「パソコンが熱くなりすぎて心配」「システムが不安定になってきた」そんな経験はありませんか?
もしかすると、知らないうちにオーバークロック機能が有効になっているかもしれません。
MSI製マザーボードには、CPUやメモリの性能を向上させるための自動オーバークロック機能が搭載されていますが、冷却性能が不足している場合や安定性を重視したい場合は、これらの機能を無効にする必要があります。
この記事では、MSI製マザーボードで各種オーバークロック機能を安全に無効化する方法を、初心者の方でも分かりやすく解説します。
オーバークロックとは?パソコンの「加速装置」を知る

オーバークロックとは、CPUやメモリ、GPUといったパーツを、メーカーが定めた標準の動作速度(定格)よりも高い速度で動作させることです。
例えば、定格3.6GHzのCPUを4.2GHzで動作させるといった具合ですね。
オーバークロックのメリットとデメリット
メリット:
- パソコンの処理速度が向上する
- ゲームのフレームレートが上がる
- 追加費用なしで性能アップできる
デメリット:
- 発熱量が増加する
- 消費電力が増える
- システムが不安定になる可能性がある
- パーツの寿命が短くなるリスクがある
- メーカー保証が無効になる場合がある
特に、十分な冷却環境を用意していない場合は、オーバークロックによってCPUやGPUが過熱し、パソコンが突然シャットダウンしたり、フリーズしたりすることがあるんです。
MSI製マザーボードの自動オーバークロック機能
MSI製マザーボードには、以下のような自動的にオーバークロックを行う機能が搭載されています:
- Game Boost – ワンクリックでCPUをオーバークロック
- XMP(Extreme Memory Profile) – メモリを高速動作させる
- Precision Boost Overdrive(AMD) – AMD CPUの自動オーバークロック
- Intel Turbo Boost – Intel CPUの自動ブースト機能
これらの機能は、パソコンを組み立てたショップやユーザー自身が有効にしている場合があります。
オーバークロックが有効になっているか確認する方法
まず、自分のパソコンでオーバークロックが有効になっているかを確認しましょう。
Windows上での確認方法
タスクマネージャーで確認:
- タスクバーを右クリックして「タスクマネージャー」を開く
- 「パフォーマンス」タブをクリック
- 「CPU」を選択
- 「速度」の項目を確認
ここに表示されている速度が、CPUの定格速度(ベースクロック)よりも常に高い場合は、オーバークロックが有効になっている可能性があります。
ただし、最近のCPUには「ターボブースト」という機能があり、負荷がかかったときだけ自動的に速度が上がるのは正常な動作です。常時、定格を大きく超えた速度で動作している場合に注意が必要になります。
CPU-Zなどのツールで詳細確認
より詳しく確認したい場合は、「CPU-Z」や「HWiNFO」といった無料ツールを使用すると、CPUの動作周波数や電圧を正確に確認できます。
MSI BIOS でオーバークロックを無効にする方法
それでは、MSI BIOSでオーバークロック機能を無効にする具体的な手順を解説します。
方法1: BIOSをデフォルト設定に戻す(最も確実)
これが最も簡単で確実な方法です。すべての設定が工場出荷状態に戻ります。
手順:
- パソコンを再起動し、起動時に「Delete」キーを連打してBIOSに入る
- BIOS画面が表示されたら「F6」キーを押す
- 「Load Optimized Defaults」という確認画面が表示される
- 「Yes」を選択してEnterキーを押す
- 「F10」キーを押して設定を保存
- 「Yes」を選択して再起動
これで、すべてのオーバークロック設定が無効になり、標準設定に戻ります。
ただし、この方法では起動順序やファン設定など、他のBIOS設定もすべて初期化されるため、必要に応じて再設定が必要です。
方法2: Game Boostを無効にする
MSI独自の「Game Boost」機能を無効にする方法です。
EZモードでの設定:
- BIOSに入る(起動時にDeleteキー連打)
- EZモード画面が表示される
