SharePointページにAIエージェントを配置して、ユーザーが必要な情報をすぐに見つけられるようにしたいと思ったことはありませんか。
エージェントリンクWebパーツを使えば、ページ上から直接AIエージェントにアクセスできるようになります。
この記事では、SharePointのエージェントリンク機能の概要から、具体的な設定方法、活用事例まで詳しく解説します。
SharePointエージェントリンクとは

SharePointのエージェントリンクは、ページ上にAIエージェントへのリンクを配置できるWebパーツです。
エージェントリンクWebパーツの特徴
エージェントリンクWebパーツを使用すると、SharePointページ上にクリック可能なリンクを追加できます。
リンクをクリックすると、メインページの横にサイドパネル(サイドカー)が開き、AIエージェントとチャットできます。
主な特徴:
- 柔軟な配置: ページ上の任意の場所にエージェントリンクを追加
- コンテキストに応じたヘルプ: ユーザーがページを離れることなくエージェントを利用
- 検出性の向上: ユーザーが必要なときに簡単にエージェントを見つけられる
- 軽量なソリューション: ページの読み込み速度に影響を与えない
SharePointエージェントとは
SharePointエージェントは、SharePointサイトやドキュメントライブラリのコンテンツに基づいて質問に回答するAIアシスタントです。
Microsoft 365 Copilotの技術を活用し、サイト内の情報を自然言語で検索できます。
SharePointエージェントの種類
SharePointには2種類のエージェントがあります。
1. 既製のエージェント(Ready-made Agent)
すべてのSharePointサイトに自動的に作成されるエージェントです。
特徴
- サイトのコンテンツに自動的にスコープ設定
- サイト管理者によるビルド不要
- サイト訪問者は誰でも利用可能
- .agentファイルなし
アクセス方法
- SharePointサイトを開く
- 右上のCopilotアイコンをクリック
- 「このサイトについて質問する」からチャット開始
対象範囲
- サイト全体のコンテンツ
- ドキュメントライブラリのファイル
- SharePointページ
2. カスタムエージェント(Custom-built Agent)
特定の目的に合わせて作成するエージェントです。
特徴
- 特定のファイルやフォルダに絞り込み
- カスタム指示の設定が可能
- 複数のSharePointサイトを横断可能
- .agentファイルとして保存
作成が必要な場合
- 人事制度マニュアル専用のQ&Aエージェント
- 製品情報に特化した営業支援エージェント
- プロジェクト文書専用の検索エージェント
- 特定部署向けの社内ルール案内エージェント
エージェントリンクWebパーツの使い方
エージェントリンクWebパーツをSharePointページに追加する手順を解説します。
前提条件
ライセンス要件
エージェントリンクを使用するには、以下のいずれかが必要です。
- Microsoft 365 Copilotライセンス: 追加料金なしで利用可能
- 従量課金制サービス(PAYG): SharePointエージェント用に有効化
注意: ライセンスがないユーザーがリンクをクリックすると、アクセス権がない旨のメッセージが表示されます。
権限要件
- エージェントリンクWebパーツを追加: サイト編集権限
- エージェントを作成・編集: サイト編集権限
- エージェントを使用: サイト閲覧権限(最低限)
エージェントリンクWebパーツの追加手順
ステップ1: ページを編集モードにする
- SharePointページを開く
- ページ右上の「編集」ボタンをクリック
ステップ2: Webパーツを追加
- 既存のWebパーツの上または下にマウスを合わせる
- 「+」アイコンが表示される
- 「+」をクリック
- Webパーツ一覧から検索
ステップ3: エージェントリンクWebパーツを選択
- 検索ボックスに「エージェント」または「Agent link」と入力
- 「AI」カテゴリ配下に表示される
- 「エージェント リンク」(Agent link)を選択
ステップ4: エージェントを設定
- Webパーツが追加される
- 「エージェントリンクを設定」ボタンをクリック
- 以下の設定を行う
設定項目:
- サイズ: 小、中、大から選択
- エージェントの選択:
- エージェントを検索
- 最近使用したエージェントから選択
- タイトル表示: タイトルを表示するか選択
ステップ5: ページを発行
- 設定が完了したら「発行」または「再発行」をクリック
