「ゲーム配信でBGMと自分の声のバランスがうまく取れない」「Discordで通話しながらゲーム音を相手に聞こえないようにしたい」「複数のマイクやスピーカーを使い分けたい」
こんな音声の悩みを抱えていませんか?
そんな時に役立つのが「Voicemeeter(ボイスミーター)」という仮想オーディオミキサーソフトです。無料で使えて、プロの配信者も愛用するこのツールを使えば、複雑な音声管理が驚くほど簡単になります。
この記事では、Voicemeeterの基本から実際の使い方まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきますね。
Voicemeeterとは

Voicemeeterは、フランスのVB-Audio Software社が開発した仮想オーディオミキサーソフトウェアです。Windows専用のツールで、パソコン内のさまざまな音声を自由に混ぜたり、振り分けたりすることができます。
仮想オーディオミキサーって何?
普通の物理的なミキサー(音響機器)は、複数のマイクや楽器をつないで音を混ぜる機械ですよね。
Voicemeeterは、それをソフトウェアで実現したものです。「仮想」というのは、実際のハードウェアが存在しないけれど、Windowsからは本物の音声デバイスとして認識されるという意味なんです。
Voicemeeterでできること
複数の音声ソースをミックス
マイクの音声、ゲーム音、音楽プレイヤーの音、Discord の音声など、複数の音源を一つにまとめることができます。
音声の振り分け(ルーティング)
「マイクの音はDiscordだけに送る」「ゲーム音はスピーカーだけに出す」といった細かい振り分けが可能です。
ループバック録音
通常はオーディオインターフェイス(音声機器)がないとできないループバック録音(パソコン内部の音を録音すること)が、ソフトだけで実現できます。
音質の調整
イコライザー(音質を調整する機能)やノイズゲート(小さな雑音を消す機能)など、音声を加工する機能も搭載されています。
Voicemeeterの3つのバージョン
Voicemeeterには機能の違う3つのバージョンがあります。自分の用途に合わせて選びましょう。
Voicemeeter(スタンダード版)
最もシンプルなバージョンで、基本的な機能のみを搭載しています。
入力チャンネル:3つ
- 物理入力(実際のマイクなど):2つ
- 仮想入力(PC内の音声):1つ
出力チャンネル:3つ
- 物理出力(スピーカーなど):2つ
- 仮想出力(他のソフトへ):1つ
特徴
パラメトリックイコライザー(詳細な音質調整機能)や録音機能は付いていません。本当に基本的な音声ミックスだけしたい方向けです。
Voicemeeter Banana(バナナ版)
最も人気のあるバージョンで、機能と使いやすさのバランスが取れています。
入力チャンネル:5つ
- 物理入力:3つ
- 仮想入力:2つ
出力チャンネル:5つ
- 物理出力:3つ
- 仮想出力:2つ
追加機能
- 6バンドパラメトリックイコライザー
- 録音機能(MP3、WAV、AIFF形式)
- ノイズゲート、コンプレッサーなどのエフェクト
初めて使う方には、このBanana版が最もおすすめです。無料で使えて、ほとんどの用途に対応できます。
Voicemeeter Potato(ポテト版)
プロ向けの最上位バージョンです。
入力チャンネル:8つ
- 物理入力:5つ
- 仮想入力:3つ
出力チャンネル:8つ
- 物理出力:5つ
- 仮想出力:3つ
追加機能
- より高度なエフェクト処理
- サラウンド対応
- 複数PC間での音声送信機能
音楽制作や複雑な配信環境を構築したい上級者向けのバージョンです。
Voicemeeterのインストール方法
それでは、実際にVoicemeeterをインストールしてみましょう。ここではBanana版を例に説明します。
ダウンロード
Voicemeeterの公式サイト(https://vb-audio.com/Voicemeeter/)にアクセスします。
ページをスクロールして「VOICEMEETER BANANA」のセクションを探し、「Download」ボタンをクリックしてインストーラーをダウンロードしてください。
インストール手順
ダウンロードしたZIPファイルを解凍します。
解凍したフォルダ内にある「VoicemeeterProSetup.exe」をダブルクリックして実行します。
インストーラーが起動したら、「Install」ボタンをクリックします。
インストールが完了すると、「Reboot(再起動してください)」というメッセージが表示されます。
重要:必ずパソコンを再起動してください。 再起動しないと、仮想オーディオドライバが正しく動作しません。
インストール後の確認
再起動後、Windowsの「設定」→「システム」→「サウンド」を開いてみましょう。
出力デバイスと入力デバイスの一覧に、以下のデバイスが追加されているはずです:
- VoiceMeeter Input(または VB-Audio VoiceMeeter VAIO)
- VoiceMeeter Aux Input(または VB-Audio VoiceMeeter AUX VAIO)
- VoiceMeeter Output
