インターネットを利用していると、突然大量の広告が表示されたり、ブラウザのホームページが勝手に変更されたりすることがあります。
これらはアドウェア(Adware)と呼ばれるソフトウェアによって引き起こされている可能性があります。
アドウェアには合法的なものと悪質なものがあり、悪質なタイプは個人情報の漏洩やシステムの動作低下を招く危険性があります。
この記事では、アドウェアの定義から感染経路、症状、削除方法、予防策まで、中学生でも理解できるよう詳しく解説します。
アドウェアとは
アドウェア(Adware)は、「広告(Advertisement)」と「ソフトウェア(Software)」を組み合わせた造語です。
広告を表示することで収益を得ることを目的としたソフトウェア全般を指します。
基本的な仕組み
アドウェアの開発者や配布業者は、主に以下の方法で収益を得ています。
収益モデル:
- PPC(Pay Per Click / クリック課金):広告がクリックされるたびに収益
- PPV(Pay Per View / 視聴課金):広告が表示されるたびに収益
- PPI(Pay Per Install / インストール課金):ソフトウェアがインストールされるたびに収益
アドウェアは、ユーザーの検索履歴や閲覧履歴を追跡して、関連性の高い広告を表示します。
開発者はユーザーの位置情報や閲覧履歴を入手し、その情報を第三者に販売することでさらなる収益を得る場合もあります。
アドウェアの歴史
アドウェアの概念は、デジタル広告の進化とともに発展してきました。
従来の印刷物、ラジオ、テレビ広告とは異なり、デジタルの世界では広告とソフトウェアを統合することで、ユーザーの購買意欲を即座に把握できるようになりました。
現在では、Yahoo!やmixiをはじめ、多くのWebサービスが広告収入によって運営されており、広い意味ではこれらもアドウェアに分類されます。
アドウェアの種類
アドウェアは、その性質と目的によっていくつかの種類に分類されます。
1. 合法的アドウェア
特徴:
広告やソフトウェアのプロモーションを表示することについて、ユーザーに明確に同意を求めます。
ユーザーは無料でソフトウェアを利用する代わりに、広告表示に承諾します。
具体例:
- 無料版のソフトウェアやアプリに表示される広告
- 有料ソフトウェアのトライアル版で表示される広告
- スマートフォンアプリの広告表示枠
評判の高い開発者を含め、あらゆるタイプの開発者が合法的アドウェアを作成しています。
これは顧客に無料の製品を提供する正当で法的に許された方法です。
2. 悪質なアドウェア(マルウェア化したアドウェア)
特徴:
ユーザーの同意なしにインストールされ、以下のような悪質な行為を行います。
- 大量のポップアップ広告を強制的に表示
- ユーザーに無断で個人情報を収集し外部に送信
- 偽のセキュリティ警告を表示
- ブラウザのホームページや検索エンジンを勝手に変更
- リンク先を乗っ取り、意図しないサイトへ誘導
これらは明らかにマルウェアの一種とみなされ、セキュリティソフトの検出・削除対象となります。
3. PUP / PUA
PUP(Potentially Unwanted Program / 望ましくない可能性のあるプログラム)
PUA(Potentially Unwanted Application / 望ましくない可能性のあるアプリケーション)
セキュリティ的な被害は直接受けないものの、ユーザーやシステムにとって望ましくない影響を与えるプログラムです。
特徴:
- フリーソフトに隠れて含まれており、強制的にインストールを進める
- ユーザーはインストールに同意した覚えがない場合が多い
- 広告を強制的に表示し続ける
- システムパフォーマンスを低下させる
- 完全には悪質ではないが、ユーザーに不快感を与える
4. アドウェアの種類(動作別)
ポップアップ表示型:
ブラウザとは別にポップアップウィンドウを表示します。
ブラウザを使っていない時でも広告を表示する機能を持ちます。
リンク乗っ取り型:
Webサイトのリンク先を勝手に書き換え、意図しないサイトへ誘導します。
大手サイトの広告欄を細工して、自分のバナーを表示させる場合もあります。
ブラウザハイジャッカー:
ブラウザのホームページや検索エンジンを勝手に変更します。
有名な例として、Hao123、Babylon Search、Delta Searchなどがあります。
トラッキング型:
ユーザーのオンライン行動を追跡し、そのデータを広告主に販売します。
プライバシーの観点から特に問題視されるタイプです。
アドウェアとマルウェアの違い
アドウェアとマルウェアの関係を理解することが重要です。
マルウェアとは
