LibreWolfは、プライバシーとセキュリティを最優先に設計されたウェブブラウザです。
Firefoxをベースにしながらも、トラッキング防止や広告ブロックなどの機能が最初から有効になっており、追加設定なしで高いプライバシー保護を実現します。
この記事では、LibreWolfの特徴、Firefoxとの違い、インストール方法、そして注意点まで詳しく解説します。
LibreWolfの基本情報
LibreWolfは、Mozilla Firefoxのフォーク(派生版)として開発されたオープンソースのウェブブラウザです。
2020年3月7日にLinux版が最初にリリースされ、その後Windows版、macOS版も公開されました。
開発の背景
LibreWolfプロジェクトは、Firefoxのビジネスモデルやパートナーシップに懸念を持つ開発者コミュニティによって立ち上げられました。
目標は、商業的な依存を排除し、プライバシー保護に特化したブラウザを作ることです。
プロジェクトはコミュニティ主導で運営されており、GitLabやMatrixを通じて誰でも開発に参加できます。
LibreWolfという名称は「自由な狼」を意味し、Firefoxの「狐」にかけた命名と考えられています。
ライセンス
LibreWolfはMPL 2.0(Mozilla Public License 2.0)ライセンスで提供される完全に無料のソフトウェアです。
ユーザーは自由にダウンロード、使用、改変、配布することができます。
LibreWolfの主な特徴
プライバシー保護機能
LibreWolfは、以下のプライバシー保護機能をデフォルトで搭載しています。
テレメトリの完全無効化
Firefoxに組み込まれているテレメトリ(利用データ収集)機能が完全に削除されています。
クラッシュレポート、使用統計、パーソナライズされた推奨機能など、あらゆるデータ収集が行われません。
トラッキング防止の強化
Firefoxの「強化されたトラッキング防止」機能が、最も厳格な「厳格モード」に設定されています。
これにより、トラッキングクッキーやソーシャルメディアトラッカー、フィンガープリンティングスクリプトが積極的にブロックされます。
終了時のデータ削除
ブラウザを閉じると、Cookieとサイトデータがデフォルトで自動削除されます。
これにより、セッション間でのトラッキングを防止できます。
ただし、この設定は変更可能で、特定のサイトを例外として登録することもできます。
広告ブロック機能
uBlock Origin標準搭載
高機能な広告ブロッカー「uBlock Origin」が最初からインストールされています。
uBlock Originは、広告だけでなく、トラッキングスクリプトや悪意のあるサイトもブロックします。
Firefoxでも拡張機能として追加できますが、LibreWolfでは設定不要で即座に利用できます。
プライバシー重視の検索エンジン
DuckDuckGoがデフォルト
LibreWolfのデフォルト検索エンジンはDuckDuckGoです。
DuckDuckGoは、検索履歴を記録せず、IPアドレスやCookieを収集しないプライバシー重視の検索エンジンとして知られています。
他にも、Searx、Qwant、MetaGerなど、プライバシーを尊重する検索エンジンが選択肢として用意されています。
削除された機能
LibreWolfは、プライバシー保護のために以下の機能をFirefoxから削除しています。
Pocket統合機能
記事保存サービスPocketへのリンクとボタンが削除されています。
スポンサー付きショートカット
新しいタブページに表示されるスポンサー付きのショートカットが表示されません。
自動更新機能
自動更新機能は搭載されていません。
更新は、パッケージマネージャーまたはユーザーが手動で実行する必要があります。
Firefoxとの違い
LibreWolfとFirefoxの主な違いを比較します。
ベースバージョン
Firefox: 通常版と延長サポート版(ESR)
Firefoxには、通常版と企業向けの延長サポート版(ESR)があります。
LibreWolf: 最新安定版ベース
LibreWolfは、Firefoxの最新安定版(Stable版)をベースにビルドされます。
これにより、最新のセキュリティアップデートと機能を提供しつつ、安定性も維持しています。
デフォルト設定
Firefox: Googleが既定の検索エンジン
Firefoxは、Googleと公式パートナーシップを結んでおり、Googleがデフォルトの検索エンジンです。
