Microsoft Teams Essentials(マイクロソフト チームズ エッセンシャルズ)は、中小企業向けに設計された、Teamsのスタンドアロン有料プランです。
月額430円(税抜)という手頃な価格で、最長30時間のオンライン会議、最大300人参加可能、10GBのクラウドストレージなど、ビジネスに必要な機能を提供します。
本記事では、Teams Essentialsの使い方から、無料版やBusiness Basicとの違い、セットアップ方法まで詳しく解説します。
Microsoft Teams Essentialsとは

基本概念
正式名称:
Microsoft Teams Essentials (AAD Identity)
定義:
Teams Essentialsは、Teamsのスタンドアロンプラン(単独プラン)で、主に中小規模の事業者向けのTeamsのエディションです。
わかりやすい説明:
Microsoft 365のSMB(中小企業)向けグループウェアパッケージプランである「Microsoft 365 Business Basic」から、Word、ExcelなどのOfficeアプリケーションと、Exchange Onlineなどのグループウェア機能を除いた、Teamsだけのプランです。
対象ユーザー
Teams Essentialsは以下のユーザー向けに設計されています。
- フリーランス
- SOHO(Small Office/Home Office)
- 個人事業主
- 1名から300名までの中小企業・中小規模の組織
実際の想定規模:
実装されている機能面を考えると、実際には1名から数名、大きくても数十名程度の組織規模が想定されています。
具体的な業種:
- 小売店
- 飲食店の店舗
- 専門サービス業
- レストラン
- 非営利団体
- 学校
- コミュニティーグループ
登場の背景
Teams Essentialsは2021年末に発表されました。
登場の理由:
- Microsoft Teams 無料版(クラシック)の提供が2023年4月12日で停止
- 「メールやOfficeアプリはいらないから、Teamsだけしっかり使いたい」というニーズに対応
- 無料版とMicrosoft 365版Teamsの間を埋める存在として位置付け
料金プラン
Teams Essentialsの料金
標準想定価格:
- 年契約・月払い: 430円/ユーザー(税抜)
- 年契約・年払い: 5,160円/ユーザー(税抜)
他プランとの料金比較
Teams 無料版:
- 料金: 0円
- 会議時間: 最長60分
- 参加者数: 最大100人
- ストレージ: 共有5GB
Teams Essentials:
- 料金: 430円/ユーザー/月(税抜)
- 会議時間: 最長30時間
- 参加者数: 最大300人
- ストレージ: 1ユーザーあたり10GB
Microsoft 365 Business Basic:
- 料金: 650円/ユーザー/月(税抜)
- 会議時間: 最長30時間
- 参加者数: 最大300人
- ストレージ: 1ユーザーあたり1TB
主な機能
1. オンライン会議機能
会議時間:
最長30時間の無制限グループ会議が可能です。
無料版の60分制限から大幅に拡張されています。
参加者数:
1つの会議に対して最大300人まで参加可能です。
無料版の100人から3倍に増加しています。
会議機能:
- HD画質のビデオ会議
- 画面共有
- 背景のカスタマイズ
- Together モード
- 外部ユーザーのゲスト参加
2. チャット機能
インスタントメッセージング:
チーム内外でリアルタイムにメッセージのやり取りができます。
ファイル共有:
チャット内でファイルを共有し、共同編集が可能です。
3. クラウドストレージ
OneDrive for Business:
1ユーザーあたり10GBのクラウドストレージが付与されます。
無料版との違い:
無料版は共有ストレージとして5GBまでですが、Teams Essentialsでは1ユーザーあたり10GBになります。
ビジネスメリット:
チャネルでファイルを共有し、共同編集後に客先へ提出するようなワークフローを持つ中小企業であれば、業務効率が改善する可能性が高くなります。
4. ファイル共同編集
リアルタイム共同編集:
Excel、Word、PowerPointなどMicrosoft アプリで作成したファイルであれば、専用アプリを起動せずに、Teams上でリアルタイムに共同編集できます。
5. サポート体制
24時間年中無休サポート:
問題発生時に24時間年中無休のサポートが受けられます。
Teams Essentialsでできないこと
1. オンライン会議の録画と文字起こし
Teams Essentials(無印版)では、オンライン会議のレコーディングと文字起こし機能は使用できません。
注意:
Teams Essentials (AAD ID)版では、これらの機能が利用可能です。
2. ブレークアウトルーム
小会議室として利用するブレークアウトルームは使用不可能です。
注意:
Teams Essentials (AAD ID)版では、この機能が利用可能です。
