PCで音楽を聴いたり、ゲームをプレイしたりする時、当たり前のように音が出ますよね。でも、その音を出すために裏で働いているのが「オーディオドライバー」なんです。
Nahimicオーディオドライバーは、MSIやLenovo、ASRockなどのゲーミングPCやマザーボードにプリインストールされている、音質を最適化する特別なオーディオドライバーです。
「勝手にインストールされていた」
「これって必要なの?」
「削除したら音が出なくなる?」
こんな疑問を持っている人も多いでしょう。今回は、Nahimicオーディオドライバーの役割と、Realtekオーディオとの関係について詳しく解説します。
Nahimicオーディオドライバーの役割

Nahimicオーディオドライバーは、ただ音を出すだけではありません。いくつか重要な役割があるんです。
スピーカー補正(チューニング)
最も重要な役割が、スピーカーやヘッドホンの特性を補正することです。
PCメーカーは、Nahimicと協力してPC本体のスピーカーやオーディオ回路を設計しています。Nahimicドライバーは、そのハードウェアの特性に合わせた補正を加えるんですね。
これにより、メーカーが意図した通りの音質を実現できます。例えば、ノートPCの小さなスピーカーでも、できるだけ豊かな音が出るように調整されているわけです。
過剰な振動の防止
もう一つの重要な役割が、スピーカーの保護です。
音量を上げすぎると、スピーカーが「ビリビリ」と振動したり、歪んだ音が出たりすることがありますよね。Nahimicドライバーは、過剰な振動を自動的に抑制して、高音量でもクリアな音を保ちます。
これにより、スピーカーの破損リスクも減らせるんです。
音響設計の実現
PCメーカーは、製品ごとに音響設計を行っています。
ゲーミングノートPCなら、足音や銃声が聞き取りやすいように。クリエイター向けPCなら、音楽制作に適した正確な音が出るように。それぞれ最適化されているんですね。
Nahimicオーディオドライバーがないと、この音響設計が機能しません。単なるRealtekドライバーだけでは、メーカーが意図した音質にならない可能性があります。
RealtekとNahimicの関係
「Realtekオーディオドライバー」という言葉も聞いたことがあるでしょう。実は、NahimicはRealtekと深く関係しているんです。
Realtekは基本ドライバー
Realtekは、多くのPCで使われているオーディオチップの製造メーカーです。
ほとんどのマザーボードやノートPCには、Realtekのオーディオチップが搭載されています。「Realtek High Definition Audio Driver」は、このチップを動作させるための基本ドライバーなんですね。
NahimicはRealtekの上に乗る
Nahimicは、Realtekドライバーの上に追加される音響強化技術です。
つまり、こういう構造になっています。
[Nahimicオーディオドライバー(音響強化)]
↓
[Realtekオーディオドライバー(基本動作)]
↓
[Realtekオーディオチップ(ハードウェア)]
Realtekがハードウェアを動かす土台、Nahimicがその上で音質を向上させる仕組みです。
一緒にインストールする必要がある
そのため、Nahimicを使うには両方のドライバーが必要です。
メーカーの公式サイトからダウンロードできるオーディオドライバーは、通常「Realtek HD Universal Driver (include Nahimic Driver)」という名前になっています。これは、RealtekとNahimicが一つのパッケージになったものなんです。
APO(Audio Processing Object)とは
Nahimicの仕組みを理解するには、「APO」という概念を知っておくと良いでしょう。
APOは音声処理プラグイン
APO(Audio Processing Object)は、Windowsのオーディオシステムに組み込まれる音声処理プラグインです。
音がスピーカーから出力される前に、APOが音声信号を加工します。イコライザーやサラウンド効果、ノイズキャンセリングなどの処理を行うんですね。
NahimicもAPOの一種として動作します。だから、Nahimicのことを「Nahimic APO」と呼ぶこともあるんです。
