ゲーミングPCやノートPCを使っていると、いつの間にか「Nahimic」というソフトウェアがインストールされていることがあります。
「これって何?削除していいの?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Nahimicオーディオが何なのか、どんな機能があるのか、本当に必要なのかまで、わかりやすく解説していきます。
Nahimicオーディオとは

基本的な定義
Nahimicオーディオは、PCの音質を向上させるためのオーディオ強化ソフトウェアです。
簡単に言えば、普通のヘッドホンやスピーカーでも、まるでゲーミング用の高級オーディオ機器を使っているかのような音を実現してくれるソフトなんです。
オーディオドライバーとアプリの2つで構成
Nahimicは2つの部分から成り立っています:
1. Nahimicオーディオドライバー
PCの音響システムの基礎となる部分で、スピーカーの音質を最適化します。PCメーカーがあらかじめ設定した音響設計を実現する役割があります。
2. Nahimic Companionアプリ
ユーザーが実際に操作するアプリケーションで、サラウンドサウンドやイコライザーなどの機能を使えます。
誰が開発したのか
Nahimicは、フランスのA-Volute社によって開発されました。
A-Volute社は2004年に設立され、最初は軍事用の戦闘機シミュレーターやヘリコプターの3Dサウンドアラームなど、航空機向けのオーディオ技術を手掛けていました。
2010年頃からPC向けの音響技術に参入し、2015年にMSI Gaming Series用のオーディオソリューションとして、Nahimicブランドを立ち上げました。
そして2020年4月、A-Volute社はSteelSeries(ゲーミングデバイスで有名なメーカー)に買収され、現在はSteelSeriesソフトウェアライブラリの一部としてNahimicが提供されています。
どんなPCに搭載されているのか
Nahimicは、以下のメーカーのゲーミングPCやマザーボードにプリインストールされていることが多いです:
- MSI(Gaming SeriesやPrestigeシリーズ)
- Lenovo(Legionシリーズ)
- Dell・Alienware(ゲーミングPC)
- Gigabyte(マザーボード)
- ASRock(マザーボード)
- Huawei・Honor(ノートPC)
- Mechrevo(中国のゲーミングPC)
- Thunderobot(ゲーミングPC)
これらのメーカーがNahimicと提携し、自社製品の音響性能を最適化するために採用しています。
Nahimicオーディオの名前の由来
Nahimicという名前は、「N Array Headphone Integrated MICrophone」の頭文字を取ったものです。
3Dサウンドテクノロジー開発時のプロジェクト名が、そのままブランド名になったんですね。
Nahimicオーディオの主な機能
1. バーチャルサラウンドサウンド(7.1ch)
最も代表的な機能がこれです。
普通の2chステレオヘッドホンでも、7.1chサラウンドサウンドのような立体音響を体験できます。
まるで音に包まれているような感覚になり、ゲームでは敵がどの方向にいるのか音で判断しやすくなります。
対応デバイス:
- ヘッドホン(有線・無線問わず)
- イヤホン
- スピーカー
- USB・Bluetooth・3.5mmジャック・HDMI接続すべて対応
使用シーン:
- FPSゲーム(足音や銃声の方向がわかる)
- 映画鑑賞(映画館のような臨場感)
- ASMR(立体的な音響体験)
実際に使ってみると、雨音や雷の音、花火の音などが、本当に周囲から聞こえてくるような不思議な体験ができます。
2. 10バンドイコライザー
音域ごとに音量を調整できる機能です。
10の周波数帯を自由に調整:
- 低音域(32Hz~250Hz):ベースやドラムの低音
- 中音域(500Hz~2kHz):ボーカルや楽器
- 高音域(4kHz~16kHz):シンバルや細かい音
人気の設定「Eargasm Explosion」:
海外で有名なイコライザー設定で、「耳にゾクゾクする刺激を与える」と言われています。
設定値:+3, +6, +9, +7, +6, +5, +7, +4, +11, +8
ゲーム用に足音を強調したり、音楽用に低音を強化したりと、用途に合わせてカスタマイズできます。
3. サウンドトラッカー(Sound Tracker)
ゲーム内の音がどの方向から発生したかを、画面上にレーダーのように視覚的に表示する機能です。
これにより、聴覚だけでなく視覚でも敵の位置を把握できます。
特徴:
- 円形のレーダー表示
- 表示位置、サイズ、色、透明度を自由に設定可能
- 不透明度が高いほど音が大きい
デメリット:
対応ゲームが限られている点です。APEXやBF2042など、最新のゲームには対応していないことが多いです。
対応ゲームリストは公式サイトで確認できます:
https://www.nahimic.com/games-list/
4. ボリュームスタビライザー(Volume Stabilizer)
音量の強弱を一定にしてくれる機能です。
こんな経験ありませんか?
