円卓の騎士といえば、ランスロットやガウェインが有名ですよね。
でも「3番目に強い騎士」がいたことは、意外と知られていません。
その名はラモラック。
30人の騎士を1人で叩きのめすほどの武勇を誇りながら、味方に背中を刺されて命を落とした悲劇の騎士です。
この記事では、ラモラックの生涯と彼を死に追いやった「血で血を洗う復讐劇」についてわかりやすく解説します。
ラモラックの基本情報

ラモラック卿(Sir Lamorak)は、アーサー王伝説に登場する円卓の騎士の1人です。
正式名は「ラモラック・デ・ガリス」といい、「ウェールズのラモラック」という意味を持ちます。
トマス・マロリーの『アーサー王の死』では、ランスロット、トリスタンに次ぐ円卓第3位の騎士として描かれています。
フランスの『散文トリスタン』でも「上位5人の騎士」に数えられるなど、その実力は折り紙付きでした。
「赤い盾の騎士」という異名を持ち、特に馬上槍試合では無類の強さを発揮したといいます。
ラモラックの家系|騎士の名門・ペリノア一族
ラモラックは名門騎士の家に生まれました。
父はアーサー王の初期からの同盟者であるペリノア王。
「怪物獣(クエスティング・ビースト)」を追い続けた伝説の騎士としても知られています。
兄弟もまた円卓の騎士として名を連ねる者ばかりでした。
| 名前 | 説明 |
|---|---|
| トー卿 | ペリノアの長男とされる騎士 |
| アグロヴァル卿 | 嫡子の長男。弟パーシヴァルをキャメロットに連れてきた |
| ラモラック卿 | 円卓3番目の強さを誇る騎士 |
| ドリアン卿 | ラモラックとともにガウェイン兄弟に殺される |
| パーシヴァル卿 | 聖杯探索で知られる騎士。最も有名な弟 |
| ディンドラン | 聖杯の乙女として登場する姉妹 |
ラモラックの名前は、叔父のラモラットに由来します。
この叔父はアーサー王の父・ウーサー・ペンドラゴンの時代に「最高の騎士」と称えられた人物でした。
名前からして「強くあれ」という期待を背負っていたわけですね。
円卓3番目の実力|30人を1人で倒す化け物じみた武勇
ラモラックの強さは、数々のエピソードで証明されています。
キャメロット近郊の槍試合では、ガウェイン卿をはじめ20人以上の騎士を次々と打ち倒しました。
アーサー王自身が「これほどの槍使いを見たことがない」と称賛したほどです。
別の大会・ロナゼップでの槍試合では、なんと30人の騎士を相手に戦い抜いて優勝。
パロミデス卿ら強豪を次々と馬から叩き落としています。
マロリーは騎士の実力を「1度の試合で何人倒したか」で比較しています。
| 騎士 | 1試合で倒した騎士数 |
|---|---|
| ランスロット卿 | 50人 |
| トリスタン卿 | 40人 |
| ラモラック卿 | 30人 |
トリスタン自身も「ランスロット以外で最も腕が立ち、スタミナがあり、体格に優れた騎士」とラモラックを評価しています。
激しい気性が招いたトラブル
ラモラックは武勇だけでなく、激しい気性でも知られていました。
若くして一族の当主となったラモラックは、ランスロットやガウェインより一回り年下。
血気盛んだった彼は、円卓の先輩騎士たちと何度も衝突しています。
トリスタンとの因縁
意外なことに、後に親友となるトリスタンとも最初は犬猿の仲でした。
ある槍試合で、すでに何十人もの相手と戦って疲労していたラモラック。
トリスタンは「疲れた相手と戦うのは騎士道に反する」と対戦を拒否しました。
これをラモラックは侮辱と受け取ります。
怒った彼は、トリスタンの恋人イゾルデ王妃に「不貞をした者が飲むとこぼれる魔法の杯」を送りつけました。
当然トリスタンは激怒。2人は決闘することになります。
しかし、激しく剣を交えるうちにお互いの実力を認め合い、以後は固い友情で結ばれました。
ランスロットとも同様のいざこざがありましたが、こちらも和解後は友人になっています。
喧嘩するほど仲が良い、というやつでしょうか。
禁断の恋|敵の未亡人を愛してしまった代償
ラモラックの人生を狂わせたのは、ある女性との恋愛でした。
相手はモルゴース——オークニー王ロットの未亡人にして、アーサー王の異父姉です。
そして、ガウェイン、ガヘリス、アグラヴェイン、ガレス、モルドレッドという5人の息子の母でもありました。