マルウェア(Malware)は、「悪意のある(Malicious)」と「ソフトウェア(Software)」を組み合わせた言葉で、悪意のあるソフトウェアやコードの総称です。
マルウェアには、ウイルス、トロイの木馬、ランサムウェア、スパイウェア、そしてアドウェアも含まれます。
すべてのアドウェアがマルウェアではない
アドウェアは広告を表示して収益を得ることを目的としたソフトウェアで、すべてがマルウェアに該当するわけではありません。
マルウェアとみなされるアドウェア:
- ユーザーに無断で個人情報を収集・送信する
- 偽のセキュリティ警告を表示して不正なソフトウェアを購入させる
- システムの安全性を脅かす
- 他のマルウェアへの侵入口を作る
マルウェアとみなされないアドウェア:
- ユーザーに明確に同意を求める
- 広告表示のみを行う
- 収集する情報を明示している
- アンインストールが容易
アドウェアの感染経路
アドウェアがコンピュータやスマートフォンに侵入する主な経路を理解しましょう。
1. 無料ソフトウェアやアプリとのバンドル
最も一般的な感染経路です。
仕組み:
無料ソフトウェア(フリーウェア)やシェアウェアをダウンロードする際、アドウェアが一緒にインストールされます。
ユーザーはアドウェアが含まれていることに気づかずインストールしてしまいます。
典型的なパターン:
- 「推奨設定」や「クイックインストール」を選択すると、初期状態でチェックが入っている不要なプログラムまで一緒にインストールされる
- インストール時の利用規約に小さな文字でアドウェアのインストールについて記載されている
- 公式サイトでも偽のダウンロードボタンが紛れている場合がある
2. 悪意のあるWebサイトの閲覧
Webサイトを閲覧するだけで感染する場合があります。
実際の感染方法:
Webサイトを閲覧しただけでは感染せず、以下のような行動が感染の引き金になります。
- 悪意のあるリンクをクリック
- アンケートに回答
- 「通知を許可」ボタンをクリック
- 透明化したバナーを重ねてクリックを誘う(クリックジャッキング)
具体例:
検出数1位のアドウェア「JS/Adware.Subprop」は、Webサイト訪問時に通知の許可を求め、「許可」をクリックするとJavaScriptが実行されて感染します。
3. ブラウザのプラグインやアドオン
特殊なコンテンツを再生するためのプラグインと同時に、バックグラウンドでアドウェアがインストールされる場合があります。
4. ソフトウェアやOSの脆弱性
セキュリティ上の脆弱性を悪用して、ユーザーの知らないうちにアドウェアをインストールする手口です。
ドライブバイダウンロード:
ブラウザに脆弱性がある場合、感染したWebサイトを訪問するだけで自動的にアドウェアがダウンロードされます。
5. マルバタイジング(悪意のある広告)
広告配信ネットワークが侵害されると、正規サイトでも悪質な広告が表示されます。
広告をクリックすると、不正なダウンロードが行われる恐れがあります。
6. フィッシングメールや不審な添付ファイル
メールの添付ファイルや本文中のリンクから、アドウェアがインストールされる場合があります。
「更新が必要」などと偽って悪質なアドウェアをインストールさせます。
7. 海賊版ソフトウェアや違法ダウンロード
海賊版のメディアやソフトウェアには、アドウェアが仕込まれている可能性が高いです。
サイバー犯罪者は、無料でダウンロードしようとするユーザーを狙っています。
アドウェア感染の症状
アドウェアに感染すると、以下のような症状が現れます。
1. 大量の広告表示
主な症状:
- ポップアップ広告が頻繁に表示される
- 閉じてもすぐに新しい広告が現れる
- ブラウザの内容と関係のないバナー広告が次々と表示される
- ブラウザを使っていない時でも広告が表示される
2. ブラウザの動作異常
主な症状:
- ホームページが勝手に変更される(Hao123、Babylon Searchなど)
- デフォルトの検索エンジンが変更される
- 不要なツールバーが勝手に追加される
- リンクをクリックすると意図しないサイトへ誘導される
- ブラウザの起動が遅くなる
3. システムパフォーマンスの低下
主な症状:
- コンピュータの動作が著しく遅くなる
- アプリの読み込みに時間がかかる
- 頻繁にフリーズする
- CPUやメモリの使用率が異常に高い
- バッテリーの消耗が早い
4. データ通信量の増加
広告やトラッキングデータの送受信により、データ通信量が大幅に増加します。
モバイルデータを使用している場合、通信制限に達しやすくなります。
5. 不審なプログラムやファイル
主な症状:
- 身に覚えのないプログラムがインストールされている
- スタートアップ時に不明なプログラムが起動する
