Quest Link(クエスト リンク、旧称: Oculus Link、現名称: Meta Horizon Link)は、Meta Quest(メタ クエスト)シリーズのVRヘッドセットをWindowsパソコンに接続して、PC向けVRコンテンツを楽しむための機能です。
Meta Questは単体でも動作するスタンドアロン型VRヘッドセットですが、Quest Linkを使用することで、SteamVRやMeta PC向けストアのゲームなど、より高性能なVRコンテンツを体験できるようになります。
本記事では、Quest Linkの基本から、セットアップ方法、メリット・デメリット、Air Linkとの違いまで詳しく解説します。
Quest Linkとは
Quest Link(現在は「Meta Horizon Link」に名称変更)は、スタンドアロン(PCなしで単独動作する)のVRヘッドセットであるMeta QuestをPCと接続して、Steam VRのヘッドセットとして使う機能です。
基本概念
スタンドアロンVRヘッドセット:
Meta Quest 2、Meta Quest 3、Meta Quest 3Sは、基本的にはPCに接続しなくても、そのまま単独で使用できるスタンドアロン型VRヘッドセットです。
Quest Linkの役割:
あえてPCに接続することで、より本格的なVRコンテンツを体験できるシステムがQuest Linkです。
名称の変更:
- 旧称: Oculus Link
- 中間名称: Quest Link
- 現名称: Meta Horizon Link(2025年10月〜)
Meta Horizon OSへの移行を反映した名称変更ですが、従来の機能はすべて維持されています。
2つの接続方式
Quest Linkには、有線と無線の2つの接続方式があります。
有線接続(Quest Link):
USB-Cケーブルを使ってMeta QuestをPCに物理的に接続します。
無線接続(Air Link):
Wi-Fiを使ってMeta QuestをPCにワイヤレスで接続します。
Quest Linkでできること
1. PC向けVRゲームのプレイ
SteamVRへのアクセス:
PC側にSteamVRをインストールすれば、Meta Questストアに配信されていないタイトルも遊ぶことができます。
高画質なグラフィック:
同じタイトルでも、PC版はより高クオリティなグラフィックで楽しめます。
専用タイトルの体験:
- VRChat(PCVRモード)
- Half-Life: Alyx
- Stormland
- Asgard’s Wrath(初代)
など、PC向けにしか配信されていないタイトルや、PC版のほうがコンテンツが充実しているタイトルを体験できます。
2. リモートデスクトップ機能
PC画面のVR表示:
PCのデスクトップ画面をVR空間上に映し出せるので、VRヘッドセットを被ったままPCのキーボードで作業が可能です。
複数モニタの同時表示:
パソコンにモニタを複数接続している場合、それらすべてを同時にVR空間に表示できます。
注意点:
PCVRではなくPC操作だけ利用したいなら、Meta Questの「リモートデスクトップ」アプリから始めたほうが手早く体験できます。
3. PC内のメディア鑑賞
大画面での視聴:
パソコン内の写真や動画をMeta Questで、しかも大画面で鑑賞できます。
Netflixなどの映画・ドラマ:
PCで再生した映画やドラマをフルハイ大画面で鑑賞できます。
4. 開発・デバッグ環境
ゲーム開発:
Unity、Unreal Engineで開発したVRアプリの実機テスト、デバッグができます。
Quest Linkのメリット
1. 安定した通信環境
有線接続の安定性:
パソコンと直接つながるため、安定したデータ転送が可能です。
ネットワークの混雑や電波状況に左右されにくくなります。
高速転送:
有線ケーブルは約700Mbps以上の高速転送が可能なので、映像の乱れやカクつきが起きにくい点も好評です。
2. 低遅延
映像の遅延が少ない:
映像の遅延(ラグ)が抑えられやすく、特にアクション性やスピード感の高いVRゲームを快適に楽しめます。
3. バッテリー切れの心配が少ない
ケーブル経由で給電:
長時間プレイでもバッテリー切れの心配が少なくなります。
ケーブル経由で給電されるため、バッテリー残量を気にせず遊べます。
4. 高画質・高フレームレート
安定した高画質:
フレームドロップやパケットロスなどがほぼなく、映像や操作が途切れにくくなります。
5. 無料で利用可能
追加費用不要:
Quest Linkは無料で利用できます。