Googleは、この位置を得るために料金を支払っています。
LibreWolf: DuckDuckGoが既定の検索エンジン
LibreWolfは、プライバシーを重視し、DuckDuckGoをデフォルトに設定しています。
プライバシー機能
Firefox: 基本保護がデフォルト
Firefoxの「強化されたトラッキング防止」は、デフォルトで「基本保護」に設定されています。
これは、一般的なトラッカーをブロックしつつ、ウェブサイトの動作を妨げないバランスの取れた設定です。
LibreWolf: 厳格モードがデフォルト
LibreWolfは、「厳格モード」をデフォルトとしています。
これにより、より多くのトラッカーがブロックされますが、一部のウェブサイトが正常に表示されないこともあります。
同期機能
Firefox: Firefox Syncが利用可能
Firefoxは、ブックマーク、パスワード、閲覧履歴をデバイス間で同期できるFirefox Sync機能を提供しています。
LibreWolf: Firefox Syncがデフォルトでオフ
LibreWolfでは、プライバシー保護のため、Firefox Syncがデフォルトで無効化されています。
ただし、設定から有効にすることは可能です。
DRM機能
Firefox: DRMが有効
FirefoxはDRM(Digital Rights Management、デジタル著作権管理)をサポートしており、NetflixやAmazon Prime Videoなどのストリーミングサービスを視聴できます。
LibreWolf: DRMがデフォルトでオフ
LibreWolfは、DRMをユーザーの自由を制限する機能と考え、デフォルトで無効化しています。
DRMが必要な場合は、設定から手動で有効にできます。
Google Safe Browsing
Firefox: 有効
Firefoxは、Google Safe Browsingを使用して、フィッシングサイトやマルウェア配布サイトを検出します。
LibreWolf: 無効
LibreWolfは、Googleによるデータ収集の懸念から、Google Safe Browsingをデフォルトで無効にしています。
インターフェース
Firefox: Pocketボタンあり
Firefoxのアドレスバー右側には、Pocketへの保存ボタンが表示されます。
LibreWolf: シンプルなインターフェース
LibreWolfは、Pocketボタンを削除し、代わりにダウンロードマネージャーへの直接アクセスボタンを配置しています。
ブックマークメニューからもFirefoxウェブサイトへのリンクが削除されています。
LibreWolfのメリット
すぐに使える高いプライバシー保護
Firefoxでも同様のプライバシー設定は可能ですが、複数の設定変更と拡張機能のインストールが必要です。
LibreWolfは、最初からプライバシー重視の設定が適用されているため、追加設定なしで安全に利用できます。
不要な機能の排除
テレメトリ、Pocket、スポンサー付きコンテンツなど、プライバシーに影響する可能性のある機能が削除されています。
これにより、シンプルで軽量なブラウジング体験が得られます。
オープンソースとコミュニティ主導
LibreWolfは完全にオープンソースであり、透明性が高いです。
コミュニティによって開発されているため、商業的な利益に影響されません。
最新のセキュリティアップデート
Firefoxの最新安定版をベースにしているため、セキュリティアップデートも迅速に適用されます。
LibreWolfのデメリット
一部のウェブサイトが正常に動作しない可能性
厳格なトラッキング防止とuBlock Originにより、一部のウェブサイトが正常に表示されないことがあります。
特に、トラッキングスクリプトに依存しているサイトや、広告ブロッカーを検出するサイトでは問題が発生する可能性があります。
この場合、該当サイトをuBlock Originの例外リストに追加するか、一時的にブロックを無効化する必要があります。
自動更新機能がない
LibreWolfには自動更新機能が組み込まれていません。
Windowsユーザーは、LibreWolf WinUpdaterという別のツールを使用して自動更新を設定できますが、手動で更新を適用する必要がある場合もあります。
セキュリティを保つためには、定期的に更新を確認する習慣が必要です。
DRMコンテンツの視聴には設定変更が必要
NetflixやAmazon Prime Videoなどのストリーミングサービスを利用する場合、DRMを手動で有効にする必要があります。
