「MSI Afterburnerのスライダーが動かない!」「オーバークロックしようとしたらすべてグレーアウトしてる…」
MSI Afterburnerを起動したのに、肝心のオーバークロック機能が使えないとガッカリしますよね。実は、スライダーが動かない原因はいくつかあって、それぞれに対処法が用意されているんです。
この記事では、MSI Afterburnerでオーバークロックができない10の原因と、それぞれの具体的な解決方法を分かりやすく解説していきます。
まず確認:どのスライダーが動かないか

解決策に進む前に、まずどのスライダーが動かないのかを確認しましょう。
MSI Afterburnerの主要スライダー:
- Core Voltage(コア電圧) – GPU電圧の調整
- Power Limit(電力制限) – 消費電力の上限
- Temp Limit(温度制限) – 温度の上限
- Core Clock(コアクロック) – GPUの動作周波数
- Memory Clock(メモリクロック) – VRAMの動作周波数
- Fan Speed(ファン速度) – ファンの回転数
よくあるパターン:
- すべてのスライダーがグレーアウト → 認識の問題やドライバー問題
- Core Voltageだけロック → 電圧制御の設定が必要
- Power LimitとTemp Limitだけロック → ハードウェア制限の可能性
- スライダーは動くが適用されない → ノートPCや制限付きGPU
それでは、原因別に解決方法を見ていきましょう!
原因1:電圧制御のロック解除設定が無効【最頻出】
最も多い原因がこれ!
MSI Afterburnerは、安全のためデフォルトでCore Voltage(コア電圧)の調整機能がロックされています。この設定を有効にしないと、電圧関連のスライダーが動きません。
解決方法:電圧制御のロック解除
ステップ1:設定画面を開く
- MSI Afterburnerを起動
- 歯車アイコン(設定)をクリック
- プロパティウィンドウが開く
ステップ2:ロック解除にチェックを入れる
- 「全般」タブを選択
- 下にスクロールして「安全上のプロパティ」セクションを探す
- 以下の2つにチェックを入れる:
- ☑ 電圧制御のロック解除(Unlock voltage control)
- ☑ 電圧モニタリングのロック解除(Unlock voltage monitoring)
- 「適用」→「OK」をクリック
ステップ3:MSI Afterburnerを再起動
設定を反映させるため、MSI Afterburnerを一度完全に終了して、再度起動してください。
これで解決する場合:
Core Voltageのスライダーが使えるようになります。ただし、一部のGPUではこの設定をしてもスライダーが動かない場合があります(後述のハードウェアロックの可能性)。
原因2:ノートPC(モバイルGPU)の制限【重要】
ノートPCのグラフィックボード(モバイルGPU)は、デスクトップ用GPUとは異なる制限があります。
なぜノートPCではオーバークロックが制限されるのか
3つの理由:
- 冷却能力の限界
ノートPCの冷却システムは、デフォルトの発熱量を前提に設計されています。オーバークロックで発熱が増えると、熱暴走やシャットダウンのリスクが高まります。 - 電力供給の制約
ノートPCのバッテリーとACアダプターは、定格の消費電力を前提に設計されています。オーバークロックで消費電力が増えると、電源が追いつかなくなる可能性があります。 - BIOSレベルでのロック
多くのノートPCメーカーは、安全性を確保するため、BIOSレベルでGPUのオーバークロックを無効化しています。
確認方法
あなたのGPUがモバイル版かどうかを確認しましょう。
モバイルGPUの見分け方:
- 型番に「M」が付いている(例:GTX 1060M、RTX 3060 Mobile)
- ノートPCに搭載されている
- GPU-Zなどで確認すると「Notebook」と表示される
解決策(限定的)
⚠️ 重要な注意
ノートPCでのオーバークロックは、以下のリスクがあります:
- 熱による故障
- バッテリーの劣化
- システムの不安定化
- メーカー保証の対象外
それでも試したい場合の方法:
方法1:Power LimitとTemp Limitのみ調整
Core ClockやMemory Clockは触らず、以下だけを調整する保守的なアプローチです。
- Power Limitを下げる(70〜80%)
- Temp Limitを適切に設定(75〜80℃)
- ファンカーブを調整して冷却を強化
これにより、発熱を抑えながら安定性を向上させられます(厳密にはオーバークロックではなくアンダーボルト)。
方法2:AMD RX M200シリーズの特殊対処
AMD Radeon M200シリーズなど、一部のモバイルGPUでは、レジストリ編集で制限を解除できる場合があります。
手順:
- Windowsキー + R を押す
- 「regedit」と入力してレジストリエディターを起動
- 該当のキーを編集(※ 具体的な手順は機種により異なります)
⚠️ レジストリ編集は上級者向けです。間違えるとシステムが起動しなくなる可能性があります。