必要なのは、Meta Quest本体、WindowsPC、USB-Cケーブルの3つだけです。
6. Questストアにないタイトルへのアクセス
PCVRの広大なライブラリ:
SteamVRやMeta PC向けストアのゲームなど、Meta Questストアには配信されていない多数のタイトルにアクセスできます。
Quest Linkのデメリット
1. ケーブルの取り回し
移動の制限:
ケーブルが身体にまとわりつくため、完全な無線VRのような”自由な動き”は難しくなります。
邪魔になる場合がある:
ケーブルの長さや取り回しによっては、思い切り動きたいときに邪魔になる場合があります。
2. PC要件
高性能PCが必要:
Meta Questと対応ケーブルさえあればどんなPCでもQuest Linkができるわけではありません。
対応グラフィックボード(グラボ)は必須です。
3. セットアップの手間
初期設定が必要:
PCにMeta Horizon Linkアプリをインストールし、ヘッドセットとペアリングする必要があります。
4. キーボードが見えない
操作の制約:
ヘッドセットをかぶっているため、キーボードが見えません。
打つときはいちいちヘッドセットを外す必要があります。
Air Link(無線接続)とは
Air Link(エアリンク)は、セキュアなWi-Fiネットワークを使用してMeta QuestをPCに無線接続できる機能です。
Air Linkのメリット
ケーブルレスの自由:
ケーブルの煩わしさから解放され、PC向けのVRコンテンツを自由に楽しむことができます。
動きやすい:
完全なワイヤレスなので、部屋の中を自由に動き回れます。
Air Linkのデメリット
Wi-Fi環境に依存:
Wi-Fiの電波状況や距離によって、まれに映像が乱れたり、瞬間的に遅延が大きくなったりすることがあります。
遅延:
ネット環境やルーターの性能次第では、遅延も40ms前後まで縮まるケースがありますが、有線よりは遅延が大きくなります。
不安定になりやすい:
特にマンションや戸建てで複数のWi-Fi機器が動作している環境だと、接続が不安定になることも少なくありません。
Air Linkが向かない環境
以下の条件に当てはまる場合は、無線でのPC VRは厳しいと考えられます。
- VRをプレイする部屋からWi-Fiルータまでの距離が遠い
- 使っているWi-Fiルータが5GHz帯に対応していない
これらの条件が当てはまった場合は、Quest Linkの有線を使うようにしましょう。
推奨Wi-Fi環境
5GHz Wi-Fi推奨:
Air Linkを使用するためには、できれば5GHz帯のWi-Fiネットワークが推奨されます。
Wi-Fi 6ルーター:
Wi-Fi 6(802.11ax)対応のルーターを導入すると、より安定した接続が期待できます。
Quest Link vs Air Link:どちらを選ぶべきか
Quest Link(有線)がおすすめの人
- 安定性と低遅延を最優先したい人
- 競技性の高いVRゲームをプレイしたい人
- 長時間プレイすることが多い人
- Wi-Fi環境に不安がある人
Air Link(無線)がおすすめの人
- ケーブルレスの自由な動きを優先したい人
- 5GHz Wi-Fi環境が整っている人
- 部屋を広く使ってVRを楽しみたい人
結論
無線接続の進化も著しいですが、「安定性」と「遅延」の両面で見たとき、現状で一歩リードしているのが有線接続(Quest Link)です。
接続や取り回しにひと手間かかるものの、じっくり腰を据えてPC VRを楽しみたい方にはやはり有線接続が強い味方です。
必要な機材
1. Meta Questヘッドセット
以下のいずれかのMeta Questヘッドセットが必要です。
- Meta Quest 3S
- Meta Quest 3
- Meta Quest 2
- Meta Quest Pro
- Meta Quest(初代)
2. WindowsPC
最小要件:
- OS: Windows 10または11
- プロセッサ: Intel i5-4590 / AMD Ryzen 5 1500X以上
- メモリ: 8GB以上のRAM
- グラフィックカード(GPU): 対応GPUが必須
対応GPU(NVIDIA):
- GeForce GTX 1060以上
- RTX 2060以上推奨
対応GPU(AMD):
- Radeon RX 480以上
- RX 5500XT以上推奨
注意:
- NVIDIA 3050(ノートパソコン)および3050ti GPUをLinkに使用することは推奨されていません
