化学者一覧|歴史を変えた偉大な化学者たち

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「化学者」と聞いて、誰の名前が思い浮かびますか?
実験室で薬品を混ぜたり、白衣を着て試験管を振ったり……そんなイメージかもしれません。

でも、化学者たちがこれまでにやってきたことは、もっとすごいんです。
今あなたが使っているスマホ、飲んでいる薬、着ている服。
これ全部、化学者たちの研究があったからこそ存在しているんですね。

この記事では、歴史を変えた偉大な化学者たちを紹介します。
「へぇ〜!」と思えるエピソード満載でお届けしますよ。

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化学の歴史を作った先駆者たち

近代化学の父・ラボアジエ

化学の歴史を語るなら、この人を外せません。
アントワーヌ・ラボアジエです。

彼が生きていたのは1700年代のフランス。
当時はまだ「燃えるのは燃素という物質が出ていくから」なんて考えられていた時代でした。

ラボアジエは「質量保存の法則」を発見しました。
簡単に言うと「化学反応の前後で、物質の総量は変わらない」というルールです。

これって当たり前のように聞こえますよね。
でも、この法則がなかったら、今の化学は存在しなかったかもしれません。

残念ながら、彼はフランス革命のときにギロチンで処刑されてしまいました。
科学者なのに政治の犠牲になったんです。

周期表を夢で見た男・メンデレーエフ

化学室の壁に必ず貼ってあるあれ、覚えていますか?
そう、周期表です。

あれを作ったのが、ロシアの化学者ドミトリ・メンデレーエフです。
1869年のことでした。

面白いのは、彼がこの周期表を「夢で見た」と言っているんですよ。
3日3晩考え続けて疲れ果て、ようやく眠ったときに夢に出てきたんだとか。

メンデレーエフはただ元素を並べただけじゃありません。
まだ発見されていない元素のために「空欄」を残したんです。

そして、その空欄の元素がどんな性質を持つかまで予言しました。
実際、後から発見された元素は、彼の予言通りの性質だったんです。

これ、めちゃくちゃすごくないですか?

2回もノーベル賞を取った女性・マリー・キュリー

マリー・キュリーの名前、聞いたことありますよね。
ノーベル賞を2回受賞した唯一の女性科学者です。

しかも、物理学賞(1903年)と化学賞(1911年)という別々の分野で受賞しているんです。
こんなことができた人は、今でも彼女だけ。

彼女が発見したのは、ラジウムとポロニウムという放射性元素でした。
放射線の研究に一生を捧げた結果、彼女自身も放射線被曝で亡くなってしまいました。

今でも彼女のノートは放射線で汚染されていて、触るには防護服が必要なんだそうです。
それくらい危険な研究を、命がけでやっていたんですね。

ちなみに、娘のイレーヌ・ジョリオ=キュリーも1935年にノーベル化学賞を受賞しています。
親子2代でノーベル賞って、すごすぎます。

ダイナマイトを発明した平和主義者・ノーベル

「ノーベル賞」の名前の由来になったアルフレッド・ノーベル。
実は彼も化学者だったんです。

ノーベルはダイナマイトを発明しました。
トンネルを掘ったり、道路を作ったり……そんな平和的な目的で作ったんですね。

ところが、戦争の武器として使われるようになってしまいました。
これにショックを受けたノーベルは、遺言でこう残しました。

「私の財産を使って、人類に貢献した人に賞を与えてほしい」

こうして生まれたのが、ノーベル賞なんです。
皮肉なことに、彼の発明が戦争に使われたからこそ、平和への願いが込められた賞が生まれたんですね。

日本が誇る化学者たち

日本人でノーベル化学賞を受賞した人は、2025年時点で9人います。
アジアの中でも圧倒的に多いんです。

フロンティア軌道理論の福井謙一

日本人初のノーベル化学賞受賞者が、福井謙一さんです(1981年受賞)。

彼が提唱した「フロンティア軌道理論」は、化学反応がどう起こるかを予測する理論です。
めちゃくちゃ難しそうですよね。

でも、これのおかげで新しい薬や素材を効率よく開発できるようになったんです。
まさに化学の世界を変えた大発見でした。

民間企業の技術者が受賞・田中耕一

2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一さん。
彼の受賞は、日本中を驚かせました。

なぜかって?
彼は大学教授じゃなく、島津製作所という会社の「普通の技術者」だったからです。

しかも、受賞対象になった研究は、実験の「失敗」から生まれたんです。
間違えて混ぜてしまった物質が、思いがけない効果を発揮したんですね。

田中さんは受賞時、こんなふうに語っていました。
「研究者じゃない私でも受賞できた。誰にでもチャンスはあると伝えたい」

めちゃくちゃかっこいいですよね。

リチウムイオン電池の吉野彰

2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰さん。
彼の発明がなければ、今のスマホもノートパソコンも存在しなかったかもしれません。

