大河ドラマや歴史小説で「甲斐」「尾張」「薩摩」といった地名を聞いたこと、ありませんか?
これらは戦国時代に使われていた「国名」なんです。
現代の都道府県とは違い、戦国時代の日本は68の「国」に分かれていました。
この記事では、戦国時代の国名(令制国)68ヵ国をすべて紹介します。
令制国とは?
令制国(りょうせいこく)は、奈良時代から明治初期まで使われた日本の地方区分です。
701年の大宝律令で整備され、なんと約1300年もの歴史があるんですね。
戦国時代には行政単位としての役割は失われていましたが、地理区分としては現役でした。
戦国大名たちも、領国支配の正当性を示すために国名や国司の肩書きを欲しがったといいます。
現代との違い
- 都道府県:47
- 令制国(戦国時代):68
都道府県より細かく分かれているんです。
五畿七道とは?
68の国は「五畿七道(ごきしちどう)」という広域区分でまとめられていました。
五畿(畿内)
都(京都)周辺の5ヵ国のこと。
現代の「首都圏」みたいな感覚ですね。
七道
都から放射状に延びる7つの街道とその周辺地域。
「東海道」「山陽道」といった名前は、現代でも地方名として使われています。
五畿七道の構成
| 区分 | 国数 | 構成国 |
|---|---|---|
| 五畿(畿内) | 5 | 山城、大和、摂津、河内、和泉 |
| 東海道 | 15 | 伊賀、伊勢、志摩、尾張、三河、遠江、駿河、伊豆、甲斐、相模、武蔵、安房、上総、下総、常陸 |
| 東山道 | 8 | 近江、美濃、飛騨、信濃、上野、下野、陸奥、出羽 |
| 北陸道 | 7 | 若狭、越前、加賀、能登、越中、越後、佐渡 |
| 山陰道 | 8 | 丹波、丹後、但馬、因幡、伯耆、出雲、石見、隠岐 |
| 山陽道 | 8 | 播磨、美作、備前、備中、備後、安芸、周防、長門 |
| 南海道 | 6 | 紀伊、淡路、阿波、讃岐、伊予、土佐 |
| 西海道 | 11 | 筑前、筑後、豊前、豊後、肥前、肥後、日向、大隅、薩摩、壱岐、対馬 |
戦国時代の国名68ヵ国 完全一覧
五畿(畿内)
| 国名 | 読み方 | 別称 | 現在の都道府県 |
|---|---|---|---|
| 山城 | やましろ | 山州 | 京都府南部 |
| 大和 | やまと | 和州 | 奈良県 |
| 摂津 | せっつ | 摂州 | 大阪府北部・兵庫県南東部 |
| 河内 | かわち | 河州 | 大阪府東部 |
| 和泉 | いずみ | 泉州 | 大阪府南西部 |
東海道(15ヵ国)
| 国名 | 読み方 | 別称 | 現在の都道府県 |
|---|---|---|---|
| 伊賀 | いが | 伊州 | 三重県西部 |
| 伊勢 | いせ | 勢州 | 三重県中部・北部 |
| 志摩 | しま | 志州 | 三重県東部 |
| 尾張 | おわり | 尾州 | 愛知県西部 |
| 三河 | みかわ | 三州 | 愛知県東部 |
| 遠江 | とおとうみ | 遠州 | 静岡県西部 |
| 駿河 | するが | 駿州 | 静岡県中部・東部 |
| 伊豆 | いず | 豆州 | 静岡県伊豆半島 |
| 甲斐 | かい | 甲州 | 山梨県 |
| 相模 | さがみ | 相州 | 神奈川県 |
| 武蔵 | むさし | 武州 | 東京都・埼玉県・神奈川県北東部 |
| 安房 | あわ | 房州 | 千葉県南部 |
| 上総 | かずさ | 総州 | 千葉県中部 |
| 下総 | しもうさ | 総州 | 千葉県北部・茨城県西部 |
| 常陸 | ひたち | 常州 | 茨城県 |
東山道(8ヵ国)
| 国名 | 読み方 | 別称 | 現在の都道府県 |
|---|---|---|---|
| 近江 | おうみ | 江州 | 滋賀県 |
| 美濃 | みの | 濃州 | 岐阜県南部 |
