セフィロト一覧|カバラ「生命の樹」を構成する10のセフィラを徹底解説

神話・歴史・文化

「セフィロト」という言葉を聞いたことはあるけれど、具体的に何を意味するのかよくわからない――そんな方は少なくないはずです。
アニメやゲーム、漫画などのフィクション作品でモチーフとして使われることも多いセフィロトですが、その本来の姿はユダヤ教の神秘思想「カバラ」に根ざした、奥深い宇宙論・精神論の体系なんです。
この記事では、セフィロトの基礎知識から、10個のセフィラそれぞれの意味や象徴、さらに「三本の柱」や「四つの世界」といった構造まで、一覧形式でわかりやすく解説していきます。

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セフィロトとは何か

セフィロトとは、ユダヤ教の神秘思想カバラにおける世界創造の象徴体系のことです。「セフィロト」(ヘブライ語:ספירות / 英語:Sefirot)という語は、ヘブライ語で「数える」を意味する「セフィラ」(ספירה)の複数形にあたります。

カバラの伝統では、不可知の神「エン・ソフ」(אין סוף、「無限」の意)から10の段階を経て世界が創造されたと考えられています。この10の段階を表す球体のことを「セフィラ」(単数形)、その全体を「セフィロト」(複数形)と呼びます。

10のセフィラは22本の「小径」(パス)によって互いに結ばれ、図式化されたものが「セフィロトの樹」、あるいは「生命の樹」(英語:Tree of Life)と呼ばれる図形です。この図形全体で「32の神秘の英知の道」(10のセフィラ+22のパス)を構成しています。

セフィロトの語源については、複数の説が存在します。ヘブライ語の「数」を意味する語根「ס-פ-ר」に由来するという説が代表的ですが、「サファイア」(ספיר)に由来するという説や、ギリシャ語の「スファイラ」(σφαῖρα、「球体」の意)との関連を指摘する説もあります。カバラ研究の第一人者であるゲルショム・ショーレムは、セフィロトを表す類義語として「光」(オロト)、「力」(コホト)、「冠」(ケタリム)、「段階」(マドレゴト)など数多くの呼称が存在することを指摘しています。

セフィロトの歴史的背景

『形成の書』(セーフェル・イェツィラー)

セフィロトという概念が最初に登場する文献は、ユダヤ神秘思想の最古の書物のひとつである『形成の書』(セーフェル・イェツィラー、ヘブライ語:ספר יצירה)です。

この書物の成立年代については諸説ありますが、現在の学術的な見解では紀元3世紀から6世紀頃の間に成立したとされています。伝統的にはユダヤ教の族長アブラハムの著作とされてきましたが、実際の著者は不明です。

『形成の書』には、神が「10のセフィロトと22のヘブライ文字」を用いて宇宙を創造したことが記されています。ただし、この段階でのセフィロトは後のカバラで知られる名称(ケテル、コクマーなど)ではなく、「始まりと終わり」「善と悪」「上と下」「東と西」「北と南」といった概念的な対として表現されていました。

『形成の書』の冒頭には、次のような一節があります。

「10のセフィロトは無であり、10であって9ではなく、10であって11ではない」

この「10であって11ではない」という規定が、後のカバラにおけるセフィラの数の基礎となっています。

『ゾーハル』(光明の書)

セフィロトが現在知られる形に体系化されたのは、13世紀に成立した『ゾーハル』(ヘブライ語:ספר הזהר、「光輝の書」の意)によるものです。

『ゾーハル』は1280年代のスペインで発見され、2世紀のラビ、シモン・バル・ヨハイの教えに基づくとされてきました。しかし現代の研究者の多くは、13世紀のスペインの神秘家モーシェ・デ・レオンが中心となって編纂したものと考えています。

この書物の中で、セフィロトは神の属性や宇宙創造の段階を象徴する概念として詳細に論じられ、現在知られるケテル(王冠)、コクマー(知恵)、ビナー(理解)といった各セフィラの名称と性質が明確に示されました。

『ゾーハル』以降、16世紀にはイサーク・ルリア(通称アリ)によるルリア派カバラが登場し、セフィロトの理論はさらに精緻化されていきます。ルリアの弟子ハイム・ヴィタルが著した『生命の樹』(エツ・ハイム、1573年)は、ルリア派カバラの代表的な文献として知られています。

近代西洋魔術への展開

19世紀末、イギリスの魔術結社「黄金の夜明け団」は、カバラを錬金術、タロット、数秘術、薔薇十字思想などと統合した独自の体系を構築しました。この体系では、セフィロトの22本のパスがタロットの大アルカナ22枚と対応づけられるなど、本来のユダヤ教カバラとは異なるアプローチが取られています。

