Waterfox(ウォーターフォックス)とは?特徴・使い方・Firefoxとの違いを解説

Web

Waterfoxは、Mozilla Firefoxをベースにした無料のオープンソースWebブラウザです。
プライバシー保護と高いカスタマイズ性を重視しており、Windows、macOS、Linux、Androidで利用できます。
この記事では、Waterfoxの特徴、Firefoxとの違い、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。

スポンサーリンク

Waterfoxとは

Waterfoxは、2011年にイギリスの学生Alex Kontos氏(当時16歳)が開発を開始したWebブラウザです。
当時、Firefoxは32ビット版のみ提供されており、64ビット環境に最適化されたブラウザはほとんどありませんでした。
Kontos氏は「ハードウェアの性能を活かしきれていない」と感じ、64ビット専用に最適化したFirefox派生ブラウザとしてWaterfoxを開発しました。

Waterfoxの名前の由来は、Firefoxの「Fire(火)」に対して「Water(水)」を組み合わせたものです。

開発の歴史

Waterfoxの開発には、いくつかの重要な転機がありました。

  1. 2011年3月27日:Waterfoxの初版を公開
  2. 2014年11月10日:macOS版を公開
  3. 2016年11月20日:Linux版を公開
  4. 2019年10月15日:Waterfox ClassicとWaterfox Currentの2ブランチ体制を開始
  5. 2019年12月:広告企業System1に買収(2020年2月に公表)
  6. 2023年7月:System1から独立し、再び独立プロジェクトに
  7. 2023年11月:Android版をGoogle Play Storeで公開

System1による買収は、プライバシー重視を掲げるブラウザが広告企業に買収されたことで、ユーザーの間に懸念が広がりました。
しかし、開発者のKontos氏は2023年に独立を果たし、現在はプライバシー保護と独立性を再び強調しています。

Waterfoxの主な特徴

Waterfoxには、以下のような特徴があります。

1. プライバシー保護機能

Waterfoxは、ユーザーのプライバシーを保護するための機能を標準搭載しています。

Firefoxに含まれるテレメトリー(使用状況の自動送信機能)やデータ収集機能を削除しています。
収集するデータは、アップデート関連(バージョン・OS情報)のみに限定されています。

また、デフォルトでトラッキング防止機能が有効になっており、広告やウェブサイトによる追跡をブロックします。

さらに、DNS over Oblivious HTTP(DoOH)に対応しており、DNSクエリを暗号化するだけでなく、誰がクエリを送信したのかも隠します。
この機能により、ネットワーク事業者やDNSプロバイダーからも閲覧履歴を保護できます。

2. 高度なタブ管理機能

Waterfoxの特徴的な機能の一つが、ツリー型タブ管理です。

あるタブから開いたリンクは自動的に「子タブ」として階層化されるため、リサーチ作業や複数のタブを開く作業が効率的になります。
タブを折りたたむことで、作業中のタブグループを整理できます。
親タブを閉じると、その下にある子タブもまとめて閉じることができます。

この機能は拡張機能なしで標準搭載されており、Waterfoxの大きな魅力の一つとなっています。

3. 拡張機能の互換性

Waterfoxは、複数のブラウザの拡張機能に対応しています。

Firefox Add-ons(Mozilla公式アドオンストア)の拡張機能がインストールできます。
Chrome Web Storeの拡張機能も一部利用可能です。
Opera Extensionsの拡張機能も一部利用可能です。

また、Waterfox Classicでは、Firefoxが2017年に廃止したレガシーアドオン(XUL/XPCOM形式)も引き続き利用できます。
ただし、Waterfox Currentでは、最新のWebExtensions形式の拡張機能のみ対応しています。

4. 軽量で高速な動作

Waterfoxは、64ビット環境向けに最適化されているため、効率的にメモリを使用します。

複数のタブを開いても、ハングアップ(フリーズ)する時間が短縮されます。
ページの読み込みが高速です。
ゲームなど、ブラウザ上で動作するコンテンツもスムーズに動作します。

ただし、ユーザーレビューでは「Firefoxとほぼ同等」「むしろFirefoxより重い」という意見もあり、体感速度は環境により異なるようです。

Waterfox CurrentとWaterfox Classicの違い

Waterfoxは、2019年10月から2つのバージョンを並行開発していました。

Waterfox Current

最新のウェブ技術に対応した現行バージョンです。

最新のGeckoエンジンをベースにしています。
WebExtensions形式の拡張機能に対応しています。
最新のウェブ標準に対応しています。
定期的にアップデートが行われています。