- タスクマネージャーに見慣れないプロセスが表示される
6. 偽のセキュリティ警告
典型的な警告メッセージ:
- 「ウイルスが検出されました」
- 「スパイウェアを検出しました」
- 「動作が遅くなっています」
- 「今すぐクリーンアップが必要です」
これらはセキュリティソフトからの正規の警告ではなく、偽のソフトウェアを購入させるための詐欺です。
アドウェアによる被害
悪質なアドウェアに感染すると、以下のような被害が発生する可能性があります。
1. 個人情報の漏洩
収集される情報:
- 検索履歴
- 閲覧履歴
- 入力した個人情報(氏名、住所、電話番号など)
- クレジットカード情報
- ログイン情報(ユーザー名、パスワード)
- 位置情報
- セッションクッキー
これらの情報が第三者に販売されたり、不正アクセスやなりすましに悪用されたりする危険性があります。
2. プライバシーの侵害
ユーザーの同意なしにオンライン行動が追跡され、プライバシーが侵害されます。
ターゲティング広告が表示されるようになり、個人情報が知らない企業に渡っている可能性があります。
3. 生産性の低下
大量の広告に邪魔され、本来の作業に集中できなくなります。
ビジネスで使用している場合、業務効率が大幅に低下します。
4. 他のマルウェアへの感染リスク
アドウェアが他のマルウェアへの侵入口となる場合があります。
侵入する可能性のあるマルウェア:
- ランサムウェア(データを暗号化して身代金を要求)
- スパイウェア(キーボード入力を記録)
- トロイの木馬(システムを乗っ取る)
- ワイパー(データを破壊)
5. 経済的損失
直接的な損失:
- 偽のセキュリティソフトを購入させられる
- クレジットカード情報が盗まれて不正利用される
- 身に覚えのない有料サービスに登録される
間接的な損失:
- データ通信量の増加による通信費
- システム修復やデータ復旧の費用
- 生産性低下による機会損失
アドウェアの削除方法
アドウェアに感染した場合の削除手順を、デバイス別に解説します。
Windows PCの場合
手順1:セーフモードで起動
- Windowsの設定を開きます。
- 「更新とセキュリティ」→「回復」を選択します。
- 「今すぐ再起動」をクリックします。
- 「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」を選択します。
- 「4」または「F4」キーを押してセーフモードを有効にします。
セーフモードでは、必要最低限のプログラムのみが起動するため、アドウェアの検出と削除が容易になります。
手順2:不審なプログラムをアンインストール
- 「コントロールパネル」を開きます。
- 「プログラムと機能」または「プログラムのアンインストール」を選択します。
- プログラム一覧を日付順に並べ替えます。
- 最近インストールされた身に覚えのないプログラムを探します。
- 不審なプログラムを右クリックして「アンインストール」を選択します。
よくある不審なプログラム名:
- Hao123
- Babylon
- Delta Search
- Conduit
- Ask Toolbar
- MyWebSearch
手順3:ブラウザの設定をリセット
Google Chrome:
- ブラウザ右上のメニュー(︙)→「設定」を選択
- 「詳細設定」→「リセットとクリーンアップ」を選択
- 「設定を元の規定値に戻す」をクリック
- 「拡張機能」から不審なものを削除
Microsoft Edge:
- 設定→「設定のリセット」を選択
- 「設定を復元して規定値に戻す」をクリック
Mozilla Firefox:
- メニュー→「ヘルプ」→「他のトラブルシューティング情報」を選択
- 「Firefoxをリフレッシュ」をクリック
手順4:アドウェア削除ツールを使用
推奨ツール:
- Malwarebytes
- AdwCleaner
- HitmanPro
- Spybot Search & Destroy
- 信頼できるサイトからツールをダウンロードします。
- インストールして最新版に更新します。
- フルスキャンを実行します。
- 検出されたアドウェアを隔離・削除します。
手順5:セキュリティソフトでスキャン
- セキュリティソフト(Norton、Kaspersky、Avastなど)を最新版に更新します。
- フルシステムスキャンを実行します。
- 検出された脅威を削除します。
手順6:ブラウザのキャッシュとCookieをクリア
- ブラウザの設定を開きます。
- 「プライバシーとセキュリティ」を選択します。
- 「閲覧履歴データの削除」をクリックします。
- 「Cookie」と「キャッシュ」にチェックを入れて削除します。