こうした西洋魔術的なカバラ解釈は「ヘルメティック・カバラ」と呼ばれ、現在のフィクション作品などに見られるセフィロトのイメージには、本来のユダヤ教カバラとヘルメティック・カバラの両方の要素が混在していることが多いです。

10のセフィラ一覧

ここからは、生命の樹を構成する10のセフィラと、隠されたセフィラ「ダアト」について、それぞれの意味や象徴を解説していきます。

なお、各セフィラに対応する惑星や守護天使などの「照応」(コレスポンデンス)は、伝統的なユダヤ教カバラとヘルメティック・カバラの間で異なる場合があります。以下では主にヘルメティック・カバラにおける一般的な照応を示していますが、流派や文献によって違いがあることをあらかじめご了承ください。

第1のセフィラ:ケテル(Kether)── 王冠

項目内容
ヘブライ語כֶּתֶר
意味王冠(Crown)
番号1
象徴色
対応惑星海王星(古典では原動天)
神名エヘイエー(AHIH)
守護天使メタトロン
所属する柱均衡の柱(中央)

ケテルは生命の樹の最上部に位置する第1のセフィラで、「王冠」を意味します。

「無限なるもの」エン・ソフから最初に流出した存在であり、全てのセフィラの源にあたります。ケテルは人間の意識を超越した領域にあるとされ、純粋な「存在」そのものを象徴しています。神の意志が最初に形を取る瞬間、あるいは宇宙における最初の顕現がケテルなんです。

ケテルは思考や創造を司るとされ、王の横顔で表現されることがあります。最上位にありながら、最下位のセフィラであるマルクトと通じ合っているとされる点も特徴的です。

守護天使メタトロンは、ユダヤ教の伝承において「神の御座の天使」として知られる、天使の中でも最高位に位置づけられる存在です。

第2のセフィラ:コクマー(Chokmah)── 知恵

項目内容
ヘブライ語חָכְמָה
意味知恵(Wisdom)
番号2
象徴色灰色
対応惑星天王星(古典では恒星天)
神名ヤー(IH)
守護天使ラツィエル
所属する柱慈悲の柱(右)

コクマーは「知恵」を意味する第2のセフィラで、「至高の父」とも呼ばれます。

ケテルの純粋な存在からまず流出するのが、このコクマーです。コクマーは男性原理を象徴し、「ひらめき」や「直観」のように、理性による分析を経ずに瞬間的に捉えられる知恵の姿を表しています。カバラではコクマーを「コアフ・マー」(「何であるかの力」)と解釈し、全ての可能性の種子がここに含まれていると考えます。

ビナー(理解)と対をなす関係にあり、コクマーが「種子」であるならば、ビナーはそれを「受け取り育てる母胎」にたとえられます。

守護天使ラツィエルは「神の秘密」を意味する名前を持ち、神秘的な知識の守護者とされています。

第3のセフィラ:ビナー(Binah)── 理解

項目内容
ヘブライ語בִּינָה
意味理解(Understanding)
番号3
象徴色
対応惑星土星
神名エロヒム(ALHIM)
守護天使ザフキエル
所属する柱峻厳の柱(左)

ビナーは「理解」を意味する第3のセフィラで、「至高の母」とも呼ばれます。

コクマーの瞬間的な直観を受け取り、それを分析・構造化して具体的な形へと展開させる働きを持っています。女性原理を象徴し、成熟した女性の姿で表されることがあります。

ケテル、コクマー、ビナーの三者は「至高の三角形」(ロゴスの三角形とも)を構成し、生命の樹における最も高次な領域を形成しています。このうちコクマーとビナーは「至高の父母」として、残りの7つの下位セフィラを生み出す源とされています。

ビナーの下には「深淵」(アビス)と呼ばれる断絶が横たわっており、至高の三角形とその下の7つのセフィラの間には大きな隔たりがあるとされています。

(隠されたセフィラ):ダアト(Da’ath)── 知識

項目内容
ヘブライ語דַּעַת
意味知識(Knowledge)
番号(番号なし)
象徴色銀(諸説あり)
対応惑星天王星(諸説あり)
神名アドナイ・エロヒム(諸説あり)
守護天使ウリエル(諸説あり)
所属する柱均衡の柱(中央)

