Windowsでアプリを開発したり使ったりしていると、「.NET Framework」という言葉を見かけることがありますよね。
「インストールが必要です」と表示されて戸惑った経験がある人も多いのではないでしょうか。
実は.NET Frameworkは、Windowsアプリを動かすための重要な土台となる技術です。
この記事では、.NET Frameworkとは何か、どんな役割があるのか、最新バージョンの情報、そして実際の使い方まで、分かりやすく解説していきます。
.NET Frameworkとは
.NET Frameworkは、マイクロソフトが開発したWindowsアプリケーション開発のためのソフトウェア開発フレームワークです。
簡単に言えば、Windows上でアプリを作ったり動かしたりするための「土台」や「道具箱」のようなものなんです。
プログラマーがアプリを開発するときに必要な機能を、あらかじめまとめて提供してくれているので、ゼロから作る必要がなくなります。
また、一般ユーザーがWindowsアプリを使うときにも、このフレームワークがインストールされていることで、アプリが正しく動作するようになります。
.NET Frameworkの登場背景
.NET Frameworkは、2002年2月13日に最初のバージョン(1.0)がリリースされました。
当時、Windowsアプリの開発は言語ごとに異なるツールや方法が必要で、統一されていない状況でした。
マイクロソフトは、複数のプログラミング言語で使える共通の開発環境を作ることで、この問題を解決しようと考えたんです。
これが「.NETプラットフォーム」の始まりで、.NET Frameworkはその中核となる技術として誕生しました。
Windows専用のフレームワーク
.NET FrameworkはWindows専用の技術です。
Windows 7以降のWindowsには標準で搭載されていて、多くのWindowsアプリがこれを使って作られています。
ただし、後で詳しく説明しますが、現在は「.NET」(旧称.NET Core)というクロスプラットフォーム版も登場しています。
.NET Frameworkは今後もWindowsに搭載され続けますが、新しい開発にはクロスプラットフォームの.NETを使うことが推奨されています。
.NET Frameworkの最新バージョン
.NET Frameworkの最新バージョンは4.8.1です。
このバージョンは2022年8月にリリースされました。
バージョン4.8が最終メジャーバージョン
.NET Framework 4.8(2019年4月リリース)が、最後のメジャーバージョンアップデートとなりました。
マイクロソフトは2019年に、.NET Framework 4.8をもってメジャーアップデートを終了すると発表しています。
つまり、4.9や5.0といった大きなバージョンアップは今後行われません。
ただし、セキュリティ修正やバグ修正のサポートは継続されるので、安心して使い続けることができます。
バージョン4.8.1の位置づけ
4.8.1は、4.8のマイナーアップデート版として2022年8月にリリースされました。
アクセシビリティの向上やいくつかの新機能が追加されていますが、基本的には4.8と同じものと考えて大丈夫です。
Windows 11 22H2(2022年9月リリース)以降には、この4.8.1が標準で含まれています。
Windows 10やWindows Server 2022にも、手動でインストールすることが可能です。
サポート期間について
.NET Framework 4.5.2以降のバージョンは、Windowsのライフサイクルポリシーに従ってサポートされます。
つまり、インストールされているWindowsのサポートが続く限り、.NET Frameworkのサポートも継続されるということです。
例えば、Windows Server 2022のサポート期限は2031年10月14日なので、少なくともそれまでは.NET Framework 4.8もサポートされます。
セキュリティ更新プログラムは、四半期ごと(年4回)にリリースされるのが一般的です。
.NET Frameworkの主な構成要素
.NET Frameworkは、いくつかの重要な部品で構成されています。
共通言語ランタイム(CLR)
CLR(Common Language Runtime)は、.NET Frameworkの中核となる実行環境です。
プログラムを実行するときに、メモリ管理やセキュリティチェックなど、裏側で必要な処理を自動的に行ってくれます。
CLRのおかげで、プログラマーはメモリの細かい管理を気にせずに開発できるようになりました。
また、C#やVisual Basicなど、異なるプログラミング言語で書かれたコードでも、CLR上で実行できるのが大きな特徴です。
基本クラスライブラリ(BCL)
BCL(Base Class Library)は、よく使う機能があらかじめ用意されたプログラムの部品集です。
ファイルの読み書き、ネットワーク通信、データベース接続など、アプリ開発でよく使う機能が含まれています。
これらを一から作る必要がないので、開発者は本当に必要な部分の開発に集中できます。
その他の主要コンポーネント
