「ソフトウェアをインストールしようとしたら、権限不足のエラーが出た」「msiファイルを右クリックしても『管理者として実行』が表示されない」そんな経験はありませんか?
msiファイル(Windows Installerパッケージ)は、通常の実行ファイル(.exe)とは異なり、右クリックメニューに「管理者として実行」が表示されません。
しかし、多くのソフトウェアのインストールには管理者権限が必要で、正しく実行しないとエラーが発生したり、インストールが完了しなかったりします。
この記事では、msiファイルを管理者権限で実行する4つの方法を、初心者の方でも分かりやすく解説します。
msiファイルとは?Windows Installerパッケージの基礎知識

msiファイルは「Microsoft Installer」(現在はWindows Installer)の略で、Windowsで使用されるソフトウェアのインストールパッケージ形式です。
msiファイルの特徴
拡張子が「.msi」のファイルは、以下のような特徴があります:
- ソフトウェアのインストール、アンインストール、修復を管理
- Windowsのインストーラーサービスを使用
- レジストリの変更やシステムファイルの配置を自動化
- ロールバック機能により、インストール失敗時に元の状態に復元
7-Zipやofficeソフトウェア、開発ツールなど、多くのソフトウェアがmsi形式で配布されています。
なぜ「管理者として実行」が必要なのか
多くのソフトウェアは、インストール時に以下のような操作を行うため、管理者権限が必要になります:
- システムディレクトリ(C:\Program Files など)へのファイル配置
- Windowsレジストリの変更
- システムサービスの登録
- すべてのユーザーが使用できるようにするための設定
管理者権限なしでインストールしようとすると、「特権が不十分なため…」「アクセスが拒否されました」といったエラーメッセージが表示されます。
msiファイルに「管理者として実行」が表示されない理由
通常の実行ファイル(.exe)を右クリックすると「管理者として実行」が表示されますが、msiファイルにはこのオプションがありません。
これはWindowsの仕様で、msiファイルは特殊な扱いになっているためです。そのため、別の方法で管理者権限を与える必要があるんです。
方法1: コマンドプロンプトから実行(最も確実)
最も確実で、一時的にmsiファイルを管理者として実行したい場合におすすめの方法です。
手順1: 管理者権限でコマンドプロンプトを開く
Windows 10/11の場合:
- タスクバーの検索ボックスに「cmd」と入力
- 「コマンドプロンプト」が表示されたら右クリック
- 「管理者として実行」をクリック
- ユーザーアカウント制御(UAC)の確認が表示されたら「はい」をクリック
より簡単な方法(Windows 10/11):
- 「Ctrl」+「Shift」+「Esc」キーを同時に押す
- タスクマネージャーが開く
- 「ファイル」→「新しいタスクの実行」をクリック
- 「cmd」と入力し、「このタスクに管理者権限を付与して作成します」にチェック
- 「OK」をクリック
管理者権限でコマンドプロンプトが開くと、ウィンドウのタイトルに「管理者: コマンドプロンプト」と表示されます。
手順2: msiファイルの場所に移動
コマンドプロンプトで、msiファイルがあるフォルダに移動します。
例: ダウンロードフォルダにある場合
cd C:\Users\ユーザー名\Downloads
ユーザー名の部分は、自分のユーザー名に置き換えてください。
場所が分からない場合:
- msiファイルを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「全般」タブの「場所」を確認
手順3: msiexecコマンドで実行
以下のコマンドでmsiファイルを実行します:
msiexec /i ファイル名.msi
具体例:
msiexec /i 7z2301-x64.msi
パスを指定する場合:
msiファイルのあるフォルダに移動せずに実行する場合は、フルパスを指定します:
msiexec /i "C:\Users\ユーザー名\Downloads\ファイル名.msi"
パスにスペースが含まれる場合は、必ず「”」(ダブルクォーテーション)で囲んでください。
パスのコピーを簡単に行う方法
- msiファイルを「Shift」キーを押しながら右クリック
- 「パスのコピー」を選択(Windows 10/11)
- コマンドプロンプトに貼り付け(右クリック→貼り付け、または Ctrl+V)
これでパスを手入力する手間が省けます。
msiexecコマンドのオプション
インストール:
msiexec /i ファイル名.msi
アンインストール:
msiexec /x ファイル名.msi
修復:
msiexec /f ファイル名.msi
サイレントインストール(画面表示なし):