- サイト訪問者がリンクをクリックできるようになる
カスタムエージェントの作成方法
特定の目的に合わせたカスタムエージェントを作成する手順を解説します。
作成方法1: ファイル・フォルダから作成
最も簡単な方法です。
手順
- SharePointのドキュメントライブラリを開く
- エージェントの対象にしたいファイルまたはフォルダを選択
- 右クリックまたは「…」メニューをクリック
- 「エージェントを作成する」を選択
- エージェントが自動的に作成される
注意: 複数のファイルを対象にする場合は、それらを含むフォルダを選択します。
作成方法2: Copilotアイコンから作成
- SharePointサイトを開く
- 右上のCopilotアイコンをクリック
- エージェントパネルを開く
- 「新しいエージェントを作成」を選択
エージェントの編集
作成したエージェントは、後から編集できます。
編集手順
- エージェントを開く
- 「編集」ボタンをクリック
- 以下の項目を編集
編集可能な項目:
1. ID(識別情報)
- エージェント名: わかりやすい名前を設定
- 説明: エージェントの目的を記載
2. ソース(データソース)
- SharePointサイト: 複数サイトを追加可能
- ファイル: 特定のファイルを追加・削除
- フォルダー: 特定のフォルダーを追加・削除
- ページ: SharePointページを追加
3. 動作(Behavior)
- ウェルカムメッセージ: エージェント起動時のメッセージ
- スタータープロンプト: ユーザーへの質問例
- エージェントへの指示: 回答方法や口調のカスタマイズ
エージェントへの指示の例
効果的な指示の書き方:
あなたは人事制度の専門家です。
従業員からの質問には、以下のルールに従って回答してください:
1. 正確性を最優先し、推測では回答しない
2. 回答は簡潔かつわかりやすく
3. 関連する社内規定やマニュアルの該当ページを示す
4. 複雑な質問は段階的に説明する
5. 敬語を使い、丁寧な口調で
エージェントをSharePointページに配置

作成したエージェントをページ上で使いやすくする方法です。
配置のベストプラクティス
1. ホームページに配置
- サイトのホームページにエージェントリンクを追加
- ユーザーが最初に目にする場所に配置
- 大サイズのリンクで目立たせる
2. 関連ページに配置
- 人事ページ → 人事制度エージェント
- 製品ページ → 製品情報エージェント
- プロジェクトページ → プロジェクト文書エージェント
3. 複数エージェントの配置
同じページに複数のエージェントリンクを配置できます。
例:
- 一般的な質問エージェント
- 技術サポートエージェント
- 営業情報エージェント
タイトルとサイズの選択
タイトル表示
タイトルを表示する場合:
- エージェントの目的が明確になる
- ユーザーがどのエージェントを使うべきか判断しやすい
タイトルを表示しない場合:
- シンプルなデザイン
- アイコンのみで視覚的に表現
サイズの選択
- 小: サイドバーやフッター
- 中: 通常のコンテンツエリア
- 大: ヒーローセクションや重要な案内
Teamsでエージェントを共有
SharePointで作成したエージェントは、Microsoft Teamsでも利用できます。
Teamsへの共有方法
方法1: 共有リンクを取得
- SharePointでエージェントを開く
- 「共有」ボタンをクリック
- 共有リンクをコピー
- Teamsチャットに貼り付け
方法2: Teamsチャットに直接追加
- Teamsのチャットまたはチャネルを開く
- エージェントをチャットメンバーとして追加
- @メンションでエージェントを呼び出す
Teamsでのエージェント利用
グループチャットでの使用
- エージェントをグループチャットに追加
@エージェント名 質問内容の形式で質問- エージェントが回答を返す
セキュリティ機能:
エージェントは常にユーザーの権限を確認します。
質問したユーザーに表示権限があっても、グループ内の一部のメンバーに権限がない場合、回答をチャットに自動投稿しません。
回答の投稿方法:
- ユーザーが「応答の表示」を選択
- エージェントの回答をプレビュー
- 内容を確認後、チャットに送信するか判断
チャネルでのサポート
SharePointエージェントは、Teamsチャネルでも使用できます。
注意:
- 共有チャネルとプライベートチャネルはまだサポートされていません
- 1対1のチャットは利用不可
エージェントリンクの活用事例
実際の業務でどのように活用できるか、具体例を紹介します。
事例1: 人事部門の問い合わせ削減
課題
- 人事制度についての問い合わせが多い
