「MSIマザーボードのBIOSを更新したいけど、失敗したらどうしよう」と不安に感じていませんか?
BIOSは、パソコンのハードウェアを制御する重要なプログラムです。更新することで新しいCPUに対応したり、システムの安定性が向上したりするメリットがありますが、間違った方法で更新すると起動できなくなるリスクもあります。
この記事では、MSI製品でBIOSを安全に更新する方法を初心者の方にも分かりやすく解説します。更新に必要な準備から具体的な手順、失敗した時の対処法まで、すべて網羅しています。
BIOSを更新する理由とメリット

まず「そもそもBIOSって更新する必要があるの?」という疑問にお答えします。
BIOS(Basic Input/Output System)は、パソコンの電源を入れた時に最初に動作するプログラムで、CPUやメモリ、ストレージなどのハードウェアを認識・制御する役割を担っています。
BIOS更新の主なメリット
新しいハードウェアへの対応
たとえば、Ryzen 5000シリーズのCPUに交換したい場合、古いBIOSバージョンでは認識されないことがあります。BIOS更新により、最新のCPUやメモリに対応できるようになります。
システムの安定性向上
BIOSには、特定の条件下でフリーズしたり、起動に失敗したりするバグが含まれていることがあります。更新することで、これらの既知の問題が修正されます。
セキュリティの強化
BIOSにもセキュリティ上の脆弱性が見つかることがあり、アップデートで修正されます。特にビジネス用途では、セキュリティ対策として定期的な更新が推奨されます。
性能の最適化
メモリのオーバークロック設定が改善されたり、電力管理が最適化されたりすることで、システム全体のパフォーマンスが向上する場合があります。
BIOS更新が必要なケース
すべての更新が必須というわけではありません。以下のような場合に更新を検討しましょう。
- 新しいCPUやメモリに交換する予定がある
- パソコンが頻繁にフリーズする、起動しないなどの問題がある
- メーカーから重要なセキュリティ修正が提供されている
- 特定のハードウェアが正しく認識されない
逆に、パソコンが問題なく動作している場合は、無理に更新する必要はありません。
BIOS更新前に必ず確認すべきこと
BIOS更新は慎重に行う必要があります。以下の準備を必ず行ってから更新作業に進みましょう。
現在のBIOSバージョンを確認する
まず、自分のパソコンに入っているBIOSバージョンを確認します。
Windowsから確認する方法:
- 「Windows」キー+「R」キーを押す
- 「msinfo32」と入力してEnterキーを押す
- 「システム情報」ウィンドウが開く
- 「BIOSバージョン/日付」の欄を確認
BIOS画面から確認する方法:
- パソコンを再起動
- 起動時に「Delete」キーを連打してBIOSに入る
- メイン画面の「BIOS Version」という項目を確認
このバージョン番号を控えておき、MSI公式サイトの最新版と比較します。
正しいマザーボードのモデル名を確認する
非常に重要: 間違ったBIOSファイルをインストールすると、マザーボードが起動しなくなります。必ず自分のマザーボードモデルを正確に確認してください。
モデル名の確認方法:
- マザーボードの箱や説明書を確認する
- マザーボード本体に印刷されているモデル名を確認する(PCIeスロット付近に記載されていることが多い)
- BIOS画面のメイン画面に表示されているモデル名を確認する
例:「MSI MPG Z790 CARBON WIFI」「MSI MAG B550 TOMAHAWK」など
必要な物を準備する
USBメモリ(4GB以上推奨)
FAT32形式でフォーマットする必要があります。データは消去されるので、空のUSBメモリか、バックアップを取ったものを用意してください。
安定した電源環境
更新中に停電が起きるとBIOSが破損します。ノートパソコンの場合はACアダプターを接続し、バッテリー残量が十分あることを確認してください。デスクトップの場合は、可能であればUPS(無停電電源装置)の使用を推奨します。
最新のBIOSファイル
MSI公式サイトから、自分のマザーボードモデルに対応した最新のBIOSファイルをダウンロードします。
重要なデータのバックアップ
万が一BIOS更新が失敗した場合に備えて、重要なデータは外付けハードディスクやクラウドストレージにバックアップしておきましょう。
MSI公式サイトからBIOSファイルをダウンロードする
それでは、実際にBIOSファイルをダウンロードする手順を説明します。
ダウンロード手順
- MSI公式サイト(https://jp.msi.com/)にアクセス