msiexec /i ファイル名.msi /quiet
ログを記録:
msiexec /i ファイル名.msi /L*V インストールログ.txt
方法2: バッチファイルを作成して実行
頻繁に同じmsiファイルを実行する場合や、複数のmsiファイルをまとめて実行したい場合に便利です。
手順1: バッチファイルを作成
- メモ帳(Notepad)を開く
- 以下の内容を入力:
msiexec /i example.msi
「example.msi」の部分を、実際のファイル名に変更してください。
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」
- ファイル名を「install.bat」のように「.bat」で終わる名前にする
- 「ファイルの種類」を「すべてのファイル」に変更
- 「保存」をクリック
手順2: バッチファイルを管理者として実行
- 作成した.batファイルを右クリック
- 「管理者として実行」をクリック
- UACの確認が表示されたら「はい」をクリック
これで、msiファイルが管理者権限でインストールされます。
複数のmsiファイルを連続インストール
複数のソフトウェアをまとめてインストールしたい場合:
msiexec /i software1.msi
msiexec /i software2.msi
msiexec /i software3.msi
このようにバッチファイルに記述すると、順番にインストールされます。
待機時間を追加する
インストールの完了を待ってから次を実行したい場合:
msiexec /i software1.msi
timeout /t 10
msiexec /i software2.msi
timeout /t 10は10秒待機するコマンドです。
方法3: レジストリを編集して右クリックメニューに追加
msiファイルを頻繁に管理者として実行する場合は、右クリックメニューに「管理者として実行」を追加すると便利です。
注意事項
レジストリの編集は、Windowsの重要な設定を変更する操作です。間違えるとシステムに影響が出る可能性があるため、慎重に行ってください。
作業前に、システムの復元ポイントを作成することをおすすめします。
手順1: レジストリエディタを開く
- 「Windowsキー + R」を押して「ファイル名を指定して実行」を開く
- 「regedit」と入力してEnterキーを押す
- UACの確認が表示されたら「はい」をクリック
手順2: 該当のキーに移動
レジストリエディタで以下の場所に移動します:
HKEY_CLASSES_ROOT\Msi.Package\shell
左側のツリーを順番にダブルクリックして展開していきます。
手順3: 新しいキーを作成
- 「shell」を右クリック
- 「新規」→「キー」を選択
- キーの名前を「runas」に変更
手順4: デフォルト値を編集
- 右側のウィンドウで「(既定)」をダブルクリック
- 値のデータに以下を入力:
管理者として実行(&A)
「&A」は、Altキー + Aでこのメニューを選択できるようにするショートカットキーです。
- 「OK」をクリック
手順5: commandサブキーを作成
- 作成した「runas」キーを右クリック
- 「新規」→「キー」を選択
- キーの名前を「command」に変更
手順6: commandの値を設定
- 「command」キーを選択
- 右側のウィンドウで「(既定)」をダブルクリック
- 値のデータに以下を入力:
"%SystemRoot%\System32\msiexec.exe" /i "%1" %*
正確に入力してください。
- 「OK」をクリック
- レジストリエディタを閉じる
動作確認
- 任意のmsiファイルを右クリック
- 「管理者として実行」が表示されることを確認
- クリックして正常にインストールできるか確認
この設定を行うと、すべてのmsiファイルで右クリックから「管理者として実行」が可能になります。
設定を元に戻す方法
右クリックメニューから削除したい場合:
- レジストリエディタを開く
HKEY_CLASSES_ROOT\Msi.Package\shell\runasに移動- 「runas」キーを右クリック
- 「削除」を選択
- 確認メッセージで「はい」をクリック
方法4: PowerShellを使用して実行

PowerShellからも管理者権限でmsiファイルを実行できます。
手順1: PowerShellを管理者として開く
- スタートメニューの検索ボックスに「powershell」と入力
- 「Windows PowerShell」を右クリック
- 「管理者として実行」をクリック
- UACの確認で「はい」をクリック
手順2: Start-Processコマンドで実行
以下のコマンドを実行します:
Start-Process msiexec.exe -ArgumentList "/i C:\Path\To\File.msi" -Verb RunAs
