「円卓の騎士」という言葉、どこかで聞いたことがありませんか?
ゲームや映画、アニメでもおなじみのこの騎士団。でも実際、どんな人たちがいて、何をした人たちなのか、意外と知らない方も多いはず。
実はこの円卓の騎士、ただの「強い戦士集団」ではないんです。裏切り、禁断の恋、聖杯を巡る冒険——ドラマチックなエピソードの宝庫なんですね。
この記事では、アーサー王伝説に登場する円卓の騎士の中から、特に有名な12人をピックアップ。それぞれの特徴や伝承をわかりやすく紹介していきます。
円卓の騎士とは?

円卓の騎士とは、アーサー王に仕えた精鋭の騎士たちのことです。
名前の由来は、キャメロット城にあった「円形のテーブル」。普通のテーブルには上座・下座がありますよね。でも円卓には「頂点」がないので、座る全員が対等になります。つまり「俺たちは仲間だ、身分の差なんてない」というメッセージが込められているわけです。
円卓の席数は文献によってバラバラで、12席という説もあれば、150席、中には1,600席なんて話まであります。これはアーサー王伝説がいろんな作家によって書き継がれてきたから。時代や作品によってメンバーも人数も変わってくるんですね。
ただ、どの文献でも共通しているのが「危険な座(シージ・ペリラス)」の存在。この席は呪いがかけられていて、ふさわしくない者が座ると命を落とすとされていました。後にこの席に座れたのは、ただ一人——ランスロットの息子ガラハッドだけでした。
円卓の騎士12人を紹介
ここからは、円卓の騎士の中でも特に有名な12人を紹介していきます。
1. ランスロット(Lancelot)
「湖の騎士」の異名を持つ、円卓最強の剣士
ランスロットは、多くの文献で「円卓最強」と称される騎士です。「湖の貴婦人」に育てられたことから「湖の騎士」とも呼ばれます。
彼の伝説で最も有名なのは、アーサー王の妻グィネヴィアとの禁断の恋。最高の騎士でありながら、主君の妻を愛してしまうという悲劇的な運命を背負っています。
この不倫が発覚したことで円卓の騎士は分裂。最終的にキャメロットの崩壊を招くことになりました。最強であるがゆえに、最大の悲劇の引き金を引いてしまった——なんとも皮肉な話ですよね。
愛剣は「アロンダイト」。聖杯探索では、その心の穢れゆえに聖杯を手にすることはできませんでした。
2. ガウェイン(Gawain)
午前中は無敵!太陽の加護を受けた騎士
ガウェインはアーサー王の甥にあたる騎士で、ランスロットと並ぶ実力者です。最古参メンバーの一人でもあります。
彼の最大の特徴は「午前中だけ力が3倍になる」という不思議な体質。太陽が昇るにつれて力が増し、正午にピークを迎え、午後になると普通に戻るんです。敵からすれば「朝の戦いは絶対避けたい」相手ですよね。
愛剣は「ガラティーン」で、エクスカリバーの姉妹剣とも言われています。
『ガウェイン卿と緑の騎士』という有名な物語では、謎の緑の騎士から首切りゲームを挑まれるという、かなりぶっ飛んだ冒険をしています。彼の誠実さと勇気が試される名作なので、興味があればぜひ読んでみてください。
3. ガラハッド(Galahad)
聖杯を手にした「完璧な騎士」
ガラハッドはランスロットの息子であり、円卓の騎士の中で唯一「聖杯を見た」騎士です。
彼が円卓に加わったとき、誰も座れなかった「危険な座」に平然と腰を下ろしました。周囲は驚愕。普通なら死ぬはずの呪いを、彼は涼しい顔でクリアしたんです。
父ランスロットを超える剣の腕を持ち、なおかつ清廉潔白。聖杯探索では、パーシヴァル、ボールスとともに聖杯にたどり着き、その神秘を目にした後、天に召されました。
あまりにも完璧すぎて「人間味がない」と言われることもありますが、それこそが彼の本質。「完璧な騎士とは何か」を体現した存在なんですね。
4. パーシヴァル(Percival)
田舎育ちから聖杯の騎士へ——成長の物語
パーシヴァルは、もともと「聖杯を見つける騎士」として描かれていた人物です(後にその役目はガラハッドに引き継がれました)。
彼の面白いところは、最初は礼儀も何も知らない田舎者だったこと。騎士道なんて聞いたこともない状態からスタートし、数々の冒険を通じて成長していきます。いわば「異世界転生系」の元祖みたいなキャラですね。
聖杯城に到着したとき、目の前で不思議な行列を見ても何も質問しなかったために失敗する——というエピソードが有名。「なぜ聞かなかった!」と後悔する彼の姿は、読者に「質問することの大切さ」を教えてくれます。
5. トリスタン(Tristan)
悲恋の騎士——イゾルデへの禁断の愛
トリスタンは、ランスロットに匹敵する武勇を持つ騎士です。でも彼の名が知られているのは、戦いの腕よりも「悲恋」のほう。