吉野さんが開発したのは、リチウムイオン電池です。
軽くて長持ちする電池を作ったことで、モバイル機器の時代が始まったんです。

「電池なんて地味」と思うかもしれません。
でも、電気自動車や再生可能エネルギーの普及にも欠かせない技術なんです。

吉野さんは受賞時、「基礎研究の大切さ」を訴えていました。
すぐには役に立たない研究でも、いつか世界を変えることがあるんですね。

最新の受賞者・北川進

2025年にノーベル化学賞を受賞した北川進さん。
彼が開発した「金属有機構造体(MOF)」は、気体を自由に出し入れできる素材です。

これが何に使えるかって?
二酸化炭素を吸収して地球温暖化を防いだり、水素を安全に保管したり……
環境問題やエネルギー問題の解決に役立つんです。

北川さんは福井謙一さんの流れをくむ研究室の出身。
日本の化学の伝統が、しっかり受け継がれているんですね。

世界を変えた女性化学者

化学の世界では、女性たちも大活躍してきました。

X線で分子を見た・ドロシー・ホジキン

イギリスの化学者ドロシー・ホジキンは、1964年にノーベル化学賞を受賞しました。
イギリス人女性として唯一の化学賞受賞者です。

彼女が使ったのは、X線結晶学という技術。
X線を使って、目に見えない分子の形を調べる方法です。

ホジキンはこの技術で、ペニシリンやビタミンB12の構造を解明しました。
さらに35年かけて、インスリンの構造も明らかにしたんです。

インスリンは糖尿病の治療に欠かせない物質。
彼女の研究がなければ、今の医療は成り立ちませんでした。

ケブラーを発明した・ステファニー・クウォレク

防弾チョッキに使われる素材、ケブラー。
これを発明したのが、アメリカの化学者ステファニー・クウォレクです。

ケブラーは鋼鉄の5倍も強いのに、とても軽い素材なんです。
これのおかげで、警察官や兵士の命が守られているんですね。

クウォレクは生涯で28件もの特許を取得しました。
まさに「発明の女王」と呼べる人です。

ハンセン病治療法を開発した・アリス・ボール

アリス・ボールは、アフリカ系アメリカ人初の女性化学者です。
1915年、24歳のときにハワイ大学で化学の修士号を取得しました。

彼女が開発したのは、ハンセン病の治療法です。
それまで治療法がなかった病気に、希望をもたらしたんですね。

残念ながら、彼女は24歳という若さで亡くなってしまいました。
しかも、彼女の功績は長い間、男性の上司に横取りされていたんです。

ようやく彼女の名誉が回復されたのは、亡くなってから何十年も後のことでした。
今ではハワイ大学に「アリス・ボール・デー」が制定されています。

化学者一覧表

ここからは、歴史上の重要な化学者を一覧表でまとめて紹介します。
時代別・分野別に整理しましたので、調べたい化学者を探すのに使ってください。

近代化学の基礎を築いた化学者(17〜18世紀)

名前生没年国籍主な業績
ロバート・ボイル
(Robert Boyle)
1627-1691アイルランド→イギリスボイルの法則の発見。近代化学の基礎を確立
アントワーヌ・ラボアジエ
(Antoine Lavoisier)
1743-1794フランス質量保存の法則の発見。酸素と水素の発見。近代化学の父
ジョゼフ・プリーストリー
(Joseph Priestley)
1733-1804イギリス酸素の発見。炭酸水の発明
ヘンリー・キャベンディッシュ
(Henry Cavendish)
1731-1810イギリス水素の発見。水が水素と酸素の化合物であることを証明
カール・シェーレ
(Carl Wilhelm Scheele)
1742-1786スウェーデン酸素、塩素、窒素など多数の元素を発見

原子論と元素周期表の時代(19世紀)