モバイル版が存在しない
LibreWolfは、Windows、macOS、Linuxでのみ利用可能です。
iOSやAndroidには対応していません。
利便性とプライバシーのトレードオフ
終了時にCookieが削除されるため、ウェブサイトにログインしたままの状態を維持できません。
毎回ログインが必要になるため、利便性が低下します。
この設定は変更可能ですが、デフォルトのままではストレスを感じる可能性があります。
システム要件
LibreWolfを快適に動作させるためのシステム要件は以下の通りです。
Windows版
- 対応OS: Windows 10(ビルド1709以降)、Windows 11
- アーキテクチャ: 64ビット専用(32ビット版は廃止予定)
- プロセッサ: Intel Core i3相当以上
- メモリ: 4GB以上推奨
- ストレージ: 500MB以上の空き容量
- 必要なソフトウェア: Microsoft Visual C++ Redistributableパッケージ
macOS版
- 対応OS: macOS 10.9以降
- アーキテクチャ: x86_64およびARM64(Apple Silicon)対応
Linux版
- 対応ディストリビューション: Ubuntu 12.04以降、Debian 8以降、Fedora 21以降、Arch Linuxなど
- インストール方法: パッケージマネージャー、Flatpak、AppImageなど複数の方法に対応
インストール方法
Windows版
LibreWolfのWindows版は、複数のインストール方法があります。
公式インストーラー
LibreWolf公式サイトから、Windows用のインストーラー(librewolf-147.0.2-1-windows-x86_64-setup.exe)をダウンロードできます。
インストーラーには、自動更新用のLibreWolf WinUpdaterが含まれています。
ポータブル版
USBメモリーなどで持ち運べるポータブル版も提供されています。
システムレベルのインストールが不要で、テスト用途にも適しています。
Microsoft Store
Microsoft Storeからもインストール可能です。
自動更新が提供されるため、更新管理が簡単です。
パッケージマネージャー
Chocolatey、Scoop、wingetなどのパッケージマネージャーにも対応しています。
macOS版
macOS版は、以下の方法でインストールできます。
公式サイトからダウンロード
.dmgファイルをダウンロードし、通常のmacOSアプリと同様にインストールします。
Homebrew
Homebrewを使用してインストールすることもできます。
Linux版
Linux版は、ディストリビューションに応じて複数のインストール方法があります。
Debian/Ubuntu系
公式リポジトリを追加してインストールできます。
Arch Linux
AUR(Arch User Repository)からインストール可能です。
Flatpak
Flathubを通じて、多くのLinuxディストリビューションで利用できます。
AppImage
AppImageLauncherを使用すると、システムに統合して使用できます。
日本語化の方法
LibreWolfは初期状態では英語インターフェースですが、日本語化は簡単です。
- LibreWolfを起動します。
- 画面右上のハンバーガーメニュー(三本線)をクリックします。
- 「Settings」を選択します。
- 設定画面をスクロールして「Language」セクションを見つけます。
- 「English (US)」プルダウンをクリックし、「Japanese」を選択します。
- ブラウザを再起動すると、インターフェースが日本語化されます。
他のプライバシー重視ブラウザとの比較
LibreWolf以外にも、プライバシーを重視したブラウザがいくつか存在します。
代表的なものとして、Tor BrowserとBrave Browserがあります。
Tor Browserとの違い
匿名性の違い
Tor Browserは、Torネットワークを使用して通信を3段階のノードを経由させ、完全な匿名性を実現します。
LibreWolfは、トラッキングを防止しますが、Torのような匿名ネットワークは使用しません。
速度の違い
Torネットワークの多段階経由により、Tor Browserは非常に遅くなります。
LibreWolfは、通常のインターネット接続を使用するため、速度面で有利です。
