フィールズ賞(Fields Medal)は、数学の世界で最も権威ある賞として知られています。
「数学のノーベル賞」とも呼ばれますが、4年に一度、40歳未満の数学者のみに贈られるという独特な制約を持つ賞です。
1936年の創設から2022年までに64名が受賞しており、2026年にはアメリカ・フィラデルフィアで次の授賞式が予定されています。
この記事では、フィールズ賞の歴史から全受賞者の一覧、そして日本人受賞者まで詳しくご紹介します。
フィールズ賞の概要
フィールズ賞は、カナダの数学者ジョン・チャールズ・フィールズ(John Charles Fields, 1863年〜1932年)の提唱によって創設されました。
フィールズは1924年にトロントで開催された国際数学者会議(ICM)の運営に尽力した人物で、数学分野における国際的な賞の必要性を訴えました。
フィールズの死後、1932年のICMで彼の提案が正式に採択され、1936年のオスロ大会で第1回の授賞が行われました。
以降、第二次世界大戦による中断を経て、1950年から4年ごとに授与されています。
フィールズ賞の特徴を整理すると、以下のようになります。
- 4年に一度、国際数学者会議(ICM)で授与される
- 受賞者は40歳未満に限られる(授賞年の1月1日時点で40歳の誕生日を迎えていないこと)
- 2名以上4名以下の数学者に贈られる
- 副賞は15,000カナダドル(約160万円)
- 過去の業績を表彰するだけでなく、将来のさらなる研究を奨励する目的がある
ノーベル賞には数学部門が存在しないため、フィールズ賞は長年「数学のノーベル賞」と称されてきました。
ただし、年齢制限や授賞頻度など、ノーベル賞とは性格が大きく異なります。
2002年にはノーベル賞により近い性格のアーベル賞が創設されました。
こちらは年齢制限がなく毎年授与されるため、フィールズ賞とは補完的な関係にあるといえます。
フィールズ賞とノーベル賞の比較
| 項目 | フィールズ賞 | ノーベル賞 |
|---|---|---|
| 授与頻度 | 4年に1度 | 毎年 |
| 年齢制限 | 40歳未満 | なし |
| 受賞者数 | 2〜4名 | 各部門最大3名 |
| 副賞 | 約160万円 | 約1億5,000万円 |
| 数学部門 | あり(フィールズ賞そのもの) | なし |
メダルのデザイン
フィールズ賞のメダルは、カナダの彫刻家ロバート・テイト・マッケンジー(R. Tait McKenzie)によってデザインされました。
14カラットの金製で、直径63.5mm、重さ169gです。
表面にはギリシャの数学者アルキメデスの横顔が描かれ、ラテン語の銘文が刻まれています。
裏面には「世界中から集まった数学者たちが、傑出した業績に対してこれを授与する」という意味のラテン語が記されており、背景にはアルキメデスが最も誇りとした「球と内接円柱の定理」を表す図が描かれています。
フィールズ賞の歴史的なエピソード
受賞辞退:ペレルマンの決断
2006年、ロシアの数学者グリゴリー・ペレルマン(Grigori Perelman)は、数学の七大難問の一つであるポアンカレ予想を証明したことでフィールズ賞に選ばれましたが、受賞を辞退しました。
授賞式にも出席せず、2024年時点でフィールズ賞を辞退した唯一の人物です。
初の女性受賞者:ミルザハニ
2014年、イランの数学者マリアム・ミルザハニ(Maryam Mirzakhani)が女性として初めてフィールズ賞を受賞しました。
リーマン面の力学と幾何学に関する業績が評価されたものです。
残念ながら、ミルザハニは2017年に40歳の若さで亡くなりました。
2022年にはウクライナ出身のマリナ・ヴィヤゾフスカ(Maryna Viazovska)が女性として2人目の受賞者となっています。
アンドリュー・ワイルズの特別表彰
フェルマーの最終定理を証明したアンドリュー・ワイルズ(Andrew Wiles)は、証明完成時に42歳だったため年齢制限によりフィールズ賞の対象外でした。
しかし、その業績の重要性から、1998年のICMでIMU初の「特別銀盾」が贈られました。
