「パソコンのスペック表を見ていて、『コアクロック2.1GHz』って書いてあるけど、これって何?」
グラフィックボードやCPUを選ぶとき、必ず目にするのが「コアクロック」という言葉です。数字が大きい方が良さそうな気はするけど、実際にどういう意味なのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、コアクロックの基本から、ベースクロックとブーストクロックの違い、メモリクロックとの関係まで、わかりやすく解説していきます。
コアクロックってどういう意味?

コアクロックとは、GPU(グラフィックボード)やCPUのコア(中核部分)が動作する速度のことです。「クロック周波数」や「動作周波数」とも呼ばれます。
もう少しわかりやすく説明しましょう。
パソコンの中で、GPUやCPUは一定のリズムで動いています。このリズムを「クロック」と呼び、1秒間に何回このリズムが刻まれるかを示すのが「コアクロック」なんです。
例えば
- コアクロック2.0GHzのGPU → 1秒間に20億回処理を実行できる
- コアクロック3.0GHzのCPU → 1秒間に30億回処理を実行できる
数字が大きいほど、同じ時間でより多くの処理ができるため、基本的には高性能ということになります。
単位の意味
コアクロックは、主に以下の単位で表されます。
MHz(メガヘルツ)
- 1秒間に100万回の処理
- 1MHz = 1,000,000回/秒
GHz(ギガヘルツ)
- 1秒間に10億回の処理
- 1GHz = 1,000MHz = 1,000,000,000回/秒
現在のGPUやCPUは、数百MHz〜数GHzのコアクロックで動作しています。例えば、GeForce RTX 4080のコアクロックは約2.5GHz、Intel Core i7の最新モデルは最大5GHz以上で動作します。
GPUとCPUのコアクロック
コアクロックという言葉は、主にGPU(グラフィックボード)の文脈で使われることが多いですが、CPUにも同様の概念があります。
GPUのコアクロック
GPU(Graphics Processing Unit)は、グラフィック(映像)の処理を専門に行うチップです。
GPUのコアクロックは、グラフィックチップが画像や映像を処理する速度を表します。ゲームをプレイしたり、動画編集をしたりするとき、コアクロックが高いほどスムーズに動作します。
GPUコアクロックが高いと
- ゲームのフレームレート(FPS)が向上する
- 3Dグラフィックスの描画が速くなる
- 動画のエンコード(変換)が速くなる
- 画像編集の処理が快適になる
グラフィックボードのスペック表を見ると、「コアクロック」「ベースクロック」「ブーストクロック」といった複数の数値が記載されていることがあります。これについては後ほど詳しく説明します。
CPUのクロック周波数
CPUの場合、「コアクロック」という表現よりも「クロック周波数」や「動作周波数」と呼ばれることが多いです。
CPU(Central Processing Unit)は、パソコン全体の処理を担う「頭脳」のような部品です。
CPUのクロック周波数が高いと、様々な処理が速くなります。
CPUクロック周波数が高いと
- アプリケーションの起動が速い
- 複雑な計算処理が速い
- ウェブブラウジングが快適
- プログラムの実行速度が向上する
ただし、CPUの性能はクロック周波数だけでは決まりません。コア数(処理ユニットの数)やアーキテクチャ(設計)なども重要な要素です。
ベースクロックとブーストクロックの違い
現代のGPUやCPUは、状況に応じて動作速度を変える機能を持っています。そのため、スペック表には複数のクロック数値が記載されているんです。
ベースクロック(Base Clock)
ベースクロックは、通常時に保証される基本的な動作周波数のことです。
GPUやCPUが負荷の低い作業をしているとき、あるいはブースト機能が働いていないときの最大クロック周波数を指します。
- 常に動作する基本的な速度
- 安定して維持される周波数
- メーカーが保証する最低限の性能
ブーストクロック(Boost Clock)
ブーストクロックは、高負荷時に自動的に引き上げられる最大動作周波数のことです。
ゲームをプレイしたり、重い処理をしたりするとき、GPUやCPUは自動的に動作速度を上げて性能を引き出します。
- 高負荷時に自動で上昇
