「将棋のタイトルって、いくつあるの?」「竜王と名人、どっちが上なの?」
そんな疑問を持ったことはありませんか?
将棋界には全部で8つのタイトル戦があり、これを「八大タイトル」と呼びます。
しかも、タイトルごとに序列や賞金、永世称号の条件が違うんです。
この記事では、将棋の八大タイトルを序列順にわかりやすく解説します。
読み終わるころには、タイトル戦のニュースがもっと楽しくなりますよ。
将棋の八大タイトルとは?

将棋のプロ棋士が参加する大会は「棋戦」と呼ばれます。
その中でも特に格式が高い8つの大会が「タイトル戦」です。
タイトル戦で優勝すると、棋士はそのタイトル名を肩書として名乗れるようになります。
たとえば「藤井聡太竜王・名人」のように呼ばれるわけですね。
現在の八大タイトルは以下の8つです。
- 竜王
- 名人
- 叡王
- 王位
- 王座
- 棋聖
- 棋王
- 王将
この並び順がそのまま「序列」になっています。
ただし、この序列は契約金(スポンサーから将棋連盟に支払われる金額)によって決まるため、変動することもあります。
竜王と名人は別格の存在
八大タイトルの中でも、竜王と名人は特別扱いされています。
たとえば、藤井聡太さんは2025年現在、竜王・名人・王位・棋聖・棋王・王将の六冠を保持しています。
でも、「六冠」とは呼ばれず「藤井聡太竜王・名人」と呼ばれるんです。
これは、竜王と名人が他のタイトルよりも格上とされているから。
どちらかを持っていれば、他にいくつタイトルを持っていても「竜王」か「名人」が優先されます。
また、将棋連盟が発行するアマチュア段位の免状には、会長に加えて竜王と名人が署名する慣例があります。
この署名をすることも、竜王と名人の「仕事」のひとつなんですね。
各タイトルの詳細解説
竜王(りゅうおう)
将棋界最高峰の賞金を誇るタイトルです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創設年 | 1988年(前身の十段戦は1962年) |
| 主催 | 読売新聞社 |
| 番勝負 | 七番勝負(2日制) |
| 持ち時間 | 各8時間 |
| 優勝賞金 | 4,400万円 |
| 敗者賞金 | 1,650万円 |
| 永世称号 | 永世竜王(連続5期または通算7期) |
竜王戦の特徴は、プロ棋士だけでなくアマチュアや女流棋士も参加できること。
下位のクラスから勝ち上がって竜王になれる可能性があるため、「竜王戦ドリーム」とも呼ばれています。
実際、渡辺明さんは4組から、糸谷哲郎さんは3組から竜王を獲得しました。
名人(めいじん)
将棋界で最も歴史と格式のあるタイトルです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創設年 | 1935年(実力制名人戦の開始) |
| 主催 | 朝日新聞社・毎日新聞社 |
| 番勝負 | 七番勝負(2日制) |
| 持ち時間 | 各9時間 |
| 推定賞金 | 約2,000〜3,000万円 |
| 永世称号 | 永世名人(通算5期) |
名人戦の挑戦者になるには、順位戦A級で最上位の成績を収める必要があります。
順位戦はC級2組からA級まで5つのクラスに分かれており、1年で1つしか昇級できません。
つまり、プロになってからA級に到達するまで最低でも5年かかるんです。
この厳しい道のりが、名人の「重み」を生み出しているんですね。
叡王(えいおう)
八大タイトルの中で最も新しいタイトルです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創設年 | 2017年(タイトル戦昇格) |
| 主催 | 不二家 |
| 番勝負 | 五番勝負 |
| 持ち時間 | 各4時間 |
| 推定賞金 | 約1,000〜1,500万円 |
| 永世称号 | 永世叡王(通算10期) |
もともとは2015年にドワンゴ(ニコニコ動画の会社)が主催する一般棋戦として始まりました。
2017年にタイトル戦に昇格し、2021年からは不二家が主催しています。