冷戦の影響
冷戦時代には、ソ連の数学者が受賞しても出国を許可されず、授賞式に出席できないケースがありました。
1970年のセルゲイ・ノヴィコフ(Sergei Novikov)、1978年のグレゴリー・マルグリス(Grigory Margulis)がその例です。
最年少受賞者
1954年にフランスの数学者ジャン=ピエール・セール(Jean-Pierre Serre)が27歳で受賞しており、これは現在もフィールズ賞の最年少記録として残っています。
初の物理学者による受賞
1990年、アメリカの物理学者エドワード・ウィッテン(Edward Witten)が、物理学の博士号を持つ人物として初めてフィールズ賞を受賞しました。
数学的物理学における画期的な貢献が認められたもので、数学と物理学の深い結びつきを象徴する出来事でした。
日本人のフィールズ賞受賞者
日本からは3名の数学者がフィールズ賞を受賞しています。
国籍別の受賞者数では世界で5番目に多い数字です。
小平邦彦(こだいら くにひこ):1954年受賞
小平邦彦(1915年〜1997年)は、日本人として初のフィールズ賞受賞者です。
受賞時はアメリカのプリンストン大学に在籍していました。
調和積分論の研究と、ケーラー多様体をはじめとする代数多様体への応用が評価されました。
広中平祐(ひろなか へいすけ):1970年受賞
広中平祐(1931年〜)は、アメリカのハーバード大学に在籍中に受賞しました。
標数0の体上の代数多様体における「特異点解消の定理」の証明が受賞理由です。
広中の業績は代数幾何学に大きな影響を与えました。
森重文(もり しげふみ):1990年受賞
森重文(1951年〜)は、京都大学数理解析研究所に在籍中に受賞しました。
三次元代数多様体の分類理論(極小モデルプログラム)における画期的な成果が認められたものです。
なお、森重文は2015年から2022年まで国際数学連合(IMU)の総裁を務めました。
1990年の受賞以降、2024年現在まで日本人の受賞者は出ていません。
フィールズ賞の主要受賞者を紹介
以下では、歴代64名の受賞者の中から、特に重要な受賞者を年代順に紹介します。
1936年:第1回受賞者
第1回フィールズ賞は、フィンランドのラース・アールフォルス(Lars Ahlfors)とアメリカのジェシー・ダグラス(Jesse Douglas)の2名に贈られました。
アールフォルスはリーマン面に関する被覆面の理論、ダグラスは極小曲面に関するプラトー問題の解決が評価されました。
1950年:戦後初の授賞
第二次世界大戦による中断を経て、1950年にフランスのローラン・シュヴァルツ(Laurent Schwartz)とノルウェーのアトル・セルバーグ(Atle Selberg)が受賞しました。
シュヴァルツは超関数の理論を発展させ、解析学に革命をもたらした人物です。
セルバーグは解析的整数論における素数定理の初等的証明で知られています。
1966年:代数幾何学の革命
1966年大会では、アレクサンドル・グロタンディーク(Alexander Grothendieck)が受賞しています。
グロタンディークは代数幾何学を根本から再構築し、スキーム理論を確立した20世紀を代表する数学者の一人です。
ただし、ソ連軍の東欧への軍事行動に抗議してモスクワでの授賞式をボイコットしたことでも知られています。
同年にはアメリカのスティーヴン・スメイル(Stephen Smale)も受賞しており、5次元以上のポアンカレ予想の証明が評価されました。
1978年:幾何学と数論
1978年大会では、ダニエル・キレン(Daniel Quillen)が高次代数的K理論の構築で、グレゴリー・マルグリス(Grigory Margulis)がリー群の離散部分群の構造解析で受賞しました。
1982年〜1986年:幾何学とトポロジーの時代
1982年にはウィリアム・サーストン(William Thurston)が3次元多様体の幾何化に関する革命的研究で受賞しました。
同年、丘成桐(Shing-Tung Yau、シン=トゥン・ヤウ)もカラビ予想の証明などで受賞しています。