ダアトは正式にはセフィラの数には含まれませんが、コクマーとビナーの間(深淵の上)に位置する「隠されたセフィラ」として知られています。

ダアトは「知識」を意味しますが、単なる情報としての知識ではなく、コクマー(知恵)とビナー(理解)が統合された超越的な知識を表しています。16世紀のカバリスト、モーセ・コルドベロの体系ではケテルを10のセフィラに含めてダアトを除外しますが、イサーク・ルリアの体系ではダアトをセフィラに含めてケテルを除外することがあります。両者はいわば同じ原理の「表と裏」のような関係にあり、ケテルが超意識的な側面を、ダアトがその意識化された側面を表すと説明されます。

ダアトには確立された惑星や守護天使の対応がないとする文献もあり、他のセフィラとは異なる特殊な位置づけにあります。

第4のセフィラ:ケセド(Chesed)── 慈悲

項目内容
ヘブライ語חֶסֶד
意味慈悲・慈愛(Loving-kindness / Mercy)
番号4
象徴色
対応惑星木星
神名エル(AL)
守護天使ザドキエル
所属する柱慈悲の柱(右)

ケセド(ヘセドとも発音される)は「慈悲」「慈愛」を意味する第4のセフィラで、「ゲドゥラー」(偉大さ)とも呼ばれます。

深淵の下に位置する最初のセフィラであり、ここから「感情」の領域が始まります。ケセドは神の無限の愛と寛容を象徴し、惜しみなく与える力を表しています。王座に座った王の姿で表現されることがあり、拡大・成長・繁栄のエネルギーを持つとされています。

カバラの伝統では、旧約聖書の族長アブラハムと結びつけられます。アブラハムが見知らぬ旅人にも惜しみなく歓待を示した姿は、ケセドの象徴的な表れとされています。

第5のセフィラ:ゲブラー(Gevurah)── 峻厳

項目内容
ヘブライ語גְבוּרָה
意味峻厳・力(Strength / Judgment)
番号5
象徴色
対応惑星火星
神名エロヒム・ギボール(ALHIM GBVR)
守護天使カマエル
所属する柱峻厳の柱(左)

ゲブラー(グヴラーとも発音される)は「峻厳」「力」を意味する第5のセフィラで、「ディン」(裁き)とも呼ばれます。

ケセドの無限の慈愛に対して、制約と秩序をもたらす力を象徴しています。ケセドが「与える力」であるならば、ゲブラーは「制限する力」です。どちらか一方だけでは宇宙は成り立たず、際限のない慈悲は無秩序を招き、過度な厳格さは破壊につながるとカバラでは考えられています。

旧約聖書の族長イサク(アブラハムの息子)と結びつけられ、「天空の外科医」と呼ばれることもあります。

第6のセフィラ:ティファレト(Tiphereth)── 美

項目内容
ヘブライ語תִּפְאֶרֶת
意味美・調和(Beauty / Harmony)
番号6
象徴色黄色
対応惑星太陽
神名ヤハウェ・エロアー・ヴァ・ダアト(IHVH ALVH VDOTh)
守護天使ミカエル(※流派により異なる)
所属する柱均衡の柱(中央)

ティファレト(ティフェレトとも発音される)は「美」を意味する第6のセフィラで、生命の樹のまさに中心に位置しています。

ケセドの慈悲とゲブラーの峻厳を調和させ、バランスの取れた「美」を実現するセフィラです。カバラではこの均衡を「ラハミム」(慈悲・思いやり)とも呼びます。ティファレトは深淵の下に位置するセフィラの中で唯一、直接ケテルと結ばれており、上位の神聖な世界と下位の物質的世界をつなぐ仲介者としての役割を担っています。

旧約聖書の族長ヤコブ(イサクの息子)と結びつけられます。

なお、守護天使については伝統的なカバラではミカエルが対応するとされていますが、ヘルメティック・カバラ(黄金の夜明け団の体系)ではラファエルを対応させることもあります。この違いは流派による解釈の差であり、どちらが正しいという性質のものではありません。

第7のセフィラ:ネツァク(Netzach)── 勝利

項目内容
ヘブライ語נֵצָח
意味勝利・永続(Victory / Eternity)
番号7
象徴色
対応惑星金星
神名アドナイ・ツァバオト(IHVH TzBAVTh)
守護天使ハニエル
所属する柱慈悲の柱(右)

ネツァク(ネツァフとも発音される)は「勝利」や「永続」を意味する第7のセフィラです。

ケセドの慈愛が、より具体的な行動の領域で現れたものがネツァクです。困難に立ち向かい、最後まで諦めない持続力や情熱を象徴しています。感情、本能、芸術的創造力と深く関わるセフィラとされ、自然界の活動的な力やエネルギーの源泉ともいえます。