トリスタンは叔父マーク王の花嫁イゾルデを迎えに行く途中、誤って媚薬を飲んでしまいます。その結果、二人は激しく愛し合うことに。でもイゾルデは叔父の妻——許されない恋でした。
この「トリスタンとイゾルデ」の物語は、後世の恋愛文学に大きな影響を与えています。ワーグナーのオペラ『トリスタンとイゾルデ』も、この伝説が元ネタなんですよ。
6. ボールス(Bors)
唯一の生還者——聖杯を見て戻ってきた騎士
ボールスは、ガラハッドやパーシヴァルとともに聖杯探索を成し遂げた3人のうちの一人です。
彼の特筆すべき点は「生きて戻ってきた」こと。ガラハッドは聖杯を見た後に天に召され、パーシヴァルもほどなく亡くなりました。でもボールスだけは、キャメロットに帰還して聖杯探索の顛末をアーサー王に報告しています。
派手な活躍は少ないものの、堅実で信頼できる騎士として描かれることが多いですね。いわば「縁の下の力持ち」タイプです。
7. ケイ(Kay)
アーサー王の義兄——毒舌だけど頼れる男
ケイはアーサー王の義兄(育ての親エクターの実子)で、幼少期からアーサーを知る人物です。
彼の特徴は、その毒舌。皮肉屋で口が悪く、他の騎士をからかうこともしばしば。でも根は忠実で、アーサーのためならどんな危険も顧みません。
初期のウェールズ伝承では超人的な能力を持つ騎士として描かれていましたが、後の物語ではコミカルな役回りが増えていきました。物語に笑いを提供する「ムードメーカー」的な存在ですね。
8. ベディヴィア(Bedivere)
最後の騎士——エクスカリバーを湖に返した男
ベディヴィアは、円卓の騎士の中でも最古参の一人。アーサー王が即位する前から仕えていた忠臣です。
彼の最大の見せ場は、アーサー王の最期。カムランの戦いで致命傷を負った王から「エクスカリバーを湖に投げ込め」と命じられます。最初は惜しくて2度も嘘をつきますが、最終的には剣を湖に投げ入れ、水面から伸びた腕がそれを受け取りました。
この「エクスカリバーを返す」シーンは、アーサー王伝説のクライマックス。ベディヴィアがいなければ成立しない名場面です。
9. ガレス(Gareth)
「美しい手」の騎士——兄ガウェインに愛された弟
ガレスはガウェインの末弟で、アーサー王の甥にあたります。「ボーマン(美しい手)」という異名を持つ、礼儀正しく心優しい騎士でした。
彼は最初、身分を隠して厨房で働き、「美しい手」というあだ名をつけられます。その後、ある貴婦人の依頼を受けて冒険に出かけ、見事に使命を果たして騎士として認められました。
悲劇的なのは彼の死に方。グィネヴィアの処刑を阻止しようとしたランスロットによって、誤って殺されてしまうんです。この事件がガウェインとランスロットの対立を決定的にし、円卓崩壊への引き金となりました。
10. モードレッド(Mordred)
裏切り者——アーサー王を破滅させた男
モードレッドは、アーサー王の息子(または甥)とされる騎士です。円卓の騎士でありながら、最終的にアーサー王を裏切った「悪役」として有名ですね。
アーサー王がローマ遠征で国を留守にしている間、モードレッドは王位を簒奪。さらにグィネヴィアを自分の妻にしようとします。怒ったアーサー王は引き返し、カムランの戦いでモードレッドと対決。相討ちとなり、両者とも命を落としました。
彼がなぜ裏切ったのか——その動機は文献によってさまざま。単純な野心家として描かれることもあれば、複雑な家庭環境の犠牲者として同情的に描かれることもあります。
11. ラモラック(Lamorak)
ランスロット、トリスタンに次ぐ第三の騎士
ラモラックは、ペリノア王の息子で、パーシヴァルの兄弟にあたります。トマス・マロリーの『アーサー王の死』では、ランスロット、トリスタンに次ぐ「第三の騎士」として高く評価されています。
彼の悲劇は、ガウェインの母モルゴースと恋仲になったこと。この関係を知ったガウェインの弟たちによって、ラモラックは殺されてしまいます。
武勇に優れながらも、愛ゆえに命を落とした——トリスタンと似た運命をたどった騎士ですね。
12. ガヘリス(Gaheris)
ガウェインの弟——忠実だが悲劇に巻き込まれた騎士
ガヘリスはガウェインの弟で、ガレスの兄にあたります。
彼の最大のエピソードは、母モルゴースを殺したこと。ラモラックとの不倫現場を目撃し、激昂して母を斬ってしまったんです。衝撃的ですよね。
また、ランスロットによるグィネヴィア救出の際には、弟ガレスとともに命を落としています。円卓の騎士の中でも、特に波乱万丈な人生を送った一人といえるでしょう。
円卓の騎士の関係性

円卓の騎士は、単なる「同僚」ではありません。血縁関係や師弟関係、友情やライバル関係が複雑に絡み合っています。