1986年にはサイモン・ドナルドソン(Simon Donaldson)が、ヤン=ミルズ理論を用いた4次元多様体の研究で受賞しました。
同年のゲルト・ファルティングス(Gerd Faltings)はモーデル予想の証明で知られています。
1990年:数学と物理の架け橋
前述のエドワード・ウィッテン(Edward Witten)とともに、日本の森重文が受賞した記念すべき年です。
ウィッテンは一般相対性理論における正エネルギー定理の証明をはじめ、数理物理学の幅広い分野で業績を上げました。
1994年:多彩な分野から
ジャン・ブルガン(Jean Bourgain)がバナッハ空間の幾何学や調和解析などの幅広い分野での貢献で、ジャン=クリストフ・ヨッコス(Jean-Christophe Yoccoz)が力学系の安定性に関する研究で受賞しました。
また、エフィム・ゼルマノフ(Efim Zelmanov)は「制限されたバーンサイド問題」の解決が評価されています。
1998年:多様な業績
リチャード・ボーチャーズ(Richard Borcherds)は頂点代数の導入とモンストラス・ムーンシャイン予想の証明で受賞しました。
ティモシー・ゴワーズ(Timothy Gowers)は関数解析と組合せ論への貢献が認められています。
マキシム・コンツェビッチ(Maxim Kontsevich)は幾何学における4つの問題への貢献で、カーティス・マクマレン(Curtis McMullen)は力学系と双曲幾何学の研究で受賞しました。
2006年:ペレルマンの辞退とタオの受賞
前述のペレルマンの辞退に加え、テレンス・タオ(Terence Tao、陶哲軒)が素数の算術級数に関する研究などで受賞した年です。
タオはオーストラリア出身の中国系数学者で、現代数学における最も多才な研究者の一人として広く知られています。
2014年:歴史的な年
ミルザハニが女性初の受賞を果たしただけでなく、アルトゥール・アヴィラ(Artur Avila)が南米初、マンジュル・バルガヴァ(Manjul Bhargava)がインド系初の受賞者となった年です。
マルティン・ハイラー(Martin Hairer)は確率偏微分方程式の正則構造理論の創設で受賞しました。
2018年:新世代の台頭
コーチェル・ビルカー(Caucher Birkar)はイラン出身のクルド人難民からケンブリッジ大学教授となった人物で、ファノ多様体の有界性の証明が評価されました。
なお、授賞直後にメダルが盗まれるという事件が話題になりました。
ペーター・ショルツェ(Peter Scholze)は当時30歳で、パーフェクトイド空間の導入による数論幾何学の変革が認められています。
アクシャイ・ヴェンカテシュ(Akshay Venkatesh)はインド出身でオーストラリア育ちの神童で、13歳で大学に入学した経歴を持ちます。
アレッシオ・フィガリ(Alessio Figalli)は最適輸送理論の研究で受賞しました。
2022年:最新の受賞者
2022年の受賞者は以下の4名です。
本来はロシアのサンクトペテルブルクで授賞式が行われる予定でしたが、ロシアのウクライナ侵攻を受けてフィンランドのヘルシンキに変更されました。
ユーゴ・デュミニル=コパン(Hugo Duminil-Copin)は統計物理学における相転移の確率論的問題の解決で受賞しています。
許埈珥(June Huh、ホ・ジュニ)は韓国系アメリカ人で、組合せ論にホッジ理論のアイデアを導入した業績が認められました。
高校を中退して詩を志していたという異色の経歴を持つ人物です。
ジェームズ・メイナード(James Maynard)は解析的整数論における素数の構造への貢献で受賞しました。
マリナ・ヴィヤゾフスカ(Maryna Viazovska)は8次元における球充填問題の解決で、女性として2人目の受賞者となりました。
フィールズ賞 歴代受賞者一覧
以下に、1936年から2022年までの全受賞者64名を一覧でまとめます。
| 受賞年 | 受賞者名 | 原語表記 | 国籍(受賞時) | 主な業績分野 |
|---|---|---|---|---|