ASP.NETは、Webアプリケーションやウェブサイトを作るための技術です。
WPF(Windows Presentation Foundation)は、見た目が美しいデスクトップアプリのユーザーインターフェースを作るための技術です。
WCF(Windows Communication Foundation)は、異なるシステム間で通信するためのサービスを作る技術です。
これらの技術も、すべて.NET Frameworkの一部として提供されています。
対応プログラミング言語
.NET Frameworkでは、複数のプログラミング言語を使ってアプリを開発できます。
C#(シーシャープ)
C#は、.NET Frameworkと一緒に開発された、マイクロソフトの主力プログラミング言語です。
JavaやC++の良い部分を取り入れた、モダンで書きやすい言語として人気があります。
現在、.NET Frameworkを使った開発では、C#が最もよく使われています。
Visual Basic(VB.NET)
Visual Basicは、初心者にも分かりやすい文法が特徴の言語です。
長年Windowsアプリ開発で使われてきた歴史があり、既存のシステムで多く使われています。
ただし、新規開発ではC#が主流になっています。
F#(エフシャープ)
F#は、関数型プログラミングを得意とする言語です。
データ分析や科学計算などの分野で使われることが多いです。
C#やVisual Basicと比べると利用者は少ないですが、特定の用途では強力な言語です。
言語の互換性
これらの言語で書かれたコードは、すべて共通中間言語(CIL)という形式にコンパイルされます。
そして、CLRがこのCILをマシンコードに変換して実行するんです。
この仕組みのおかげで、異なる言語で書かれたコード同士を組み合わせることもできます。
.NET Frameworkのバージョン履歴
.NET Frameworkは、2002年の最初のリリースから現在まで、何度もバージョンアップを重ねてきました。
バージョン1.x系(2002年〜2003年)
バージョン1.0(2002年2月13日リリース)が最初のバージョンです。
Windows 98、ME、NT 4.0、2000、XPで動作しました。
バージョン1.1(2003年4月3日リリース)では、いくつかの機能追加と改善が行われました。
Windows Server 2003に標準搭載された、初めてのバージョンです。
バージョン2.0(2005年)
2005年11月にリリースされたバージョン2.0では、CLRに大きな変更が加えられました。
ジェネリック(型パラメータを持つクラスやメソッド)のサポートが追加され、開発効率が大きく向上しました。
Windows Server 2003には標準搭載されていました。
バージョン3.x系(2006年〜2007年)
バージョン3.0(2006年11月リリース)では、CLRは2.0のままで、4つの新技術が追加されました。
Windows Presentation Foundation(WPF)、Windows Communication Foundation(WCF)、Windows Workflow Foundation(WF)、Windows CardSpaceです。
Windows VistaとWindows Server 2008に標準搭載されました。
バージョン3.5(2007年11月リリース)では、LINQ(Language Integrated Query)などの機能が追加されました。
Windows 7に標準搭載されたのがこのバージョンです。
バージョン4.x系(2010年〜現在)
バージョン4.0(2010年4月13日リリース)では、CLRがバージョン4となりました。
並列プログラミングのサポートが強化され、マルチコアCPUを活用しやすくなりました。
バージョン4.5(2012年8月15日リリース)以降は、4.0をベースとしたインプレース更新となっています。
つまり、4.5をインストールすると4.0が上書きされる形になります。
バージョン4.6、4.7、4.8と改良が続き、2019年4月の4.8が最後のメジャーバージョンになりました。
そして2022年8月に、現在の最新版である4.8.1がリリースされました。
.NET Frameworkのインストール方法
Windowsには.NET Frameworkがあらかじめインストールされていることが多いですが、必要なバージョンがない場合はインストールが必要です。
Windowsにデフォルトで含まれるバージョン
各Windowsバージョンには、それぞれ標準で.NET Frameworkが含まれています。
Windows 11には、.NET Framework 4.8または4.8.1が含まれています。
Windows 10には、バージョンによって4.6、4.7、4.8のいずれかが含まれています。
Windows 8.1には、.NET Framework 4.5.1が含まれています。
ただし、古いアプリを動かすために.NET Framework 3.5が必要な場合があります。
.NET Framework 3.5のインストール
Windows 8以降では、.NET Framework 3.5は標準で有効化されていません。