ガウェイン一族(オークニー家)は、アーサー王の異父姉モルゴースの息子たち。ガウェイン、ガヘリス、アグラヴェイン、ガレス、そして異父弟のモードレッドがいます。この兄弟間でも考え方の違いがあり、後に悲劇を招くことになります。
ランスロット一族も重要です。ランスロットの息子ガラハッド、従兄弟のボールスやライオネル、異母弟のエクター・ド・マリスなど、こちらも強力な一族を形成しています。
そして聖杯を見た3騎士——ガラハッド、パーシヴァル、ボールス。この3人は聖杯探索の最終局面で行動をともにし、聖杯の神秘を目撃しました。
現代文化への影響
円卓の騎士は、現代のエンターテインメントにも大きな影響を与えています。
- ゲーム:『Fate/Grand Order』では多くの円卓騎士がサーヴァントとして登場。『ファイナルファンタジー7』の召喚獣「ナイツオブラウンド」は13人の騎士が次々と攻撃する演出で有名です。
- 映画:『キング・アーサー』シリーズ、『トランスフォーマー/最後の騎士王』など、アーサー王伝説を題材にした作品は数えきれません。
- アニメ・漫画:『七つの大罪』では円卓の騎士の名前を持つキャラクターが多数登場します。
- 音楽:ワーグナーのオペラ『トリスタンとイゾルデ』『パルジファル』は、円卓の騎士の物語が元になっています。
1,000年以上前の物語が、今もこうして新しい作品を生み出し続けている。それだけ「円卓の騎士」というコンセプトに普遍的な魅力があるということですね。
円卓の騎士一覧表
以下は、円卓の騎士として有名な人物の一覧です。今
回紹介した12人以外にも、多くの騎士が伝説に登場しています。
| 名前 | 読み方 | 特徴・説明 |
|---|---|---|
| ランスロット | Lancelot | 円卓最強の騎士。グィネヴィアとの禁断の恋で有名 |
| ガウェイン | Gawain | アーサー王の甥。午前中に力が3倍になる |
| ガラハッド | Galahad | ランスロットの息子。聖杯を手にした完璧な騎士 |
| パーシヴァル | Percival | 聖杯の騎士の一人。成長物語の主人公 |
| トリスタン | Tristan | イゾルデとの悲恋で有名な騎士 |
| ボールス | Bors | 聖杯を見て生還した唯一の騎士 |
| ケイ | Kay | アーサー王の義兄。毒舌だが忠実 |
| ベディヴィア | Bedivere | 最古参の騎士。エクスカリバーを湖に返した |
| ガレス | Gareth | ガウェインの弟。「美しい手」の異名を持つ |
| モードレッド | Mordred | アーサー王を裏切った騎士 |
| ラモラック | Lamorak | 第三の騎士と称される実力者 |
| ガヘリス | Gaheris | ガウェインの弟。波乱の人生を送った |
| アグラヴェイン | Agravain | ガウェインの弟。ランスロットの不倫を暴露した |
| ライオネル | Lionel | ランスロットの従兄弟。気性が荒い |
| エクター・ド・マリス | Ector de Maris | ランスロットの異母弟 |
| ペリノア | Pellinore | 「吼える獣」を追う王にして騎士 |
| パロミデス | Palomedes | サラセン人(イスラム教徒)出身の騎士 |
| ディナダン | Dinadan | 皮肉屋で有名な騎士 |
| ルーカン | Lucan | アーサー王の執事を務めた騎士 |
| イヴァン(オウェイン) | Yvain / Owain | 獅子とともに戦う騎士 |
| エレック(ゲラント) | Erec / Geraint | 妻エニドへの愛で知られる騎士 |
| グリフレット | Griflet | しばしば捕虜になる騎士 |
| バラン | Balin | 弟バランと悲劇的な相討ちをした騎士 |
| バリン | Balan | 兄バランと悲劇的な相討ちをした騎士 |
まとめ
円卓の騎士について、最後にポイントを整理しておきましょう。
- 円卓の騎士は、アーサー王に仕えた精鋭騎士団
- 円卓には上座・下座がなく、全員が対等という理念がある
- 人数は文献によって異なり、12人から1,600人まで諸説ある
- ランスロット、ガウェイン、ガラハッドなどが特に有名
- 聖杯探索、禁断の恋、裏切りなど、ドラマチックな物語が多い
- 現代のゲーム、映画、アニメにも大きな影響を与えている
単なる「強い戦士の集団」ではなく、人間ドラマの宝庫だった円卓の騎士。彼らの物語が1,000年以上も語り継がれているのは、そこに普遍的な人間の喜びや悲しみが描かれているからかもしれませんね。

コメント