用途の違い
Tor Browserは、完全な匿名性が必要な場合に使用します。
LibreWolfは、日常的なブラウジングでプライバシーを保護したい場合に適しています。
公式サイトの推奨
LibreWolf公式サイトでも、Torネットワーク上でLibreWolfを使用しないよう推奨しています。
Torの匿名性を損なう可能性があるためです。
Brave Browserとの違い
ブラウザエンジン
Braveは、Google ChromeベースのChromium Blinkエンジンを使用しています。
LibreWolfは、FirefoxベースのGeckoエンジンを使用しています。
広告ブロック方式
Braveは、広告ブロック機能が内蔵されています。
LibreWolfは、uBlock Origin拡張機能を標準搭載しています。
内蔵と拡張機能の違いにより、Braveの方が処理が高速になる傾向があります。
収益モデル
Braveは、独自の広告配信システムを持ち、広告収益をユーザーと分配する仕組みがあります。
また、有料のVPNサービスも提供しています。
LibreWolfは、収益化の手段を持たず、寄付や助成金に依存しています。
対応プラットフォーム
Braveは、Windows、macOS、Linux、Android、iOSで利用できます。
LibreWolfは、デスクトップ版のみで、モバイル版は存在しません。
プライバシー保護レベルの評価
2022年にPrivacyTests.orgが実施したブラウザのプライバシーテストでは、LibreWolf、Brave Browser、Tor Browserが、他のブラウザと比較して最も高いプライバシー保護を提供していると評価されました。
使用上の注意点
ウェブサイトの互換性問題
厳格なトラッキング防止設定により、一部のウェブサイトが正常に動作しない場合があります。
ログインフォームが機能しない、ページが正しく表示されない、機能が制限されるなどの問題が発生する可能性があります。
対処法:
- アドレスバー左端のシールドアイコンをクリックし、該当サイトの保護を一時的に無効化します。
- uBlock Originの設定で、該当サイトを例外リストに追加します。
- どうしても解決しない場合は、そのサイトにアクセスする際のみFirefoxなど他のブラウザを使用します。
定期的な更新確認が必要
自動更新機能がないため、セキュリティアップデートを見逃すリスクがあります。
対処法:
- Windows版では、LibreWolf WinUpdaterをインストールし、自動更新を設定します。
- 手動で更新する場合は、定期的に公式サイトをチェックします。
- パッケージマネージャーを使用している場合は、システムの更新時に一緒に更新されます。
Cookieの自動削除による不便さ
ブラウザを閉じるとCookieが削除されるため、毎回ログインが必要になります。
対処法:
- 設定から「終了時にCookieとサイトデータを削除する」を無効化します。
- 特定のサイトのみCookieを保持するよう、例外を設定します。
まとめ
LibreWolfは、プライバシーとセキュリティを重視するユーザーにとって優れた選択肢です。
Firefoxをベースにしながらも、デフォルトで高度なプライバシー保護機能が有効になっており、追加設定なしで安全に利用できます。
ただし、厳格なトラッキング防止により一部のウェブサイトで互換性の問題が発生する可能性があること、自動更新機能がないこと、モバイル版が存在しないことなど、いくつかの制限もあります。
日常的なブラウジングでプライバシーを保護したい方、Firefoxの高度なカスタマイズを手間なく実現したい方に適しています。
一方で、利便性を重視する方や、すべてのウェブサイトで問題なく動作することを優先する方には、通常のFirefoxの方が適しているかもしれません。
自分のニーズに合わせて、LibreWolfとFirefoxを使い分けることも有効な選択肢です。
参考情報
この記事は、以下の信頼できる情報源を参照して作成しました。
- LibreWolf公式サイト
- LibreWolf – Wikipedia
- LibreWolf公式FAQ
- LibreWolf GitLab リポジトリ
- PrivacyTests.org – Browser Privacy Tests
※この記事は2025年2月時点の情報に基づいています。最新の情報は公式サイトでご確認ください。

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