トレントとは?ファンタジーの森を守る樹木の巨人を徹底解説

神話・歴史・文化

ファンタジーゲームや小説で「森の守護者」として登場する巨大な樹木の怪物、トレント。
実はこのモンスター、意外な誕生秘話を持っているんです。

この記事では、トレントの名前の由来から、ゲームや神話における樹木の精霊たち、そしてD&Dでの能力まで、トレントの魅力を余すところなくお伝えします。


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トレントの名前の意味と由来

トレント(Treant)という名前、どこから来たか知っていますか?
実は「tree(木)」と「ent(エント)」を組み合わせた造語なんです。

もともとこのモンスターは、J・R・R・トールキンの『指輪物語』に登場する「エント(Ent)」がモデルになっています。
エントとは古英語で「巨人」を意味する言葉で、トールキンはこれを「木の牧人」として描きました。

ところが問題が発生します。

1974年に発売されたテーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』の初版では、このモンスターを「エント」という名前で登場させていました。
しかしトールキンの遺産管理団体から著作権侵害の指摘を受けてしまったんですね。

そこでD&Dの制作者ゲイリー・ガイギャックスは、名前を変更することを決断。
「tree」+「ent」で「treant(トレント)」という新しい名前が誕生しました。

同様の理由で、「ホビット」は「ハーフリング」に、「バルログ」は「バロール」に変更されています。
著作権問題がファンタジーの歴史を変えた、興味深いエピソードですね。


伝統的な神話・伝承の樹木の精霊たち

トレント自体はD&Dで生まれた創作モンスターですが、「動く木」「樹木の精霊」という概念は、世界中の神話や伝承に古くから存在しています。

ドライアド(ギリシャ神話)

ギリシャ神話に登場する木の精霊、ドライアド。
「ドライアド」という名前は、ギリシャ語で「樫の木」を意味する「drys」に由来します。

ドライアドは特定の木と運命を共にする存在で、木が切り倒されると一緒に死んでしまうこともあったとか。
彼女たちは森の中でひっそりと暮らし、狩猟の女神アルテミスや牧神パンと親しい関係にあったと伝えられています。

レーシー(スラヴ神話)

ロシアをはじめとするスラヴ地域では、森の守護精霊「レーシー」が信仰されていました。

レーシーは緑色の髪と髭を持ち、木の高さから草の丈まで自在に姿を変えられる変身能力の持ち主です。
森に入る者には塩やパンを供え物として捧げる習慣があったそうで、これを怠ると道に迷わされて二度と帰れなくなるとも言われていました。

熊と深い関係があり、冬になると熊と同じように冬眠するという伝承もあります。

木霊・コダマ(日本)

日本にも樹木の精霊がいます。それが「木霊(こだま)」です。

山で声を出すと返ってくる「やまびこ」は、木霊の仕業だと考えられていました。
古い木には精霊が宿り、むやみに切り倒すと祟りがあると信じられてきたんですね。

スタジオジブリの映画『もののけ姫』に登場する白い小さな精霊たちも、この木霊をモチーフにしています。

グリーンマン(ケルト・ヨーロッパ)

ヨーロッパ各地の教会や建築物に彫刻として残る「グリーンマン」。
口から植物の蔓を吐き出す顔のモチーフは、自然の再生と生命力の象徴とされています。

ケルト文化では、森は神聖な場所であり、木々には霊的な力が宿ると信じられていました。


D&Dにおけるトレントの特徴と能力

D&D第5版(5e)でのトレントは、脅威度(チャレンジレーティング)9という強敵として設定されています。
どんな能力を持っているのか見てみましょう。

基本データ

  • サイズ:超大型(Huge)
  • 種別:植物(Plant)
  • 属性:混沌にして善(Chaotic Good)
  • ヒットポイント:138
  • 移動速度:30フィート

特殊能力

擬態(False Appearance)
動かずにいると、普通の木と見分けがつかなくなります。
森の中でじっとしていれば、冒険者たちは気づかずに通り過ぎてしまうでしょう。

攻城怪物(Siege Monster)
建物や構造物に対して2倍のダメージを与えます。
『指輪物語』でエントたちがアイゼンガルドの塔を破壊したシーンを思い出させる能力ですね。