- 映画で会話シーンは小さい音量、爆発シーンで急に大音量
- ゲームで銃声が大きすぎて音量を下げると、足音が聞こえない
ボリュームスタビライザーをオンにすると、音量の振れ幅を少なくして最適なボリュームに調整してくれます。
ナイトモード:
深夜にゲームをプレイする時に便利です。さらに音量を一定に保ち、大きな音を抑えてくれます。アパートやマンションで暮らす人には嬉しい機能ですね。
5. オーディオプロファイル
用途に応じて、あらかじめ最適化された設定を選べます。
4つのプロファイル:
- Music(音楽):バランスの取れたリスニング
- Movie(映画):臨場感を重視した設定
- Communication(通話):音声の明瞭度を優先
- Gaming(ゲーム):足音や銃声を聞き取りやすく
SMARTプロファイル:
使用中のアプリケーションを自動判別して、動的に最適なオーディオ設定に切り替えてくれます。
いちいち手動で切り替える必要がないので便利です。
6. ベースブースト(Bass Boost)
低音域を強調する機能です。
爆発音、エンジン音、ベースギターなどの低音を調整して、より迫力のあるサウンドを実現します。
映画やアクションゲームで「ドーン!」という重低音を体感したい時に有効です。
7. トレブルブースト(Treble Boost)
高音域を強調する機能です。
音声信号の周波数を調整することで、ゲーム内の足音や銃声の位置を聞き取りやすくします。
FPSゲームで敵の足音を素早く察知したい時に重宝します。
8. ボイスブースト(Voice Boost)
音声の明瞭度を高める機能です。
映画やゲームのサウンドを聞き取りやすくするために、音声の明瞭度を調整します。
また、ボイスチャット時には自動的にゲームの音量を下げ、チャットが終わるとゲーム音量を元に戻してくれます。
9. サウンドシェアリング(Sound Sharing)
2台のヘッドホンやイヤホンで同じ音声を同時に聞ける機能です。
友人や恋人と一緒に映画を観たり、音楽を聴いたりする時に便利です。
対応接続方法:
- Bluetooth
- USB
- 3.5mmジャック
それぞれのデバイスの音量を個別に調整することもできます。
10. マイク機能の強化
ノイズキャンセリング:
電子機器から発生するノイズを大幅に除去し、クリアで聞き取りやすい音声通信を実現します。
エコーキャンセリング:
マイクがスピーカーから発生した音を拾ってしまうのを防ぎ、音声通信にエコーがかからないようにします。
ボイススタビライザー:
マイクに入ってきた音声ボリュームの強弱を少なくし、最適なボリュームに調整します。マイクから離れても、近づいても、一定の音量で相手に届きます。
ノイズリダクション:
マイクに対して発生した声だけを拾い、ボイスチャットの声以外で周囲で発生している雑音が入りにくくします。
これらの機能により、Discord、Zoom、Teamsなどでのボイスチャットがクリアになります。
Nahimicオーディオのメリット
1. 無料で使える
プリインストールされているPCでは追加料金なしで使えます。
高級なゲーミングヘッドセットを買わなくても、普通のヘッドホンで高品質なサウンドを楽しめるのは大きなメリットです。
2. 高い互換性
メーカーを問わず、ほとんどのオーディオデバイスで使えます。
- 100円均一のイヤホン
- 普通のヘッドホン
- Bluetoothイヤホン
- USBヘッドセット
- スピーカー
すべてに対応しているので、デバイスごとに別々のソフトを使う必要がありません。
3. 簡単な操作
専門知識がなくても、プリセットを選ぶだけで最適な音質になります。
細かくカスタマイズしたい人はイコライザーで調整できますし、お任せしたい人はSMARTプロファイルに任せればOKです。
4. ゲームで有利になる