- 温度や電力に余裕があるときに発動
- ベースクロックより高い周波数で動作
具体例:NVIDIA GeForce RTX 4070の場合
- ベースクロック:1,920MHz
- ブーストクロック:2,475MHz
通常はベースクロック付近で動作していますが、ゲームなどで負荷がかかると、自動的に最大2,475MHzまでクロックが上昇するわけです。
NVIDIAとAMDの表記の違い
GPUメーカーによって、クロックの表記方法が少し異なります。
NVIDIA製GPU
- ベースクロック:ブースト動作していない場合の最大周波数
- ブーストクロック:通常のゲーム実行中の平均動作周波数
AMD製GPU
- ベースクロック:ブースト動作していない場合の最大周波数
- ゲームクロック:通常のゲーム実行中の平均動作周波数
- ブーストクロック:ブースト動作時の最大周波数
AMDの方が、より細かく段階が分かれているんですね。
コアクロックとメモリクロックの違い
グラフィックボードのスペック表を見ていると、「コアクロック」とは別に「メモリクロック」という項目があることに気づくと思います。
この2つは、似ているようで役割が全く違います。
コアクロック(GPU Core Clock)
コアクロックは、GPUの処理速度を表します。
グラフィックチップ(GPU)が計算や描画処理をどれだけ速く実行できるかを決める要素です。
役割
- 画像や映像の計算処理
- 3Dグラフィックスの描画
- シェーダー処理(光や影の計算)
- レイトレーシング処理
レストランで例えるなら、コアクロックは「シェフの手の速さ」です。速く動けるシェフほど、短時間で多くの料理を作れますよね。
メモリクロック(Memory Clock)
メモリクロックは、GPUがビデオメモリ(VRAM)にアクセスする速度を表します。
グラフィックボードには、画像データやテクスチャ(模様)を一時的に保存しておくビデオメモリ(VRAM)が搭載されています。メモリクロックは、このメモリから必要なデータをどれだけ速く取り出せるかを示します。
役割
- テクスチャデータの読み込み速度
- フレームバッファへのアクセス速度
- 高解像度での描画性能
- 大量のデータ転送が必要な処理
レストランで例えるなら、メモリクロックは「冷蔵庫から材料を取り出す速さ」です。どんなに料理が速くても、材料が届かなければ調理できませんよね。
どちらが重要?
実は、どちらも重要で、バランスが大切なんです。
ゲームの場合
- フルHDや2K解像度:コアクロックがより重要
- 4K以上の高解像度:メモリクロックもかなり重要
- レイトレーシング使用時:両方が重要
用途別の重要度
- 一般的なゲーム:コアクロック > メモリクロック
- 高解像度ゲーム:コアクロック = メモリクロック
- 動画編集:コアクロックが重要
- 仮想通貨マイニング:メモリクロックがより重要(アルゴリズムによる)
コアクロックが高くてもメモリクロックが低いと、データの供給が追いつかず、性能を十分に発揮できないことがあります。逆も同じです。
コアクロックと性能の関係

「コアクロックが高ければ高性能」というのは基本的には正しいのですが、実はそれだけでは性能は決まりません。
コアクロックだけでは性能は決まらない
同じGPUであれば、コアクロックが高い方が性能が高くなります。
しかし、異なるGPU同士を比較する場合、コアクロックの高低だけで性能を判断することはできません。
理由
- アーキテクチャ(設計)が異なる
- コア数(CUDAコア/ストリームプロセッサ)が違う
- メモリ性能が異なる
- その他の専用ユニット(RTコア、Tensorコアなど)の有無
例えば
- GeForce RTX 4060:コアクロック2.5GHz、CUDAコア3,072個
- GeForce RTX 3090:コアクロック1.7GHz、CUDAコア10,496個
コアクロックだけ見ると4060の方が高いですが、実際の性能は3090の方が圧倒的に高いんです。これは、コア数が3倍以上あり、メモリ性能も大幅に高いためです。
クロック当たりの性能(IPC)
同じクロックでどれだけの処理ができるかを「IPC(Instructions Per Clock)」と呼びます。
新しい世代のGPUやCPUは、同じクロックでもより多くの処理ができるように設計が改良されているため、古い世代より高性能になります。
オーバークロックとの関係