3. チーム機能
Teamsにおけるユーザーのグループ単位である「チーム」機能は、Teams Essentials(無印版)では利用できません。
注意:
Teams Essentials (AAD ID)版では、チーム機能がサポートされます。
4. Microsoft 365 Appsのデスクトップアプリ
単独アプリのため、Word、Excel、PowerPointなどのMicrosoft 365 Appsのデスクトップアプリは使用できません。
5. Exchange Online(メール機能)
Outlookとの連携、Exchange Onlineのメール機能は含まれていません。
6. SharePoint
部署ごとのポータルサイトや高度なファイル管理ができる「SharePoint」はフル機能では使えません。
ファイル管理はあくまで「チャットの延長」レベルに留まります。
7. 高度な管理機能
セキュリティや管理機能も、Business Basicと比べると十分とは言えません。
Teams Essentials (AAD ID)との違い
2つのバージョンが存在
Teams Essentialsには、購入経路によって2つのバージョンが存在します。
無印 Teams Essentials:
- 購入先: Microsoftの直接Webサイトから購入
- サインイン: 各ユーザーが個別に保有する「Microsoftアカウン ID」を使用
Teams Essentials (AAD ID):
- 購入先: Microsoftの認定パートナー企業から購入
- サインイン: Azure Active Directory (AAD)を通じてユーザーを管理
- 正式名称: Microsoft Teams Essentials (AAD Identity)
主な機能の違い
| 機能 | Teams Essentials (無印) | Teams Essentials (AAD ID) |
|---|---|---|
| 会議の録画 | ❌ | ✅ |
| 文字起こし | ❌ | ✅ |
| ブレークアウトルーム | ❌ | ✅ |
| チーム機能 | ❌ | ✅ |
| 既存メールアドレスでサインイン | ❌ | ✅ |
| Azure AD管理機能 | ❌ | ✅ |
AAD ID版の利点
既存メールアドレスの利用:
既にMicrosoft 365のメール機能を利用している企業ユーザーは、既存のメールアドレスを使ってサインインできます。
Azure AD管理:
Azure ADを通じたさまざまな管理機能が利用できます。
企業向け機能:
法人用(組織用)アカウントとして管理できるため、社員のアカウント管理やセキュリティ設定を会社側でコントロールできます。
Business Basicとの違い

料金の違い
- Teams Essentials: 430円/ユーザー/月(税抜)
- Business Basic: 650円/ユーザー/月(税抜)
価格差は約220円/ユーザー/月です。
機能の違い
| 機能 | Teams Essentials | Business Basic |
|---|---|---|
| 会議時間 | 最長30時間 | 最長30時間 |
| 参加者数 | 最大300人 | 最大300人 |
| ストレージ | 10GB/ユーザー | 1TB/ユーザー |
| 会議の録画 | ❌ | ✅ |
| 文字起こし | ❌ | ✅ |
| Exchange Online(メール) | ❌ | ✅ |
| SharePoint | ❌ | ✅ |
| Outlookカレンダー | ❌ | ✅ |
| Office Web版 | ❌ | ✅ |
| Microsoft 365管理機能 | ❌ | ✅ |
どちらを選ぶべきか
Teams Essentialsが向いている企業:
- Google Workspaceなどを既に導入しており、メールやファイル管理はそちらで行っている
- Teamsは「Web会議」と「テキストチャット」のためだけに使いたい
- とにかくランニングコストを最安に抑えたい
Business Basicが向いている企業:
- 会社のメールや予定表、ファイル管理をMicrosoft 365に一本化したい
- 10GBの容量制限を気にせず、会議の録画や資料共有を多用したい
- 将来的に、他のMicrosoft 365アプリ(Planner、Formsなど)も活用したい
セットアップ方法
購入手順
ステップ1: サブスクリプションの購入
- Microsoft Teamsビジネスプランページに移動
- 「Microsoft Teams Essentials」で「今すぐ購入」を選択
ステップ2: メールアドレスでサインアップ
- 既存のメール アドレスを使用
- 指示に従ってユーザー ライセンスを購入
初期設定
ステップ1: アカウント作成
- サインアップページで、招待メールで使用されているのと同じメールを使用
- パスワードを作成
- 「アカウントの作成」を選択
ステップ2: 契約条件への同意
- 契約条件ページで「同意する」を選択