問題は、モルゴースの夫ロット王を殺したのが、ラモラックの父ペリノアだったこと。
ペリノア王とロット王は戦場で激突し、ペリノアがロットを討ち取っていました。
その復讐として、10年後にガウェインとガヘリスはペリノアを殺害しています。
つまりラモラックは、父の仇の妻を愛してしまったのです。
当然ながら、モルゴースの息子たちは黙っていませんでした。
発覚、そして母の死
ラモラックとモルゴースの密会は、ガウェインの城で行われていました。
ある夜、息子の1人ガヘリスが2人の寝室に踏み込みます。
彼はその場で母モルゴースを斬首してしまいました。
武装していなかったラモラックは殺されませんでした。
「丸腰の相手を殺すのは騎士道に反する」という理由です。
しかし、これで両家の対立は決定的となりました。
ラモラックはキャメロットを去り、放浪の身となります。
悲劇の最期|4対1の卑怯な襲撃
物語は最悪の結末を迎えます。
ある時、サールースで大規模な槍試合が開催されました。
パロミデス卿が無双状態で、誰も彼を止められないとアーサー王が嘆いていると聞いたラモラック。
ガウェイン兄弟に殺される覚悟で、彼は試合に参戦します。
ラモラックは見事に優勝を果たしました。
しかし、試合会場を去る彼を待ち伏せしていたのは——
- ガウェイン卿
- ガヘリス卿
- アグラヴェイン卿
- モルドレッド卿
4人のオークニー兄弟でした。
彼らはすでにラモラックの弟ドリアンを殺害していました。
そして、槍試合直後で疲弊しきったラモラックに4対1で襲いかかったのです。
それでもラモラックは3時間以上戦い続けました。
最後はモルドレッド(あるいはガウェイン)が背後から致命傷を与え、4人で滅多切りにして殺害。
円卓3番目の騎士は、こうして非業の死を遂げたのです。
復讐の連鎖|従兄弟による毒殺未遂事件
ラモラックの死は、さらなる悲劇を呼びました。
彼の従兄弟ピネル・ル・サヴァージュ(「野蛮なピネル」の意)が復讐を誓います。
ピネルはグィネヴィア王妃の晩餐会で、ガウェインに毒を盛ろうとしました。
ところが、毒入りの杯を飲んだのは別の騎士でした。
その騎士の弟マドール・ド・ラ・ポルトは王妃を犯人と決めつけ、処刑を要求します。
魔術師ニムエが真相を暴くまでの間、ランスロットが王妃の擁護者として戦い、なんとかグィネヴィアは救われました。
復讐が復讐を呼び、無関係の人間まで巻き込む——まさに負の連鎖ですね。
現代作品に登場するラモラック
ラモラックは現代のゲームにも登場しています。
| 作品名 | 登場形態 |
|---|---|
| グランブルーファンタジー | パーシヴァルの兄として言及。「放浪の魔術師」という設定 |
| ソニックと暗黒の騎士 | ジェットに似た円卓の騎士として登場。双剣を使用 |
| バトルスピリッツ | 「闘騎士ラモラック」として登場 |
| ディバインゲート | 闇騎士ラモラックとして登場 |
特に『グランブルーファンタジー』では、パーシヴァルの兄弟としてアグロヴァルとともに設定に組み込まれ、ファンの間で話題となっています。
まとめ
ラモラックは、アーサー王伝説において悲劇的な最期を遂げた円卓の騎士です。
ポイントをおさらいしましょう。
- ランスロット、トリスタンに次ぐ円卓第3位の騎士
- 父はペリノア王。弟には聖杯の騎士パーシヴァルがいる
- 「赤い盾の騎士」の異名を持ち、30人の騎士を1人で倒す武勇を誇った
- 父の仇の妻モルゴースと禁断の恋に落ちた
- ガウェイン、ガヘリス、アグラヴェイン、モルドレッドの4人に襲撃され殺害された
- 背後から致命傷を受けるという、騎士道に反する殺され方だった
30人を相手にできる実力があっても、4対1の闇討ちでは勝てない——当たり前のことですが、だからこそ卑怯に感じますよね。
ラモラックの死は、円卓の騎士たちの間に深い亀裂を残しました。
後にランスロットとガウェインが対立した際も、この事件は引き合いに出されています。
最強クラスの騎士でありながら、血の復讐劇に巻き込まれて命を落としたラモラック。
彼の物語は、騎士道の光と影を象徴しているのかもしれません。


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