@(アットマーク)の使い方と意味をわかりやすく解説

メールアドレスやSNSで毎日のように目にする「@」という記号。
当たり前のように使っていますが、実はこの記号には長い歴史と様々な使い方があることをご存知でしょうか。
この記事では、@(アットマーク)の意味、由来、使い方、世界各国での呼び名まで詳しく解説します。

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@(アットマーク)とは

@は「アットマーク」と呼ばれる記号文字です。
英語の前置詞「at(~で、~において)」を表す記号として使われています。

正式名称は国際的な文字コード規格では「commercial at(コマーシャルアット)」とされています。
日本では「アットマーク」という呼び名が定着していますが、これは実は和製英語です。
英語では「at sign(アットサイン)」「at symbol(アットシンボル)」または単に「at」と呼ばれます。

キーボードでは数字の「2」のキーと同じ場所にあり、Shiftキーを押しながら「2」を押すことで入力できます。

@の歴史と由来

@の歴史は意外なほど古く、その起源は中世ヨーロッパにまで遡ります。

中世の起源(6世紀~7世紀)

@の形の起源については諸説ありますが、最も有力な説は、中世の修道士たちが書写作業の効率化のために生み出したというものです。

当時、印刷技術がなかったため、書物を複写するには手書きで全てを書き写す必要がありました。
修道士たちは手の負担を減らすため、ラテン語の前置詞「ad(~へ、~において)」を一筆で書けるように工夫しました。
筆記体の「a」に「d」の上昇部分を大きく伸ばして左へカーブさせ、「a」を囲むような形にしたのが@の始まりと考えられています。

別の説では、フランス語の前置詞「à(~で)」から発展したとも言われています。

商業での使用(16世紀~)

1536年、イタリア人歴史学者ジョルジョ・スタビーレによって、フィレンツェの商人フランチェスコ・ラピが書いた手紙の中に@が使われていることが発見されました。

この手紙はセビリアからローマへ送られたもので、ペルーにおけるワインの価格について記されていました。
ここで@は「amphora(アンフォラ)」という、ワインや穀物を運ぶための標準的な容量単位を表す記号として使われていました。

その後、@は商取引で「単価記号」として広く使われるようになりました。
例えば「商品7個 @ $2 = $14」という表記は「商品7個、各単価2ドル、小計14ドル」という意味です。

タイプライターへの搭載(19世紀後半)

1867年に発明された最初のタイプライターには@は含まれていませんでした。
しかし1885年頃から一部のタイプライターに搭載されるようになり、1900年の「Underwood No. 5」という非常に成功したモデルに採用されてからは、標準的な記号となっていきました。

それでも20世紀後半まで、@は比較的マイナーな記号でした。

メールアドレスでの革命(1971年)

@が世界中で使われる記号になったのは、1971年のことです。

アメリカのコンピュータ技術者レイ・トムリンソン(Ray Tomlinson)が、世界初の電子メールシステムを開発していました。
彼は、メールアドレスでユーザー名とコンピュータ名(ドメイン名)を区切る記号が必要だと考えました。

この記号は次の条件を満たす必要がありました。

  1. 人の名前には使われない記号であること
  2. プログラムやシステムで既に広く使われていないこと
  3. キーボードに既に存在すること
  4. 意味的に適切であること

トムリンソンが使っていたModel 33テレタイプのキーボードを見渡したところ、@がこの条件に完璧に合致していました。
@は「~において」という意味を持つため、「このユーザーはこのコンピュータにいる」という意味を自然に表現できました。

こうして「username@domainname」という形式が誕生し、電子メールの標準となりました。
トムリンソンは後に「@を使うことで、この記号がキーボードの”セント(¢)”記号のように消えていくのを救ったかもしれない」と語っています。

インターネット時代(1990年代~現在)

1990年代にインターネットが一般に普及すると、@は一躍有名な記号になりました。

2000年代半ばには、Twitterユーザーたちが他のユーザーに言及する際に「@username」という形式を使い始めました。
これは最初はユーザーが自発的に始めた慣習でしたが、2007年にTwitterがこれを公式機能として採用し、@がソーシャルメディアの標準記号となりました。

現在では、Instagram、TikTok、Facebookなど、ほとんど全てのSNSで@が使われています。

2010年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)は@を永久コレクションに加えました。
2025年には「デザイン史における重要な転換点」を示す展示に、Google Mapのピンや初代MacのGUIアイコンと並んで@が選ばれています。

@の主な使い方

@は現在、様々な場面で使われています。

1. メールアドレス

最も一般的な使い方は、メールアドレスでユーザー名とドメイン名を区切ることです。

例:tanaka@example.com

この場合、「tanaka」がユーザー名で、「example.com」がドメイン名です。
@の意味から考えると「tanakaというユーザーはexample.comというドメインにいる」という意味になります。

2. SNSでのメンション

TwitterやInstagramなどのSNSでは、特定のユーザーに言及する(メンションする)際に@を使います。

例:@yamada さん、おはようございます!