- 画面上部または左側に「Game Boost」という項目がある
- クリックして「OFF」または「Disabled」を選択
- 「F10」キーを押して保存して再起動
Advancedモードでの設定:
- BIOSに入る
- 「F7」キーを押してAdvancedモードに切り替え
- 「OC」タブをクリック
- 「Game Boost」を「Disabled」に設定
- 「F10」キーで保存して再起動
Game Boostを無効にすると、CPUは定格設定で動作するようになります。
方法3: XMP(メモリオーバークロック)を無効にする
高速メモリを使用している場合、XMPプロファイルが有効になっていることがあります。
無効化手順:
- BIOSに入る
- EZモード画面上部の「XMP」項目を確認
- 現在「Profile 1」や「Profile 2」になっている場合はクリック
- 「Disabled」または「Auto」を選択
- 「F10」キーで保存して再起動
XMPを無効にすると、メモリは標準速度(通常2133MHzや2400MHz)で動作します。システムの安定性は向上しますが、メモリ速度は低下します。
方法4: CPU手動設定を無効にする(上級者向け)
手動でCPU倍率や電圧を設定している場合は、これらを「Auto」に戻します。
手順:
- BIOSに入り、「F7」キーでAdvancedモードに切り替え
- 「OC」タブをクリック
- 「CPU Ratio」または「CPU Multiplier」を探す
- 値が数字になっている場合は「Auto」に変更
- 「CPU Core Voltage」も「Auto」に設定
- 「F10」キーで保存して再起動
これらの設定を変更していない場合は、すでに「Auto」になっているはずです。
方法5: Precision Boost Overdrive を無効にする(AMD CPU)
AMD Ryzenプロセッサを使用している場合、Precision Boost Overdrive(PBO)が有効になっていることがあります。
無効化手順:
- BIOSに入り、Advancedモードに切り替え(F7キー)
- 「OC」または「AMD Overclocking」タブを開く
- 「Precision Boost Overdrive」を探す
- 「Disabled」または「Auto」に設定
- 「F10」キーで保存して再起動
PBOを無効にすると、CPUは標準のPrecision Boost(通常のターボブースト)のみで動作します。
方法6: Intel Turbo Boostの設定(Intel CPU)
Intel CPUの場合、通常はTurbo Boostは有効のままで問題ありませんが、完全に定格で動作させたい場合は無効にできます。
手順:
- BIOSに入り、Advancedモードに切り替え
- 「OC」タブまたは「Advanced」→「CPU Configuration」を開く
- 「Intel Turbo Boost Technology」を探す
- 「Disabled」に設定
- 「F10」キーで保存して再起動
ただし、Turbo Boostは通常安全に動作する機能なので、温度に問題がなければ有効のままにしておくことをおすすめします。
GPU(グラフィックカード)のオーバークロックを無効にする
グラフィックカードのオーバークロックは、通常BIOSではなくWindowsのソフトウェアで行われます。
MSI Afterburnerでオーバークロックを解除する
MSI Afterburnerなどのツールでグラフィックカードをオーバークロックしている場合:
手順:
- MSI Afterburnerを起動する
- すべてのスライダー(Core Clock、Memory Clock、Power Limitなど)を確認
- 各スライダーを中央(ゼロ位置)に戻す
- 画面下部の「リセット」ボタンをクリック
- 設定を保存
または、MSI Afterburnerを完全にアンインストールすることで、設定がすべてリセットされます。
NVIDIA/AMD公式ソフトでの確認
NVIDIA Control Panel:
- デスクトップを右クリック→「NVIDIA Control Panel」
- 「3D設定の管理」→「電源管理モード」を確認