方法3:諦めて別の方法を検討
正直なところ、ノートPCでのオーバークロックはリスクが高いため、以下の代替案をおすすめします:
- ゲーム内のグラフィック設定を最適化
- 外付けGPU(eGPU)を検討
- デスクトップPCへの買い替えを検討
原因3:メーカーによるハードウェアロック
一部のグラフィックボードは、メーカーが意図的にオーバークロック機能をロックしています。
ロックされやすいGPU
以下の種類のGPUは制限されていることが多い:
- OEM向けGPU(DELLやHPなどのメーカー製PCに搭載)
- エントリーモデルのGPU(GTX 1050、GTX 1630など)
- プリビルドPC付属のGPU
- 中国メーカーの一部製品
確認方法
GPU-Zを使って、あなたのGPUが制限されているかを確認できます。
手順:
- GPU-Zをダウンロードして起動
- 「Sensors」タブを確認
- 「Perfcap Reason」を見る
- 「VRel」(電圧制限)
- 「PWR」(電力制限)
- などが常時表示されている場合、ハードウェアロックの可能性
解決策
ハードウェアロックされている場合、MSI Afterburnerでは制限を解除できません。
選択肢:
- BIOSの書き換え(上級者向け)
カスタムBIOSを作成して、GPUに書き込むことで制限を解除できる場合があります。ただし、非常にリスクが高く、失敗するとGPUが完全に壊れます。 - メーカー純正ツールを使う
ASUS GPU Tweak、EVGA Precision X1など、メーカー純正のオーバークロックツールでは、MSI Afterburnerで動かないスライダーが使える場合があります。 - 制限内で最適化
Power LimitやTemp Limitなど、動くスライダーだけを使って最適化します。
原因4:グラフィックドライバーの問題
古いドライバーや壊れたドライバーが原因で、MSI Afterburnerが正常に動作しないことがあります。
症状
- 最初は動いていたのに、ドライバー更新後に動かなくなった
- 再起動後にスライダーがグレーアウトする
- GPUは認識されているが、スライダーが動かない
解決方法1:DDUでクリーンインストール
手順:
- DDU(Display Driver Uninstaller)をダウンロード
公式サイトから最新版を入手 - セーフモードで起動
- Windowsキー + I → 更新とセキュリティ → 回復
- PCの起動をカスタマイズする → 今すぐ再起動
- トラブルシューティング → 詳細オプション → スタートアップ設定 → 再起動
- F4キーを押して「セーフモードを有効にする」
- DDUでドライバーを完全削除
- DDUを起動
- GPU製造元を選択(NVIDIAまたはAMD)
- 「削除して再起動」をクリック
- 最新ドライバーをインストール
- NVIDIA:GeForce Experienceまたは公式サイトから
- AMD:Radeon Softwareまたは公式サイトから
- インストール時に「クリーンインストール」を選択
- MSI Afterburnerを再インストール
解決方法2:ドライバーをロールバック
最新ドライバーが原因の場合、以前のバージョンに戻すことで解決する場合があります。
手順:
- デバイスマネージャーを開く
- ディスプレイアダプター → あなたのGPUを右クリック
- プロパティ → ドライバー → ドライバーを元に戻す
または、NVIDIAやAMDの公式サイトから古いバージョンをダウンロードして、DDU後にインストールします。
原因5:MSI Afterburnerのバージョンが古い
古いバージョンのMSI Afterburnerは、新しいGPUに対応していない場合があります。
確認方法
MSI Afterburnerのメイン画面で、右上の「i」アイコンをクリックすると、バージョン情報が表示されます。
最新版の確認:
- MSI公式サイトまたはGuru3Dで最新版を確認
- 執筆時点の最新版:4.6.6(2025年10月時点)
解決方法:最新版にアップデート
- 現在のMSI Afterburnerを完全にアンインストール
C:\Program Files (x86)\MSI Afterburnerフォルダを手動で削除- AppDataフォルダも削除
- Windowsキー + R →
%appdata%と入力 - 「MSI Afterburner」フォルダを削除
- PCを再起動
- MSI公式サイトまたはGuru3Dから最新版をダウンロード
- 新規インストール
原因6:スキン・テーマの問題

一部のスキンやテーマが原因で、スライダーが表示されなかったり、グレーアウトしたりすることがあります。
解決方法:デフォルトスキンに変更
- MSI Afterburner設定 → 「ユーザーインターフェース」タブ
- 「ユーザーインターフェーススキンのプロパティ」から、以下を選択:
- Default MSI Afterburner skin
- または MSI Windows 11 Dark
- 「適用」→「OK」
- MSI Afterburnerを再起動