- アクセス許可の確認ページで「同意する」を選択
ステップ3: アプリのダウンロード
「Microsoft Teams Essentialsへようこそ」ページで以下を実行できます。
- Teams デスクトップアプリのダウンロード
- Teams モバイルアプリのダウンロード
- OneDriveの設定
ユーザーの追加方法
管理画面からの招待:
- Microsoft 365 管理センターにアクセス
- 管理画面で「ユーザーをMicrosoft Teams Essentialsに招待する」を選択
- 追加するユーザーの名前とメールアドレスを入力
- 「招待の送信」を選択
管理者として招待する場合:
「詳細なロール管理」ドロップダウンを選択して、管理者として他のユーザーを招待できます。
招待の受け取り:
招待されたユーザーは、参加方法に関する手順が記載された招待メールを受け取ります。
基本的な使い方
1. オンライン会議の開催
会議の開始:
- Teams アプリを起動
- 「会議」タブを選択
- 「今すぐ会議」をクリック
- 会議リンクを参加者に共有
会議のスケジュール:
- 「会議」タブを選択
- 「会議をスケジュールする」をクリック
- 日時、参加者を設定
- 招待を送信
2. チャットの利用
1対1のチャット:
- 「チャット」タブを選択
- 「新しいチャット」をクリック
- 相手の名前を入力
- メッセージを送信
グループチャット:
- 「チャット」タブを選択
- 「新しいチャット」をクリック
- 複数の参加者を追加
- グループ名を設定(任意)
- メッセージを送信
3. ファイル共有
ファイルのアップロード:
- チャット画面で「ファイル」アイコンをクリック
- ファイルを選択してアップロード
共同編集:
- 共有されたファイルをクリック
- Teams内で直接編集開始
- 他のメンバーとリアルタイムで共同編集
4. OneDriveの活用
ファイルの保存:
Teams内で共有したファイルは、自動的にOneDrive for Businessに保存されます。
容量管理:
1ユーザーあたり10GBの制限があるため、定期的に不要なファイルを削除するか、外部ストレージに移動することをおすすめします。
録画データの保存(AAD ID版のみ):
会議の録画データはユーザーごとのOneDrive領域(10GBの枠内)に保存されます。
録画データは容量を食うため、こまめな削除や移動が必要になる場合があります。
管理方法
Microsoft 365 管理センター
Teams Essentialsは、Microsoft 365 管理センターから管理できます。
主な管理機能:
- 連絡先の追加または削除
- ユーザーライセンスの確認
- アカウント情報の編集
- ユーザーロールの割り当て
ユーザー管理の注意点
ドメインの統一:
すべてのユーザーは同じドメインに属している必要があります。
すべてのユーザーは、ユーザー名の形式(@domain.com)でサインインメールを受け取ります。
プライバシーとセキュリティ
管理者のアクセス権限:
技術管理者がアクセスできる情報は限定されています。
管理者がアクセスできるもの:
- 名前
- プロフィール画像
- メールアドレス
- サインインの詳細
- サインインアクティビティ
管理者がアクセスできないもの:
- ドキュメントの内容
- チャットの内容
Gmail、Outlook、Yahoo、またはその他のメールアカウントを使用してMicrosoft 365クラウド(OneDrive、Teams)に保存したドキュメントやチャットは、所有者のものであり、管理者はアクセスできません。
導入のメリット
1. 低コスト
月額430円という手頃な価格で、ビジネスに必要な会議とチャット機能が利用できます。
2. 手軽な導入
Microsoft 365の契約が不要で、Teamsだけをスタンドアロンで導入できます。
3. 無料版からのアップグレード
無料版の60分制限、100人制限から解放され、ビジネス利用に十分な機能を提供します。
4. 併用に最適
Google Workspaceなど他のグループウェアとの併用に最適です。
「メールはGmail、会議はTeams」といった使い分けができます。
5. 拡張性
ビジネスの成長に合わせて、Business BasicやBusiness Standardにアップグレードできます。
導入のデメリット
1. ストレージ容量の制限
1ユーザーあたり10GBは、大量のファイルや録画データを扱う企業には不足する可能性があります。
2. メール機能なし
Outlookメール、Exchange Onlineは含まれていないため、別途メールソリューションが必要です。
3. 高度な機能の制限
SharePoint、Planner、Forms、高度な管理機能は利用できません。
4. 録画機能の制限(無印版)
無印のTeams Essentialsでは、会議の録画や文字起こしができません。
これらが必要な場合は、AAD ID版またはBusiness Basicを検討する必要があります。
よくある質問(FAQ)
Q1: Teams Essentialsは個人でも使えますか?
