パソコンを使っていたり、プログラミングを学び始めると、必ず遭遇するのが「エラー」です。
「エラーが出た!」
「プログラムがエラーで止まった!」
「エラーメッセージが表示されて困っている…」
こんな経験、ありませんか?
エラーと聞くと「何か悪いことをしてしまったのでは?」と不安になるかもしれません。しかし、エラーは決して恐れるものではありません。むしろ、エラーはあなたの良き先生なのです。
この記事では、「エラー」とは何か、どんな種類があるのか、どう対処すれば良いのかを、初心者の方にも分かりやすく解説します。
エラーとは?基本的な意味

英語の「Error」の意味
「エラー(Error)」は英語で、以下の意味を持ちます。
基本的な意味:
- 誤り
- 間違い
- 過失
- 勘違い
- 誤差
日常会話での使い方:
「I made an error in my calculations.」(計算で誤りを犯した)
IT・コンピューター用語としての「エラー」
コンピューターやプログラミングの世界では、エラーには特別な意味があります。
定義:
コンピュータープログラムが正常に動作を続けられない致命的な問題や事態のことです。
簡単に言うと:
- プログラムが「これ以上続けられません!」と言っている状態
- コンピューターが「理解できません!」と困っている状態
- 何かがうまくいかず、処理が止まってしまった状態
なぜエラーは発生するのか?
エラーが発生する理由は様々ですが、大きく分けて以下のパターンがあります。
1. プログラムの記述ミス
プログラマーが書いたコードに誤りがある場合:
- スペルミス
- 文法の間違い
- 記号の付け忘れ
- 論理的な間違い
2. 想定外の使い方
開発者が予想していなかった使い方をした場合:
- 空欄に何も入力せずに送信ボタンを押した
- 数字を入れるべき場所に文字を入れた
- ファイルが存在しないのに開こうとした
3. ハードウェアの問題
コンピューターの機器に不具合がある場合:
- メモリ不足
- ディスクの故障
- 接続エラー
4. データの問題
扱っているデータに問題がある場合:
- ファイルが破損している
- データの形式が間違っている
- データの量が多すぎる
エラーとバグの違い
「エラー」と「バグ」は似ていますが、厳密には違います。
エラー(Error)
意味:
プログラムが「これは間違っています!」と認識して、処理を中断または停止する状態。
特徴:
- コンピューターが問題を検知している
- エラーメッセージが表示される
- プログラムが止まる
例:
「ファイルが見つかりません」というエラーが出てプログラムが停止する。
バグ(Bug)
意味:
プログラムの中にある欠陥や不具合のこと。プログラムが仕様通りに動かない原因となるもの。
特徴:
- エラーとして認識されていない場合もある
- プログラムは動くが、間違った結果になる
- 見つけるのが難しい
例:
計算プログラムが動くが、答えがいつも間違っている。
関係性
人間の判断ミス(エラー)
↓
プログラムに欠陥が生じる(バグ)
↓
実行時にエラーが発生
つまり、バグがあるとエラーが発生することが多いです。
プログラミングにおけるエラーの種類
プログラミングでは、主に3種類のエラーがあります。
1. 構文エラー(Syntax Error)
意味:
プログラミング言語の文法的な間違いです。
発生するタイミング:
プログラムを書いている時、またはコンパイル時(プログラムを実行可能な形に変換する時)。
原因の例:
- セミコロン(;)を付け忘れた
- カッコを閉じ忘れた
- スペルを間違えた
- クォーテーション(“)を付け忘れた
- 予約語(プログラミング言語で特別な意味を持つ言葉)を間違えて使った
例(Python):
# 間違い(クォーテーションが閉じられていない)
print("Hello World
# 正しい
print("Hello World")
例(JavaScript):
// 間違い(カッコが閉じられていない)
function calculateSum(a, b {
return a + b;
}
// 正しい
function calculateSum(a, b) {
return a + b;
}
特徴:
- 見つけやすい: エディターやコンパイラーが教えてくれる
- 修正しやすい: エラーメッセージに場所と原因が書いてある
- プログラムは実行されない: 文法が間違っているので動かない
2. 実行時エラー(Runtime Error / ランタイムエラー)
意味:
プログラムを実行している最中に発生するエラーです。
発生するタイミング:
プログラムは正常に起動したが、実行中に問題が起きた時。