これで解決した場合は、使っていたスキンに問題があったことになります。
原因7:GPUが認識されていない
MSI AfterburnerがGPUを正しく認識していない場合、すべての機能が使えません。
確認方法
MSI Afterburnerのメイン画面で、GPU名が正しく表示されているか確認してください。
問題がある場合の表示例:
- 何も表示されない
- 「Generic VGA」と表示される
- 間違ったGPU名が表示される
解決方法1:ドライバーの再インストール
原因4の「DDUでクリーンインストール」を実行してください。
解決方法2:GPUの物理的な接続を確認
デスクトップPCの場合:
- PCの電源を切り、電源ケーブルを抜く
- ケースを開ける
- GPUを一度取り外す
- PCIeスロットとGPUの接点を確認(汚れやホコリがないか)
- GPUを再度しっかりと差し込む
- 電源ケーブル(6pin/8pinコネクター)がしっかり接続されているか確認
- ケースを閉じて起動
解決方法3:別のPCIeスロットを試す
マザーボードに複数のPCIeスロットがある場合、別のスロットに差し替えてみてください。
原因8:AMD GPUでの非公式オーバークロックモード
AMD GPUの場合、「非公式オーバークロックモード」を有効にしないと、一部の機能が制限される場合があります。
設定方法
ステップ1:MSI Afterburnerを終了
タスクマネージャーからMSI Afterburnerが完全に終了していることを確認してください。
ステップ2:設定ファイルを編集
- エクスプローラーで以下のパスを開く:
C:\Program Files (x86)\MSI Afterburner\Profiles - 「MSIAfterburner.cfg」をメモ帳で開く
(右クリック → プログラムから開く → メモ帳) - 以下の項目を探す:
[ATIADLHAL]
UnofficialOverclockingEULA =
UnofficialOverclockingMode = 0
- 以下のように変更:
[ATIADLHAL]
UnofficialOverclockingEULA = I confirm that I am aware of unofficial overclocking limitations and fully understand that MSI will not provide me any support on it
UnofficialOverclockingMode = 1
- ファイルを保存
ステップ3:MSI Afterburnerを起動
設定が反映され、スライダーが使えるようになります。
⚠️ 注意: 非公式モードは、MSIのサポート対象外です。自己責任で使用してください。
原因9:設定ファイルの破損
MSI Afterburnerの設定ファイル(.cfg)が破損していると、スライダーが動かなくなることがあります。
解決方法:設定ファイルのリセット
- MSI Afterburnerを完全に終了
- 以下のフォルダを開く:
C:\Program Files (x86)\MSI Afterburner\Profiles - すべての「VEN_…」で始まるファイルをバックアップ
- それらのファイルを削除
- MSI Afterburnerを起動
MSI Afterburnerが新しい設定ファイルを自動生成します。
原因10:ファイルのアクセス権限の問題
Windows 10/11の一部環境では、MSI Afterburnerが設定ファイルに書き込めず、スライダーが動かない場合があります。
解決方法:管理者権限で実行
一時的な対処:
- MSI Afterburnerのショートカットを右クリック
- 「管理者として実行」を選択
恒久的な対処:
- MSI Afterburnerのショートカットを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「互換性」タブを開く
- ☑ 「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェック
- 「適用」→「OK」
これで、次回からは常に管理者権限で起動します。
原因別チェックリスト
問題を効率的に解決するため、以下のチェックリストを順番に試してみてください。
ステップ1:基本設定の確認
- [ ] 電圧制御のロック解除にチェックが入っているか
- [ ] 最新バージョンのMSI Afterburnerを使っているか
- [ ] デフォルトスキンに変更してみたか
- [ ] MSI Afterburnerを管理者権限で実行しているか
ステップ2:ハードウェアの確認
- [ ] GPUが正しく認識されているか
- [ ] GPUドライバーが最新か
- [ ] デスクトップPCかノートPCか(ノートPCの場合は制限あり)
- [ ] GPU-ZでPerfcap Reasonを確認したか
ステップ3:クリーンインストール
- [ ] DDUでドライバーをクリーンインストールしたか
- [ ] MSI Afterburnerを完全にアンインストールして再インストールしたか