はい、個人事業主やフリーランスでも利用できます。
ただし、個人用(家庭用)アカウントとは異なり、法人用(組織用)アカウントとして管理できます。
Q2: 無料版からTeams Essentialsにアップグレードできますか?
はい、可能です。
ただし、Microsoft Teams無料版(クラシック)の提供は2023年4月12日で停止されています。
Q3: 既存のメールアドレスを使ってサインインできますか?
Teams Essentialsを構成して既存のメールアドレスに接続できます。
ただし、AAD ID版のほうがより柔軟に既存のメールアドレスを利用できます。
Q4: デスクトップアプリとモバイルアプリの両方が使えますか?
はい、デスクトップ用アプリとモバイル用アプリの両方が提供されています。
社内PCだけでなく、スマートフォンにも導入可能です。
Q5: 招待メールが届きません。どうすればいいですか?
以下を確認してください。
- 招待を適切なメールアドレスに送信したか確認
- スパムフォルダーをチェック
- メールが存在しない場合は、もう一度送信
Q6: プラン変更は可能ですか?
はい、月ごとにプラン変更が可能なサブスクリプションです。
使用目的やメンバーの人数を考慮して、プランを検討できます。
まとめ
Microsoft Teams Essentialsは、中小企業、フリーランス、個人事業主向けの手頃な価格のTeamsプランです。
Teams Essentialsの強み
- 低価格: 月額430円で本格的なビジネスコミュニケーションツールを導入
- 無料版の制限解除: 会議時間30時間、参加者300人まで拡大
- スタンドアロン: Microsoft 365の契約が不要
- 併用に最適: Google Workspaceなど他のツールとの併用が可能
- 24時間サポート: 年中無休のサポート体制
Teams Essentialsが向いている企業
- メール機能は別のサービス(Gmail、Outlookなど)で既に満たされている
- Teamsは会議とチャットのためだけに使いたい
- ランニングコストを最小限に抑えたい
- 1-30名程度の小規模組織
- Google Workspace併用ユーザー
注意点
- 容量制限: 10GB/ユーザーは大量のファイル共有には不足する可能性
- 機能制限: 録画、文字起こし、SharePointは使えない(無印版)
- 管理機能: Business Basicと比べると管理機能が限定的
AAD ID版との違いに注意
購入経路によって機能が異なります。
録画、文字起こし、ブレークアウトルーム、チーム機能が必要な場合は、AAD ID版またはBusiness Basicを検討しましょう。
最適なプランの選び方
「今、メールやファイルはどこにあるか?」を基準に選択:
- すでに他のサービスを使用中: Teams Essentials
- Microsoft 365で一本化したい: Business Basic
- より高度な機能が必要: Business Standard
Teams Essentialsは、「Google Workspace環境だけどTeams会議が必要」といった併用ユーザーにとっては最強のコスト削減プランです。
一方で、これからMicrosoft 365で社内基盤を整えたい企業にとっては、機能不足になる可能性が高いでしょう。
自社のニーズと既存の環境を考慮して、最適なプランを選択してください。

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