Pythonのライブラリをインストールしようとしたら、突然「Microsoft Visual C++ 14.0 or greater is required」というエラーメッセージが表示された経験はありませんか?
このエラーは、C++で書かれた部分を含むPythonライブラリをインストールするときによく発生します。解決するには「Visual C++ Build Tools」という開発ツールが必要になるんです。
この記事では、Visual C++ Build Toolsとは何か、そしてどうやってインストールすればいいのかを、初心者の方にも分かりやすく解説していきますね。
Visual C++ Build Toolsとは?

Visual C++ Build Toolsは、マイクロソフトが提供しているC++プログラムをコンパイル(人間が書いたプログラムをコンピュータが理解できる形に変換すること)するためのツールセットです。
簡単に言うと、プログラムを実際に動く形にするための「道具箱」のようなものですね。
Build ToolsとVisual Studioの違い
Visual Studioは統合開発環境(IDE)と呼ばれる、プログラミングのための総合的なソフトウェアです。コードエディタやデバッガなど、開発に必要なすべての機能が含まれています。
一方、Build Toolsはコンパイラやリンカといった「ビルド作業」に必要な最小限のツールだけをまとめたものです。Visual Studio全体をインストールする必要がない人向けの軽量版と考えるといいでしょう。
いつVisual C++ Build Toolsが必要になるの?
Visual C++ Build Toolsが必要になる主なケースをご紹介します。
Pythonライブラリのインストール時
Pythonのライブラリの中には、処理速度を上げるためにC++で書かれた部分を含むものがあります。例えば、データ分析でよく使われる一部のライブラリや機械学習関連のライブラリがそうですね。
これらのライブラリをpip installコマンドでインストールしようとすると、C++の部分をコンパイルする必要があるため、Build Toolsがないとエラーになってしまいます。
Rustなど他のプログラミング言語の利用
Rust言語など、一部のプログラミング言語はC++コンパイラに依存しています。これらの言語を使う場合も、Visual C++ Build Toolsのインストールが求められることがあります。
Node.jsのネイティブモジュールビルド
Node.jsでネイティブアドオン(C++で書かれた拡張機能)を使用する場合も、Build Toolsが必要です。
インストール前の準備
インストールを始める前に、以下の点を確認しておきましょう。
必要なディスク容量
Visual C++ Build Toolsのインストールには、6GB以上のディスク容量が必要になります。インストール前に、Cドライブに十分な空き容量があることを確認してください。
Windowsのバージョン確認
Visual C++ Build ToolsはWindows専用のツールです。Windows 10またはWindows 11が推奨されています。
Visual C++ Build Toolsのインストール手順
それでは、実際のインストール手順を順番に見ていきましょう。
ステップ1:公式サイトへアクセス
まず、マイクロソフトの公式ダウンロードページにアクセスします。
公式ページURL:https://visualstudio.microsoft.com/visual-cpp-build-tools/
ページを開いたら、「Build Toolsのダウンロード」というボタンを探してクリックしてください。
ステップ2:インストーラーをダウンロード
クリックすると、vs_BuildTools.exeまたはvs_BuildToolsという名前のファイルがダウンロードされます。
ダウンロードが完了したら、そのファイルをダブルクリックして実行しましょう。
ステップ3:Visual Studio Installerの起動
インストーラーを実行すると、「Visual Studio Installer」という画面が表示されます。
最初に「続行」ボタンが表示されるので、クリックして次に進んでください。小さなファイルのダウンロードが始まり、少し待つとメインメニューが表示されます。
ステップ4:ワークロードの選択
メインメニューには、いくつかの「ワークロード」(作業内容に応じた機能セット)が表示されます。
ここで「C++によるデスクトップ開発」という項目を探してチェックを入れてください。これがPythonのライブラリビルドなどに必要な基本的なC++ツールセットです。
ステップ5:オプションの確認
「C++によるデスクトップ開発」を選択すると、画面右側に「インストールの詳細」が表示されます。
基本的にはデフォルトの選択のままで問題ありませんが、以下の項目が含まれていることを確認しましょう:
- MSVCビルドツール(コンパイラとリンカ)
- Windows SDK(Windowsアプリ開発用のキット)
古いバージョンのツールが必要な場合は、「MSVC v140」や「MSVC v141」などのオプショナルコンポーネントも選択できます。ただし、特別な理由がない限り最新版で十分です。
ステップ6:インストールの実行
設定が完了したら、画面右下の「インストール」ボタンをクリックします。
ダウンロードとインストールが自動的に始まります。インターネットの速度にもよりますが、完了までに10分から30分程度かかることがあります。
ステップ7:インストール完了の確認
インストールが完了すると、「インストールが完了しました」というメッセージが表示されます。
場合によっては、パソコンの再起動を求められることがあります。その場合は、必ず再起動してください。
インストール後の動作確認
正しくインストールできたか確認する方法をご紹介します。
Developer Command Promptで確認
Windowsのスタートメニューで「developer」と検索すると、「Developer Command Prompt for VS」という項目が表示されるはずです。
これを開いて、以下のコマンドを入力してみてください:
cl
正しくインストールされていれば、コンパイラのバージョン情報と使い方が表示されます。エラーメッセージが出なければ成功です。
Pythonのエラーが解決したか確認
もともとPythonのライブラリインストールでエラーが出ていた場合は、再度同じコマンドを試してみましょう。
pip install (ライブラリ名)
今度はエラーが出ずにインストールできるはずです。
よくあるトラブルと解決方法

