Floorp(フロープ)は、日本の開発者によって作られたMozilla Firefoxベースのウェブブラウザです。
高いカスタマイズ性、プライバシー保護機能、そして使いやすさを兼ね備えています。
垂直タブ、ワークスペース機能、多機能サイドバーなど、Firefox標準にはない便利な機能が最初から搭載されているのが特徴です。
この記事では、Floorpの基本情報から主要機能、導入方法まで詳しく解説します。
Floorpの基本情報
Floorpは、Mozilla Firefoxをベースとしたオープンソースのウェブブラウザです。
開発者のRyosuke Asano氏を中心に、日本の学生コミュニティ「Ablaze」と提携して開発・メンテナンスされています。
開発の経緯
Floorpの最初のバージョンは2021年8月22日にリリースされました。
当初はChromiumベースでしたが、同年9月19日にリリースされたバージョン7.0.0からFirefoxベースに変更されました。
その後、2022年1月のバージョン8.2.3で英語サポートが追加され、国際的な展開が始まりました。
2023年7月には、垂直タブやワークスペース機能を搭載したFloorp 11.0.0がリリースされ、大きな進化を遂げました。
そして2025年8月には、Firefox Rapid Releaseをベースとした最新版Floorp 12が既存ユーザーへ配信開始されました。
対応環境
Floorpは以下の環境で動作します。
- Windows 10以降(Windows 7、8、8.1はサポート対象外)
- macOS
- Linux
現時点ではx86_64 CPU アーキテクチャに対応しています。
AArch64(ARM64)版については、一時的にサポートが停止されていますが、将来的に再開予定です。
Floorpの主要機能
Floorpには、Firefoxにはない独自機能が多数搭載されています。
垂直タブ
タブを画面の左側に縦に並べて表示できる機能です。
多数のタブを開いても見やすく、目的のタブを探しやすいのが特徴です。
Floorp 11までは独自実装の垂直タブが搭載されていましたが、Floorp 12以降はFirefoxのネイティブ垂直タブ機能を使用するように変更されました。
これにより、長期的な安定性と保守性が向上しています。
ワークスペース機能
タブをカテゴリごとに異なるワークスペースにグループ化できる機能です。
単一ウィンドウ内で複数のタブのセットを切り替えることができます。
例えば、ソーシャルメディア用、旅行計画用、仕事関連のリサーチ用などとタブを分けておくことで、作業効率が大幅に向上します。
ブラウザーマネージャーサイドバー
Floorpの右側(設定で左側にも変更可能)に表示される多機能サイドバーです。
お気に入り、履歴、ウェブサイトなどをパネル表示できます。
パネルに表示するウェブサイトは自分で追加することも可能です。
サイドバーは折り畳むこともでき、マウスが重なったときのみ展開する設定もできます。
Floorp Notes
ウェブサイトを閲覧しながらメモを取れる機能です。
Floorp 12では、リッチテキストエディターが追加され、太字や斜体などの装飾も使用できるようになりました。
このメモは、同じMozillaアカウントで同期されているFloorpで共有されます。
また、ノートのドラッグ&ドロップによる並べ替えもサポートされており、メモの管理が容易になりました。
カスタムCSS機能
ブラウザの外観を細かくカスタマイズできる機能です。
FirefoxでもカスタムCSSは使用できますが、自力でファイルを用意し、高度な設定を変更する必要があります。
Floorpでは、設定画面から簡単にカスタムCSSを適用でき、再起動も不要です。
デザインの切り替え
ブラウザの外観を複数のデザインから選択できます。
デフォルトの「Lepton デザイン」の他、以下のデザインが用意されています。
- Firefox Proton デザイン(Firefoxのデフォルトテーマ)
- Firefox Proton・Lepton デザイン
- Floorp Fluerial UI デザイン
- Microsoft Fluent UI デザイン
以前の設定とは異なり、Floorp 12ではデザインの切り替えにブラウザの再起動が不要になりました。
PWA(プログレッシブウェブアプリ)対応
2023年12月リリースのバージョン11.7.0で、Windows版にPWA機能が実装されました。
これは、Firefoxが開発を放棄した機能であり、Firefox派生ブラウザとしては初の実装です。
PWAを使用すると、ウェブサイトをアプリのようにインストールして使用できます。
分割ビュー機能
2つのタブで開いたウェブページを左右または上下に並べて同時に閲覧できる機能です。
複数の情報源を比較する際に便利です。
QRコード表示機能
表示中のウェブページのURLをQRコードで表示できます。
スマートフォンなど、Firefox Syncで同期していないデバイスにも簡単にタブを共有できます。
マウスジェスチャー
Floorp 12から、完全ネイティブ実装のマウスジェスチャーが追加されました。
マウスの動きだけでブラウザを操作できます。
また、ロッカージェスチャー機能もあり、右クリックを押しながら左クリックでページを戻り、反対の操作で進むことができます。
ショートカットキーのカスタマイズ
ブラウザの様々な操作に割り当てられたショートカットキーを自由に編集できます。
自分の使いやすいキー配置にカスタマイズすることで、作業効率が向上します。
プライバシーとセキュリティ
Floorpは、プライバシー保護を重視した設計になっています。
トラッキング保護
デフォルトで強力なトラッキングブロッカーが搭載されており、ウェブ上の様々な悪意のあるトラッカーから保護します。
Firefoxの標準的なトラッキング保護機能も含まれています。
フィンガープリント保護
フィンガープリントに対する強力な保護を設定できます。
WebGLやWebRTCの有効・無効を切り替えることもでき、個人や端末を特定するメカニズムを抑制できます。
テレメトリの無効化
Firefoxに含まれる不要なテレメトリオプションは無効化されています。
Floorpはユーザーからデータを収集せず、ユーザーを追跡せず、ユーザーデータを第三者に販売しません。