オーバークロックとは、メーカーが設定した標準のクロック周波数を超えて、さらに高い周波数で動作させることです。
オーバークロックでできること
MSI Afterburnerなどのソフトウェアを使って、ユーザー自身がコアクロックを引き上げることができます。
オーバークロックのメリット
- ゲームのフレームレートが向上する
- 処理速度が速くなる
- 追加費用なしで性能アップ
オーバークロックのデメリット
- 発熱が増加する
- 消費電力が増える
- 動作が不安定になる可能性がある
- メーカー保証対象外になることがある
安全にオーバークロックするには
- 少しずつクロックを上げる(例:+25MHz単位)
- 安定性テストを行う
- 温度を監視する(80度以下推奨)
- 強制終了が起きたら、クロックを下げる
- 適切な冷却を確保する
オーバークロックは、パソコンの知識がある程度必要な上級者向けの操作です。初心者の方は、まずは標準設定で使うことをおすすめします。
コアクロックの確認方法
自分のGPUやCPUのコアクロックを確認する方法をご紹介します。
GPUのコアクロックを確認する(Windows)
方法1:GPU-Zを使う
- GPU-Zという無料ソフトをダウンロード
- ソフトを起動
- 「GPU Clock」の項目で現在のクロックを確認
- 「Default Clock」でベースクロック、「Boost」でブーストクロックも確認可能
方法2:MSI Afterburnerを使う
- MSI Afterburnerをインストール
- ソフトを起動
- メイン画面で「Core Clock」を確認
- リアルタイムで動作クロックが表示される
CPUのクロック周波数を確認する(Windows)
タスクマネージャーで確認
- タスクバーを右クリック
- 「タスクマネージャー」を選択
- 「パフォーマンス」タブをクリック
- 「CPU」を選択
- 「基本速度」がベースクロック、現在の動作速度もリアルタイムで表示される
システム情報で確認
- Windowsキー + Rを押す
- 「msinfo32」と入力してOK
- 「プロセッサ」の項目でクロック周波数を確認
コアクロックに関するよくある質問
Q1. コアクロックは高ければ高いほど良いの?
同じGPUやCPUを比較する場合は、コアクロックが高い方が性能が高くなります。
ただし、異なるモデルを比較する場合は、コアクロックだけでなく、アーキテクチャ、コア数、メモリ性能なども考慮する必要があります。
Q2. コアクロックが下がることはある?
はい、あります。負荷が軽いときや温度が高いとき、GPUやCPUは自動的にクロックを下げて、省電力化や温度管理を行います。
これは正常な動作で、故障ではありません。
Q3. ノートパソコンでもコアクロックは同じ?
ノートパソコン用のGPUやCPUは、デスクトップ用と比べてコアクロックが低く設定されていることが多いです。
これは、省電力性や発熱対策のためです。同じモデル名でも、ノート用とデスクトップ用では性能が異なります。
Q4. コアクロックを上げると寿命が短くなる?
適切な範囲でのオーバークロックであれば、極端に寿命が短くなることはありません。
ただし、過度なオーバークロックや高温状態での長時間使用は、パーツの寿命を縮める可能性があります。
まとめ
コアクロックは、GPUやCPUの処理速度を示す重要な指標です。
コアクロックの重要ポイント
- 1秒間に何回処理を実行できるかを示す数値
- 単位はMHz(メガヘルツ)やGHz(ギガヘルツ)
- ベースクロックとブーストクロックの2種類がある
- メモリクロックとは別の概念(コアクロック=処理速度、メモリクロック=データ転送速度)
- 同じGPU/CPUなら高い方が高性能だが、異なるモデル間では単純比較できない
- オーバークロックで性能向上が可能(ただし自己責任)
グラフィックボードやCPUを選ぶときは、コアクロックだけでなく、アーキテクチャ、コア数、メモリ性能、価格など、総合的に判断することが大切です。
また、自分の用途(ゲーム、動画編集、一般用途など)に合った性能を選ぶことも重要です。
コアクロックの意味がわかれば、パソコンのスペック表がもっと理解しやすくなります。自分に合ったパソコンやグラフィックボードを選ぶ参考にしてみてください。

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