- 右上の虫眼鏡アイコン(検索)をクリック
- 自分のマザーボードモデル名を入力(例:「MPG Z790 CARBON WIFI」)
- 検索結果から該当する製品を選択
- 「サポート」タブをクリック
- 「BIOS」セクションまでスクロール
- 最新のBIOSバージョンを確認し、「ダウンロード」ボタンをクリック
ダウンロードしたファイルはZIP形式で圧縮されているので、右クリックして「すべて展開」を選択し、解凍してください。
解凍されたフォルダ内に、「E7D25IMS.150」のような名前のファイルがあります。これがBIOSファイルです。
更新内容の確認
ダウンロードページには、そのBIOSバージョンで何が変更されたかが記載されています。これを「changelog(変更履歴)」と呼びます。
更新内容を確認し、自分の環境に関係する修正や改善が含まれているか確認しましょう。特に必要性がなければ、無理に更新する必要はありません。
USBメモリの準備とフォーマット
BIOSファイルをUSBメモリに入れるため、まずUSBメモリをFAT32形式でフォーマットします。
フォーマット手順
- USBメモリをパソコンに挿入
- 「エクスプローラー」を開く
- USBメモリを右クリック
- 「フォーマット」を選択
- 「ファイルシステム」で「FAT32」を選択
- 「開始」をクリック
注意: フォーマットするとUSBメモリ内のすべてのデータが消去されます。必要なファイルは事前にバックアップしてください。
すでにUSBメモリがFAT32形式の場合、フォーマットは不要です。USBメモリを右クリックして「プロパティ」を選択すると、現在のファイルシステムを確認できます。
BIOSファイルをUSBメモリにコピー
- 先ほど解凍したBIOSファイルを開く
- フォルダ全体をUSBメモリのルートディレクトリ(一番上の階層)にコピー
重要: ファイルはUSBメモリの直下に置いてください。サブフォルダに入れると、BIOS更新時に認識されないことがあります。
M-Flash機能を使ったBIOS更新方法(基本的な方法)
M-Flashは、MSIマザーボードに標準搭載されているBIOS更新機能です。BIOS画面から直接更新できるため、最も一般的で安全な方法です。
M-Flashによる更新手順
ステップ1:BIOSファイル入りのUSBメモリを挿入
準備したUSBメモリをパソコンに挿入します。
ステップ2:BIOS画面に入る
パソコンを再起動し、起動時に「Delete」キーを連打してBIOS画面に入ります。
ステップ3:M-Flashを起動
BIOS画面が開いたら、以下のいずれかの方法でM-Flashを起動します。
- 画面下部または左側にある「M-FLASH」ボタンをクリック
- EZ Mode画面の場合は、画面の指示に従って「M-FLASH」を選択
ステップ4:M-Flashモードへの移行確認
「M-FLASHモードに入りますか?」というメッセージが表示されたら、「Yes」を選択します。パソコンが自動的に再起動し、M-Flash専用の画面に切り替わります。
ステップ5:BIOSファイルを選択
M-Flash画面では、左側にUSBメモリなどのストレージデバイスが表示され、右側にファイルが表示されます。
- 左側で自分のUSBメモリを選択
- 右側でBIOSファイルが入っているフォルダを開く
- BIOSファイル(拡張子なしの数字とアルファベットの組み合わせ)を選択
- Enterキーを押す
ステップ6:更新の確認と開始
「このBIOSファイルで更新しますか?」というメッセージが表示されるので、「Yes」を選択します。
BIOS更新が開始されます。画面に進行状況バーが表示されます。
ステップ7:更新完了まで待つ
更新中は以下のことを絶対にしないでください:
- パソコンの電源を切る
- 電源ケーブルを抜く
- USBメモリを抜く
- キーボードやマウスを操作する
更新は通常3〜7分程度で完了します。画面が一時的に止まったように見えても、3〜5分は待ちましょう。
ステップ8:自動再起動の確認
更新が完了すると、パソコンが自動的に再起動します。
ステップ9:BIOS更新の確認
再起動後、もう一度「Delete」キーを押してBIOS画面に入り、BIOSバージョンが更新されているか確認してください。
Flash BIOSボタンを使った更新方法(CPU不要)
Flash BIOSボタンは、MSIの一部のマザーボードに搭載されている物理ボタンです。この機能を使うと、CPUやメモリ、グラフィックカードを取り付けていない状態でもBIOSを更新できます。
Flash BIOSボタンが役立つ場面
- 新しいCPUを購入したが、古いBIOSでは認識されない場合
- BIOSが破損してパソコンが起動しなくなった場合