新聞社・通信社以外がタイトル戦の主催者になったのは、叡王戦が史上初なんです。
王位(おうい)
夏の風物詩として知られるタイトル戦です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創設年 | 1960年 |
| 主催 | ブロック紙3社連合(北海道新聞・中日新聞・西日本新聞) |
| 番勝負 | 七番勝負(2日制) |
| 持ち時間 | 各8時間 |
| 推定賞金 | 約1,000万円 |
| 永世称号 | 永世王位(連続5期または通算10期) |
正式名称は「伊藤園お〜いお茶杯王位戦」。
「お〜いお茶」と「王位(おうい)」をかけたネーミングですね。
挑戦者決定方式が独特で、紅組と白組に分かれたリーグ戦の1位同士が挑戦者決定戦を戦います。
王座(おうざ)
秋に行われる五番勝負のタイトル戦です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創設年 | 1953年(1983年タイトル戦昇格) |
| 主催 | 日本経済新聞社 |
| 番勝負 | 五番勝負 |
| 持ち時間 | 各5時間 |
| 推定賞金 | 約1,000万円 |
| 永世称号 | 名誉王座(連続5期または通算10期) |
王座戦だけは永世称号が「永世王座」ではなく「名誉王座」と呼ばれます。
羽生善治さんは王座戦で19連覇という驚異的な記録を持っており、名誉王座の資格を獲得しています。
棋聖(きせい)
2025年に賞金が大幅アップしたタイトルです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創設年 | 1962年 |
| 主催 | 産経新聞社 |
| 番勝負 | 五番勝負 |
| 持ち時間 | 各4時間 |
| 優勝賞金 | 4,000万円(2025年〜) |
| 永世称号 | 永世棋聖(通算5期) |
正式名称は「ヒューリック杯棋聖戦」。
2025年度から優勝賞金が4,000万円に増額され、序列も8位から6位に上昇しました。
特別協賛のヒューリック株式会社のテコ入れにより、竜王戦に次ぐ高額賞金のタイトルになったんです。
棋王(きおう)
挑戦者決定方式がユニークなタイトル戦です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創設年 | 1974年(1975年タイトル戦昇格) |
| 主催 | 共同通信社 |
| 番勝負 | 五番勝負 |
| 持ち時間 | 各4時間 |
| 推定賞金 | 約1,000万円 |
| 永世称号 | 永世棋王(連続5期のみ) |
棋王戦の挑戦者決定方式には敗者復活戦があります。
トーナメントで負けても復活のチャンスがあるんですね。
また、永世棋王は「連続5期」のみで獲得可能という、最も厳しい条件になっています。
通算での獲得条件がないため、4連覇を何回繰り返しても永世棋王にはなれません。
王将(おうしょう)
「史上最強リーグ」と呼ばれる挑戦者決定リーグが特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創設年 | 1950年 |
| 主催 | スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社 |
| 番勝負 | 七番勝負(2日制) |
| 持ち時間 | 各8時間 |
| 推定賞金 | 約1,000万円 |
| 永世称号 | 永世王将(通算10期) |
正式名称は「ALSOK杯王将戦」。
挑戦者決定リーグは7名という少人数で行われ、総当たり戦の結果、1位の棋士が挑戦者になります。
トップ棋士だけが集まるこのリーグは「史上最強リーグ」とも呼ばれています。
八大タイトル一覧表
| タイトル | 創設年 | 番勝負 | 持ち時間 | 主催 | 永世称号条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 竜王 | 1988年 | 七番勝負 | 各8時間 | 読売新聞社 | 連続5期 or 通算7期 |