- VoiceMeeter Aux Output
これらが表示されていれば、インストール成功です。
Voicemeeterの基本設定
インストールしただけでは、まだVoicemeeterは使えません。初期設定を行いましょう。
Windowsの既定デバイスを設定
Windowsの「設定」→「システム」→「サウンド」を開きます。
出力デバイスを「VoiceMeeter Input」に設定します。
入力デバイスを「VoiceMeeter Output」に設定します。
これで、Windowsで鳴るすべての音がVoicemeeterを経由するようになります。
サウンドコントロールパネルで詳細設定
「設定」→「システム」→「サウンド」の画面で、右側にある「サウンドの詳細設定」(または「サウンド コントロール パネル」)を開きます。
再生タブ
- 「VoiceMeeter Input」を右クリック→「既定のデバイスとして設定」
- 「VoiceMeeter Aux Input」を右クリック→「既定の通信デバイスとして設定」
録音タブ
- 「VoiceMeeter Output」を右クリック→「既定のデバイスとして設定」
- 「VoiceMeeter Aux Output」を右クリック→「既定の通信デバイスとして設定」
これらの設定により、通常の音声とDiscordなどの通話アプリの音声を分けて扱えるようになります。
Voicemeeterアプリを起動
Windowsのスタートメニューから「VB Audio」→「VoiceMeeter Banana」を選択して起動します。
ミキサーのような画面が表示されたら成功です。
Voicemeeterの画面の見方
初めて見ると複雑に感じるかもしれませんが、大きく3つのエリアに分かれています。
入力エリア(左側)
画面の左側には、音声の入力チャンネルが並んでいます。
HARDWARE INPUT 1, 2, 3
実際のマイクやオーディオインターフェイスなど、物理的な音声入力デバイスを接続するチャンネルです。
VIRTUAL INPUT
パソコン内で鳴っている音(ゲーム音、音楽プレイヤー、動画の音など)が入ってくるチャンネルです。Windowsで「VoiceMeeter Input」を出力先に設定したアプリの音がここに入ります。
VIRTUAL INPUT (AUX)
もう一つの仮想入力チャンネルです。Discordなど通話アプリの音声を分けて管理したい時に使います。
出力エリア(右側)
画面の右側には、音声の出力先を設定するセクションがあります。
HARDWARE OUT A1, A2, A3
実際のスピーカーやヘッドホンなど、物理的な音声出力デバイスを選択します。
A1ボタン
メインのスピーカーやヘッドホンを設定するのが一般的です。
A2ボタン
サブのスピーカーなど、同時に別のデバイスから音を出したい時に使います。
VIRTUAL OUTPUT B1, B2
仮想出力チャンネルです。OBSなどの配信ソフトや録音ソフトに音声を送る時に使います。
マスターセクション(中央下部)
全体の音量を調整するマスターフェーダーなどがあります。
Voicemeeterの基本的な使い方
具体的な設定例を見ていきましょう。
例1:内部録音(ループバック)をする
パソコンで流れている音楽や動画の音を録音したい場合の設定です。
手順
Windowsの出力を「VoiceMeeter Input」に設定(これは初期設定で済んでいるはず)します。
Voicemeeterを起動し、「VIRTUAL INPUT」の「A1」ボタンをオンにして、スピーカーまたはヘッドホンを設定します。
「VIRTUAL INPUT」の「B1」ボタンもオンにします。
録音ソフト(Windowsのサウンドレコーダーなど)で、録音デバイスを「VoiceMeeter Output」に設定します。
これで、パソコンで再生した音が録音できるようになります。
例2:マイクの音とBGMをミックスする
配信や録音で、自分の声にBGMを重ねたい場合の設定です。
手順
マイクを「HARDWARE INPUT 1」に接続します。画面上部の「WDM」や「MME」と書かれた部分をクリックして、自分のマイクを選択してください。
「HARDWARE INPUT 1」の「A1」と「B1」をオンにします。
音楽プレイヤーの出力を「VoiceMeeter Input」に設定して、音楽を再生します。
「VIRTUAL INPUT」のフェーダー(音量調整バー)を下げて、BGMの音量を調整します。
「VIRTUAL INPUT」の「A1」と「B1」をオンにします。
これで、マイクの音声とBGMがミックスされた音が、スピーカー(A1)と録音ソフト(B1)の両方に送られます。
例3:ゲーム配信での使用
ゲーム音とDiscordの音を分けて管理したい場合の設定です。
手順
マイクを「HARDWARE INPUT 1」に設定し、「B1」のみをオンにします(配信には送るが、自分のスピーカーからは聞こえないようにする)。
ゲームの音声出力を「VoiceMeeter Input」に設定します。「VIRTUAL INPUT」の「A1」をオンにして、自分でゲーム音を聞けるようにします。