この形式で投稿すると、yamadaというユーザーに通知が届きます。

3. 単価記号

@の本来の用途である単価を示す使い方は、今でもビジネス文書や会計で使われています。

例:りんご 5個 @100円 = 500円

これは「りんご5個、各単価100円、合計500円」という意味です。
日本では「@100円」と書いて「単価100円」と読みます。

重要な注意点として、@は必ず数字の前に置きます。
「100円@」のように数字の後に置くことはありません。

4. 場所を表す

英語のatが「~で」という場所を示す意味を持つことから、日本のSNSや掲示板では場所を示すために使われることがあります。

例:

  • ランチ@渋谷(渋谷でランチ)
  • 改札@JR新宿駅(JR新宿駅の改札で)
  • 待ち合わせ@六本木(六本木で待ち合わせ)

ただし、これはカジュアルな表現なので、正式なビジネス文書では避けるべきです。

5. 所属を表す

名前の後に@を付けて、その人の所属や現在の状態を示すことがあります。

例:

  • 山田太郎@株式会社ABC(株式会社ABCに所属する山田太郎)
  • 田中花子@営業部(営業部の田中花子)
  • 鈴木一郎@出張中(出張中の鈴木一郎)
  • 佐藤次郎@初心者(初心者の佐藤次郎)

これもSNSや掲示板、オンラインゲームなどでよく見られる使い方です。

6. 「あと」を表す(日本独自)

日本のインターネット文化、特にニコニコ動画やSNSなどでは、「あと~」という意味で@を使うことがあります。

例:

  • @15分(あと15分)
  • @1人(あと1人)
  • @3日(あと3日)

これは「あと」と「アット」の音が似ていることから生まれた日本独自の使い方です。

7. プログラミングでの使用

プログラミング言語でも@は様々な用途で使われます。

例:

  • Pythonではデコレータを示す
  • Rubyではインスタンス変数を示す
  • PHPではエラー抑制演算子として使われる

8. その他の使い方

  • アマチュア選手の表記:日本のプロゴルフツアーでアマチュア選手が参加した際、順位表の氏名の前に@が付けられます
  • IRCでのオペレーター表示:インターネットリレーチャット(IRC)では、チャンネルのオペレーター権限を持つユーザーのニックネームの前に@が付きます
  • スペイン語・ポルトガル語での男女両方の表記:「amig@s」は「amigos(男の友達)またはamigas(女の友達)」を意味します

@の入力方法

パソコンでの入力方法

Windows・Mac共通:

  1. 半角入力モードにする
  2. Shiftキーを押しながら数字の「2」キーを押す

これで「@」が入力されます。

スマートフォンでの入力方法

iPhone:

  1. 英語キーボードに切り替える
  2. 「123」キーをタップして数字・記号キーボードを表示
  3. 「@」をタップ

Android:

  1. 英語キーボードに切り替える
  2. 「?123」キーをタップして数字・記号キーボードを表示
  3. 「@」をタップ

日本語キーボードの場合も、記号一覧から「@」を選択できます。

世界各国での@の呼び名

@は各国で独自の呼び名があり、その形から連想される動物や食べ物に例えられることが多いです。

動物に例える国

カタツムリ:

  • イタリア語:chiocciola(キオッチョラ)
  • 韓国語:골뱅이(ゴルベンイ、巻貝)
  • ウクライナ語:равлик(ラヴリク)
  • エスペラント語:heliko(ヘリコ)

サルやサルの尻尾:

  • ドイツ語:Klammeraffe(クランマーアッフェ、ぶら下がるサル)
  • オランダ語:apenstaartje(アーペンスタールチェ、小さなサルの尻尾)
  • ポーランド語:małpa(マウパ、サル)
  • ブルガリア語:маймунка(マイムンカ、小さなサル)
  • スロベニア語:afna(アフナ、サル)