Macの場合
手順1:最新のmacOSに更新
- システム環境設定→「ソフトウェアアップデート」を選択します。
- 利用可能なアップデートをインストールします。
- デバイスを再起動します。
macOSの組み込みツールが、アドウェアを削除してくれる場合があります。
手順2:不審なアプリケーションを削除
- Finderを開きます。
- 「アプリケーション」フォルダを確認します。
- 身に覚えのないアプリを探します。
- 不審なアプリをゴミ箱にドラッグします。
- ゴミ箱を空にします。
手順3:Safariの拡張機能を確認
- Safariを開きます。
- 「Safari」→「環境設定」→「拡張機能」タブを選択します。
- 不審な拡張機能をオフにするか削除します。
手順4:ログインアイテムを確認
- システム環境設定→「ユーザとグループ」を選択します。
- 「ログイン項目」タブを開きます。
- 不審なプログラムを削除します。
手順5:アドウェア削除ツールを使用
Mac用ツール:
- Malwarebytes for Mac
- CleanMyMac X
- Bitdefender Antivirus for Mac
Android端末の場合
手順1:セーフモードで起動
- 電源ボタンを長押しします。
- 「電源を切る」を長押しします。
- 「セーフモードで再起動」をタップします。
各メーカーによってセーフモードへの入り方が異なる場合があります。
手順2:不審なアプリをアンインストール
- 「設定」→「アプリ」または「アプリケーション管理」を選択します。
- インストールされているアプリ一覧を確認します。
- 身に覚えのないアプリを探します。
- 不審なアプリを選択して「アンインストール」をタップします。
手順3:ブラウザのデータをクリア
Google Chrome:
- Chrome→メニュー→「設定」を選択
- 「プライバシーとセキュリティ」→「閲覧履歴データの削除」を選択
- 「Cookie」と「キャッシュ」を選択して削除
手順4:セキュリティアプリでスキャン
Android用セキュリティアプリ:
- Avast Mobile Security
- Bitdefender Mobile Security
- Malwarebytes for Android
- Kaspersky Mobile Antivirus
手順5:通知設定を確認
- 「設定」→「通知」を選択します。
- 不審なアプリからの通知をオフにします。
iPhone / iPadの場合
手順1:最新のiOSに更新
- 「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」を選択します。
- 利用可能なアップデートをインストールします。
- デバイスを再起動します。
手順2:不審なアプリを削除
- ホーム画面で不審なアプリを長押しします。
- 「Appを削除」をタップします。
- 削除を確認します。
手順3:Safariのデータをクリア
- 「設定」→「Safari」を選択します。
- 「履歴とWebサイトデータを消去」をタップします。
手順4:プロファイルを確認
- 「設定」→「一般」→「VPNとデバイス管理」を選択します。
- 不審な構成プロファイルがある場合は削除します。
手順5:Appleサポートに連絡
問題が解決しない場合は、Appleサポートに連絡します。
- オンラインサポート:support.apple.com
- 電話:0120-277-535
アドウェアの予防方法
アドウェア感染を防ぐための予防策を実践しましょう。
1. ソフトウェアを常に最新に保つ
更新すべきもの:
- オペレーティングシステム(Windows、macOS、iOS、Android)
- Webブラウザ
- セキュリティソフト
- すべてのアプリケーション
脆弱性を悪用した感染を防ぐため、セキュリティパッチを適用することが重要です。
2. 信頼できるソースからのみダウンロード
安全なダウンロード元:
- 公式ウェブサイト
- Microsoft Store、Mac App Store、Google Play、Apple App Store
- 評判の良いソフトウェア配布サイト
避けるべきサイト:
- 海賊版ソフトウェアを配布するサイト
- トレントサイト
- 不審な広告だらけのダウンロードサイト
3. インストール時は「カスタム」または「詳細」を選択
重要なポイント:
- 「推奨設定」「クイックインストール」「高速インストール」は避ける
- 「カスタム」「詳細」「カスタムインストール」を選択する
- インストール画面をよく読み、不要なチェックボックスを外す
- 利用規約を確認する(特に小さな文字の部分)