足音や銃声の方向がわかりやすくなるため、FPSゲームなどで有利に戦えます。
サウンドトラッカー機能を使えば、視覚的にも敵の位置を把握できます。
5. PCメーカーが音響設計した音を実現
Nahimicオーディオドライバーは、PCメーカーが意図した音響設計を実現します。
メーカーがNahimicと協力して最適化した音質なので、そのPCで最も良い音が出るように調整されています。
6. スピーカー保護機能
過剰な振動を低減することでスピーカーを保護します。
音量を上げてもブーンという音や歪みが発生しにくくなり、スピーカーの寿命も延びます。
Nahimicオーディオのデメリット

1. 対応PCが限られている
すべてのPCで使えるわけではありません。
対応していないPCにインストールしようとすると、エラーが発生したり動作しなかったりします。
2. ゲームやアプリとの相性問題
一部のゲームやソフトウェアでは、Nahimicが原因で以下のような問題が発生することがあります:
- 特定のゲームが起動しない(マビノギ、Doom Eternalなど)
- CPU使用率が100%になる
- 音声がおかしくなる
- アプリがクラッシュする
問題が起きた場合は、Nahimicを一時的に終了させる必要があります。
3. DTMや音楽制作には不向き
録音時に意図しない音声処理が適用されてしまうため、プロフェッショナルな音楽制作には向きません。
Nahimicをオンにしたまま録音すると、高音域が12dBもブーストされてしまい、元の音とは違う音で録音されてしまいます。
DTMをする人は、Nahimicを完全にオフにするか、アンインストールすることをおすすめします。
4. 削除しても復活する
Windows Updateで自動的に再インストールされてしまうことがあります。
完全に削除するには、レジストリ編集やグループポリシー設定など、複雑な手順が必要です。
5. サウンドトラッカーの対応ゲームが少ない
便利な機能ですが、対応しているゲームが限られています。
APEXやVALORANTなど、人気の最新ゲームには対応していないことが多いです。
Nahimicオーディオの使い方(基本)
起動方法
- スタートメニューから「すべてのアプリ」を開く
- 「Nahimic」を探してクリック
または、タスクバーの右下にあるNahimicアイコンをクリックします。
インターフェースの構成
Nahimicのユーザーインターフェースは、4つのタブで構成されています:
1. Audio(オーディオ)タブ
- オーディオプロファイルの選択
- バーチャルサラウンドのオン/オフ
- イコライザー設定
- ボリュームスタビライザー
- ベースブースト、トレブルブースト
2. Microphone(マイク)タブ
- マイクプロファイルの選択
- ノイズキャンセリング
- エコーキャンセリング
- ボイススタビライザー
3. Sound Tracker(サウンドトラッカー)タブ
- サウンドトラッカーの有効化
- レーダーの表示設定(位置、サイズ、色、透明度)
- 対応ゲームリスト
4. Settings(設定)タブ
- 起動設定
- バージョン情報
- サウンドトラッカーエンジンの有効化/無効化
簡単な設定方法
初心者向け:SMARTプロファイルを使う
- Audioタブを開く
- プロファイルから「SMART」を選択
- あとは自動的に最適な設定に切り替わります
ゲーマー向け:ゲームプロファイル + イコライザー調整
- プロファイルから「Gaming」を選択
- バーチャルサラウンドをオン
- トレブルブーストをオン(足音が聞こえやすくなる)
- イコライザーで高音域を強調
映画鑑賞向け:
- プロファイルから「Movie」を選択
- バーチャルサラウンドをオン
- ベースブーストをオン(迫力が増す)
Nahimicオーディオは必要か?使うべきか?