カバラの伝統では預言者モーセと結びつけられることがあります。

第8のセフィラ:ホド(Hod)── 栄光

項目内容
ヘブライ語הוֹד
意味栄光・威厳(Splendor / Glory)
番号8
象徴色橙色
対応惑星水星
神名エロヒム・ツァバオト(ALHIM TzBAVTh)
守護天使ラファエル(※流派により異なる)
所属する柱峻厳の柱(左)

ホドは「栄光」「威厳」を意味する第8のセフィラです。

ゲブラーの峻厳が行動の領域で現れたものがホドです。ネツァクの情熱や本能に対して、理性・論理・分析といった知的な力で形を与える役割を担っています。ネツァクが感情の噴出であるならば、ホドはそれを適切に制御し、現実の中で機能する形に整えるセフィラだといえます。

両者は対になって機能する必要があり、どちらか一方だけが突出した状態はバランスの崩れた「クリフォト」(殻、セフィロトの裏面)的な状態に陥るとされています。

カバラの伝統ではモーセの兄アロン(最初の大祭司)と結びつけられることがあります。

第9のセフィラ:イェソド(Yesod)── 基礎

項目内容
ヘブライ語יְסוֹד
意味基礎(Foundation)
番号9
象徴色
対応惑星
神名シャダイ・エル・カイ(ShDI AL ChI)
守護天使ガブリエル
所属する柱均衡の柱(中央)

イェソドは「基礎」を意味する第9のセフィラで、物質世界の直前に位置しています。

上位の8つのセフィラから流れてきた全ての力を束ね、統合し、物質世界であるマルクトへと伝達する役割を果たしています。いわば物質世界の「設計図」が形成される場所であり、「アストラル界」(星幽界)と結びつけて語られることも多いセフィラです。

イェソドは、目に見えない力が物質として顕現する直前の段階を表しており、夢、想像力、無意識の領域とも深く関わるとされています。

カバラの伝統ではヨセフ(ヤコブの息子)と結びつけられます。

第10のセフィラ:マルクト(Malkuth)── 王国

項目内容
ヘブライ語מַלְכוּת
意味王国(Kingdom)
番号10
象徴色レモン色・オリーブ色・小豆色・黒の四色
対応惑星地球
神名アドナイ・ハ・アレツ(ADNI HARTz)
守護天使サンダルフォン
所属する柱均衡の柱(中央)

マルクトは「王国」を意味する第10のセフィラで、生命の樹の最下部に位置しています。

私たちが暮らしているこの物質世界そのものを表すセフィラです。ケテルから始まった神の流出が最終的に行き着く場所であり、神の創造の最終段階を象徴しています。カバラの伝統では、マルクトは「シェキナ」(神の女性的な顕現、神の臨在)とも同一視されます。

マルクトの色が四色で表されるのは、このセフィラが「四つの世界」の全てと接点を持つことを象徴しているとされています。王座に座った若い女性の姿で表現されることもあります。

興味深いのは、マルクトにおいて生み出されたものが新たなケテルとなり、別の生命の樹を展開する可能性を秘めているとする考え方です。つまり、終わりが新たな始まりとなる循環的な構造がセフィロトには内包されているわけです。

守護天使サンダルフォンは、最上位のケテルを守護するメタトロンと対をなす存在として知られています。

生命の樹の構造

三本の柱

10のセフィラは、生命の樹上で縦に三本の「柱」にグループ分けされています。

慈悲の柱(右の柱):コクマー、ケセド、ネツァクの3つが所属します。「ヤキン」(白の柱)とも呼ばれ、能動的・拡張的な力を象徴しています。

峻厳の柱(左の柱):ビナー、ゲブラー、ホドの3つが所属します。「ボアズ」(黒の柱)とも呼ばれ、受動的・制約的な力を象徴しています。

均衡の柱(中央の柱):ケテル、ティファレト、イェソド、マルクトの4つが所属します。左右の対立する力を調停し、バランスを保つ柱です。

この三本の柱の構造は、カバラの根本的な考え方を反映しています。あらゆるものには「与える力」と「制限する力」の二つの側面があり、その二つが適切に調和した状態こそが理想的な在り方である、という思想です。

