インターネットで動画を見たり、メールを送ったり、SNSを使ったりするとき、裏側では「パケット」という仕組みが働いています。
「パケット通信料」「パケ代」といった言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。
しかし、パケットが実際にどういうものか、どのように通信が行われているのかを理解している方は意外と少ないかもしれません。
この記事では、パケットの基本的な意味から、通信の仕組み、携帯電話での「パケット」と「ギガ」の関係まで、わかりやすく解説します。
パケットとは – データ通信の基本単位
パケット(Packet)とは、英語で「小包」を意味する言葉です。
ネットワーク通信では、データを小さな単位に分割して送受信する仕組みがあり、この分割された一つ一つのデータのまとまりを「パケット」と呼びます。
例えば、メールを送信する場合を考えてみましょう。
メール全体を一度に送るのではなく、細かく分割して複数のパケットとして送信します。
受信側では、これらのパケットを順番に並べ直して、元のメールを復元するという仕組みです。
このようにデータを分割して送受信する通信方式を「パケット通信」または「パケット交換方式」と呼びます。
パケット通信の仕組み
パケット通信は、以下のような流れで行われます。
送信側でデータを小さなパケットに分割します。
この際、各パケットには送信元や宛先の情報、データの順序などが記録されます。
分割されたパケットは、それぞれ独立してネットワークを通って送信されます。
各パケットは必ずしも同じ経路を通るわけではなく、その時点で最も効率的な経路を選んで送られます。
受信側では、到着したパケットを順序通りに並べ直し、元のデータを復元します。
もしパケットの一部が欠けていたり、エラーが発生していたりした場合は、そのパケットだけを再送信してもらいます。
この仕組みにより、複数のユーザーが同時に同じ回線を使ってデータを送受信できるようになっています。
パケットの構造
パケットは主に3つの部分から構成されています。
ヘッダ(Header)
ヘッダは、パケットの先頭に付加される制御情報です。
封筒に例えると、宛先や差出人の住所を書いた部分に相当します。
ヘッダには以下のような情報が含まれます。
送信元IPアドレス(どこから送られたか)
宛先IPアドレス(どこへ送るか)
プロトコル情報(どの通信規約を使うか)
シーケンス番号(データの順序)
パケット長(パケットのサイズ)
ルーターやスイッチなどのネットワーク機器は、このヘッダ情報を読み取って、パケットを適切な経路に転送します。
ペイロード(Payload)
ペイロードは、パケットの本体部分で、実際に送りたいデータそのものです。
封筒の例でいうと、封筒の中に入っている手紙の内容に相当します。
ペイロードのサイズは、ネットワークの種類やプロトコルによって異なりますが、一般的には可変長です。
Ethernetの場合、最大1,500バイト程度が一般的です。
トレーラ(Trailer)
トレーラは、パケットの末尾に付加される情報で、主にエラー検出のために使われます。
ただし、すべてのプロトコルがトレーラを使うわけではありません。
例えば、Ethernetフレームにはトレーラがありますが、IPパケットにはトレーラがありません。
トレーラには、CRC(巡回冗長検査)などのエラーチェック情報が含まれます。
受信側では、この情報を使ってパケットが正しく届いたかを確認します。
パケット通信のメリット
パケット通信には、以下のようなメリットがあります。
回線の効率的な利用
複数のユーザーが同じ回線を共有して利用できます。
従来の音声通話(回線交換方式)では、通話中は回線を占有してしまい、他のユーザーは使えませんでした。
パケット通信では、細切れのデータを送るため、空いている時間に他のユーザーのデータも流せます。
障害に強い
ネットワークの一部に障害が発生しても、別の経路を使ってパケットを送ることができます。
各パケットは独立して送られるため、一部の経路がダウンしても、他の経路を使って通信を継続できます。
柔軟性が高い
送信速度が異なる機器同士でも通信が可能です。
パケットは一時的に蓄積されるため、送信側と受信側の速度が違っていても問題ありません。
エラー訂正が容易
通信中にエラーが発生した場合、問題のあるパケットだけを再送信すればよいため、効率的です。
全データを最初から送り直す必要がありません。
パケット通信のデメリット
一方で、パケット通信には以下のようなデメリットもあります。
混雑時の通信品質低下
回線を占有できないため、ネットワークが混雑している時は通信速度が低下したり、パケットが失われたりする可能性があります。