- 初めて自作PCを組み立てる時に、事前にBIOSを更新したい場合
Flash BIOSボタンの有無を確認
すべてのMSIマザーボードにこの機能があるわけではありません。以下の方法で確認してください。
- MSI公式サイトの製品ページで仕様を確認
- マザーボードの背面パネル(I/Oパネル)に「BIOS」または「FLASH BIOS」と書かれたUSBポートとボタンがあるか確認
Flash BIOSボタンを使った更新手順
ステップ1:BIOSファイルの名前を変更
ダウンロードして解凍したBIOSファイルを、「MSI.ROM」という名前に変更します。
- BIOSファイルを右クリック
- 「名前の変更」を選択
- 「MSI.ROM」と入力(大文字・小文字は区別されません)
- 警告が表示されたら「はい」をクリック
ステップ2:USBメモリにコピー
名前を変更した「MSI.ROM」ファイルを、FAT32形式にフォーマットしたUSBメモリのルートディレクトリにコピーします。
ステップ3:電源ケーブルを接続
マザーボードに以下の電源ケーブルだけを接続します。
- 24ピンメイン電源ケーブル(ATX_PWR1)
- 8ピンCPU電源ケーブル(CPU_PWR1)
CPU、メモリ、グラフィックカードは取り付ける必要がありません。
ステップ4:USBメモリを専用ポートに挿入
マザーボード背面の「BIOS」または「FLASH BIOS」と書かれたUSBポートにUSBメモリを挿入します。
通常のUSBポートでは動作しないので注意してください。
ステップ5:Flash BIOSボタンを押す
専用のFlash BIOSボタンを3〜5秒間長押しします。
LEDランプが点滅し始めたら、ボタンから指を離します。
ステップ6:更新完了まで待つ
LEDランプが点滅している間、BIOS更新が進行中です。通常5〜10分程度かかります。
LEDランプの点滅が止まり、消灯したら更新完了です。
ステップ7:通常の組み立てを完了
BIOS更新が完了したら、CPUやメモリ、グラフィックカードを取り付けて通常通りパソコンを組み立ててください。
ノートパソコンでのBIOS更新方法
MSI製ノートパソコンでもBIOS更新の基本的な流れは同じですが、若干手順が異なります。
ノートPC用の更新手順
- MSI公式サイトから、自分のノートPCモデルに対応したBIOSファイルをダウンロード
- ダウンロードしたファイルを解凍し、FAT32形式のUSBメモリにコピー
- USBメモリをノートPCに挿入
- 電源を入れ、MSIロゴが表示されたら「Delete」キーを連打してBIOSに入る
- 矢印キーで「Advanced」タブに移動
- 「UEFI BIOS Update」を選択してEnterキーを押す
- もう一度Enterキーを押して更新画面に進む
- USBメモリの場所を選択してEnterキーを押す
- BIOSファイルを選択してEnterキーを押す
- 更新が開始されるので、完了まで待つ
更新完了後、「Press any key to reset the system」というメッセージが表示されたら、任意のキーを押してパソコンを再起動します。
BIOS更新中に絶対にしてはいけないこと
BIOS更新中は、以下の行為を絶対にしないでください。これらを行うとBIOSが破損し、マザーボードが起動しなくなる可能性があります。
厳守すべき注意事項
電源を切らない、再起動しない
更新が完了するまで、電源ボタンを押したり、強制終了したりしないでください。
電源ケーブルを抜かない
デスクトップPCの場合、コンセントから電源ケーブルを抜かないでください。ノートPCの場合、ACアダプターを接続したままにしてください。
USBメモリを抜かない
更新が完了して自動再起動するまで、USBメモリは挿したままにしてください。
キーボードやマウスを操作しない
更新中は何も操作せず、じっと待ちましょう。
他のUSBデバイスを接続しない
更新中に他のUSBデバイスを抜き差ししないでください。
更新が止まったように見える場合
進行状況バーが動かなくなったり、画面が固まったように見えても、すぐに諦めないでください。
まず3〜5分間待ちましょう。内部的には処理が進んでいることがあります。
5分以上経っても全く変化がない場合は、MSIのカスタマーサービスに連絡する必要があります。自己判断で強制終了すると状況が悪化する可能性があります。
BIOS更新後の確認と設定
BIOS更新が無事に完了したら、以下の確認を行いましょう。
BIOSバージョンの確認
更新後、もう一度BIOS画面に入り、BIOSバージョンが正しく更新されているか確認します。
更新前に控えたバージョン番号と比較し、新しいバージョンになっていればOKです。
BIOS設定の再設定