4. 怪しいWebサイトにアクセスしない
注意すべきサイト:
- HTTPSではなくHTTPのサイト(暗号化されていない)
- アドレスバーに警告マークが表示されるサイト
- URLが不自然なサイト(スペルミス、余分な文字)
- 過度に広告が多いサイト
5. 不審なリンクやボタンをクリックしない
クリックを避けるべきもの:
- 「ウイルスが検出されました」という偽の警告
- 「今すぐクリーンアップ」などの煽り文句
- アンケートへの回答要求
- 透明化されたバナー(クリックジャッキング)
- 不明な送信元からのメールのリンク
6. ブラウザの通知許可は慎重に
Webサイトが「通知を許可しますか?」と尋ねてきた場合、本当に必要な場合以外は「ブロック」を選択します。
特に初めて訪れたサイトでは、許可しないことが賢明です。
7. 広告ブロッカーを使用
推奨される広告ブロッカー:
- uBlock Origin
- AdBlock Plus
- AdGuard
広告ブロッカーは、悪意のある広告への露出を減らし、ブラウジング速度とプライバシーを向上させます。
8. セキュリティソフトを導入
推奨されるセキュリティソフト:
- Norton 360
- Kaspersky
- Bitdefender
- Avast
- Malwarebytes
リアルタイム保護と定期的な自動スキャンを有効にしておきましょう。
9. 定期的にキャッシュとCookieをクリア
ブラウザのキャッシュとCookieを定期的に削除することで、トラッキング用Cookieの蓄積を防ぎます。
10. プライベートブラウジングモードを活用
利点:
- Cookieが保存されない
- 閲覧履歴が残らない
- トラッキングが困難になる
ただし、プライベートモードでもマルウェア感染自体は防げないため、他の対策と併用してください。
11. ユーザー教育と意識向上
企業や組織の場合:
- 従業員向けのサイバーセキュリティ教育を実施
- フィッシング攻撃のシミュレーション訓練
- セキュリティポリシーの策定と周知
- インシデント報告体制の構築
81%の企業がフィッシング攻撃の増加を報告しており、ユーザー教育がますます重要になっています。
実際のアドウェア攻撃事例
実際に発生した主要なアドウェア攻撃を紹介します。
事例1:Necro Android Adware(2024年)
概要:
2024年、Necro Trojanが1,100万台のAndroidデバイスに感染しました。
感染経路:
Google Playアプリ(Wuta Camera、Max Browserなど)に悪意のあるSDK(Coral SDK)が含まれていました。
画像ステガノグラフィを使用してペイロードを隠蔽していました。
教訓:
公式ストアのアプリでも100%安全とは限りません。
アプリの評価、レビュー、開発者情報を確認することが重要です。
事例2:60,000個のAndroidアプリによるステルス型アドウェア(2023年)
概要:
VPN、ゲームクラック、ユーティリティを装った60,000以上のAndroidアプリが、サードパーティマーケットを通じてアドウェアをインストールしました。
手口:
- アイコンを隠蔽
- 誤解を招くタイトルを使用
- 偽の「利用不可」メッセージを表示しながら、実際には広告で満たされたWebViewを起動
- 2日間の遅延後にアクティブ化することで検出を回避
対策:
企業はサードパーティAPKのインストールを制限し、定期的に従業員のデバイスをスキャンする必要があります。
事例3:macOS Adload(2024年)
概要:
Adloadアドウェアが、macOSの脆弱性(CVE-2024-44133)を悪用してTCC保護を回避し、Safariのカメラ、マイク、位置情報にアクセスしました。
手口:
ブラウザの設定ファイルを変更することで、システム保護をバイパスしました。
教訓:
macOSでも100%安全ではありません。
OSを常に最新版に更新することが重要です。
事例4:HotPage Adware(2024年)
概要:
HotPageアドウェアが広告ブロッカーを装い、Microsoftの署名済みカーネルドライバをインストールしました。
手口:
- SYSTEM レベルでコードを注入
- ブラウザトラフィックを乗っ取って偽の広告を表示
- Microsoft EV証明書システムを悪用してドライバセキュリティ対策を回避
- データを中国企業Hubei Dunwang Network Technology Co., Ltd.に送信
教訓:
サードパーティの広告ブロッカーには注意が必要です。
信頼できるツール(uBlock Origin など)のみを使用しましょう。
よくある質問
Q1. アドウェアはウイルスですか?