特に動画のストリーミングなど、大量のデータを送受信する場合に影響が出やすくなります。
通信量の増加
各パケットにヘッダ情報を付加する必要があるため、実際のデータ量よりも通信量が増えます。
また、エラーが発生した場合の再送信によっても通信量が増加します。
セキュリティリスク
暗号化やファイアウォールなどの対策をしていないと、パケットが傍受されたり、改ざんされたりするリスクがあります。
パケットは複数の経路を通るため、途中で悪意のある第三者に読み取られる可能性があります。
携帯電話での「パケット」
携帯電話やスマートフォンの世界でも、「パケット」という言葉がよく使われます。
ただし、ここでの「パケット」は、データ通信量の単位としての意味で使われています。
1パケットの大きさ
携帯電話では、1パケット = 128バイトと定義されています。
日本語のメールで例えると、全角文字で約64文字分に相当します。
ただし、実際のメール送信では、ヘッダ情報なども通信量に含まれるため、64文字のメール1通が必ずしも1パケットというわけではありません。
パケット通信料の仕組み
パケット通信料は、接続時間ではなく、送受信したデータの量(パケット数)に応じて課金される仕組みです。
例えば、Webページを表示する場合、以下のようにパケット料金が発生します。
リンクをクリックしてページを表示 → データを受信するためパケットが発生
ページを開いたまま放置 → 新たなデータを受信しないため、パケットは発生しない
つまり、データを送受信した分だけ料金がかかるという仕組みです。
フィーチャーフォン(ガラケー)が主流だった時代には、1パケットあたり約0.1〜0.2円程度の料金設定が一般的でした。
動画を30分視聴すると、数万円のパケット料金になることもあったため、パケット定額制のプランが登場しました。
パケットから「ギガ」へ – データ通信量の単位の変化
スマートフォンが普及した現在では、「パケット」という単位よりも「MB(メガバイト)」や「GB(ギガバイト)」という単位が主流になっています。
単位の換算
パケットとバイトの関係は以下の通りです。
1パケット = 128バイト
1キロバイト(KB) = 8パケット(1,024バイト ÷ 128バイト)
1メガバイト(MB) = 8,192パケット
1ギガバイト(GB) = 8,388,608パケット
携帯電話会社の料金プランでは、現在「月間3GB」「月間20GB」といった表現が使われています。
これは、1ヶ月に使えるデータ通信量の上限をギガバイト単位で示したものです。
なぜ「ギガ」が主流になったのか
スマートフォンの普及により、動画視聴やアプリのダウンロードなど、大容量のデータ通信が日常的になりました。
そのため、パケット単位で表現すると数が大きくなりすぎて分かりにくくなったため、より大きな単位である「ギガ」が使われるようになったのです。
また、従量課金制から定額制への移行も大きな要因です。
現在の主流は「月間○GBまで定額」という料金プランであり、パケット単位で細かく計算する必要がなくなりました。
まとめ
パケットは、ネットワーク通信において、データを分割した小さな単位のことです。
データを小包のように細かく分けて送受信することで、複数のユーザーが効率的に回線を共有できるようになっています。
パケットには、送信元や宛先の情報を含むヘッダ、実際のデータであるペイロード、エラーチェック用のトレーラ(プロトコルによる)という3つの部分があります。
この仕組みにより、インターネット上で世界中の何億もの機器が同時に通信できるようになっています。
携帯電話では、1パケット = 128バイトという単位でデータ通信量が測られていましたが、現在では「GB(ギガバイト)」という単位が主流です。
スマートフォンで動画を見たり、アプリをダウンロードしたりするとき、裏側ではこのパケット通信の仕組みが動いています。
普段何気なく使っているインターネットも、パケット通信という技術に支えられているのです。
参考情報
本記事は以下の信頼できる情報源を参照して作成しました。
- NTT docomo Business Watch – パケットとは
- KDDI – パケットとは?意味・用語説明
- TechTarget – What are Network Packets and How Do They Work?
- Wikipedia – Network packet
- Cloudflare – What is a packet?
この記事は2025年2月7日時点の情報に基づいています。

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