| 飛騨 | ひだ | 飛州 | 岐阜県北部 |
| 信濃 | しなの | 信州 | 長野県 |
| 上野 | こうずけ | 上州 | 群馬県 |
| 下野 | しもつけ | 野州 | 栃木県 |
| 陸奥 | むつ | 奥州 | 青森県・岩手県・宮城県・福島県 |
| 出羽 | でわ | 羽州 | 秋田県・山形県 |
北陸道(7ヵ国)
| 国名 | 読み方 | 別称 | 現在の都道府県 |
|---|---|---|---|
| 若狭 | わかさ | 若州 | 福井県南西部 |
| 越前 | えちぜん | 越州 | 福井県北部 |
| 加賀 | かが | 加州 | 石川県南部 |
| 能登 | のと | 能州 | 石川県北部 |
| 越中 | えっちゅう | 越州 | 富山県 |
| 越後 | えちご | 越州 | 新潟県 |
| 佐渡 | さど | 佐州 | 新潟県佐渡島 |
山陰道(8ヵ国)
| 国名 | 読み方 | 別称 | 現在の都道府県 |
|---|---|---|---|
| 丹波 | たんば | 丹州 | 京都府中部・兵庫県北東部 |
| 丹後 | たんご | 丹州 | 京都府北部 |
| 但馬 | たじま | 但州 | 兵庫県北部 |
| 因幡 | いなば | 因州 | 鳥取県東部 |
| 伯耆 | ほうき | 伯州 | 鳥取県西部 |
| 出雲 | いずも | 雲州 | 島根県東部 |
| 石見 | いわみ | 石州 | 島根県西部 |
| 隠岐 | おき | 隠州 | 島根県隠岐諸島 |
山陽道(8ヵ国)
| 国名 | 読み方 | 別称 | 現在の都道府県 |
|---|---|---|---|
| 播磨 | はりま | 播州 | 兵庫県南西部 |
| 美作 | みまさか | 作州 | 岡山県北部 |
| 備前 | びぜん | 備州 | 岡山県南東部 |
| 備中 | びっちゅう | 備州 | 岡山県西部 |
| 備後 | びんご | 備州 | 広島県東部 |
| 安芸 | あき | 芸州 | 広島県西部 |
| 周防 | すおう | 防州 | 山口県東部 |
| 長門 | ながと | 長州 | 山口県西部 |
南海道(6ヵ国)
| 国名 | 読み方 | 別称 | 現在の都道府県 |
|---|---|---|---|
| 紀伊 | きい | 紀州 | 和歌山県・三重県南部 |
| 淡路 | あわじ | 淡州 | 兵庫県淡路島 |
| 阿波 | あわ | 阿州 | 徳島県 |
| 讃岐 | さぬき | 讃州 | 香川県 |
| 伊予 | いよ | 予州 | 愛媛県 |
| 土佐 | とさ | 土州 | 高知県 |
西海道(11ヵ国)
| 国名 | 読み方 | 別称 | 現在の都道府県 |
|---|---|---|---|
| 筑前 | ちくぜん | 筑州 | 福岡県北部 |
| 筑後 | ちくご | 筑州 | 福岡県南部 |
| 豊前 | ぶぜん | 豊州 | 福岡県東部・大分県北部 |
| 豊後 | ぶんご | 豊州 | 大分県 |
| 肥前 | ひぜん | 肥州 | 佐賀県・長崎県 |
| 肥後 | ひご | 肥州 | 熊本県 |
| 日向 | ひゅうが | 向州 | 宮崎県 |
| 大隅 | おおすみ | 隅州 | 鹿児島県東部 |
| 薩摩 | さつま | 薩州 | 鹿児島県西部 |
| 壱岐 | いき | 壱州 | 長崎県壱岐島 |
| 対馬 | つしま | 対州 | 長崎県対馬 |
知っておくと面白い豆知識
同じ読み方の国がある
「あわ」と読む国が2つあります。
- 東海道の「安房(あわ)」
- 南海道の「阿波(あわ)」
混同しやすいので注意が必要ですね。
東京スカイツリーの高さの秘密
東京スカイツリーの高さ634mは「むさし(武蔵)」にちなんでいます。
武蔵国は現在の東京都・埼玉県・神奈川県の一部を含む広大な国でした。