- 同じ質問が繰り返される
- 担当者の対応時間が圧迫される
解決策
- 人事制度マニュアルをSharePointに配置
- マニュアルを元にカスタムエージェントを作成
- 人事部サイトのホームページにエージェントリンクを追加
効果
- 問い合わせ件数が30%削減
- 従業員が24時間いつでも情報取得可能
- 担当者は複雑な質問対応に集中
事例2: 営業部門の製品情報検索
課題
- 複数の製品カタログや仕様書がある
- 営業担当が必要な情報をすぐに見つけられない
- 商談中に情報確認に時間がかかる
解決策
- 全製品の仕様書、カタログをフォルダに整理
- 製品情報専用エージェントを作成
- 営業部SharePointサイトにエージェントリンクを配置
- Teamsの営業チームチャットにもエージェントを追加
効果
- 情報検索時間が50%短縮
- モバイルからも簡単にアクセス
- 最新の製品情報を即座に提供
事例3: プロジェクト文書の情報共有
課題
- プロジェクト関連文書が大量にある
- 新規参加メンバーがキャッチアップに時間がかかる
- 過去の決定事項を探すのが困難
解決策
- プロジェクト文書フォルダからエージェント作成
- プロジェクトサイトのホームページに配置
- 「プロジェクトの背景は?」「前回の決定事項は?」などのスタータープロンプトを設定
効果
- 新規メンバーのオンボーディング時間が40%削減
- 過去の議事録検索が容易に
- プロジェクト情報の透明性向上
事例4: 法務部門のコンプライアンス支援
課題
- 社内ガイドライン、ポリシーが多数存在
- マーケティング部門からの法務確認が頻繁
- 法務チームのリソースが限られている
解決策
- ガイドライン、ポリシー、セルフサービスツールを整理
- 法務エージェントを作成
- マーケティング部サイトにエージェントリンクを配置
効果
- 簡単な法務確認は自己解決
- 法務チームの時間節約
- マーケティング部の業務スピード向上
事例5: 安全衛生管理の徹底
課題
- 現場作業員が安全ポリシーを確認しづらい
- 多言語対応が必要
- モバイルからのアクセスが必須
解決策
- 健康・安全ポリシー文書からエージェント作成
- 安全衛生サイトにエージェントリンクを配置
- モバイルデバイスからアクセス可能に
効果
- 多言語での質問・回答が可能
- 現場で即座に安全情報を確認
- 正確な回答を数秒で取得
トラブルシューティング
エージェントリンク使用時の一般的な問題と解決策です。
問題1: 「Something went wrong with this agent」エラー
原因
- サイトへのアクセス権限がない
- エージェントファイルが移動または削除された
- エージェントファイルのパスが変更された
解決策
権限の確認:
- ユーザーがエージェントのサイトに対して最低限の読み取り権限を持っているか確認
- エージェントリンクを直接共有してテスト
- エージェントが開かない → 権限問題
- エージェントが開くが応答しない → ライセンス問題
パスの確認:
- エージェントファイルが移動されていないか確認
- エージェントの承認時に
Site Assets/Copilots/Approvedフォルダに自動移動される - 移動後はWebパーツを再設定する必要がある
解決手順:
- エージェントリンクWebパーツを編集
- エージェントを再選択
- ページを再発行
問題2: ライセンスのないユーザーの動作
現象
- リンクをクリックするとサイドバーは開く
- カスタムエージェントではなく、デフォルトのCopilot Studioサイドバーが表示される
原因
- Microsoft 365 Copilotライセンスがない
- 従量課金制サービス(PAYG)が有効化されていない
解決策
- ライセンスを付与
- または、従量課金制サービスを有効化
問題3: エージェントが見つからない
原因
- エージェントが削除された
- エージェントへのアクセス権がない
- 別のサイトのエージェントを選択しようとしている
解決策
- エージェントが存在するか確認
- 自分のアクセス権を確認
- エージェントを再作成
問題4: モバイルで動作しない
原因
エージェントリンクWebパーツは現在、モバイルとメールシナリオではサポートされていません。
解決策
- デスクトップブラウザを使用
- Teamsモバイルアプリからエージェントを利用
注意: 一部の機能はTeamsモバイルアプリでも完全にサポートされていません。
問題5: 回答精度が低い
原因
- データソースの範囲が広すぎる
- エージェントへの指示が不明確
- 対象ドキュメントの品質が低い
解決策
データソースの最適化:
- 必要なファイル・フォルダのみに絞り込む
- 関連性の低いコンテンツを除外
指示の改善:
- 具体的な回答方法を指示
- 回答形式を指定
- 口調やトーンを明確化
ドキュメントの改善:
- 明確な見出しと構造
- キーワードの適切な使用
- 最新情報への更新
エージェントリンクのベストプラクティス

効果的にエージェントリンクを活用するためのベストプラクティスです。
1. 適切な配置
ユーザー導線を考慮
- ユーザーがヘルプを必要とするタイミングで配置
- 関連コンテンツの近くに配置
- 目立つ位置に配置
ページごとの最適化
- ホームページ: 総合案内エージェント
- 部門別ページ: 部門特化エージェント
- プロジェクトページ: プロジェクト専用エージェント
2. わかりやすい命名
エージェント名
- 目的が一目でわかる名前
- 「人事制度Q&Aエージェント」
- 「製品仕様検索ヘルパー」
- 「プロジェクトXナレッジベース」
説明文
- 何ができるかを明確に記載
- 対象範囲を明示
- 使用例を提示
3. データソースの管理
定期的な更新
- 古い情報を削除
- 最新ドキュメントを追加
- 不要なファイルを除外
適切な範囲設定
- 広すぎると回答精度が低下
- 狭すぎると回答できない質問が増える
- バランスの取れたスコープ設定
4. ユーザー教育
使い方の周知
- エージェントの存在を告知
- 使い方ガイドを作成
- スタータープロンプトを充実
フィードバック収集
- ユーザーからの改善提案を募集
- よくある質問を分析
- 回答精度を継続的に改善
5. セキュリティとアクセス管理
権限の適切な設定
- エージェントのソースとなるファイルの権限管理
- 機密情報へのアクセス制限
- セキュリティグループの活用
共有範囲の明確化
- 組織全体 vs 特定部門
- 外部ユーザーへの共有可否
- Teams連携時の注意事項
6. パフォーマンスのモニタリング
定期的な確認
- エージェントの利用状況
- よく聞かれる質問
- 回答できなかった質問
継続的な改善
- スタータープロンプトの追加
- データソースの拡充
- エージェントへの指示の洗練
エージェントリンクの制限事項
現在のエージェントリンクWebパーツの制限を理解しておきましょう。
プラットフォームの制限
- モバイルアプリ: 現在サポートされていません
- メールシナリオ: 埋め込み不可
- Teams共有チャネル: 使用不可
- Teamsプライベートチャネル: 使用不可
機能の制限
- 1対1チャット: SharePointエージェントとの1対1チャットは不可
- Teamsモバイル: 一部機能が完全サポートされていない
ライセンスの制限
- Microsoft 365 Copilotライセンスまたは従量課金制サービスが必要
- ライセンスなしのユーザーはエージェントを利用できない
まとめ
SharePointのエージェントリンク機能を活用することで、ユーザーが必要な情報を簡単に見つけられるようになります。
重要なポイント:
- エージェントリンクWebパーツ
- SharePointページにAIエージェントを配置
- サイドパネルで開くため、ページを離れる必要なし
- 柔軟な配置とカスタマイズ
- 2種類のエージェント
- 既製のエージェント: 自動作成、サイト全体が対象
- カスタムエージェント: 特定の目的に特化
- 簡単な作成方法
- ファイルやフォルダを選択して「エージェントを作成」
- 10秒程度で作成完了
- 編集画面で詳細カスタマイズ可能
- Teamsとの連携
- SharePointエージェントをTeamsで共有
- グループチャットやチャネルで利用
- @メンションで呼び出し
- 活用事例
- 人事部門の問い合わせ削減
- 営業部門の製品情報検索
- プロジェクト文書の情報共有
- 法務コンプライアンス支援
- 安全衛生管理の徹底
- ベストプラクティス
- ユーザー導線を考慮した配置
- わかりやすい命名と説明
- データソースの定期的な更新
- セキュリティとアクセス管理
- 継続的な改善
- ライセンス要件
- Microsoft 365 Copilotライセンス
- または従量課金制サービス(PAYG)
SharePointエージェントリンクは、AI技術を活用してサイトの利便性を大幅に向上させる強力な機能です。
既製のエージェントを試してから、業務に合わせたカスタムエージェントを作成し、エージェントリンクWebパーツでページに配置していくことをお勧めします。
ユーザーが情報を探す負担を減らし、より生産的な業務に集中できる環境を実現しましょう。

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