Oracle DatabaseやGrid Infrastructureのパッチ適用中に、こんなエラーメッセージが表示されて困っていませんか?
ERROR: The home is not clean.
This home cannot be used since there was a failed OPatch execution in this home.
Use a different home to proceed.
日本語に訳すと「ホームがクリーンではありません。このホームには失敗したOPatch実行が存在しているため、使用できません。別のホームを使用してください」となります。
このエラーが発生すると、せっかく時間をかけて準備したインストールやパッチ適用が続行できなくなってしまいます。でも安心してください。この記事では、このエラーの原因と具体的な解決方法を分かりやすく解説していきます。
OPatchとOracle Homeって何?

まず、エラーメッセージに登場する用語を簡単に説明しますね。
OPatchは、Oracleのソフトウェアにパッチ(修正プログラム)を適用するためのツールです。セキュリティ修正やバグ修正を含むパッチを、データベースやGrid Infrastructureに適用する際に使用されます。
Oracle Homeは、Oracleソフトウェアがインストールされているディレクトリのことです。例えば/u01/app/oracle/product/19.3.0/dbhome_1のようなパスで表されます。
なぜこのエラーが発生するの?
このエラーは、パッチ適用プロセスが途中で失敗した後、Oracle Homeが「汚染された」状態になっているときに発生します。
具体的には、以下のような状況で発生することが多いです。
パッチ適用コマンドの失敗
Oracle 18c以降では、インストールと同時にパッチを適用できる便利な機能があります。例えば:
./runInstaller -silent -applyRU /tmp/パッチ番号 -responseFile response.rsp
このコマンドが何らかの理由で失敗すると、Oracle Home内にパッチ適用の失敗記録が残ってしまうのです。
失敗の主な原因
- 必要なOPatchのバージョンが古い
- データベースやリスナーが起動したままパッチを適用しようとした
- ディスク容量が不足していた
- ファイルのアクセス権限に問題があった
- 前提条件のチェックで引っかかった
解決方法は2つあります
Oracle Homeが「クリーン」でない状態から復旧するには、主に2つの方法があります。
方法1:Oracle Homeを完全にやり直す(推奨)
これが最も確実で、Oracle社も推奨している方法です。
手順
- Oracle Homeディレクトリを削除
rm -rf /u01/app/oracle/product/19.3.0/dbhome_1/*
例えば上記のように、Oracle Homeの内容を完全に削除します。このとき、ディレクトリ自体は残しておきましょう。
- ソフトウェアを再解凍
unzip -o LINUX.X64_193000_db_home.zip -d /u01/app/oracle/product/19.3.0/dbhome_1
Oracle Databaseのインストールファイルを再度解凍します。
- OPatchを最新版に更新(必要な場合)
パッチ適用に新しいバージョンのOPatchが必要な場合は、ここで更新しておきます。
unzip -o p6880880_190000_Linux-x86-64.zip -d /u01/app/oracle/product/19.3.0/dbhome_1
- 再度インストール・パッチ適用を実行
今度は前回の失敗原因を解消した上で、インストールやパッチ適用を実行してください。
この方法のメリット
- 確実にクリーンな状態から始められる
- Oracle社が推奨している正規の方法
- トラブルが起きにくい
この方法のデメリット
- 時間がかかる
- 再度ファイルを解凍する必要がある
方法2:パッチロックファイルを削除(非公式)
こちらは非公式の方法ですが、実際に多くの技術者が使用している手法です。
手順
cd $ORACLE_HOME/install/
rm patch
Oracle Homeのinstallディレクトリにあるpatchという名前のファイル(実際には0バイトのファイル)を削除します。このファイルがパッチ適用失敗の「印」として機能しているため、これを削除することでエラーを回避できるのです。
その後、通常通りインストールを続行します。
./runInstaller -ignorePrereq -waitforcompletion -silent -responseFile response.rsp
この方法の注意点
- Oracle社の公式な解決方法ではありません
- 本番環境では慎重に判断してください
- テスト環境や検証環境での使用が推奨されます
- パッチ適用自体は成功していた場合に有効です
パッチ適用を成功させるためのポイント
エラーを防ぐために、パッチ適用前に以下の点を確認しておきましょう。
事前準備チェックリスト
- OPatchのバージョン確認
パッチのREADMEファイルに記載されている必要なOPatchバージョンを確認してください。
$ORACLE_HOME/OPatch/opatch version
- データベースとリスナーの停止
パッチ適用前には必ずデータベースとリスナーを停止します。
sqlplus / as sysdba
SQL> shutdown immediate;
SQL> exit
lsnrctl stop
- プロセスの確認
Oracle関連のプロセスが完全に停止しているか確認しましょう。
ps -ef | grep oracle
Linuxの場合、以下のコマンドでOracle Homeのファイルを使用しているプロセスを確認できます。
/sbin/fuser $ORACLE_HOME/bin/oracle
- ディスク容量の確認
パッチファイルと作業領域に十分な空き容量があるか確認してください。
df -h $ORACLE_HOME
Grid Infrastructureでも同じエラーが発生します
このエラーは、Grid Infrastructure(RAC環境などで使用)のインストールやパッチ適用でも発生します。
./gridSetup.sh -silent -applyRU /パッチディレクトリ
解決方法は基本的にデータベースと同じです。Grid Homeを削除して再解凍するか、$GRID_HOME/install/patchファイルを削除してください。
ただし、Grid Infrastructureは複数ノードにまたがる重要なコンポーネントなので、特に慎重に作業を進める必要があります。
将来のトラブルを防ぐために
パッチ適用を円滑に進めるためのベストプラクティスをいくつか紹介します。
作業前のバックアップ
Oracle Homeのバックアップを取っておくと、問題が発生した際の復旧が容易になります。
tar -czf oracle_home_backup.tar.gz $ORACLE_HOME
ログファイルの確認習慣
エラーが発生したら、必ずログファイルを確認する習慣をつけましょう。ログには失敗の詳細な原因が記録されています。
ログファイルの場所は通常:
$ORACLE_HOME/cfgtoollogs/opatch/
$ORACLE_HOME/cfgtoollogs/opatchauto/
テスト環境での事前検証
本番環境にパッチを適用する前に、必ずテスト環境で手順を検証しておきましょう。これにより、本番環境でのトラブルを大幅に減らすことができます。
まとめ:落ち着いて対処すれば必ず解決できます
「ホームがクリーンではありません」というエラーメッセージは、確かに焦りを感じさせるものです。しかし、原因を理解して適切な対処を行えば、必ず解決できる問題なのです。
解決方法のおさらい
- 方法1:Oracle Homeを完全に削除して再インストール(最も安全で確実)
- 方法2:patchロックファイルを削除(非公式だが実用的)
どちらの方法を選ぶかは、あなたの環境や状況によって判断してください。本番環境では方法1を、テスト環境で時間を節約したい場合は方法2を検討するとよいでしょう。
パッチ適用は、Oracleデータベースを安全に運用するための重要な作業です。この記事が、あなたのパッチ適用作業をスムーズに進める助けになれば幸いです。

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