広告会社との提携もありません。
追加の広告ブロック
Floorpは、さらに多くの広告とトラッカーをブロックしたい場合の選択肢として、uBlock Originのインストールを推奨しています。
uBlock Originは、人気のある広告ブロッカーで、高い効果が期待できます。
Floorp 12の変更点
2025年8月にリリースされたFloorp 12は、これまでで最も大きなアップデートとなりました。
Firefox Rapid Releaseベースへの移行
最も重要な変更点は、ベースブラウザの変更です。
Floorp 11まではFirefox ESR(Extended Support Release)をベースにしていました。
しかし、Floorp 12からはFirefox Rapid Release(迅速リリース版)をベースに変更されました。
これにより、最新のFirefox機能をより迅速に提供できるようになりました。
Floorp Hub
Floorp固有の設定を一元管理できる新しい設定ページが追加されました。
以前は、FirefoxとFloorpの設定が混在していましたが、Floorp Hubで一括管理できるようになりました。
Floorp Start
デフォルトの新しいタブページが刷新されました。
Floorp 11で使用できた壁紙の設定や、新しく制作されたオリジナル壁紙も選択できます。
削除・変更された機能
一部の機能は削除または変更されています。
主な変更点は以下の通りです。
- 設定ページでのUser.js編集機能の削除(手動編集に変更)
- Firefoxショートカットキーの一括無効化機能の削除
- Floorp独自の垂直タブ実装の削除(Firefoxネイティブ機能に置き換え)
- Gesturefy専用コマンドの削除(ネイティブマウスジェスチャー機能に置き換え)
- uBlock Origin、Gesturefyの自動実行の廃止(ユーザーが手動で設定)
導入方法
Floorpは公式サイトから無料でダウンロードできます。
インストール手順
- Floorp公式サイトにアクセス
- 「Download」ボタンをクリック
- 使用しているOSを選択
- インストーラーをダウンロード
- ダウンロードしたファイルを実行してインストール
初期設定
初回起動時にはセットアップ画面が表示されます。
主な設定項目は以下の通りです。
- 外観の選択(ライト・ダーク・システム設定)
- 既定の検索エンジンの選択(Google、Bing、DuckDuckGo、Startpage、You.comなど)
- 他のブラウザからのブックマークなどのインポート(任意)
Firefox Syncアカウントを持っている場合は、サインインすることで各種データを同期できます。
Floorpの評価
Floorpは、複数のメディアで高い評価を受けています。
『Mr.PC』誌2023年5月号では、有用な機能が標準で搭載されていて便利で使いやすいと評価されています。
『窓の杜』のレビュー記事では、以下の点が評価されています。
- 垂直タブなどの便利な機能が標準で含まれている
- アドオンのインストールなしでも快適なブラウジングが可能
- UIのカスタマイズ性が高い
- 国内開発なので海外製のアプリよりも気軽に開発者とコミュニケーションが取れる
他のブラウザとの比較
Firefox との比較
Floorpの基盤となっているのがFirefoxです。
Floorpが優れている点は以下の通りです。
- 垂直タブ、ワークスペース、PWAなど、多数の追加機能が標準搭載されている
- UIのカスタマイズ性が高い
- テレメトリが無効化されており、プライバシー保護が強化されている
Firefox が優れている点は以下の通りです。
- より多くのプラットフォームに対応している
- 開発元のMozillaによる公式サポートがある
- より多くのユーザーベースがあり、情報が豊富
Chrome との比較
Floorpが優れている点は以下の通りです。
- プライバシー保護が強化されている(テレメトリ無効、トラッキング保護)
- UIのカスタマイズ性が高い
- Firefoxの強力なアドオンサポートを継承している
Chrome が優れている点は以下の通りです。
- DRM対応が充実している
- ウェブサイトとの互換性が高い
- Google サービスとの統合が優れている
Brave との比較
Floorpが優れている点は以下の通りです。
- UIのカスタマイズ性が高い
- Gecko エンジンを使用している(Chromium独占への対抗)
Brave が優れている点は以下の通りです。
- デフォルトのプライバシー性能が高い
- インストール直後から、強力なトラッカーブロックとフィンガープリンティングのランダム化が機能する
Floorpのライセンスとオープンソース
Floorpは完全にオープンソースのプロジェクトです。
ソースコードはMozilla Public License 2.0の下で公開されています。
GitHubリポジトリで、ソースコードを閲覧したり、開発に貢献したりすることができます。
ブラウザ本体だけでなく、ビルド環境もオープンソースとして公開されています。
Floorpの名称は開発者の登録商標であり、Floorpのロゴは著作権で保護されています。
なお、FloorpはMozilla及びMozilla Firefoxとは提携関係にありません。
まとめ
Floorpは、Firefoxのプライバシー保護とセキュリティを維持しながら、多数の便利な機能を追加したウェブブラウザです。
垂直タブ、ワークスペース、多機能サイドバー、PWA対応など、Firefox標準にはない機能が最初から搭載されています。
UIのカスタマイズ性が高く、自分好みのブラウザ環境を構築できます。
プライバシー保護も強化されており、テレメトリの無効化やトラッキング保護機能が標準で搭載されています。
Floorp 12からはFirefox Rapid Releaseベースに変更され、最新機能をより迅速に提供できるようになりました。
日本の開発者による国産ブラウザであり、日本語でのサポートも充実しています。
Firefoxベースのブラウザで、より多機能で使いやすいものを探している方には、Floorpは優れた選択肢となるでしょう。

コメント