| 1936 | ラース・アールフォルス | Lars Ahlfors | フィンランド | リーマン面・被覆面の理論 |
| 1936 | ジェシー・ダグラス | Jesse Douglas | アメリカ | プラトー問題(極小曲面) |
| 1950 | ローラン・シュヴァルツ | Laurent Schwartz | フランス | 超関数の理論 |
| 1950 | アトル・セルバーグ | Atle Selberg | ノルウェー | 解析的整数論・素数定理 |
| 1954 | 小平邦彦 | Kunihiko Kodaira | 日本 | 調和積分論・代数多様体 |
| 1954 | ジャン=ピエール・セール | Jean-Pierre Serre | フランス | ホモトピー群・代数幾何学 |
| 1958 | クラウス・ロス | Klaus Roth | イギリス | ディオファントス近似(テュエ=ジーゲル問題) |
| 1958 | ルネ・トム | René Thom | フランス | コボルディズム理論・カタストロフィー理論 |
| 1962 | ラース・ヘルマンダー | Lars Hörmander | スウェーデン | 偏微分方程式論 |
| 1962 | ジョン・ミルナー | John Milnor | アメリカ | 微分トポロジー(7次元エキゾチック球面) |
| 1966 | マイケル・アティヤ | Michael Atiyah | イギリス | K理論・指数定理 |
| 1966 | ポール・コーエン | Paul Cohen | アメリカ | 連続体仮説の独立性証明(強制法) |
| 1966 | アレクサンドル・グロタンディーク | Alexander Grothendieck | 無国籍(フランス在住) | 代数幾何学・スキーム理論 |
| 1966 | スティーヴン・スメイル | Stephen Smale | アメリカ | 高次元ポアンカレ予想・力学系 |
| 1970 | アラン・ベイカー | Alan Baker | イギリス | 超越数論 |
| 1970 | 広中平祐 | Heisuke Hironaka | 日本 | 代数多様体の特異点解消 |
| 1970 | セルゲイ・ノヴィコフ | Sergei Novikov | ソビエト連邦 | トポロジー(ポントリャーギン類の不変性) |
| 1970 | ジョン・G・トンプソン | John G. Thompson | アメリカ | 有限群論(奇数位数定理) |
| 1974 | エンリコ・ボンビエリ | Enrico Bombieri | イタリア | 素数分布・極小曲面・偏微分方程式 |
| 1974 | デヴィッド・マンフォード | David Mumford | イギリス | 代数幾何学(モジュライ空間) |
| 1978 | ピエール・ドリーニュ | Pierre Deligne | ベルギー | ヴェイユ予想の証明 |
| 1978 | チャールズ・フェファーマン | Charles Fefferman | アメリカ | 多変数複素解析 |
| 1978 | グレゴリー・マルグリス | Grigory Margulis | ソビエト連邦 | リー群の離散部分群 |
| 1978 | ダニエル・キレン | Daniel Quillen | アメリカ | 高次代数的K理論 |
| 1982 | アラン・コンヌ | Alain Connes | フランス | 作用素環論・非可換幾何学 |
| 1982 | ウィリアム・サーストン | William Thurston | アメリカ | 3次元多様体の幾何化 |
| 1982 | 丘成桐(シン=トゥン・ヤウ) | Shing-Tung Yau | アメリカ(中国系) | カラビ予想の証明・微分幾何学 |
| 1986 | サイモン・ドナルドソン | Simon Donaldson | イギリス | 4次元多様体のゲージ理論 |
| 1986 | ゲルト・ファルティングス | Gerd Faltings | ドイツ | モーデル予想の証明 |