- 「最適電力」に設定すると、過度なブーストが抑えられる
AMD Radeon Software:
- デスクトップを右クリック→「AMD Radeon Software」
- 「パフォーマンス」→「チューニング」タブ
- すべての設定が標準値になっているか確認
- 必要に応じて「デフォルトに戻す」をクリック
Windowsの電源設定でCPU性能を制限する

BIOSを触らずに、Windows側からCPUの最大性能を制限することもできます。
手順:
- 「Windowsキー + X」を押して「電源オプション」を選択
- 現在の電源プランの「プラン設定の変更」をクリック
- 「詳細な電源設定の変更」をクリック
- 「プロセッサの電源管理」を展開
- 「最小のプロセッサの状態」と「最大のプロセッサの状態」を展開
- 両方を「99%」に設定(100%だとターボブーストが有効)
- 「適用」→「OK」
この方法では、CPUがターボブースト機能を使用しなくなるため、発熱と消費電力が抑えられます。ただし、性能も若干低下します。
オーバークロック無効化後の確認事項
設定を変更した後は、以下の点を確認しましょう。
1. CPUの動作周波数を確認
タスクマネージャーやCPU-Zで、CPUが定格またはそれ以下の速度で動作しているか確認します。
2. 温度の変化を確認
「HWiNFO」や「Core Temp」などのツールで温度を確認しましょう。オーバークロックを無効にすると、通常は温度が5〜15度程度下がります。
正常な温度の目安:
- アイドル時:30〜45度
- 負荷時:60〜80度(CPUによって異なる)
80度を超える場合は、冷却システムに問題がある可能性があります。
3. システムの安定性をテスト
しばらく通常通り使用して、フリーズやクラッシュが発生しないか確認します。オーバークロックが原因だった場合、無効化後は安定するはずです。
トラブルシューティング – よくある問題と解決策
オーバークロック無効化に関連する問題と対処法をまとめました。
設定を変更してもCPU速度が下がらない
原因と対処法:
原因1: ターボブーストと勘違いしている
最近のCPUは、負荷がかかると自動的に速度が上がる「ターボブースト」機能があります。これは正常な動作です。
- 定格3.6GHz、ターボブースト最大4.2GHzのCPUの場合
- アイドル時は1.5〜3.6GHz程度で動作
- 負荷がかかると4.2GHzまで上昇
これは問題ありません。常時、ターボブーストの最大値を超える速度で動作している場合のみ、オーバークロックの可能性があります。
原因2: BIOS設定が保存されていない
BIOS設定を変更した後、必ず「F10」キーを押して保存してから終了してください。保存せずにESCキーで終了すると、変更が破棄されます。
原因3: 複数のオーバークロック設定が有効
Game BoostとXMPの両方が有効になっているなど、複数の設定を無効にする必要がある場合があります。「F6」キーでデフォルト設定にリセットするのが確実です。
BIOS設定を変更したらパソコンが起動しなくなった
対処法:
- パソコンの電源を切る
- 電源ケーブルを抜く
- マザーボード上のボタン電池(CR2032)を取り外す
- 5〜10分待つ
- 電池を戻して電源ケーブルを接続
- パソコンを起動
これで、BIOS設定が工場出荷状態に戻ります。
または、マザーボードに「CMOSクリアボタン」や「CMOSジャンパー」がある場合は、それを使用することもできます。詳しくはマザーボードの取扱説明書を確認してください。
XMPを無効にしたらメモリ速度が遅すぎる
これは正常です:
XMPを無効にすると、メモリはJEDEC規格の標準速度(DDR4の場合2133MHz、DDR5の場合4800MHz)で動作します。
購入したメモリが「3200MHz」などと表記されていても、XMPを有効にしないとその速度では動作しません。
対処法:
システムが安定していて、温度にも問題がない場合は、XMPを再度有効にしても問題ありません。XMP自体は比較的安全なオーバークロック方式です。
Game Boostを無効にしても自動でオンになる
原因:
一部のMSIマザーボードには、物理的な「Game Boostボタン」がついています。このボタンまたはノブを「0」の位置に設定しているか確認してください。
