日本十進分類法とは?図書館の本の並び方がわかる分類システムを解説

雑学

図書館で本を探すとき、「913」「210」といった3桁の数字を見かけたことはありませんか?

実はこの数字、適当につけられているわけではないんです。「日本十進分類法」という、本を整理するためのルールに基づいています。

この記事では、日本十進分類法の仕組みや分類の一覧、誕生の経緯までわかりやすく解説していきます。


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日本十進分類法(NDC)の概要

日本十進分類法は、日本の図書館で使われている本の分類システムです。
英語では「Nippon Decimal Classification」といい、略して「NDC」と呼ばれています。

ポイントは「十進」という名前のとおり、0から9までの10個の数字だけで分類するところ。桁数を増やすことで、どんどん細かく分類できる仕組みになっています。

現在の最新版は2014年に刊行された「新訂10版」で、日本図書館協会が管理・改訂を続けています。公共図書館と学校図書館ではほぼ100%がこのNDCを採用しているので、どの図書館に行っても同じルールで本が並んでいるんですね。


NDCの仕組み|数字で本を整理する方法

第1次区分(類目):10のジャンル

NDCではまず、すべての本を10個の大きなグループに分けます。これを「類」といいます。

  • 0類:総記(どれにも当てはまらない総合的なもの)
  • 1類:哲学
  • 2類:歴史
  • 3類:社会科学
  • 4類:自然科学
  • 5類:技術
  • 6類:産業
  • 7類:芸術
  • 8類:言語
  • 9類:文学

「0」には特定のジャンルに収まらない百科事典や図書館学の本などが入ります。

第2次区分(綱目):100に細分化

10個のグループをさらに10ずつ分けると、00〜99の100グループになります。

たとえば「9類:文学」は、こんなふうに細かくなります。

  • 910:日本文学
  • 920:中国文学
  • 930:英米文学
  • 940:ドイツ文学
  • 950:フランス文学
  • …というように続く

第3次区分(要目):1000に細分化

さらに10ずつ分けると、000〜999の1000グループに。

「910:日本文学」を例にすると…

  • 911:詩歌
  • 912:戯曲
  • 913:小説・物語
  • 914:評論・エッセイ
  • 915:日記・書簡
  • 916:記録・手記
  • 917:箴言・アフォリズム
  • 918:作品集

つまり「913」という数字は、「9類(文学)→ 91(日本文学)→ 913(小説・物語)」という意味になるんですね。

4桁以上も存在する

3桁では足りない場合、ピリオドを挟んでさらに細かく分類できます。

たとえば「489.56」は、「4類(自然科学)→ 48(動物学)→ 489(哺乳類)→ 489.56(イヌ科)」という意味。かなり細かいところまで分類できるようになっています。


具体例で見るNDCの使い方

同じ「犬」でも分類が違う?

面白いのは、同じテーマでも本の内容によって分類が変わること。

「犬」についての本を例にすると…

  • 犬の生態についての本 → 489(哺乳類)
  • 犬の飼い方についての本 → 645(家畜・愛玩動物)

同じ犬なのに別々の場所に置かれているのは、「動物としての犬」と「ペットとしての犬」で視点が違うからなんです。

分類番号の読み方

「911.1」のような番号は「キュウ・イチ・イチ・テン・イチ」と読みます。棚で本を探すときは、この番号順に並んでいるので、近い番号の本を見ると関連する本が見つかりやすいですよ。


NDCの誕生と歴史

生みの親は「森清」

日本十進分類法を作ったのは、森清(もり・きよし、1906〜1990年)という図書館員です。

森清は大阪出身で、16歳で図書館用品を扱う「間宮商店」に入社しました。そこで図書館の知識を学び、日本各地の図書館を回るうちに、ある問題に気づきます。

当時の日本には統一された図書分類法がなく、図書館ごとにバラバラのルールで本を整理していたんですね。

アメリカの分類法をベースにアレンジ

森清は、アメリカの図書館学者メルヴィル・デューイが考案した「デューイ十進分類法(DDC)」に着目しました。

ただし、DDCをそのまま使うには問題がありました。DDCはキリスト教圏向けに作られていて、日本の事情には合わなかったんです。

そこで森清は、DDCの十進分類という仕組みは活かしつつ、日本向けにアレンジ。日本文学や日本史が使いやすいよう工夫を加え、1928年に発表、翌1929年に刊行しました。