APO3とAPO4の違い
Nahimicには、世代によってAPO3とAPO4があります。
Nahimic APO3
- 第8世代~第10世代Intel CPU向け
- AMD Ryzen 3000シリーズ以前向け
- デスクトップPCやマザーボードで主に使用
- ファイル名に「Nh3」が含まれる
Nahimic APO4
- 第11世代以降Intel CPU向け
- AMD Ryzen 4000/5000シリーズ以降向け
- 新しいノートPCで主に使用
- ノートPCの内蔵スピーカー向けに最適化
- ファイル名に「APO4」が含まれる
自分のPCがどちらを使っているかは、CPUの世代で判断できます。間違ったバージョンをインストールすると、正常に動作しないので注意が必要です。
Nahimicオーディオドライバーのインストール方法
Nahimicドライバーをインストールする正しい手順を紹介します。
事前準備
まず、自分のPCがNahimicに対応しているか確認しましょう。
対応メーカーの公式サイトには、対応製品のリストがあります。
- MSIマザーボード・デスクトップ対応リスト
- MSIノートPC対応リスト
- LenovoノートPC対応リスト
- Gigabyte/AORUS対応リスト
- ASRock対応リスト
対応していない製品にインストールしても、正常に動作しません。
基本的なインストール手順
ステップ1:既存ドライバーの削除
古いオーディオドライバーがある場合は、先に削除します。
- コントロールパネルを開きます
- 「プログラムと機能」を選択します
- 「Realtek High Definition Audio Driver」を見つけます
- 右クリックして「アンインストール」を選択します
- PCを再起動します
ステップ2:新しいドライバーのダウンロード
メーカーの公式サイトから、自分のPC用のオーディオドライバーをダウンロードします。
- メーカーのサポートページにアクセスします
- 製品名やモデル番号を入力します
- 「ドライバー」または「サポート」セクションを開きます
- 「Audio Driver with A-Volute Nahimic」や「Realtek HD Universal Driver (include Nahimic Driver)」を探します
- ダウンロードします
ステップ3:Realtekドライバーのインストール
ダウンロードしたファイルを解凍して、Realtekドライバーを先にインストールします。
- Setup.exeを実行します
- 古いドライバーが自動的にアンインストールされます
- ウィザードの指示に従ってインストールします
- インストール中はインターネット接続を切断することを推奨(Windows Updateによる自動更新を防ぐため)
- 完了したらPCを再起動します
ステップ4:Nahimic APOドライバーのインストール
次に、Nahimic APOドライバーをインストールします。
パッケージ内の「Nahimic APO3 Driver」または「Nahimic APO4 Driver」フォルダを探して、インストーラーを実行してください。
PCを再起動します。
ステップ5:Nahimic Companionアプリのインストール
最後に、Microsoft StoreからNahimic Companionアプリをインストールします。
- Microsoft Storeを開きます
- 「Nahimic」で検索します
- 「入手」または「インストール」をクリックします
- インストール完了後、PCを再起動します
ステップ6:動作確認
Nahimicアプリを起動して、正常に動作するか確認します。
エラーメッセージが出ず、イコライザーやサラウンド設定が使えれば成功です。
自動復元ツールを使う簡単な方法
手動インストールが難しい場合は、自動復元ツールが便利です。
- Nahimic公式サイトから「GenericNahimicRestoreTool.exe」をダウンロードします
- ファイルを右クリックして「管理者として実行」を選択します
- ツールが自動的にハードウェアを検出し、適切なドライバーをインストールします
- 完了したらPCを再起動します
この方法なら、複雑な手順を踏まなくても簡単にインストールできます。
Nahimicオーディオドライバーを削除するとどうなる?