必要な場合は、コントロールパネルまたはサーバーマネージャーから有効化する必要があります。
Windows 10/11での有効化方法
- 「設定」→「アプリ」→「オプション機能」→「Windows のその他の機能」を開く
- 「.NET Framework 3.5(.NET 2.0および3.0を含む)」にチェックを入れる
- 「OK」をクリックしてインストール
インターネット接続が必要で、Windows Updateから必要なファイルがダウンロードされます。
.NET Framework 4.8.1のインストール
最新の4.8.1を手動でインストールする場合は、マイクロソフトの公式サイトからダウンロードできます。
公式ダウンロードページ:https://dotnet.microsoft.com/download/dotnet-framework
Webインストーラーとオフラインインストーラーの2種類があります。
Webインストーラーは、必要なファイルをインターネットからダウンロードしながらインストールします。
オフラインインストーラーは、すべてのファイルが含まれているので、インターネット接続がない環境でもインストール可能です。
インストール後は、通常、再起動が必要になります。
インストール済みバージョンの確認方法
自分のパソコンに、どのバージョンの.NET Frameworkがインストールされているか確認する方法を紹介します。
レジストリエディタで確認する方法
最も正確な方法は、レジストリエディタを使う方法です。
- 「Windows」キー + 「R」キーを押して「ファイル名を指定して実行」を開く
- 「regedit」と入力してEnterキーを押す
- 以下のパスを開く:「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\NET Framework Setup\NDP\v4\Full」
- 「Release」という項目の値を確認
この「Release」の値が、インストールされているバージョンを示しています。
主な値とバージョンの対応
- 533320または533325 = .NET Framework 4.8.1
- 528040または528049 = .NET Framework 4.8
- 461808または461814 = .NET Framework 4.7.2
- 461308または461310 = .NET Framework 4.7.1
- 460798または460805 = .NET Framework 4.7
コマンドプロンプトで確認する方法
PowerShellやコマンドプロンプトから確認することもできます。
PowerShellを開いて、以下のコマンドを入力してください。
(Get-ItemProperty "HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\NET Framework Setup\NDP\v4\Full").Release
表示された数値を、上記の対応表と照らし合わせればバージョンが分かります。
プログラムと機能から確認する方法
コントロールパネルの「プログラムと機能」からも、大まかに確認できます。
- コントロールパネルを開く
- 「プログラムと機能」または「プログラムのアンインストール」を開く
- 「インストールされた更新プログラムを表示」をクリック
- 「Microsoft Windows」の項目に、.NET Frameworkのバージョンが表示される
ただし、この方法では詳細なバージョン番号が分からないこともあります。
.NET Frameworkと.NETの違い
.NET Frameworkと「.NET」(旧称.NET Core)は、名前が似ていますが別物です。
.NET Framework:Windows専用
.NET Frameworkは、Windows専用のフレームワークです。
2002年から開発されてきた歴史があり、多くの既存システムで使われています。
ただし、Windows以外のOSでは動作しません。
.NET:クロスプラットフォーム対応
一方、.NET(旧.NET Core)は、2016年にリリースされた新しいフレームワークです。
Windows、macOS、Linuxなど、複数のOSで動作するのが大きな特徴です。
また、オープンソースで開発されており、誰でもソースコードを見ることができます。
.NET 5以降の名称変更
2020年11月に.NET 5がリリースされたとき、「.NET Core」という名称が「.NET」に変更されました。
.NET Framework 4.xとの混同を避けるため、バージョン4はスキップされて、.NET Core 3.1の次が.NET 5になりました。
2025年2月現在、最新版は.NET 9です。
新規開発ではどちらを使うべきか
マイクロソフトは、すべての新規開発で.NET(旧.NET Core)を使うことを推奨しています。
.NETは以下のメリットがあります。
- クロスプラットフォーム対応
- 高いパフォーマンス
- より多くのアプリケーションタイプをサポート
- 最新の言語機能をサポート