インストール中や使用中に起こりやすい問題と、その対処法をまとめました。
ディスク容量不足のエラー
インストール中に「ディスク容量が不足しています」というエラーが出る場合は、不要なファイルを削除するか、ディスククリーンアップを実行してください。
最低でも10GB程度の空き容量を確保しておくと安心です。
PATH環境変数が設定されない
通常は自動的に設定されますが、まれにPATH環境変数(プログラムの場所をコンピュータに教える設定)が正しく設定されないことがあります。
その場合は、以下のパスを手動で追加してください:
C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio\2022\BuildTools\MSBuild\Current\Bin
※バージョンやインストール場所によって、パスが異なる場合があります。
Pythonで依然としてエラーが出る
Build Toolsをインストールした後もPythonでエラーが出る場合は、以下を試してください:
- コマンドプロンプトやターミナルを再起動する
- パソコンを再起動する
- pipを最新版にアップデートする:
python -m pip install --upgrade pip - setuptoolsを最新版にアップデートする:
pip install --upgrade setuptools
複数バージョンのインストール
場合によっては、異なるバージョンのBuild Toolsが必要になることがあります。
Visual Studio Installerを使えば、複数のバージョンを共存させることが可能です。インストールの詳細で、必要なバージョンのMSVCビルドツールを追加選択してください。
ただし、それぞれのバージョンで数GBの容量を使うため、ディスク容量には注意が必要です。
オフライン環境でのインストール
インターネット接続がない環境でインストールする必要がある場合は、オフラインインストーラーを作成できます。
インターネットに接続できる別のパソコンで、以下のコマンドを実行してください:
vs_buildtools.exe --layout <保存先フォルダ>
これで必要なファイルがすべてダウンロードされ、オフライン環境に持ち込めるようになります。
まとめ
Visual C++ Build Toolsは、C++プログラムのコンパイルに必要な開発ツールセットです。特にPythonでデータ分析や機械学習を行う方にとっては、避けて通れないツールと言えるでしょう。
インストール自体は決して難しくありませんが、6GB以上のディスク容量が必要だったり、ダウンロードに時間がかかったりと、少し大がかりな作業になります。
この記事で紹介した手順に沿って進めれば、初心者の方でも確実にインストールできるはずです。エラーが出ても慌てず、トラブルシューティングの項目を参考に対処してみてください。
プログラミングの世界では、こうした開発環境の構築も大切なスキルの一つ。一度覚えてしまえば、今後同じような場面で役立つはずですよ。


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