三つの三角形

上記の「柱」とは別に、セフィラは三角形のグループとしても分類されます。

至高の三角形:ケテル、コクマー、ビナーから構成される上向きの三角形です。「ロゴスの三角形」とも呼ばれ、知性と超意識の領域を表します。

倫理の三角形:ケセド、ゲブラー、ティファレトから構成される下向きの三角形です。道徳的・感情的な領域を表し、「心」に相当する部分です。

星幽の三角形:ネツァク、ホド、イェソドから構成される下向きの三角形です。「魔術的三角形」とも呼ばれ、行動や本能の領域を表します。

至高の三角形とその下の三角形との間には「深淵」(アビス)が横たわっており、超越的な領域と顕現した世界とを隔てています。

四つの世界

ヘルメティック・カバラでは、セフィロトは「顕現の四つの世界」と接点を持つとされています。

アツィルト(Atziluth)── 元型界・流出界:神の最も純粋な顕現の世界で、「神界」とも呼ばれます。各セフィラに対応する「神名」は、この世界における顕現の形です。

ブリアー(Beri’ah)── 創造界:神の意志が具体的な創造の設計図として展開される世界です。各セフィラの守護天使(大天使)は、この世界に対応しています。

イェツィラー(Yetzirah)── 形成界:設計図が具体的な形に成形される世界で、「天使界」とも呼ばれます。天使の軍勢がこの世界に対応しています。

アッシャー(Assiah)── 活動界・物質界:形成されたものが実際に物質として顕現する世界です。天体などの「宇宙的象徴」がこの世界に対応しています。

この四つの世界の考え方は、神の意志が段階的に「降下」して物質世界に至るプロセスを表しており、逆にこの道を「上昇」することが霊的な成長の道筋であるとカバラでは考えられています。

セフィロトの対応一覧表

以下に、10のセフィラの主要な対応を一覧表にまとめました。

番号名称意味ヘブライ語惑星守護天使神名所属する柱
1ケテル王冠כֶּתֶר海王星メタトロンエヘイエー均衡
2コクマー知恵חָכְמָה天王星灰色ラツィエルヤー慈悲
3ビナー理解בִּינָה土星ザフキエルエロヒム峻厳
ダアト知識דַּעַת(諸説あり)(諸説あり)均衡
4ケセド慈悲חֶסֶד木星ザドキエルエル慈悲
5ゲブラー峻厳גְבוּרָה火星カマエルエロヒム・ギボール峻厳
6ティファレトתִּפְאֶרֶת太陽黄色ミカエルエロハ均衡
7ネツァク勝利נֵצָח金星ハニエルアドナイ・ツァバオト慈悲
8ホド栄光הוֹד水星橙色ラファエルエロヒム・ツァバオト峻厳
9イェソド基礎יְסוֹדガブリエルシャダイ・エル・カイ均衡
10マルクト王国מַלְכוּת地球四色サンダルフォンアドナイ・ハ・アレツ均衡

※ケテルとコクマーの惑星対応(海王星・天王星)は近代のヘルメティック・カバラによるもので、これらの惑星が発見される以前の古典的な体系では「原動天」「恒星天」とされていました。

※守護天使の対応は流派によって異なる場合があります。特にティファレト(ミカエル/ラファエル)とホド(ラファエル/ミカエル)は、ユダヤ教カバラとヘルメティック・カバラの間で入れ替わることがあります。

セフィロトとクリフォト

セフィロトに関連する概念として、「クリフォト」(qliphoth、ヘブライ語で「殻」の意)についても触れておきましょう。

クリフォトはセフィロトの「裏面」や「影」とも表現され、各セフィラのバランスが崩れた状態を象徴するものです。10のセフィラそれぞれに対応するクリフォトが存在し、セフィロトの樹に対して「クリフォトの樹」として図式化されることもあります。

たとえば、ケセド(慈悲)のクリフォトは「際限のない甘やかし」、ゲブラー(峻厳)のクリフォトは「残虐な破壊」というように、本来の美徳が極端に偏り歪んだ状態がクリフォトとして捉えられています。

まとめ

セフィロトは、ユダヤ教の神秘思想カバラにおいて、神の創造のプロセスや宇宙の構造を象徴的に表した10の概念です。

『形成の書』で初めてその概念が提示され、13世紀の『ゾーハル』で体系化されたセフィロトは、その後も多くのカバリストや思想家によって研究・発展されてきました。19世紀以降はヘルメティック・カバラの文脈でタロットや西洋魔術とも結びつき、現代のフィクション作品にも幅広く影響を与えています。

10のセフィラはそれぞれ独立した意味を持ちながらも、互いに補完し合い、「三本の柱」「三つの三角形」「四つの世界」といった多層的な構造の中で有機的に結びついています。ケテル(王冠)からマルクト(王国)へと流れる神の力と、マルクトからケテルへと上昇する人間の精神的成長の道筋は、カバラにおける宇宙観と人間観の核心を成すものだといえるでしょう。

参考情報

この記事の作成にあたり、以下の情報源を参照しました。

Web資料(日本語)

Web資料(英語)

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