BIOS更新後は、一部の設定が初期値に戻ることがあります。以下の項目を確認し、必要に応じて再設定してください。
起動順序(Boot Order)
USBやDVDよりも先にシステムドライブから起動するように設定されているか確認します。
XMP/DOCP設定
メモリのオーバークロック設定を使用していた場合、XMPプロファイルを再度有効にしてください。
ファンの回転数設定
カスタムファン設定をしていた場合、再度設定が必要です。
セキュアブート
Windows 11を使用している場合、セキュアブートが有効になっているか確認してください。
動作確認
BIOS設定を保存して終了し、Windowsが正常に起動するか確認します。
起動後は、以下の動作確認を行いましょう。
- システムが安定して動作するか
- 新しく追加したハードウェアが認識されているか
- メモリやCPUが正しく認識されているか(タスクマネージャーで確認可能)
BIOS更新に失敗した場合の対処法

万が一BIOS更新に失敗してパソコンが起動しなくなった場合の対処法を紹介します。
CMOSクリアを試す
BIOS設定をリセットすることで、起動できるようになる場合があります。
- パソコンの電源を完全にオフにし、電源ケーブルを抜く
- パソコンのケースを開ける
- マザーボード上のボタン電池(CR2032)を取り外す
- 5分間待つ
- 電池を元に戻す
- 電源ケーブルを接続して起動を試みる
Flash BIOSボタンで復旧を試みる
Flash BIOSボタン搭載モデルの場合、この機能を使って古いバージョンのBIOSに戻すことができます。
- 正常に動作していた時のBIOSバージョンをMSI公式サイトからダウンロード
- ファイル名を「MSI.ROM」に変更してUSBメモリに保存
- Flash BIOSボタンの手順に従って更新を実行
メーカーサポートに連絡する
上記の方法で解決しない場合は、MSIのカスタマーサービスセンターに連絡してください。
保証期間内であれば、無償で修理または交換してもらえる可能性があります。自己修理を試みて状況を悪化させる前に、専門家に相談することをおすすめします。
よくある質問
BIOSは定期的に更新すべき?
いいえ、BIOSは「問題があるとき」または「新しいハードウェアを使いたいとき」だけ更新すれば十分です。パソコンが正常に動作している場合、無理に最新版にする必要はありません。
間違ったBIOSファイルをインストールしたらどうなる?
マザーボードが起動しなくなる可能性が非常に高いです。Flash BIOSボタンを使った復旧を試みるか、メーカー修理が必要になります。必ず自分のマザーボードモデルに対応したファイルを使用してください。
BIOS更新でゲームのパフォーマンスは向上する?
直接的な効果は少ないですが、メモリのオーバークロック設定が改善されたり、CPUの電力管理が最適化されることで、わずかに性能が向上する場合があります。劇的な変化は期待できません。
更新中に停電したらどうなる?
BIOSが破損し、マザーボードが起動しなくなります。Flash BIOSボタンで復旧を試みるか、メーカー修理が必要です。可能であればUPS(無停電電源装置)の使用を強く推奨します。
WindowsのアップデートとBIOSアップデートは違うの?
はい、まったく別物です。WindowsアップデートはOS(基本ソフト)の更新で、BIOSアップデートはハードウェアを制御するファームウェアの更新です。BIOSの方がリスクが高いため、慎重に行う必要があります。
まとめ:BIOS更新は慎重に、でも恐れすぎない
MSI製品のBIOS更新方法について詳しく解説しました。
重要なポイントをおさらいしましょう。
更新前の準備が最も重要
- 正しいマザーボードモデルを確認する
- MSI公式サイトから正しいBIOSファイルをダウンロードする
- FAT32形式のUSBメモリを準備する
- 安定した電源環境を確保する
更新方法は2つ
- M-Flash:BIOS画面から更新する標準的な方法
- Flash BIOSボタン:CPUなしでも更新できる特殊な方法
更新中の絶対ルール
- 電源を切らない
- USBメモリを抜かない
- 何も操作せず完了まで待つ
BIOS更新は確かにリスクを伴いますが、正しい手順を守れば安全に実行できます。無理に最新版にする必要はありませんが、新しいCPUに対応したい場合や、システムの不具合を解決したい場合には有効な手段です。
不安な場合や、手順が難しいと感じる場合は、パソコンショップやMSIのサービスセンターに依頼することもできます。自分のスキルレベルに合わせて、無理のない方法を選んでください。


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