原因の例:
- ゼロで割り算しようとした
- 存在しないファイルを開こうとした
- 配列の範囲外を参照しようとした
- 存在しない変数を使おうとした
- メモリ不足
- ネットワーク接続の失敗
例(Python):
# ゼロ除算エラー
x = 10
y = 0
result = x / y # ZeroDivisionError: division by zero
# 配列の範囲外参照
numbers = [1, 2, 3]
print(numbers[5]) # IndexError: list index out of range
例(JavaScript):
# 存在しない変数を使用
console.log(myVariable); # ReferenceError: myVariable is not defined
特徴:
- 構文は正しい: 文法的には問題ない
- 実行すると問題が起きる: 実際に動かすとエラーになる
- エラーメッセージが出る: プログラムが停止してメッセージが表示される
3. 論理エラー(Logical Error / Logic Error)
意味:
プログラムは動くが、期待した結果にならないエラーです。
発生するタイミング:
プログラムは正常に実行されるが、結果が間違っている時。
原因の例:
- アルゴリズム(処理手順)の設計ミス
- 計算式が間違っている
- 条件分岐(if文)の条件が間違っている
- ループの回数が間違っている
- 演算子の使い間違い(+と-、*と/など)
例(Python):
# 平均を計算するプログラム(間違い)
x = 10
y = 6
average = x + y / 2
print(average) # 結果: 13.0 (正しくは8.0)
# 問題点: 演算の順序が間違っている
# y / 2 が先に計算され、その後 x が足される
# 正しい書き方
average = (x + y) / 2
print(average) # 結果: 8.0
例(条件分岐の間違い):
# 年齢判定プログラム(間違い)
age = 18
if age > 18: # 間違い: 18の人が含まれない
print("成人です")
else:
print("未成年です")
# 正しい書き方
if age >= 18: # 18以上
print("成人です")
else:
print("未成年です")
特徴:
- 最も厄介: エラーメッセージが出ない
- 見つけにくい: プログラムは正常に動いているように見える
- 結果で判断: 出力が期待と違うことで気づく
- デバッグが必要: 丁寧に原因を調べる必要がある
その他のエラーの種類
コンパイルエラー(Compile Error)
意味:
ソースコード(プログラマーが書いたコード)を実行可能なプログラムに変換する時に発生するエラー。
構文エラーとの関係:
構文エラーがあると、コンパイルエラーになります。ほぼ同じ意味で使われます。
例外(Exception)
意味:
実行時エラーの一種で、プログラムが「予期しない状況」に遭遇した時に発生します。
特徴:
例外は「例外処理」という仕組みで対処できます。エラーをキャッチ(捕まえて)して、適切に処理することができます。
例(Python):
try:
x = 10 / 0
except ZeroDivisionError:
print("ゼロで割ることはできません")
セマンティックエラー(Semantic Error)
意味:
文法的には正しいが、プログラムの意味や意図が間違っているエラー。論理エラーの一種です。
コンピューター使用時の一般的なエラー

プログラミング以外でも、パソコンを使っていると様々なエラーに遭遇します。
システムエラー
意味:
オペレーティングシステム(Windows、macOSなど)に問題が発生した状態。
例:
- ブルースクリーン(Windowsの深刻なエラー)
- カーネルパニック(macOS/Linuxの深刻なエラー)
- 「システムエラーが発生しました」
ハードウェアエラー
意味:
コンピューターの物理的な機器に問題がある状態。
例:
- メモリエラー
- ディスクエラー
- 接続エラー
ネットワークエラー
意味:
インターネットやネットワーク通信に問題がある状態。
例:
- 「接続できませんでした」
- 「タイムアウトしました」
- 「サーバーが応答しません」
ファイルエラー
意味:
ファイルの読み書きに問題がある状態。
例:
- 「ファイルが見つかりません」
- 「アクセスが拒否されました」
- 「ファイルが破損しています」
エラーメッセージの読み方
エラーが出た時、エラーメッセージには重要な情報が含まれています。