名前生没年国籍主な業績
ジョン・ドルトン
(John Dalton)
1766-1844イギリス近代原子論の確立。元素の原子量を測定
イェンス・ベルセリウス
(Jöns Jacob Berzelius)
1779-1848スウェーデン正確な原子量の測定。セリウム、トリウム、セレンの発見
アメデオ・アボガドロ
(Amedeo Avogadro)
1776-1856イタリアアボガドロの法則の発見。分子の概念を確立
マイケル・ファラデー
(Michael Faraday)
1791-1867イギリス電気分解の法則。イオンの概念を確立。ベンゼンの発見
ドミトリ・メンデレーエフ
(Dmitri Mendeleev)
1834-1907ロシア周期表の発見。未発見元素の性質を予言
ルイ・パスツール
(Louis Pasteur)
1822-1895フランス低温殺菌法の発明。微生物学の基礎確立
ユストゥス・フォン・リービッヒ
(Justus von Liebig)
1803-1873ドイツ有機化学の基礎確立。化学肥料の開発

ノーベル賞時代の化学者(20世紀前半)

名前生没年国籍主な業績
マリー・キュリー
(Marie Curie)
1867-1934ポーランド→フランスラジウムとポロニウムの発見。ノーベル賞2回受賞(物理学賞1903年、化学賞1911年)
アルフレッド・ノーベル
(Alfred Nobel)
1833-1896スウェーデンダイナマイトの発明。ノーベル賞の創設
アーネスト・ラザフォード
(Ernest Rutherford)
1871-1937ニュージーランド→イギリス原子核の発見。放射性崩壊の研究。ノーベル化学賞1908年
フリッツ・ハーバー
(Fritz Haber)
1868-1934ドイツハーバー・ボッシュ法(窒素固定)の発明。ノーベル化学賞1918年
ライナス・ポーリング
(Linus Pauling)
1901-1994アメリカ化学結合論の確立。ノーベル化学賞1954年、平和賞1962年
アーヴィング・ラングミュア
(Irving Langmuir)
1881-1957アメリカ表面化学の研究。ノーベル化学賞1932年
イレーヌ・ジョリオ=キュリー
(Irène Joliot-Curie)
1897-1956フランス人工放射能の発見。ノーベル化学賞1935年(マリー・キュリーの娘)
ドロシー・ホジキン
(Dorothy Hodgkin)
1910-1994イギリスX線結晶学によるペニシリン、ビタミンB12、インスリンの構造解明。ノーベル化学賞1964年
オットー・ハーン
(Otto Hahn)
1879-1968ドイツ核分裂の発見。ノーベル化学賞1944年
ハロルド・ユーリー
(Harold Urey)
1893-1981アメリカ重水素の発見。ノーベル化学賞1934年

現代化学の巨人たち(20世紀後半〜21世紀)

名前生没年国籍主な業績
ロバート・ウッドワード
(Robert Woodward)
1917-1979アメリカ複雑な有機化合物の全合成。ノーベル化学賞1965年
フレデリック・サンガー
(Frederick Sanger)
1918-2013イギリスインスリンの配列決定、DNA配列決定法の開発。ノーベル化学賞2回受賞(1958年、1980年)
カール・ジーグラー
(Karl Ziegler)
1898-1973ドイツチーグラー・ナッタ触媒の開発。ノーベル化学賞1963年
ジュリオ・ナッタ
(Giulio Natta)
1903-1979イタリアチーグラー・ナッタ触媒の開発。ノーベル化学賞1963年
アレクサンダー・トッド
(Alexander Todd)
1907-1997イギリス核酸の化学構造の研究。ノーベル化学賞1957年
メルビン・カルヴィン
(Melvin Calvin)
1911-1997アメリカ光合成のカルビン回路の発見。ノーベル化学賞1961年
ガートルード・エリオン
(Gertrude Elion)
1918-1999アメリカ抗がん剤、免疫抑制剤の開発。ノーベル生理学・医学賞1988年
マリオ・モリーナ
(Mario Molina)
1943-2020メキシコ→アメリカオゾン層破壊のメカニズム解明。ノーベル化学賞1995年
ジェニファー・ダウドナ
(Jennifer Doudna)
1964-アメリカCRISPR-Cas9遺伝子編集技術の開発。ノーベル化学賞2020年
エマニュエル・シャルパンティエ
(Emmanuelle Charpentier)
1968-フランスCRISPR-Cas9遺伝子編集技術の開発。ノーベル化学賞2020年
キャロライン・ベルトッツィ
(Carolyn Bertozzi)
1966-アメリカクリックケミストリーの開発。ノーベル化学賞2022年
ステファニー・クウォレク
(Stephanie Kwolek)
1923-2014アメリカケブラーの発明
アダ・ヨナト
(Ada Yonath)
1939-イスラエルリボソームの構造解明。ノーベル化学賞2009年