「不要だから削除したい」と考える人もいるでしょう。でも、削除には注意が必要です。
起こりうる問題
Nahimicオーディオドライバーをアンインストールすると、以下の問題が起こる可能性があります。
音質の低下
メーカーが調整した音響設計が無効になるため、音質が著しく悪化することがあります。
音量が出なくなる
Nahimicの補正がなくなると、同じボリューム設定でも音が小さくなる場合があります。
スピーカーの振動や歪み
音量を上げた時に、スピーカーからビリビリという音や歪みが発生しやすくなります。
スピーカーの破損リスク
過剰な振動から保護する機能がなくなるため、高音量で使用するとスピーカーが壊れる可能性もあります。
追加機能の喪失
イコライザー、バーチャルサラウンド、ベースブースト、トレブルブーストなどの機能が全て使えなくなります。
削除しても問題ない場合
以下のような場合は、削除しても大きな問題はありません。
- 外付けのDAC(デジタル-アナログ変換器)を使っている
- 高性能な外部サウンドカードを使っている
- PC内蔵スピーカーを使わず、常に外部スピーカーやヘッドホンを使用している
- 音楽制作などで、ピュアな音が必要
ただし、Realtekの基本ドライバーは残す必要があります。Nahimicだけを削除して、Realtekドライバーは維持しましょう。
よくあるトラブルと解決方法

Nahimicオーディオドライバーに関するトラブルと対処法をまとめました。
「オーディオドライバーが互換性がない」エラー
このエラーは、ドライバーとアプリのバージョンが合っていない時に出ます。
解決方法
- メーカー公式サイトから最新のオーディオドライバーパッケージをダウンロード
- 既存のドライバーをアンインストール
- 新しいドライバーをインストール
- Microsoft Storeでアプリも最新版に更新
音が出ない
Nahimicインストール後に音が出なくなることがあります。
解決方法
- デバイスマネージャーを開く
- 「サウンド、ビデオ、およびゲーム コントローラー」を確認
- 黄色い警告マークがついているデバイスがあれば、ドライバーを更新
- サウンド設定で、正しい再生デバイスが選択されているか確認
- 「Nahimic Speakers」ではなく、「Speakers (Realtek)」を既定のデバイスに設定してみる
Officeアプリがクラッシュする
古いバージョンのNahimicが原因で、Microsoft Officeアプリがクラッシュすることがあります。
解決方法
Microsoft Storeから最新のNahimicアプリに更新してください。この問題は、最新バージョンで修正されています。
APO3とAPO4を間違えてインストールした
間違ったバージョンをインストールすると、正常に動作しません。
解決方法
- 現在のNahimicを完全にアンインストール
- Realtekドライバーもアンインストール
- PCを再起動
- 自分のCPU世代に合った正しいバージョンを再インストール
基本的に、APO3とAPO4は互換性がありません。無理にバージョンを変更しようとすると、システムが不安定になる可能性があります。
まとめ:Nahimicオーディオドライバーの重要性
Nahimicオーディオドライバーは、単なる「おまけソフト」ではありません。
PCメーカーが音響設計を実現するために、ハードウェアと一体で設計された重要なコンポーネントです。特にゲーミングPCやノートPCでは、このドライバーがあることで初めて、メーカーが意図した音質が実現されます。
Nahimicオーディオドライバーの役割
- スピーカーやヘッドホンの特性を補正
- 過剰な振動を防いでスピーカーを保護
- メーカーの音響設計を実現
- RealtekドライバーとセットでPC本体のオーディオチップを制御
こんな人にはNahimicが必要
- ゲーミングPCを使っている
- PC内蔵スピーカーを使用している
- バーチャルサラウンドやイコライザーを活用したい
- メーカーが意図した音質を楽しみたい
こんな人には不要かもしれない
- 外部DACや高性能サウンドカードを使っている
- 音楽制作などでピュアな音が必要
- ゲームや特定のアプリで互換性問題が起きている
Realtekオーディオドライバーとの関係性や、APO3/APO4の違いを理解しておけば、トラブルが起きた時もスムーズに対処できます。
自分の使い方に合わせて、Nahimicオーディオドライバーを活用するか削除するか判断してくださいね。

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