Discordの音声出力を「VoiceMeeter Aux Input」に設定します。「VIRTUAL INPUT (AUX)」の「A1」のみをオンにします(自分には聞こえるが、配信には送らない)。
OBSなどの配信ソフトで、音声入力を「VoiceMeeter Output」に設定します。
これで、視聴者にはマイクとゲーム音だけが聞こえ、Discord の通話音声は聞こえない設定になります。
よくあるトラブルと解決方法
Voicemeeterを使い始めると、いくつかの問題に遭遇することがあります。
音が聞こえない
確認ポイント
- 「HARDWARE OUT A1」で正しいスピーカー/ヘッドホンが選択されているか
- 各チャンネルの「A1」ボタンがオンになっているか
- Voicemeeterのマスター音量が下がっていないか
- Windowsの音量がミュートになっていないか
音が遅れる(レイテンシーが大きい)
対処法
Voicemeeterの画面右上にある「Menu」→「System Settings / Options」を開きます。
「Buffering」の項目で、バッファサイズを調整してください。数値を小さくすると遅延が減りますが、音が途切れやすくなります。
ASIOドライバに対応したオーディオインターフェイスを使用している場合は、「WDM」ではなく「ASIO」を選択すると遅延が大幅に改善されます。
マイクの音が二重に聞こえる
自分の声が遅れて聞こえてくる場合、マイクのモニタリング(自分の声を聞き返す機能)が複数箇所でオンになっている可能性があります。
対処法
Windowsのサウンド設定で、マイクのプロパティを開き、「聴く」タブの「このデバイスを聴く」のチェックを外します。
Voicemeeter側でも、マイクチャンネルの「A1」ボタンをオフにすれば、自分のスピーカーからは自分の声が聞こえなくなります。
設定を変えたのに反映されない
Voicemeeterの設定変更は、時々うまく反映されないことがあります。
対処法
Voicemeeterを一度終了してから、再起動してみてください。
それでもダメな場合は、パソコン自体を再起動すると解決することが多いです。
Voicemeeterの便利な追加機能
基本的な使い方に慣れてきたら、こんな機能も試してみましょう。
マクロボタン機能
Voicemeeterには「MacroButtons」という別のアプリが付属しています。これを使うと、複数の操作を一つのボタンで実行できます。
例えば:
- 配信モード(マイクON、BGM ON、Discord音声OFF)
- 通話モード(マイクON、BGM OFF、Discord音声ON)
- ミュート(全音声OFF)
こういった切り替えをワンクリックで行えるようになります。
VBAN(ネットワーク音声送信)
VBAN機能を使うと、ネットワーク経由で他のパソコンやスマートフォンに音声を送ることができます。
例えば:
- スマートフォンをワイヤレスマイクとして使う
- 別のパソコンの音声を混ぜる
といったことが可能になります。
録音機能(Banana版以上)
Banana版とPotato版には、録音機能が内蔵されています。
画面右側の「RECORDER」セクションで、録音の開始/停止や保存形式の設定ができます。MP3、WAV、AIFF形式に対応しています。
Voicemeeterの料金について
Voicemeeterは「ドネーションウェア」という形式で提供されています。
ドネーションウェアとは
完全無料で使えますが、気に入ったら寄付してね、というスタイルのソフトウェアです。
機能制限は一切なく、すべての機能を無料で使い続けることができます。ただし、開発者への感謝の気持ちとして、任意の金額を寄付することが推奨されています。
寄付の方法
公式サイトから、PayPalやクレジットカードで寄付できます。
金額は自由に設定できますが、開発者は個人開発者で1人あたり10ドル程度を推奨しているようです。
継続的に使用していて、ソフトの価値を感じたら、ぜひ寄付を検討してみてください。
まとめ
Voicemeeterは、無料で使える強力な仮想オーディオミキサーです。
Voicemeeterができること
- 複数の音声ソースを自由にミックス
- 音声の詳細なルーティング設定
- ループバック録音
- 音質の調整とエフェクト処理
3つのバージョン
- Standard:基本機能のみのシンプル版
- Banana:バランスの取れた人気版(初心者におすすめ)
- Potato:プロ向けの最上位版
主な用途
- ゲーム配信での音声管理
- ポッドキャストやボイス録音
- オンライン会議での音声コントロール
- 音楽制作での複雑なルーティング
最初は設定が複雑に感じるかもしれませんが、一度理解すれば音声管理の悩みのほとんどが解決します。特にゲーム配信者や動画制作者にとっては、もはや必須ツールと言えるでしょう。
まずは基本的な設定から始めて、徐々に高度な機能を試していってください。きっと「こんなこともできるんだ!」という新しい発見があるはずですよ。
VoicemeeterでWindowsの音声環境を自由自在にコントロールして、より快適なPC生活を楽しんでくださいね!


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