いいえ、アドウェアは厳密にはウイルスではありません。
ウイルスは自己複製して拡散しますが、アドウェアは単に広告を表示します。
ただし、悪質なアドウェアはマルウェアの一種とみなされます。
Q2. アドウェアはスパイウェアと同じですか?
アドウェアとスパイウェアは異なりますが、重なる部分もあります。
スパイウェアはキーストロークやコンピュータとのほぼすべてのやり取りを追跡します。
アドウェアはスパイウェアほど侵入的ではありませんが、閲覧履歴を監視して大量の広告を表示する場合があります。
Q3. アドウェアは個人情報を盗みますか?
はい、一部のアドウェアは個人情報を盗む可能性があります。
訪問したすべてのウェブサイトでの活動を追跡し、悪意のあるサイトへリダイレクトしたり、ターゲット広告を表示したり、閲覧データを第三者に販売したりすることがあります。
Q4. 無料のアドウェア削除ツールは安全ですか?
信頼できる企業が提供する無料ツール(Malwarebytes、AdwCleanerなど)は安全です。
ただし、検索結果に表示される無名のツールには注意が必要です。
偽のセキュリティソフトである可能性があります。
Q5. スマートフォンもアドウェアに感染しますか?
はい、AndroidとiOSの両方がアドウェアに感染する可能性があります。
特にAndroidは、サードパーティストアからアプリをインストールできるため、感染リスクが高くなります。
Q6. アドウェアは勝手にインストールされますか?
多くの場合、ユーザーが無意識にアドウェアのインストールに同意しています。
無料ソフトウェアのインストール時にチェックボックスを確認しなかったり、利用規約を読まなかったりすることが原因です。
Q7. アドウェアは完全に削除できますか?
はい、適切な手順とツールを使用すれば、ほとんどのアドウェアは完全に削除できます。
ただし、復活機能を持つアドウェアもあるため、専用の削除ツールとセキュリティソフトを併用することが推奨されます。
Q8. アドウェアによる法的責任はありますか?
アメリカでは、21州とグアム、プエルトリコがスパイウェア(アドウェアを含む)に関する法律を持っています。
例えば、カリフォルニア州のConsumer Protection Against Computer Spyware Actでは、不正なアドウェアのインストールを禁止しています。
日本でも、不正アクセス禁止法や不正指令電磁的記録作成罪などが適用される場合があります。
まとめ
アドウェアは、広告を表示することで収益を得るソフトウェアで、合法的なものと悪質なものがあります。
悪質なアドウェアは、個人情報の漏洩、システムパフォーマンスの低下、他のマルウェアへの感染リスクなど、深刻な被害をもたらす可能性があります。
アドウェアの主なポイント:
- 合法的アドウェアはユーザーの同意を得て広告を表示
- 悪質なアドウェアは無断でインストールされ、個人情報を盗む
- 主な感染経路は無料ソフトとのバンドルと悪意のあるWebサイト
- 大量の広告表示、動作低下、ブラウザ設定の変更が主な症状
- 削除にはセーフモード起動、不審なプログラムのアンインストール、専用ツールの使用が有効
- 予防には最新の更新、信頼できるソースからのダウンロード、カスタムインストールが重要
予防が最善の対策:
- ソフトウェアを常に最新に保つ
- 信頼できるソースからのみダウンロード
- インストール時は「カスタム」を選択
- セキュリティソフトを導入し、定期的にスキャン
- 広告ブロッカーを使用
- 怪しいリンクやサイトを避ける
アドウェア感染が疑われる場合は、速やかに削除手順を実行し、必要に応じて専門業者に相談しましょう。
日頃から予防策を実践することで、アドウェアの脅威から身を守ることができます。
参考情報
- カスペルスキー:アドウェアとは?種類や削除方法
- Norton:What is adware? (+ tips for prevention and removal)
- CrowdStrike:Adware: How To Remove & 5 Prevention Tips
- SentinelOne:What is Adware? Detection and Prevention Tips
- Gridinsoft:What is Adware in 2025? Definition, Types & Removal Guide
- ITトレンド:アドウェアとは?被害や対策をわかりやすく解説!
- SKYSEA Client View:アドウェアとは? 被害内容や感染経路、削除方法を解説
- LRM株式会社:アドウェアとは?具体的な4つのセキュリティ被害と3つの有効な対策を解説
- wiz LANSCOPE:アドウェアとは?感染経路や想定される被害、対策方法をわかりやすく解説
- Wikipedia:アドウェア

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