エラーメッセージの構成
典型的なエラーメッセージ:
ファイル名.py:10: TypeError: unsupported operand type(s) for +: 'int' and 'str'
各部分の意味:
- ファイル名.py: どのファイルでエラーが発生したか
- :10: 何行目でエラーが発生したか
- TypeError: エラーの種類
- 詳細説明: 何が問題だったのか
エラーメッセージを読むコツ
1. 慌てない
エラーは悪いことではありません。問題を教えてくれています。
2. 場所を確認
何行目でエラーが出たかを確認します。
3. エラーの種類を理解
どんなタイプのエラーか(構文エラー、実行時エラーなど)を把握します。
4. 詳細を読む
エラーメッセージは具体的に何が問題かを教えてくれています。
5. 検索する
分からない場合は、エラーメッセージをそのまま検索すると、同じ問題を経験した人の解決策が見つかることが多いです。
エラーへの対処法
構文エラーの対処法
1. エラーメッセージを読む
どこに問題があるか、何が問題かを確認します。
2. 指摘された行を確認
エラーが指摘された行とその前後を見ます。
3. よくあるミスをチェック
- セミコロンやカンマの付け忘れ
- カッコやクォーテーションの閉じ忘れ
- スペルミス
- 全角スペースの混入(日本語入力がオンになっていた)
4. IDEの助けを借りる
多くの統合開発環境(IDE)は、構文エラーを赤い波線で教えてくれます。
実行時エラーの対処法
1. エラーメッセージから原因を特定
どんな種類のエラーか確認します。
2. 該当箇所を確認
エラーが発生した行を見ます。
3. 変数の値を確認
変数に予期しない値が入っていないか確認します。
4. 例外処理を追加
try-except(Python)、try-catch(JavaScript、Java)などで例外を処理します。
5. 条件を追加
問題が起きそうな場合は事前にチェックします。
例:
# ファイルを開く前に存在確認
import os
if os.path.exists("data.txt"):
file = open("data.txt")
else:
print("ファイルが存在しません")
論理エラーの対処法
1. 予想される結果を明確にする
何を期待しているのかをはっきりさせます。
2. 実際の結果と比較
プログラムの出力が期待と違うことを確認します。
3. デバッグ
- print文を使う: 変数の値を出力して確認
- デバッガーを使う: ステップ実行で1行ずつ確認
- ペンと紙で追跡: 手作業でプログラムの流れを追う
4. アルゴリズムを見直す
処理の手順自体が間違っていないか確認します。
5. ラバーダック・デバッギング
ぬいぐるみやゴム製のアヒルに、コードを1行ずつ説明します。説明している最中に、自分で間違いに気づくことがよくあります。
エラーを減らすための予防策
コーディング前
1. 設計をしっかり行う
何を作るか、どう作るかを明確にします。
2. アルゴリズムを考える
処理の手順を紙に書いてみます。
3. 疑似コード(擬似コード)を書く
プログラミング言語ではなく、日本語で処理を書いてみます。
コーディング中
1. こまめにテストする
少しコードを書いたら、すぐに実行して確認します。
2. 分かりやすい変数名を使うxやaではなく、userNameやtotalPriceのような意味のある名前を付けます。
3. コメントを書く
何をしているのか、なぜそうしているのかをコメントで残します。
4. インデント(字下げ)を揃える
コードの構造を見やすくします。
5. IDEの機能を活用
- 自動補完
- 文法チェック
- リアルタイムエラー検出
コーディング後
1. コードレビュー
自分のコードを見直すか、他の人に見てもらいます。
2. テストケースを作る
様々な入力パターンで動作確認します。
3. エッジケース(境界値)をテスト
- 最小値、最大値
- 空の入力
- 特殊文字
4. リファクタリング
動くようになったら、より良いコードに改善します。
エラーから学ぶ姿勢
エラーはチャンス
エラーは悪いことではありません。
- エラーは問題を教えてくれる先生
- エラーを通じてプログラミングが上達する
- プロのプログラマーも毎日エラーに遭遇している
エラーとの向き合い方
1. 落ち着く
エラーが出ても慌てません。深呼吸しましょう。
2. 読む
エラーメッセージをしっかり読みます。
3. 考える
なぜこのエラーが出たのか考えます。
4. 調べる
分からなければ検索します。
5. 試す
解決策を試してみます。
6. 学ぶ
同じエラーを繰り返さないように、原因と解決法を覚えます。