| 名人 | 1935年 | 七番勝負 | 各9時間 | 朝日・毎日新聞社 | 通算5期 |
| 叡王 | 2017年 | 五番勝負 | 各4時間 | 不二家 | 通算10期 |
| 王位 | 1960年 | 七番勝負 | 各8時間 | ブロック紙3社連合 | 連続5期 or 通算10期 |
| 王座 | 1983年 | 五番勝負 | 各5時間 | 日本経済新聞社 | 連続5期 or 通算10期 |
| 棋聖 | 1962年 | 五番勝負 | 各4時間 | 産経新聞社 | 通算5期 |
| 棋王 | 1975年 | 五番勝負 | 各4時間 | 共同通信社 | 連続5期のみ |
| 王将 | 1950年 | 七番勝負 | 各8時間 | スポニチ・毎日新聞社 | 通算10期 |
現在のタイトル保持者(2025年度)
| タイトル | 保持者 | 連続獲得 |
|---|---|---|
| 竜王 | 藤井聡太 | 5期連続 |
| 名人 | 藤井聡太 | 3期連続 |
| 叡王 | 伊藤匠 | 2期連続 |
| 王位 | 藤井聡太 | 6期連続 |
| 王座 | 伊藤匠 | 初獲得 |
| 棋聖 | 藤井聡太 | 6期連続 |
| 棋王 | 藤井聡太 | 3期連続 |
| 王将 | 藤井聡太 | 4期連続 |
2023年10月、藤井聡太さんは史上初の八冠独占を達成しました。
しかし2024年に叡王、2025年に王座を伊藤匠さんに奪われ、現在は六冠となっています。
永世称号とは?
永世称号は、同じタイトルを一定数獲得した棋士に与えられる特別な称号です。
いわば将棋界の「殿堂入り」のようなものですね。
基本的に永世称号は引退後に名乗りますが、現役で特別に許可される場合もあります。
たとえば谷川浩司さんは、功績が認められて現役のまま「十七世名人」を名乗ることが許されました。
永世称号獲得条件の一覧
| 永世称号 | 獲得条件 |
|---|---|
| 永世竜王 | 連続5期 or 通算7期 |
| 永世名人(○世名人) | 通算5期 |
| 永世叡王 | 通算10期 |
| 永世王位 | 連続5期 or 通算10期 |
| 名誉王座 | 連続5期 or 通算10期 |
| 永世棋聖 | 通算5期 |
| 永世棋王 | 連続5期のみ |
| 永世王将 | 通算10期 |
永世称号保持者・資格者
永世竜王:羽生善治、渡辺明、藤井聡太
永世名人
- 十四世名人:木村義雄
- 十五世名人:大山康晴
- 十六世名人:中原誠
- 十七世名人:谷川浩司
- 十八世名人資格者:森内俊之
- 十九世名人資格者:羽生善治
永世王位:大山康晴、中原誠、羽生善治、藤井聡太
名誉王座:中原誠、羽生善治
永世棋聖:大山康晴、中原誠、米長邦雄、羽生善治、藤井聡太
永世棋王:羽生善治、渡辺明
永世王将:大山康晴、羽生善治
永世叡王:該当者なし(2023年に規定制定)
羽生善治の「永世七冠」
羽生善治九段は、永世称号の規定があるすべてのタイトルで永世称号を獲得しています。
これを「永世七冠」と呼び、2018年には国民栄誉賞を受賞しました。
叡王戦の永世称号(永世叡王)が2023年に制定されたため、現在は永世八冠を目指す棋士が現れる可能性があります。
その最有力候補は、すでに永世三冠(永世竜王・永世王位・永世棋聖)を獲得している藤井聡太さんでしょう。
まとめ
将棋の八大タイトルについて解説しました。ポイントをおさらいしましょう。
- 八大タイトルは竜王・名人・叡王・王位・王座・棋聖・棋王・王将の8つ
- 序列は契約金で決まり、竜王が1位、名人が2位
- 竜王と名人は他のタイトルより別格扱い
- 永世称号は同一タイトルを規定数獲得した棋士に与えられる
- 羽生善治九段は史上唯一の永世七冠達成者
- 藤井聡太さんは現在六冠で、永世三冠を獲得済み
タイトル戦は各新聞社やスポンサーの協力で運営されており、棋士たちにとって最高の舞台です。
これからタイトル戦のニュースを見るとき、この記事で得た知識がきっと役立ちますよ。


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