現在、公式サイトからダウンロードできるのは、このWaterfox Currentです。

Waterfox Classic

古いバージョンのGeckoエンジンをベースにしたバージョンです。

レガシーアドオン(XUL/XPCOM形式)に対応しています。
Firefox 56以前の拡張機能が利用できます。
古いウェブサイトとの互換性が高いです。

ただし、Waterfox Classicはセキュリティ更新が限定的であり、最新のウェブ標準に対応していない可能性があります。
現在は開発が停止されているか、更新頻度が非常に低い状態です。

そのため、セキュリティ面を考慮すると、Waterfox Currentの使用をお勧めします。

FirefoxとWaterfoxの違い

WaterfoxはFirefoxをベースにしていますが、いくつかの重要な違いがあります。

1. テレメトリーとデータ収集

Firefox:デフォルトでテレメトリー機能が有効になっており、使用状況データをMozillaに送信します。
設定で無効化できますが、初期状態では有効です。

Waterfox:テレメトリー機能が完全に削除されています。
収集するデータは、アップデート用のバージョン・OS情報のみです。

2. 拡張機能の対応

Firefox:Firefox 57(Quantum)以降、レガシーアドオンに対応していません。
WebExtensions形式の拡張機能のみ対応しています。

Waterfox:Waterfox Currentは最新の拡張機能に対応しています。
Waterfox Classicはレガシーアドオンにも対応しています(ただしセキュリティリスクあり)。

3. 標準機能

Firefox:Pocket統合、Firefox Syncなどの追加機能が含まれています。

Waterfox:Pocket統合などの一部機能が削除されています。
代わりに、ツリー型タブなどの独自機能が追加されています。

4. 開発元

Firefox:Mozilla Foundationが開発・運営しています。
大規模な開発チームと豊富な資金があります。

Waterfox:開発者Alex Kontos氏を中心とした小規模チームが開発しています。
独立プロジェクトとして運営されています。

5. アップデート頻度

Firefox:4週間ごとに新バージョンがリリースされます。
頻繁にセキュリティアップデートが提供されます。

Waterfox:Firefoxのセキュリティアップデートを取り込みつつ、独自のスケジュールでリリースされます。
アップデート頻度はFirefoxより低い場合があります。

Waterfoxのメリット

Waterfoxを使用するメリットは、以下の通りです。

1. プライバシー保護

テレメトリーやトラッキング機能が削除されているため、プライバシーを重視するユーザーに適しています。
データ収集が最小限に抑えられています。

2. 高いカスタマイズ性

ツリー型タブなどの便利な機能が標準搭載されています。
複数のブラウザの拡張機能が利用できます。

3. Firefoxからの移行が容易

FirefoxとUIや操作方法がほぼ同じため、Firefoxユーザーは違和感なく移行できます。
ブックマーク、パスワード、履歴などのデータを簡単にインポートできます。

4. オープンソース

ソースコードが公開されているため、誰でも内容を確認できます。
コミュニティによる監視と改善が行われています。

5. マルチプラットフォーム対応

Windows、macOS、Linux、Androidで利用できます。
デバイス間でブックマークやタブを同期できます(Waterfox Accountが必要)。

Waterfoxのデメリット

一方で、Waterfoxにはいくつかの注意点もあります。

1. アップデート頻度

Firefoxと比較すると、アップデート頻度が低い場合があります。
最新のセキュリティパッチが適用されるまでに時間がかかる可能性があります。

2. 開発体制の規模

小規模な開発チームであるため、Firefoxと比較すると開発リソースが限られています。
バグ修正や新機能の追加に時間がかかることがあります。

3. 資金面の不安定性

System1から独立した後、資金源が限定的になっています。
検索エンジンとの提携による収益に依存しており、長期的な持続性に懸念があります。

4. 知名度の低さ

Chrome、Firefox、Edgeなどのメジャーブラウザと比較すると、知名度が低いです。
そのため、トラブル発生時の情報や解決策が見つかりにくい場合があります。

5. パフォーマンスの個人差

ユーザーレビューでは、「Firefoxより速い」という意見と「Firefoxとほぼ同じ」という意見が混在しています。
環境によっては、期待したほどのパフォーマンス向上が感じられない可能性があります。

Waterfoxのインストール方法

Waterfoxのインストールは簡単です。
以下の手順で行います。

Windows、macOS、Linux

  1. Waterfox公式サイトにアクセスします。
  2. 「Download」ボタンをクリックします。
  3. 使用しているOS(Windows、macOS、Linux)を選択します。
  4. ダウンロードしたインストーラーを実行します。
  5. 画面の指示に従ってインストールを完了します。

