはグループの変更」から再設定してください。
タスクスケジューラで設定したタスクを確認するには?
タスクスケジューラを開き、左側の「タスク スケジューラ ライブラリ」を選択すると、登録されているタスクの一覧が表示されます。
作成したタスクを削除するには?
タスクスケジューラでタスクを選択し、右クリックして「削除」を選択します。
または、右側の「操作」パネルで「削除」をクリックします。
管理者権限で起動すると、セキュリティリスクはありますか?
信頼できるアプリであれば問題ありませんが、悪意のあるプログラムが管理者権限で実行されると、システムに大きな被害を与える可能性があります。
必ず信頼できるアプリのみを設定してください。
まとめ
Windows 10で管理者権限が必要なアプリをスタートアップで自動起動する方法を解説しました。
重要なポイント
- スタートアップフォルダでは管理者権限アプリは起動しない
- タスクスケジューラを使えば確実に自動起動できる
- 「最上位の特権で実行する」のチェックが最重要
タスクスケジューラでの設定手順
- タスクスケジューラを開く
- 「タスクの作成」をクリック
- 「全般」タブで「最上位の特権で実行する」にチェック
- 「トリガー」タブで「ログオン時」を設定
- 「操作」タブで実行ファイルを指定
- 「条件」タブでAC電源のチェックを外す
- 「設定」タブで再試行を設定
トラブルシューティング
- パスが正しいか確認
- 「最上位の特権」にチェックが入っているか確認
- 複数タスクがある場合は遅延時間を設定
- 「SYSTEM」アカウントでの実行を検討
セキュリティ
- 信頼できるアプリのみを設定
- 定期的に不要なタスクを削除
- ウイルス対策ソフトを必ず導入
この方法を使えば、マウス制御ソフトやシステム監視ツールなど、管理者権限が必要な常駐アプリを、PC起動時に自動で立ち上げることができます。
設定は少し手間がかかりますが、一度設定すれば毎回手動で起動する必要がなくなり、作業効率が大幅に向上します。
ぜひこの記事を参考に、快適なPC環境を構築してくださいね。

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