樹木の覚醒(Animate Trees)
1日1回、周囲60フィート以内の木を1~2本、一時的に動かすことができます。
動かされた木はトレントと同じ能力を持ちますが、知性がなく、殴る攻撃しかできません。

戦闘能力

トレントは1ターンに2回の「叩きつけ」攻撃を行えます。
命中すると3d6+6の殴打ダメージ(平均16ダメージ)を与えます。

また、岩を投げる遠距離攻撃も可能で、こちらは4d10+6のダメージ(平均28ダメージ)と非常に強力です。

弱点

トレントには明確な弱点があります。それはです。

植物である以上、火属性のダメージには脆弱性を持っています。
また、打撃や刺突に対しては抵抗を持っているため、斧で切りつけたり槍で突いたりしても効果が薄いです。

森を焼く者、木を傷つける者にとって、トレントは恐ろしい敵となるでしょう。


ゲーム・フィクションに登場するトレント

D&D以降、トレントはさまざまなゲームや作品に登場するようになりました。

ファイナルファンタジーシリーズ

FFシリーズには「トレント」という名前のモンスターが多数登場します。
『FFタクティクス』ではウッドマン系モンスターの中位種として、『FF11』では「樹人族」として登場。
作品によって姿や設定は異なりますが、共通して「動く樹木」というコンセプトが受け継がれています。

聖剣伝説シリーズ

『聖剣伝説 Legend of Mana』では、トレントは果樹園に住む巨木のキャラクターとして登場。
種を渡すと果物を実らせてくれる、穏やかな存在として描かれています。

悪魔城ドラキュラシリーズ

『悪魔城ドラキュラ』シリーズでは、老樹に邪悪な意思が宿って動き出した魔物として登場。
ホラー要素の強い作品らしく、敵キャラクターとしての側面が強調されています。

ボンバーマンシリーズ

意外なところでは『ボンバーマン』シリーズにも「トレント」という名前の敵キャラクターが登場しています。
木の霊や怪物として扱われ、プレイヤーの行く手を阻みます。


トレントの性格と生態

D&Dの公式設定によると、トレントは非常に長寿で、数百年から数千年を生きることもあります。

若いトレントは好奇心旺盛で、森の外の世界を冒険することもあります。
しかし年を重ねるにつれて穏やかになり、一か所に根を下ろしてじっと瞑想するようになるのだとか。

根を張っている間も周囲の環境を感知し続けていて、数マイル離れた場所で起きた出来事も、微妙な変化から察知できるそうです。

トレントは基本的に森の守護者であり、火を不用意に扱う者、木を傷つける者、覚醒しかけている木を切り倒す者に対しては、容赦なく報復します。

一方で、森を大切にする者には友好的で、ドルイドやエルフとは良好な関係を築くことが多いようです。
小さな妖精スプライトが、トレントの枝の間に村を作ることを許すこともあるとか。


トレントの亜種・派生種

D&Dには通常のトレントの他にも、さまざまな派生種が存在します。

名前特徴
泣くトレント(Weeping Treant)酸性の涙を流す。触れた者にダメージを与える
マングローブ・トレント湿地帯に住み、蚊を使って偵察する
黒根トレント(Blackroot Treant)邪悪に染まったトレント。復讐心に燃える
霜トレント(Frost Treant)寒冷地に適応した亜種

特に「黒根トレント」は、心が腐敗したり、森の破壊者への憎しみに飲み込まれたりしたトレントで、無差別に人間を襲うようになった悲しい存在です。
他のトレントは彼らを捕らえて治療しようと試みますが、成功率は高くないそうです。


まとめ

トレントについてのポイントをまとめると、以下のようになります。

  • トレントの名前は「tree(木)」と「ent(エント)」を組み合わせた造語
  • 著作権問題から生まれた名前で、D&Dで初登場した
  • 世界中の神話には、ドライアドやレーシー、木霊など、樹木の精霊が存在する
  • D&D 5eでは脅威度9の強敵で、火に弱く、木を操る能力を持つ
  • 長寿で穏やかだが、森を脅かす者には容赦しない

トールキンのエントから生まれ、D&Dで独自の名前を与えられ、今では世界中のファンタジー作品で活躍するトレント。
次にゲームや小説で出会ったときは、その長い歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。


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