- [ ] AppDataフォルダも削除したか
ステップ4:高度なトラブルシューティング
- [ ] (AMD GPU)非公式オーバークロックモードを有効にしたか
- [ ] 設定ファイルをリセットしたか
- [ ] 別のオーバークロックツールを試したか
それでも解決しない場合の代替案
すべての方法を試しても解決しない場合は、以下の選択肢を検討してください。
選択肢1:メーカー純正ツールを使う
NVIDIA GPU:
- EVGA Precision X1
- ASUS GPU Tweak III
- Gigabyte AORUS Engine
AMD GPU:
- AMD Radeon Software(WattMan)
- ASUS GPU Tweak III
- Sapphire TRIXX
これらのツールでは、MSI Afterburnerで動かないスライダーが使える場合があります。
選択肢2:BIOSでのオーバークロック
一部のマザーボードでは、BIOS/UEFIからGPUのオーバークロック設定ができます。
手順:
- PC起動時にDELまたはF2キーを押してBIOSに入る
- 「Advanced」または「OC」メニューを探す
- GPU関連の設定を探す
ただし、この方法は限定的で、すべてのマザーボードで使えるわけではありません。
選択肢3:諦めてデフォルト設定で使う
最も安全な選択肢は、オーバークロックを諦めることです。
代わりにできること:
- ゲーム内のグラフィック設定を最適化
- 解像度を下げる
- アンチエイリアシングを調整
- ドライバーの最適化設定を使う
実は、最新のGPUは既に工場出荷時にかなりオーバークロックされているため、手動でのOCによる性能向上は5〜15%程度に留まります。
よくある質問(FAQ)
Q1:オーバークロックは本当に安全?
A:適切な範囲内であれば比較的安全ですが、完全にノーリスクではありません。
リスク:
- GPUの寿命が短くなる可能性
- システムの不安定化(クラッシュ、フリーズ)
- 発熱増加によるサーマルスロットリング
- メーカー保証が無効になる
特に電圧を上げる場合は、リスクが大幅に増えます。
Q2:ノートPCでどうしてもオーバークロックしたい
A:どうしてもという場合は、以下の点に注意してください。
安全な範囲:
- Core Clock:+50MHz以下
- Memory Clock:+100MHz以下
- 電圧:触らない
- 常に温度をモニタリング(85℃を超えたら設定を戻す)
それでも、長期的な使用はおすすめしません。
Q3:Power LimitとTemp Limitだけ動く場合は?
A:これはハードウェアロックされている可能性が高いです。
対処法:
- Power Limitを最大にする(安全)
- Temp Limitを適切に設定(75〜85℃)
- これだけでも5〜10%の性能向上が見込める
Core ClockやMemory Clockが動かなくても、Power Limitの調整だけで効果はあります。
Q4:スライダーは動くけど、適用されない
A:以下の可能性があります。
原因:
- BIOSロック(ノートPCに多い)
- ドライバーが設定を上書きしている
- 他のオーバークロックツールと競合
対処:
- 他のオーバークロックツールをすべて終了
- GPU-ZのSensorsタブでクロックが実際に変わっているか確認
- ベンチマークを実行して性能が向上しているか検証
Q5:設定が再起動後に元に戻る
A:Windows起動時の自動適用設定がオフになっています。
解決方法:
- MSI Afterburner設定 → 「全般」タブ
- ☑ 「Windowsと一緒に起動」にチェック
- メイン画面で、適用したい設定を作成
- 保存アイコンをクリックして、プロファイル番号(1〜5)に保存
- 設定 → 「全般」 → 「Windowsのスタートアップ時に適用」でプロファイル番号を選択
まとめ:段階的に試してみよう
MSI Afterburnerでオーバークロックができない原因は多岐にわたりますが、ほとんどの場合は解決可能です。
推奨の手順:
✅ 初級(5分)
- 電圧制御のロック解除にチェック
- デフォルトスキンに変更
- 管理者権限で実行
✅ 中級(30分)
- 最新版にアップデート
- ドライバーをDDUでクリーンインストール
- MSI Afterburnerを完全再インストール
✅ 上級(1時間以上)
- AMD GPUの非公式モード有効化
- 設定ファイルの手動編集
- 代替ツールの検討
重要な注意事項:
- ノートPCでのオーバークロックは推奨しません
- オーバークロックは自己責任です
- メーカー保証が無効になる可能性があります
- 常に温度をモニタリングしてください
どうしても解決しない場合は、そのGPUがハードウェアレベルでロックされている可能性があります。その場合は、代替ツールの使用か、デフォルト設定での使用を検討してください。
オーバークロックができなくても、ドライバーの最適化やゲーム設定の調整で、十分なパフォーマンスが得られることも多いですよ!


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