犬:

  • ロシア語:собака、собачка(サバーカ、サバーチカ、犬、小さな犬)

その他の動物:

  • ギリシャ語:παπάκι(パパキ、小さなアヒル)
  • 中国語(台湾):小老鼠(シャオラオシュ、小さなネズミ)
  • ハンガリー語:kukac(クカツ、蠕虫、ウジ虫)
  • フィンランド語:miukumauku(ミウクマウク、猫の鳴き声)

身体の部分や物に例える国

象の鼻:

  • デンマーク語:snabel-a(スナベル・エー、象の鼻のa)

食べ物:

  • ヘブライ語:שטרודל(シュトゥルーデル、シュトゥルーデルというお菓子)
  • スウェーデン語:kanelbulle(カネルブッレ、シナモンロール)
  • チェコ語・スロバキア語:zavináč(ザヴィナーチ、ロールモップ、巻きニシン)

その他:

  • スペイン語・ポルトガル語:arroba(アローバ、重量の単位)
  • ノルウェー語:krøllalfa(クロルアルファ、カールしたアルファ)
  • ベトナム語:a còng、a móc(ア・コン、ア・モック、湾曲したa、鈎付きのa)

日本での呼び名

日本では、@の渦巻き状の形が鳴門巻き(かまぼこの一種)の断面に似ていることから、「なると」という愛称もあります。

@にまつわる興味深い事実

1. 文字コードでの位置

@は標準的な文字コードASCIIで64番(16進数で40)に割り当てられています。
国際的な文字コードUnicodeでも同じ64番(U+0040)に収録されています。
また、全角文字の「@」はUnicodeの65312番(U+FF20)に収録されています。

2. 公式名称は「コマーシャルアット」

ANSI、CCITT、Unicodeなどの国際的な文字コード規格では、@の公式名称は全て「commercial at(コマーシャルアット)」です。
Unicodeはさらに「at sign」を代替名称としています。

3. 美術館のコレクションに

2010年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)は@をデザインコレクションに加えました。
MoMAは@を「優雅さ、経済性、知的透明性、そして私たちの時代の芸術に埋め込まれた将来の可能性の方向性の感覚を持つ例」と評価しています。

4. 最古の記録

現在確認されている最も古い@の使用例は、1345年にブルガリアで書かれたギリシャ年代記の翻訳文書に見られます。

5. 「アットマーク」は和製英語

日本で一般的な「アットマーク」という呼び方は、実は和製英語です。
「マーク」を付けるのは日本語独自の用法で、英語圏では単に「at sign」または「at symbol」と呼ばれます。

ビジネスシーンでの注意点

@は非常に便利な記号ですが、使用には注意が必要な場面もあります。

正式な文書では避ける

@は基本的に略記号なので、正式なビジネス文書や公式な場面では避けるべきです。

避けるべき例:

  • 社外への正式な見積書で「商品A @1,000円」
  • 公式な報告書で「会議@本社」
  • 正式な案内状で「開催場所@東京国際フォーラム」

適切な表現:

  • 「商品A 単価1,000円」
  • 「会議場所:本社」
  • 「開催場所:東京国際フォーラム」

カジュアルなビジネスシーンではOK

一方、社内のチャットツール、メモ、簡易的な連絡などでは@を使っても問題ありません。

問題ない例:

  • Slackでの連絡:「@山田さん、資料の確認をお願いします」
  • 社内メモ:「打ち合わせ@会議室A」
  • 簡易見積もり:「ノートPC 10台 @150,000円」

まとめ

@(アットマーク)は、中世ヨーロッパの修道士たちの工夫から生まれ、商業記号として発展し、1971年に電子メールで採用されたことで世界中に広まった記号です。

現在では次のような使い方があります。

  1. メールアドレスでユーザー名とドメイン名を区切る
  2. SNSで特定のユーザーをメンションする
  3. 単価を示す記号として使う
  4. 場所や所属を示す(カジュアルな場面)
  5. 「あと~」という意味で使う(日本独自)

世界各国で「カタツムリ」「サルの尻尾」「小さなアヒル」など、ユニークな呼び名があるのも興味深い点です。

たった1つの記号ですが、@はインターネット時代に欠かせない、デジタルコミュニケーションの象徴となっています。
普段何気なく使っている@の歴史や意味を知ることで、デジタルコミュニケーションがより面白く感じられるかもしれません。

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