- Radeon RX 6500をLinkに使用することは推奨されていません
ストレージ:
4GB以上の空き容量(Meta Horizon Linkアプリのインストール用)
3. USB-Cケーブル(有線接続の場合)
ケーブル要件:
- 両端か片側がUSB Type-C端子(Meta Questに接続)
- USB 3.0以上対応(USB 3.2推奨)
- データ転送速度5Gbps以上に対応
- 長さ: 3〜5m程度(推奨)
公式Linkケーブル:
Meta公式が販売する純正「Meta Quest Linkケーブル」は、5m、光ファイバー素材で、安定した接続を提供します。
サードパーティ製ケーブル:
市場にはさまざまなサードパーティ製(他社製)ケーブルも流通しています。
価格は抑えられますが、品質や互換性に注意が必要です。
Type-A変換:
PCにType-C端子がなければ、ケーブルの片側はType-Aでも使用できますが、PCからMeta Questに供給できる電力は少なくなります。
4. Wi-Fiネットワーク(無線接続の場合)
推奨環境:
- 5GHz帯のWi-Fiネットワーク
- Wi-Fi 6(802.11ax)対応ルーター推奨
- PCは有線LANでルーターに接続が推奨
セットアップ方法
事前準備
- Meta Questを最新版にアップデート:
ヘッドセットのソフトウェアを最新版にアップデートしておきます。 - Metaアカウントの作成:
まだ作成していない場合は、Metaアカウントを作成します。
PC側の設定
ステップ1: Meta Horizon Linkアプリのダウンロード:
Meta公式サイトから無料のMeta Horizon Linkアプリ(旧Oculusアプリ)をダウンロードし、PCにインストールします。
ステップ2: アプリの起動:
インストールが終わったら、Meta Horizon Linkアプリを起動します。
ステップ3: ヘッドセットの追加:
- 「デバイス」をクリック
- 「ヘッドセットを追加」をクリック
- 使用するヘッドセット(Quest 2、Quest 3など)を選択
有線接続(Quest Link)の設定
ステップ1: ケーブル接続:
USB 3ケーブルをPCのUSB 3.0ポート(できればUSB 3.2ポート)に差し込んでから、もう一方の端をヘッドセットに差し込みます。
ステップ2: ヘッドセット側の設定:
- ヘッドセットを装着
- 「Quest Linkを有効にする」というポップアップが表示される
- 「有効にする」を選択
ステップ3: ペアリング:
- PC側とヘッドセット側でペアリングコードが表示される
- コードが一致することを確認
- PCで「確認」をクリック
ステップ4: 起動:
「起動」を選択して、Quest Linkの使用を開始します。
注意:
Questを差し込んだときに「USBが検出されました」といったポップアップが表示されますが、これはQuest本体に記録した動画や写真をPCにダウンロードする際に使うものなので、今回はスルーして大丈夫です。
無線接続(Air Link)の設定
ステップ1: PCとVRを同じWi-Fiに接続:
パソコンとVRが同じWi-Fiに接続されていることを確認してください。
ステップ2: ヘッドセット側の設定:
- Meta Questを装着
- コントローラーのMetaボタン/Oculusボタンを押してユニバーサルメニューを表示
- ユニバーサルメニューの左側にある時計を選択し、「クイック設定」を開く
- 「Air Linkを使用」を「オン」にする
ステップ3: PCの選択:
利用可能なPCリストで自分のPCを選択し、「ペアリング」を選択します。
ステップ4: ペアリングコード確認:
ペアリングコードがヘッドセットに表示されます。
コンピューターに表示されるコードとヘッドセットに表示されるコードが一致することを確認します。
ステップ5: 起動:
コンピューターのアプリで「確認」をクリックし、ヘッドセットを再び装着します。
「起動」を選択して、Air Linkの使用を開始します。
注意:
Horizon OSの最新アップデートにより、Meta Horizon LinkとAir Linkはヘッドセットで自動的に有効になります。
Quest Linkの終了方法
方法1: ケーブルを抜く(有線の場合)
使用しているUSBケーブルをPC(あるいはヘッドセット)から引き抜くと自動的に終了します。
方法2: ホーム画面から終了
- Quest Link中のホーム画面にある終了ボタンを押す
- ホーム画面の歯車マークを選択して設定欄を表示
- 「ヘッドセット」を選択
- 終了を選択