7. 記録する
エラーと解決法をノートやブログに記録しておくと、後で役立ちます。
プログラマーのエラー対策ツール
1. 統合開発環境(IDE)
Visual Studio Code、PyCharm、Eclipse、IntelliJ IDEAなど
機能:
- リアルタイムの構文チェック
- 自動補完
- デバッガー
- エラーの波線表示
2. リンター(Linter)
ESLint(JavaScript)、Pylint(Python)など
機能:
- コードの品質チェック
- スタイルの統一
- 潜在的なエラーの検出
3. デバッガー
ほとんどのIDEに内蔵
機能:
- ブレークポイントの設定
- ステップ実行
- 変数の値の確認
- コールスタックの表示
4. バージョン管理システム
Git、GitHub、GitLabなど
機能:
- コードの変更履歴を追跡
- 問題が起きたら以前の状態に戻せる
5. 自動テストツール
pytest(Python)、Jest(JavaScript)、JUnit(Java)など
機能:
- 自動的にプログラムをテスト
- 新しい変更がバグを生んでいないか確認
よくある質問
Q: エラーが出ると、自分がプログラミングに向いていないと思ってしまいます。
A: それは大きな誤解です。エラーは全てのプログラマーが経験します。初心者もベテランも関係ありません。むしろ、エラーに遭遇し、それを解決する経験を積むことで、プログラミングスキルが向上します。エラーは「失敗」ではなく、「学びの機会」です。
Q: 同じエラーを何度も繰り返してしまいます。
A: エラーの原因と解決策を記録しておきましょう。ノートやブログ、メモアプリなどに「エラーログ」を作ると良いです。また、IDEの設定でよくあるミスを自動的に警告するようにできます。
Q: エラーメッセージが英語で読めません。
A: Google翻訳やDeepLを使って翻訳してみましょう。また、エラーメッセージをそのまま検索すると、日本語の解説記事が見つかることも多いです。英語のエラーメッセージに慣れることも、プログラミング学習の一部です。
Q: エラーの原因が全く分かりません。どうすれば良いですか?
A: 以下の手順を試してください:
- エラーメッセージを全文コピーして検索
- Stack Overflowなどの技術フォーラムで質問
- コミュニティやメンターに相談
- 一度ゼロから書き直してみる
- 休憩して、リフレッシュしてから見直す
Q: 論理エラーが見つけられません。
A: 以下の方法を試してください:
- デバッガーでステップ実行
- print文で変数の値を確認
- 期待される動作を紙に書き出す
- 誰かに説明してみる(ラバーダック・デバッギング)
- テストケースを増やす
Q: エラーを完全になくすことはできますか?
A: 残念ながら、完全にエラーをなくすことは非常に困難です。複雑なプログラムほど、予期しないエラーが発生する可能性があります。しかし、適切なテスト、コードレビュー、例外処理によって、エラーを最小限に抑えることはできます。
Q: プロのプログラマーはエラーを出さないのですか?
A: いいえ、プロも毎日エラーに遭遇しています。違いは、エラーの対処法を知っていること、エラーから素早く学べることです。経験豊富なプログラマーほど、効率的にエラーを見つけて修正できます。
まとめ:エラーは成長のチャンス
「エラー」について、その意味から種類、対処法まで詳しく解説しました。
この記事の重要ポイント:
エラーとは:
- コンピューターが正常に動作できない状態
- プログラムが続行できない問題
- 決して恐れるものではない
エラーの種類:
- 構文エラー: 文法の間違い(見つけやすい)
- 実行時エラー: 実行中に発生(メッセージが出る)
- 論理エラー: 動くが結果が間違い(見つけにくい)
エラーへの向き合い方:
- エラーメッセージをよく読む
- 慌てずに原因を特定する
- 検索やコミュニティを活用する
- エラーから学ぶ姿勢を持つ
予防策:
- こまめにテストする
- 分かりやすいコードを書く
- IDEの機能を活用する
- コードレビューを行う
最も大切なこと:
エラーは失敗ではなく、成長のチャンスです。エラーに遭遇するたびに、あなたのプログラミングスキルは確実に向上しています。
プログラミングを学ぶ過程で、何百回、何千回とエラーに遭遇するでしょう。しかし、それぞれのエラーが、あなたを優れたプログラマーへと成長させてくれます。
エラーを恐れず、エラーから学び、楽しくプログラミングを続けていきましょう!

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