日本人化学者(ノーベル賞受賞者)

名前生没年主な業績受賞年
福井謙一1918-1998フロンティア軌道理論1981年
白川英樹1936-導電性高分子の発見と開発2000年
野依良治1938-不斉触媒による水素化反応の研究2001年
田中耕一1959-生体高分子の質量分析法の開発2002年
下村脩1928-2018緑色蛍光タンパク質(GFP)の発見2008年
鈴木章1930-2021クロスカップリング反応の開発2010年
根岸英一1935-2021クロスカップリング反応の開発2010年
吉野彰1948-リチウムイオン電池の開発2019年
北川進1951-金属有機構造体(MOF)の開発2025年

その他の著名な女性化学者

名前生没年国籍主な業績
ロザリンド・フランクリン
(Rosalind Franklin)
1920-1958イギリスDNA二重らせん構造の発見に貢献。X線回折写真を撮影
マリー・メイナード・デイリー
(Marie Maynard Daly)
1921-2003アメリカアフリカ系アメリカ人初の化学博士。コレステロールと心臓病の研究
アリス・ボール
(Alice Ball)
1892-1916アメリカハンセン病の最初の効果的な治療法を開発
キャスリーン・ロンズデール
(Kathleen Lonsdale)
1903-1971アイルランド→イギリス結晶学の研究。王立協会の女性フェロー第1号
マリー=アンヌ・ラヴォアジエ
(Marie-Anne Lavoisier)
1758-1836フランスラボアジエの研究パートナー。科学的イラストレーター
レイチェル・カーソン
(Rachel Carson)
1907-1964アメリカ海洋生物学者。環境保護運動の先駆者。『沈黙の春』著者
フランシス・アーノルド
(Frances Arnold)
1956-アメリカ酵素の指向性進化の研究。ノーベル化学賞2018年

産業化学に貢献した化学者

名前生没年国籍主な業績
ウィリアム・パーキン
(William Perkin)
1838-1907イギリス最初の合成染料モーブの発明(18歳で発明)
レオ・ベークランド
(Leo Baekeland)
1863-1944ベルギー→アメリカ最初の完全合成プラスチック「ベークライト」の発明
ウォレス・カロザース
(Wallace Carothers)
1896-1937アメリカナイロンの発明
ロイ・プランケット
(Roy Plunkett)
1910-1994アメリカテフロンの発見
チャールズ・グッドイヤー
(Charles Goodyear)
1800-1860アメリカゴムの加硫法の発明

分析化学・機器分析の発展に貢献した化学者

名前生没年国籍主な業績
ロバート・ブンゼン
(Robert Bunsen)
1811-1899ドイツブンゼンバーナーの発明。分光分析法の開発
アーチャー・マーティン
(Archer Martin)
1910-2002イギリスクロマトグラフィーの開発。ノーベル化学賞1952年
リチャード・シンジ
(Richard Synge)
1914-1994イギリスクロマトグラフィーの開発。ノーベル化学賞1952年

まとめ

化学者たちの歴史を振り返ってみると、こんなことがわかります。

  • 失敗から大発見が生まれることもある
    田中耕一さんの例のように、思いがけない発見が世界を変えることも
  • 女性たちも大活躍してきた
    マリー・キュリーやドロシー・ホジキンなど、歴史に残る偉業を成し遂げた女性化学者は多い
  • 基礎研究が未来を作る
    すぐには役に立たない研究でも、いつか世界を変える可能性がある
  • 化学は生活に密着している
    薬、プラスチック、電池、染料……私たちの生活は化学者たちの研究で支えられている

化学者って、実験室にこもって難しいことをしている人たちだけじゃないんです。
世界を変えて、私たちの生活を豊かにしてくれる「発明家」でもあるんですね。

次にノーベル賞のニュースを見たら、きっと違う見方ができるはずです。
その受賞者がどんな未来を作ってくれるのか、楽しみになりますよね。

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