マザーボード背面のI/Oパネル付近や、マザーボード上に赤いノブやボタンがある場合があります。
パフォーマンスが大幅に低下した
確認事項:
オーバークロックを無効にすると、当然ながら性能は定格レベルに戻ります。これは正常な動作です。
ただし、以下の点を確認してください:
- XMPが無効になってメモリが遅すぎる速度で動作していないか
- Windowsの電源プランが「省電力」になっていないか
- CPU温度が高すぎてサーマルスロットリング(熱による速度低下)が発生していないか
通常、オーバークロックを無効にしても、体感できるほどの性能低下はありません。ゲームでも数フレーム程度の違いです。
オーバークロック無効化を検討すべきケース
以下のような状況では、オーバークロックを無効にすることをおすすめします。
1. 高温が続く場合
CPUやGPUの温度が常に80度を超える場合は、オーバークロックを無効にして温度を下げましょう。高温状態が続くと、パーツの寿命が短くなります。
2. システムが不安定
- ブルースクリーンが頻繁に発生
- ゲーム中にクラッシュする
- 起動時にフリーズする
- ランダムに再起動する
これらの症状がある場合、オーバークロックが原因の可能性があります。
3. 初心者で冷却に不安がある
自作PCが初めてで、冷却システムが十分かどうか分からない場合は、まずは標準設定で使用することをおすすめします。
4. 静音性を重視する
オーバークロックを無効にすると発熱が減るため、ファンの回転数を下げられます。結果として、パソコンの動作音が静かになります。
5. 省電力を重視する
オーバークロックを無効にすると、消費電力が10〜30%程度削減できる場合があります。電気代の節約や、ノートPCのバッテリー持続時間延長につながります。
安全なオーバークロックの考え方
オーバークロック自体は悪いものではありません。適切に行えば、安全に性能を向上させることができます。
オーバークロックを安全に行うためのポイント
十分な冷却環境:
- 高性能なCPUクーラー(空冷または水冷)
- ケース内のエアフロー確保
- 定期的な清掃でホコリを除去
段階的な設定:
- いきなり高い周波数にせず、少しずつ上げる
- 各段階で安定性をテスト
- 温度を常に監視
適切な知識:
- CPUやマザーボードの仕様を理解
- 電圧設定には特に注意(高すぎると故障の原因)
- BIOSの各設定の意味を理解してから変更
初心者の方は、Game BoostやXMPといった自動オーバークロック機能から始めて、徐々に知識を深めていくのが良いでしょう。
まとめ:MSI オーバークロック無効化のポイント
MSI製マザーボードでオーバークロックを無効にする方法について、重要なポイントをおさらいしましょう。
最も簡単で確実な方法:
- BIOSで「F6」キーを押す
- 「Load Optimized Defaults」で工場出荷設定に戻す
- 「F10」キーで保存して再起動
個別の機能を無効にする:
- Game Boost:EZモードまたはOCタブで「Disabled」
- XMP:EZモード画面上部で「Disabled」
- PBO(AMD):OCタブで「Disabled」
- 手動設定:すべて「Auto」に戻す
GPU オーバークロックの解除:
- MSI Afterburnerのスライダーをゼロ位置に戻す
- またはソフトウェアをアンインストール
Windowsからの制限:
- 電源オプション→詳細設定
- プロセッサの最大状態を99%に設定
オーバークロック無効化を検討すべき状況:
- 温度が高すぎる(80度以上)
- システムが不安定
- 静音性・省電力を重視
- 初心者で冷却に不安
確認事項:
- CPUが定格速度で動作しているか
- 温度が適正範囲(アイドル30〜45度、負荷時60〜80度)
- システムが安定しているか
オーバークロックは性能向上に有効ですが、十分な冷却環境と知識がない場合はリスクもあります。
安定性や静音性、省電力を重視する場合は、標準設定で使用するのが最も安全で確実な選択です。
必要に応じて、Game BoostやXMPといった比較的安全な自動オーバークロック機能から試してみて、温度や安定性を確認しながら判断すると良いでしょう。


コメント