トラブルシューティング
うまく接続できない場合
以下の点を確認してください。
ケーブルの確認:
- ケーブルが正しく差し込まれているか
- USBを何度も抜き差ししていないか
ソフトウェアの確認:
- 本体とアプリのどちらかが最新版にアップデートされていない可能性
PCスペックの確認:
- PCが推奨スペックを満たしているか
- グラフィックカードが対応しているか
Wi-Fi環境の確認(Air Linkの場合):
- PCとVRが同じWi-Fiに接続されているか
- 5GHz帯のWi-Fiを使用しているか
グラフィックカードのエラー
「グラフィックカードがQuest Linkに対応していません」というエラーが表示される場合、PCスペック不足の可能性があります。
対応GPUを搭載したPCが必要です。
公式トラブルシューティング
どうしてもうまく接続できない場合は、Meta公式サイトのトラブルシューティングを確認してください。
代替ソリューション
Virtual Desktop
有料アプリ(2,490円):
Meta Quest公式ストアで販売されている有料アプリです。
メリット:
- 無線での接続が安定的
- VRゲームを遊ぶ際の細かな調整ができる
- Air Linkに不安定さを感じる場合におすすめ
Steam Link
無料アプリ:
Meta Quest公式ストアで無料で利用できます。
メリット:
- 設定が非常に簡単
- 接続が早い
- QuestのPCアプリを介さずに済む
- 長時間プレイに伴うクラッシュが少ない
使い方:
- Meta Quest Storeで「Steam Link」と検索
- ダウンロード&インストール
- Steam Linkを開く
- 自分のパソコンを選択して接続
注意:
PCに「Steam」がインストールされている必要があります。
最新アップデート情報
v74(2025年2月)
Quest Linkのメニュー改善:
「デバイスのステータスとクイックアクションに素早くアクセスできる」機能が追加されました。
従来の仕組み:
これまでの「Quest Link」では、PCとの接続時にOculus Riftのメニューが表示され、Quest側のUI(ホームメニュー)は使用できなくなる仕組みでした。
v74以降:
Quest側のUIにもアクセスできるようになり、より使いやすくなりました。
Meta Horizon Linkへの名称変更(2025年10月)
Meta Quest Link AppがMeta Horizon Linkに名称変更されました。
これは、メタバース向けのより開かれたコンピューティングプラットフォーム「Meta Horizon OS」への移行を反映したものです。
すべての既存機能は維持され、今後さらなる機能強化が予定されています。
まとめ
Quest Link(Meta Horizon Link)は、Meta QuestをPC VRヘッドセットとして活用するための強力な機能です。
Quest Linkの強み
- 無料で利用可能: 追加費用なしでPC VRコンテンツにアクセス
- 広大なライブラリ: SteamVRやMeta PC向けストアのゲームにアクセス
- 高画質・高フレームレート: PC版は高クオリティなグラフィックで楽しめる
- 安定した接続: 有線接続により安定したデータ転送
- リモートデスクトップ: VR空間でPC作業が可能
選択のポイント
有線(Quest Link):
安定性と低遅延を優先する場合に最適です。
競技性の高いゲームや長時間プレイに向いています。
無線(Air Link):
ケーブルレスの自由な動きを優先する場合に最適です。
5GHz Wi-Fi環境が整っている場合に向いています。
Quest Linkが向いている人
- すでにゲーミングPCを持っている人
- SteamVRのゲームをプレイしたい人
- より高画質なVR体験を求めている人
- Meta Questストアにないタイトルをプレイしたい人
- VR空間でPC作業をしたい人
今後の展望
Meta Horizon Linkへの名称変更は、Meta Horizon OSへの移行の一環です。
今後もさらなる機能強化が予定されており、PC VR体験がより快適になることが期待されます。
Meta Questは単体でも十分楽しめるVRヘッドセットですが、Quest Linkを活用することで、VR体験の幅が大きく広がります。
PCと組み合わせることで、Meta Questの可能性を最大限に引き出すことができるでしょう。


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