「加賀百万石」の意味
「加賀百万石」で有名な前田家の領地は、実際には加賀・能登・越中の3ヵ国にまたがっていました。
石高100万石を超える大藩は江戸時代を通じて加賀藩だけだったんです。
長州藩・薩摩藩の本当の名前
幕末で有名な「長州藩」「薩摩藩」は通称で、正式名称は「山口藩」「鹿児島藩」でした。
「藩」という名称自体、明治時代になってから公式に使われるようになったんですね。
戦国時代の国名の特徴
行政単位ではなく地理区分
戦国時代、令制国は行政単位としての役割を失っていました。
国司は完全に名目だけの官職となり、実際の支配は戦国大名が行っていたんです。
ただし、地理区分としては広く使われており、領地が入り組んでいた戦国大名たちも「〇〇国」という単位で領地を表現していました。
国司の肩書きを欲しがった戦国大名
戦国大名たちは、領国支配の正当性を示すために国司の官位を欲しがりました。
織田信長は「上総介(かずさのすけ)」、徳川家康は「三河守(みかわのかみ)」を名乗っていますが、これらは形式的な肩書きで、実際の権限はありませんでした。
1つの国に複数の大名が割拠
戦国時代、1つの国内に複数の戦国大名や国人が割拠することは珍しくありませんでした。
たとえば近江国には浅井氏・六角氏など複数の勢力が存在していたんです。
明治時代以降の変化
明治元年から2年(1869年)にかけて、令制国は大きく再編されました。
陸奥国の分割
広大だった陸奥国は5ヵ国に分割されました。
- 陸前、陸中、陸奥、岩代、磐城
出羽国の分割
出羽国は2ヵ国に分割。
- 羽前、羽後
北海道11ヵ国の新設
蝦夷地を北海道と改め、11ヵ国が新設されました。
これにより、令制国は全部で84ヵ国となりました。
ただし、戦国時代の68ヵ国が最も長く使われた構成であり、歴史的には重要なんですね。
現代でも残る国名の影響
令制国は明治時代の廃藩置県で行政区分としての役割を終えましたが、現代でも様々な場所で名残が見られます。
地名として
武蔵野市、相模原市、甲府市、信濃町など、令制国に由来する地名が多数残っています。
駅名として
武蔵小杉駅、相模大野駅、甲斐大泉駅など。
企業名・商品名として
駿河銀行、遠州鉄道、越後製菓など、令制国の名前を冠した企業も多いです。
方言の区分として
「播州弁」「土佐弁」「薩摩弁」など、方言の名称にも使われています。
参考情報
この記事の作成にあたり、以下の情報源を参照しました:
- Wikipedia「令制国」「令制国一覧」「五畿七道」(2025年1月閲覧)
- 国立公文書館デジタルアーカイブ『日本国総目録』
- 戦国ヒストリー「戦国時代の地理区分(令制国)と年号(和暦)を知ろう!」
- Start Point「令制国(旧国名)68ヵ国の五畿七道別一覧リストと旧国名地図」
さらに詳しく知りたい方へ:
- 『国史大辞典』吉川弘文館
- 『日本歴史地名大系』平凡社
- 戦国時代の勢力図サイト(各国の主要大名や石高の詳細)
まとめ
戦国時代の国名(令制国)について、68ヵ国すべてを紹介しました。
押さえておきたいポイント
- 戦国時代の日本は68の「国」に分かれていた
- 五畿七道という広域区分でまとめられていた
- 都道府県より細かい地域区分だった
- 行政単位ではなく地理区分として使われていた
- 現代でも地名や企業名に多く残っている
大河ドラマや歴史小説を読むとき、この国名を知っていると理解が深まります。
「尾張の織田」「甲斐の武田」「薩摩の島津」といった表現も、令制国を知っていればすんなり頭に入ってきますよね。
約1300年の歴史を持つ令制国。
戦国時代を学ぶ上で欠かせない基礎知識なので、ぜひこの一覧を活用してください!

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