| 1986 | マイケル・フリードマン | Michael Freedman | アメリカ | 4次元ポアンカレ予想の証明 |
| 1990 | ウラジーミル・ドリンフェルト | Vladimir Drinfeld | ソビエト連邦 | 量子群・ラングランズ予想 |
| 1990 | ヴォーン・ジョーンズ | Vaughan Jones | ニュージーランド | 結び目理論(ジョーンズ多項式) |
| 1990 | 森重文 | Shigefumi Mori | 日本 | 代数多様体の分類(極小モデル理論) |
| 1990 | エドワード・ウィッテン | Edward Witten | アメリカ | 数理物理学(正エネルギー定理ほか) |
| 1994 | ジャン・ブルガン | Jean Bourgain | ベルギー | バナッハ空間・調和解析・エルゴード理論 |
| 1994 | ピエール=ルイ・リオン | Pierre-Louis Lions | フランス | 非線形偏微分方程式 |
| 1994 | ジャン=クリストフ・ヨッコス | Jean-Christophe Yoccoz | フランス | 力学系の安定性 |
| 1994 | エフィム・ゼルマノフ | Efim Zelmanov | ロシア | 制限されたバーンサイド問題 |
| 1998 | リチャード・ボーチャーズ | Richard Borcherds | イギリス | 頂点代数・ムーンシャイン予想 |
| 1998 | ティモシー・ゴワーズ | Timothy Gowers | イギリス | 関数解析・組合せ論 |
| 1998 | マキシム・コンツェビッチ | Maxim Kontsevich | ロシア | 幾何学(変形量子化ほか) |
| 1998 | カーティス・マクマレン | Curtis McMullen | アメリカ | 複素力学系・双曲幾何学 |
| 2002 | ローラン・ラフォルグ | Laurent Lafforgue | フランス | ラングランズ予想(関数体上のGL(r)) |
| 2002 | ウラジーミル・ヴォエヴォドスキー | Vladimir Voevodsky | ロシア | モチヴィック・コホモロジー |
| 2006 | アンドレイ・オクンコフ | Andrei Okounkov | ロシア | 確率論・表現論・代数幾何学の架橋 |
| 2006 | グリゴリー・ペレルマン(受賞辞退) | Grigori Perelman | ロシア | ポアンカレ予想の証明 |
| 2006 | テレンス・タオ | Terence Tao | オーストラリア | 素数の算術級数・偏微分方程式・調和解析 |
| 2006 | ウェンデリン・ウェルナー | Wendelin Werner | フランス | 確率的レヴナー発展・2次元ブラウン運動 |
| 2010 | エロン・リンデンシュトラウス | Elon Lindenstrauss | イスラエル | エルゴード理論(測度の剛性) |
| 2010 | ゴ・バオ・チャウ | Ngô Bảo Châu | フランス/ベトナム | 基本補題の証明 |
| 2010 | スタニスラフ・スミルノフ | Stanislav Smirnov | ロシア | パーコレーション・イジングモデルの共形不変性 |
| 2010 | セドリック・ヴィラニ | Cédric Villani | フランス | ボルツマン方程式・最適輸送 |
| 2014 | アルトゥール・アヴィラ | Artur Avila | ブラジル/フランス | 力学系・スペクトル理論 |
| 2014 | マンジュル・バルガヴァ | Manjul Bhargava | カナダ/アメリカ | 数の幾何学・楕円曲線 |
| 2014 | マルティン・ハイラー | Martin Hairer | オーストリア | 確率偏微分方程式の正則構造理論 |
| 2014 | マリアム・ミルザハニ | Maryam Mirzakhani | イラン | リーマン面の力学と幾何学 |
| 2018 | コーチェル・ビルカー | Caucher Birkar | イギリス/イラン | ファノ多様体の有界性 |