戦後に一気に普及

実は、戦前はあまり普及しませんでした。採用した図書館は数十館程度だったといいます。

転機は戦後。1949年に文部省が『学校図書館の手引き』でNDCを紹介したこと、国立国会図書館が採用したことで、一気に全国の図書館に広まりました。

現在は公共図書館・学校図書館でほぼ100%、大学図書館でも90%以上がNDCを使っています。


デューイ十進分類法(DDC)との違い

NDCのベースになったDDCは、世界で最も広く使われている図書分類法です。両者の違いを簡単に比較してみましょう。

宗教の扱い

  • DDC:2類が「宗教」で、キリスト教に関する項目が充実
  • NDC:1類に「哲学・宗教」としてまとめ、仏教や神道も扱いやすい

歴史・地理の扱い

  • DDC:9類が「地理・歴史」で、日本史は「952」
  • NDC:2類が「歴史・地理」で、日本史は「21x」から始まる

日本の図書館でDDCを使おうとすると、日本史の本を探すのに「952」の棚へ行かなければなりません。NDCなら「21」から始まる棚を見ればOK。日本向けに最適化されているのがよくわかりますね。


NDCの課題と限界

完璧に見えるNDCにも、いくつかの課題があります。

9区分の制約
十進分類は「10で割る」仕組みなので、本来の学問分野と一致しないことも。たとえば「自然科学」の中に「医学」が含まれていたり、「植物学」「動物学」が独立していたりするのは、9区分に収めるための工夫なんです。

学際的な分野への対応
複数の分野にまたがる本(たとえば「環境経済学」)は、どこに分類するか悩ましいケースがあります。

地理区分の問題
記号の都合上、台湾や香港が「中国」の下位区分として扱われているなど、政治的に議論になるケースもありました。一部の図書館では書架の表示を見直す動きもあります。


日本十進分類法|第1次区分表(類目表)

分野名主な内容
0総記図書館学、百科事典、情報科学、ジャーナリズム
1哲学哲学、心理学、倫理学、宗教
2歴史歴史、地理、伝記
3社会科学政治、法律、経済、教育、民俗学
4自然科学数学、物理、化学、生物学、医学
5技術工学、建築、家政学
6産業農業、商業、運輸、通信
7芸術美術、音楽、演劇、スポーツ
8言語日本語、英語、各国語
9文学日本文学、外国文学

日本十進分類法|第2次区分表(綱目表)

分類分野名分類分野名
00総記50技術・工学
01図書館・図書館情報学51建設工学・土木工学
02図書・書誌学52建築学
03百科事典・用語索引53機械工学
04一般論文集・講演集54電気工学
05逐次刊行物・一般年鑑55海洋工学・船舶工学
06団体・博物館学56金属工学・鉱山工学
07ジャーナリズム・新聞57化学工業
08叢書・全集・選集58製造工業
09貴重書・郷土資料59家政学・生活科学
10哲学60産業
11哲学各論61農業
12東洋思想62園芸・造園
13西洋哲学63蚕糸業
14心理学64畜産業
15倫理学・道徳65林業・狩猟
16宗教66水産業
17神道67商業
18仏教68運輸・交通・観光
19キリスト教・ユダヤ教69通信事業
20歴史・世界史・文化史70芸術・美術
21日本史71彫刻・オブジェ
22アジア史・東洋史72絵画・書
23ヨーロッパ史・西洋史73版画・印章
24アフリカ史74写真・印刷
25北アメリカ史75工芸
26南アメリカ史76音楽・舞踊
27オセアニア史・両極地方史77演劇・映画・大衆芸能
28伝記78スポーツ・体育
29地理・地誌・紀行79諸芸・娯楽
30社会科学80言語
31政治81日本語
32法律82中国語・東洋の諸言語
33経済83英語
34財政84ドイツ語・その他のゲルマン諸語
35統計85フランス語・プロバンス語
36社会86スペイン語・ポルトガル語
37教育87イタリア語・ルーマニア語
38風俗習慣・民俗学・民族学88ロシア語・その他のスラブ諸語
39国防・軍事89その他の諸言語
40自然科学90文学
41数学91日本文学
42物理学92中国文学・東洋文学
43化学93英米文学
44天文学・宇宙科学94ドイツ文学・その他のゲルマン文学
45地球科学・地学95フランス文学・プロバンス文学
46生物科学・一般生物学96スペイン文学・ポルトガル文学
47植物学97イタリア文学・ルーマニア文学
48動物学98ロシア・ソビエト文学・その他のスラブ文学
49医学・薬学99その他の諸言語文学

まとめ

日本十進分類法(NDC)のポイント

  • 0〜9の数字だけで本を分類するシステム
  • 桁数が増えるほど、より細かい分類になる
  • 1929年に森清が考案し、現在は第10版
  • 日本の公共図書館・学校図書館のほぼ100%で採用
  • デューイ十進分類法をベースに、日本向けにアレンジされている

図書館で本を探すとき、分類番号を意識してみると新しい発見があるかもしれません。「913の棚に行けば日本の小説が見つかる」と覚えておくだけでも、本探しがぐっと楽になりますよ。

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