インストール時に、他のブラウザからブックマークやパスワードをインポートするかどうかを選択できます。

Android

  1. Google Play Storeで「Waterfox」を検索します。
  2. 「インストール」をタップします。

インストール後、初回起動時にいくつかの設定を行います。

Waterfoxの基本的な使い方

Waterfoxの使い方は、基本的にFirefoxと同じです。

ブックマークの追加

  1. ブックマークしたいページを開きます。
  2. アドレスバーの右端にある星アイコンをクリックします。
  3. 保存先のフォルダを選択して「完了」をクリックします。

拡張機能のインストール

  1. メニューボタン(≡)をクリックします。
  2. 「Add-ons and themes(アドオンとテーマ)」を選択します。
  3. 検索ボックスで拡張機能を検索します。
  4. 「Add to Waterfox」ボタンをクリックします。

プライベートブラウジング

  1. メニューボタン(≡)をクリックします。
  2. 「New Private Window(新しいプライベートウィンドウ)」を選択します。

プライベートウィンドウでは、閲覧履歴やCookieが保存されません。

ツリー型タブの使い方

Waterfoxの特徴的なツリー型タブ機能は、以下のように動作します。

あるタブから開いたリンクは、自動的にそのタブの下に階層化されます。
タブの左端にある矢印アイコンをクリックすると、子タブを折りたたむことができます。
親タブを閉じると、確認メッセージが表示され、子タブもまとめて閉じることができます。

この機能により、複数のタブを開いても、作業内容ごとに整理しやすくなります。

よくある質問

Q1: WaterfoxとFirefoxはどちらが速いですか?

環境により異なります。
Waterfoxは64ビット環境向けに最適化されていますが、体感速度は使用するPCのスペックや拡張機能の数により変わります。
ベンチマークテストでは、Waterfoxがやや上回る結果が出ることもありますが、大きな差はありません。

Q2: Waterfoxは安全ですか?

Waterfoxはオープンソースであり、ソースコードが公開されています。
また、Firefoxのセキュリティアップデートを取り込んでいるため、基本的なセキュリティは確保されています。

ただし、System1による買収の経緯や、小規模な開発体制から、絶対的なプライバシーブラウザとして推奨されているわけではありません。
より高いプライバシー保護を求める場合は、Tor BrowserやMullvad Browserなどの専門的なブラウザを検討することをお勧めします。

Q3: FirefoxからWaterfoxへデータを移行できますか?

はい、可能です。
Waterfoxのインストール時、または設定画面から、Firefoxのブックマーク、パスワード、履歴、Cookieなどをインポートできます。

ただし、最新版のFirefoxで使用されている暗号化方式の違いにより、パスワードのインポートが失敗する場合があります。

Q4: Waterfoxは日本語に対応していますか?

はい、対応しています。
Waterfoxは多言語対応しており、日本語UIで使用できます。
インストール時に自動的にシステムの言語設定を検出して適用されます。

Q5: Waterfox ClassicとWaterfox Currentはどちらを使うべきですか?

セキュリティと最新のウェブ標準への対応を考慮すると、Waterfox Currentをお勧めします。
Waterfox Classicは古い拡張機能を使いたい場合のみ選択肢となりますが、セキュリティリスクがあることを理解した上で使用してください。

まとめ

Waterfoxは、Firefoxをベースにしたプライバシー重視のオープンソースブラウザです。
テレメトリー機能の削除、ツリー型タブ管理、高いカスタマイズ性が特徴です。

Firefoxからの移行が容易で、同じ拡張機能が使えるため、Firefoxユーザーにとって魅力的な選択肢となります。

ただし、小規模な開発体制や資金面の不安定性といった課題もあります。
プライバシーを重視しつつ、Firefoxに近い使い勝手を求めるユーザーに適したブラウザと言えるでしょう。

参考情報

この記事は、以下の情報源を参考にしています。

  1. Waterfox公式サイト
  2. Waterfox – Wikipedia(日本語版)
  3. Waterfox – Wikipedia(英語版)
  4. WaterfoxのGitHubリポジトリ
  5. Waterfox公式リリースノート
  6. Waterfox Browser Cuts Ties with System1 – gHacks Tech News
  7. Fifteen Years of Waterfox: Interview with Alex Kontos

コメント

タイトルとURLをコピーしました