| 2018 | アレッシオ・フィガリ | Alessio Figalli | イタリア | 最適輸送理論・偏微分方程式 |
| 2018 | ペーター・ショルツェ | Peter Scholze | ドイツ | パーフェクトイド空間・数論幾何学 |
| 2018 | アクシャイ・ヴェンカテシュ | Akshay Venkatesh | オーストラリア(インド系) | 解析的整数論・表現論 |
| 2022 | ユーゴ・デュミニル=コパン | Hugo Duminil-Copin | フランス | 統計物理学の相転移の確率論 |
| 2022 | 許埈珥(ホ・ジュニ) | June Huh | アメリカ(韓国系) | 組合せ論・ホッジ理論 |
| 2022 | ジェームズ・メイナード | James Maynard | イギリス | 解析的整数論・素数分布 |
| 2022 | マリナ・ヴィヤゾフスカ | Maryna Viazovska | ウクライナ | 8次元の球充填問題 |
※1998年にはアンドリュー・ワイルズ(Andrew Wiles)にIMU特別銀盾が授与されています(フェルマーの最終定理の証明)。
国別の受賞者数
フィールズ賞受賞者の国籍別分布は、数学研究の地理的な広がりを反映しています。
| 順位 | 国 | 受賞者数 |
|---|---|---|
| 1位 | アメリカ | 15名 |
| 2位 | フランス | 14名 |
| 3位 | イギリス | 8名 |
| 3位 | ロシア/ソ連 | 8名 |
| 5位 | 日本 | 3名 |
※二重国籍の場合は複数の国にカウントされる場合があります。
初期の受賞者は西ヨーロッパとアメリカの数学者が中心でしたが、近年は受賞者の出身国が多様化しています。
ベトナム、イラン、ブラジル、イスラエル、ウクライナなどからも受賞者が誕生しており、数学が真にグローバルな学問であることを示しています。
2026年:次のフィールズ賞
次回のフィールズ賞は、2026年7月23日〜30日にアメリカ・フィラデルフィアで開催されるICMで授与される予定です。
国際数学連合(IMU)によれば、アメリカでICMが開催されるのは1950年以来76年ぶりとなります。
2026年は「Year of Math 2026(数学の年2026)」として、ICMを中心に数学の普及・啓発イベントが計画されています。
まとめ
フィールズ賞は1936年の創設以来、数学の最前線を切り拓く若き天才たちを顕彰してきました。
- 1936年から2022年までに64名が受賞(うち受賞辞退1名)
- 日本からは小平邦彦、広中平祐、森重文の3名が受賞
- 女性受賞者はミルザハニ(2014年)とヴィヤゾフスカ(2022年)の2名
- 2026年にフィラデルフィアで次回の授賞が予定されている
40歳未満という制約があるからこそ、フィールズ賞は「数学の未来」を映す鏡としての役割を果たし続けています。
参考情報
この記事で参照した情報源
公式情報
- International Mathematical Union (IMU) – Fields Medal – フィールズ賞の公式ページ。受賞者一覧、選考基準、歴史などの公式情報
- ICM 2026 – 2026年国際数学者会議の公式情報
百科事典・学術資料
- Britannica “Fields Medal” – フィールズ賞の歴史と受賞者に関する包括的な解説
- Wikipedia「フィールズ賞」(日本語版) – 受賞者一覧と受賞理由の日本語情報
- Wikipedia “Fields Medal”(英語版) – 受賞者の詳細な業績説明と出典リスト
- MacTutor History of Mathematics – Fields Medal – セント・アンドリューズ大学による数学史の観点からの解説
大学・研究機関
- 京都大学 – フィールズ賞 – 日本人受賞者に関する情報


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