パスの部分は実際のファイルの場所に変更してください。
サイレントインストール:
Start-Process msiexec.exe -ArgumentList "/i C:\Path\To\File.msi /quiet" -Wait
-Waitオプションを追加すると、インストールが完了するまで待機します。
トラブルシューティング – よくある問題と解決策
msiファイルを管理者として実行する際に発生する一般的な問題と対処法をまとめました。
「特権が不十分なため…」というエラーが出る
エラーメッセージ:
「特権が不十分なため、このコンピューターのすべてのユーザーが使用できるようにアプリケーションをインストールすることはできません。管理者としてログオンし、再度インストールしてください。」
原因:
管理者権限でmsiファイルが実行されていません。
対処法:
- コマンドプロンプトまたはPowerShellを管理者として実行しているか確認
- ウィンドウのタイトルに「管理者」と表示されているか確認
- 表示されていない場合は、コマンドプロンプトを閉じて管理者として再度開く
「インストールパッケージを開けませんでした」というエラー
エラーメッセージ:
「このインストールパッケージを開くことができませんでした。パッケージが存在し、アクセスできることを確認するか、アプリケーションベンダーに問い合わせて、これが有効なWindowsインストーラーパッケージであることを確認してください。」
原因と対処法:
原因1: ファイルパスが間違っている
- パスにスペースが含まれる場合は「”」で囲む
- ファイル名の綴りを確認
- 「パスのコピー」機能を使用して正確なパスを取得
原因2: ファイルが破損している
- msiファイルを再ダウンロード
- ダウンロード時にエラーがなかったか確認
- 別のブラウザでダウンロードを試す
原因3: Windows Installerサービスが無効
Windows Installerサービスを確認:
- 「Windowsキー + R」を押す
- 「services.msc」と入力してEnter
- 「Windows Installer」を探す
- 右クリックして「プロパティ」を開く
- 「スタートアップの種類」が「手動」または「自動」になっているか確認
- サービスが停止している場合は「開始」をクリック
「アクセスが拒否されました」というエラー
原因:
インストール先のフォルダやレジストリに対する書き込み権限がありません。
対処法:
- コマンドプロンプトが管理者として実行されているか確認
- アンチウイルスソフトが干渉していないか確認(一時的に無効化して試す)
- Cドライブの空き容量が十分にあるか確認
UACプロンプトが表示されない
原因:
UACの設定が無効になっているか、グループポリシーで制限されている可能性があります。
確認方法:
- 「コントロールパネル」を開く
- 「ユーザーアカウント」→「ユーザーアカウント制御設定の変更」
- スライダーが「通知しない」になっていないか確認
- 推奨設定は上から2番目
Windows Installerサービスが起動しない
対処法:
Windows Installerサービスの再登録:
- コマンドプロンプトを管理者として開く
- 以下のコマンドを順番に実行:
msiexec /unregister
msiexec /regserver
- パソコンを再起動
- 再度msiファイルのインストールを試す
MSI Centerなど特定のソフトウェアを管理者として実行
MSI製マザーボードのユーティリティソフト「MSI Center」など、インストール後のソフトウェアを管理者として実行する方法です。
インストール済みプログラムを管理者として実行
方法1: スタートメニューから
- スタートメニューを開く
- 「MSI Center」などのプログラムを探す
- 右クリックして「管理者として実行」を選択
方法2: 実行ファイルから
- プログラムがインストールされているフォルダを開く
- 通常は
C:\Program FilesまたはC:\Program Files (x86)
- 実行ファイル(.exe)を右クリック
- 「管理者として実行」を選択
常に管理者として実行するように設定
毎回管理者として実行する必要がある場合:
- プログラムの実行ファイル(.exe)を右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「互換性」タブをクリック
- 「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェック
- 「適用」→「OK」をクリック
これで、次回からダブルクリックで起動すると自動的に管理者として実行されます。
セキュリティ上の注意点
管理者権限でソフトウェアを実行する際は、以下の点に注意してください。
信頼できるソースからのみダウンロード