使ったほうがいい人
以下のような人には、Nahimicは非常に便利です:
ゲーマー
- FPSゲームをプレイする人
- 足音や銃声の方向を正確に把握したい人
- サラウンドサウンドでゲームを楽しみたい人
エンターテイメント重視の人
- 映画を迫力ある音で楽しみたい人
- ASMRやバイノーラル音源を聴く人
- 音楽を立体的に楽しみたい人
ボイスチャットをよく使う人
- Discord、Teams、Zoomを頻繁に使う人
- マイク音質を向上させたい人
- 周囲の雑音を消したい人
友人や家族と音楽・映画を共有したい人
- 2台のヘッドホンで同時に音を聞きたい人
使わないほうがいい人
以下のような人には、Nahimicは不要、または邪魔になる可能性があります:
DTMや音楽制作をする人
録音時に意図しない音声処理が適用されてしまうため、プロの音楽制作には不向きです。
シンプルなオーディオ環境を好む人
余計なソフトウェアをインストールしたくない人。
特定のゲームやアプリで問題が発生している人
Nahimicが原因でゲームがクラッシュしたり、音が出なくなったりする場合があります。
外付けサウンドカードやオーディオインターフェースを使っている人
これらのデバイスには独自のドライバーとソフトウェアがあるため、Nahimicと競合する可能性があります。
Nahimicオーディオをアンインストールするとどうなる?
もしNahimicオーディオドライバーをアンインストールした場合、以下のような影響があります:
音質の変化:
- 音質が著しく低下する場合がある
- 音量が上がらなくなる可能性
- スピーカーからブーンという音や振動が発生しやすくなる
- 音量を上げるとスピーカーが損傷する可能性
機能の喪失:
- イコライザーが使えなくなる
- サラウンドサウンドが使えなくなる
- ベースブースト、トレブルブーストが使えなくなる
- その他すべてのNahimic機能が使えなくなる
アンインストールする場合は、これらの点を理解した上で実行してください。
Nahimicオーディオの代替ソフト
Nahimicが使えない、または気に入らない場合は、以下の代替ソフトがあります:
SteelSeries Sonar
特徴:
- NahimicとSteelSeriesが提供
- より多くのPCに対応
- 無料で使用可能
- Nahimicよりも新しい技術
ダウンロード:
https://jp.steelseries.com/gg/sonar
Realtek Audio Console
多くのPCに標準搭載されているRealtek独自のオーディオユーティリティです。
Nahimicほど多機能ではありませんが、基本的なイコライザーやサラウンド機能があります。
メーカー独自のソフト
- ASUS Sonic Studio(ASUS製品)
- Creative Sound Blaster(Creativeサウンドカード)
- Dolby Atmos(一部のPC)
これらも同様の機能を提供しています。
まとめ:Nahimicオーディオを理解して賢く使おう
Nahimicオーディオは、PCの音質を向上させる強力なオーディオ強化ソフトウェアです。
主な特徴:
- フランスのA-Volute社が開発(現在はSteelSeries傘下)
- 7.1chバーチャルサラウンド
- 10バンドイコライザー
- サウンドトラッカー
- マイク音質向上
- 音量スタビライザー
- サウンドシェアリング
メリット:
- 無料で使える
- 高い互換性
- 簡単な操作
- ゲームで有利
- スピーカー保護
デメリット:
- 対応PCが限られる
- ゲーム・アプリとの相性問題
- DTMには不向き
- 削除しても復活する
結論:
ゲームや映画を楽しむ一般ユーザーにとっては、非常に便利なソフトです。特にFPSゲームをプレイする人には、足音や銃声の方向がわかりやすくなるので大きなメリットがあります。
一方で、DTMや音楽制作をする人、特定のゲームで問題が起きている人には不向きです。
自分の使用目的に合わせて、Nahimicを活用するか無効化するかを選択することが大切です。もし使わないと決めたなら、完全に削除する方法もあります(別記事で解説しています)。
まずは一度使ってみて、自分にとって便利かどうか判断してみることをおすすめします。無料で使えるので、試してみて損はありませんよ!


コメント