ただし、既存の.NET Frameworkアプリケーションを維持する必要がある場合は、引き続き.NET Frameworkを使っても問題ありません。
.NET Frameworkは今後もサポートが継続されます。
.NET Frameworkを使った開発
開発者向けに、.NET Frameworkを使った開発環境について簡単に説明します。
Visual Studioによる開発
.NET Frameworkアプリを開発するには、通常Visual Studioという統合開発環境(IDE)を使います。
Visual Studioは、コードエディタ、デバッガ、プロジェクト管理ツールなどが統合された強力な開発ツールです。
無料版のVisual Studio Community Editionでも、.NET Framework開発が可能です。
.NET Framework Developer Pack
Visual Studioで特定のバージョンの.NET Frameworkをターゲットにして開発する場合、Developer Packのインストールが必要です。
Developer Packには、開発に必要なライブラリやツールが含まれています。
これもマイクロソフトの公式サイトから無料でダウンロードできます。
開発できるアプリケーションの種類
.NET Frameworkを使うと、様々な種類のアプリケーションを開発できます。
デスクトップアプリケーションは、Windows Forms、WPF、UWPなどの技術を使って作れます。
Webアプリケーションは、ASP.NETを使って作れます。
サービスアプリケーションは、WCFやWindows Serviceとして作れます。
ライブラリは、他のアプリから呼び出して使える機能をまとめたものとして作れます。
よくある問題と対処法
.NET Frameworkに関連してよくある問題と、その解決方法を紹介します。
アプリ起動時に「.NET Frameworkが必要です」と表示される
これは、そのアプリが必要とするバージョンの.NET Frameworkがインストールされていないことを意味します。
エラーメッセージに表示されているバージョンを、マイクロソフトの公式サイトからダウンロードしてインストールしましょう。
インストール後、パソコンを再起動してから、もう一度アプリを起動してください。
.NET Framework 3.5のインストールに失敗する
Windows 8以降で.NET Framework 3.5をインストールしようとすると、エラーが出ることがあります。
対処法1:Windows Updateを確認する
コントロールパネルの「Windows Update」から、保留中の更新プログラムがないか確認してください。
更新があれば、先にそれらをインストールしてから、.NET Framework 3.5のインストールを試してみましょう。
対処法2:インストールメディアを使う
インターネット経由でのインストールが失敗する場合、Windows 10のインストールメディア(USBまたはISO)を使う方法があります。
DISMコマンドを使って、インストールメディアから直接インストールできます。
.NET Frameworkが原因でアプリが動かない
すでに.NET Frameworkがインストールされているのにアプリが動かない場合、フレームワークが破損している可能性があります。
修復インストールを試す
マイクロソフトの公式サイトから、該当バージョンのインストーラーをダウンロードして実行してください。
既存のインストールを検出して、修復してくれます。
完全に削除して再インストール
修復インストールでも解決しない場合は、コントロールパネルの「プログラムと機能」から.NET Frameworkをアンインストールして、再インストールしてみましょう。
ただし、.NET Framework 4.x系は、Windowsの重要なコンポーネントなので、アンインストールは慎重に行ってください。
まとめ
.NET Frameworkは、Windowsアプリケーションの開発と実行を支える重要なフレームワークです。
最新バージョンは4.8.1(2022年8月リリース)で、今後も長期的にサポートが継続されます。
ただし、4.8が最後のメジャーバージョンであり、大きな機能追加は行われません。
新規開発では、クロスプラットフォーム対応の.NET(旧.NET Core)を使うことが推奨されています。
既存のシステムで.NET Frameworkを使い続ける場合でも、セキュリティ更新は継続されるので安心です。
一般ユーザーとしては、必要なときに必要なバージョンをインストールすれば問題ありません。
開発者であれば、既存システムのメンテナンスには.NET Frameworkの知識が必要ですが、新しいプロジェクトでは.NETへの移行を検討する価値があります。
.NET Frameworkは20年以上の歴史を持つ技術ですが、その基本的な考え方や設計思想は、現在の.NETにも受け継がれています。
どちらの技術も、Windowsアプリケーション開発において重要な役割を果たし続けることでしょう。


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