- 公式サイトからダウンロードする
- 不明な配布元のmsiファイルは実行しない
- ウイルススキャンを実行してから実行する
管理者権限の影響を理解する
管理者権限で実行されたプログラムは:
- システムファイルを変更できる
- レジストリを自由に編集できる
- セキュリティ設定を変更できる
- 他のプログラムの動作に影響を与えられる
そのため、信頼できないソフトウェアを管理者として実行するのは危険です。
UACプロンプトを無視しない
ユーザーアカウント制御(UAC)のプロンプトが表示されたら:
- プログラム名を確認する
- 発行元が信頼できるか確認する
- 自分が意図した操作かどうか確認する
心当たりのないプロンプトが表示された場合は「いいえ」を選択してください。
msiexecコマンドの詳細オプション
より高度な使い方をしたい方向けに、msiexecコマンドの主なオプションを紹介します。
インストールオプション
通常インストール:
msiexec /i package.msi
管理者用インストール:
msiexec /a package.msi
ネットワーク共有用の管理インストールを作成します。
UIレベルの指定
完全なUIを表示:
msiexec /i package.msi /qf
基本UIのみ表示:
msiexec /i package.msi /qb
UIを表示しない(サイレント):
msiexec /i package.msi /qn
UIなしだが進捗バーは表示:
msiexec /i package.msi /qb!
ログ記録
詳細ログを記録:
msiexec /i package.msi /L*V install.log
ログオプション:
/L*V– すべての情報を詳細に記録(推奨)/L*– 冗長出力以外のすべての情報/Li– ステータスメッセージのみ/Le– エラーメッセージのみ
再起動オプション
再起動を抑制:
msiexec /i package.msi /norestart
インストール後に強制再起動:
msiexec /i package.msi /forcerestart
再起動の確認プロンプトを表示:
msiexec /i package.msi /promptrestart
プロパティの設定
インストール時にプロパティを指定:
msiexec /i package.msi PROPERTY1=value1 PROPERTY2=value2
よく使用されるプロパティ:
msiexec /i package.msi INSTALLDIR="C:\CustomPath" ALLUSERS=1
INSTALLDIR– インストール先ディレクトリALLUSERS=1– すべてのユーザー向けにインストールALLUSERS=2– 現在のユーザーのみにインストール
まとめ:MSI管理者として実行する方法のポイント
msiファイルを管理者権限で実行する方法について、重要なポイントをおさらいしましょう。
msiファイルの特徴:
- Windows Installerパッケージ形式
- 右クリックで「管理者として実行」が表示されない
- 多くの場合、管理者権限が必要
4つの実行方法:
- コマンドプロンプトから実行(おすすめ)
- コマンドプロンプトを管理者として開く
msiexec /i ファイル名.msiで実行- 最も確実で一時的な実行に最適
- バッチファイルを作成
- メモ帳でmsiexecコマンドを記述
- .bat形式で保存
- 右クリックで「管理者として実行」
- 複数のmsiファイルを連続実行できる
- レジストリを編集
- レジストリエディタで設定を追加
- すべてのmsiファイルに適用される
- 頻繁に使用する場合に便利
- PowerShellを使用
- Start-Processコマンドで実行
- スクリプト化に適している
よくあるエラーと対処法:
- 「特権が不十分」→ 管理者として実行されているか確認
- 「パッケージを開けない」→ パスやファイル名を確認
- 「アクセス拒否」→ コマンドプロンプトの権限を確認
セキュリティの注意:
- 信頼できるソースからのみダウンロード
- UACプロンプトを確認
- 不明なmsiファイルは実行しない
便利なコマンドオプション:
/i– インストール/x– アンインストール/f– 修復/quiet– サイレントインストール/L*V ログ名.txt– ログ記録
msiファイルを管理者として実行することは、正しい手順を踏めば決して難しくありません。
最も簡単なのは、コマンドプロンプトを管理者として開いてmsiexec /i ファイル名.msiを実行する方法です。
頻繁に使用する場合は、レジストリを編集して右クリックメニューに追加すると便利でしょう。
ただし、管理者権限は強力な権限なので、信頼できるソフトウェアにのみ使用することを心がけてください。

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