「オーバークロックって難しそう…」「設定を間違えてGPUを壊したらどうしよう…」
そんな不安を持っている方に朗報です。MSI AfterburnerにはOC Scanner(オーバークロックスキャナー)という自動オーバークロック機能が搭載されています。
この機能を使えば、ワンクリックでGPUの性能を安全に引き上げることができるんです。手動で細かい設定をする必要はありません。
この記事では、MSI Afterburnerの自動オーバークロック機能「OC Scanner」の使い方から、Windows起動時の自動適用設定まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
OC Scannerとは?自動オーバークロックの仕組み

OC Scannerの基本
OC Scannerは、NVIDIAが開発した自動オーバークロック技術「NVIDIA Scanner」をベースにしたツールです。
主な特徴:
- クロック速度を少しずつ上げながら安定性をテスト
- 各GPUに最適なオーバークロック設定を自動で見つける
- 約20〜30分でスキャン完了
- 手動設定よりも安全
どうやって最適値を見つけるのか
OC Scannerは以下のプロセスで動作します。
- クロック速度を1段階上げる
- GPUに負荷をかけて安定性をテスト
- 安定していればさらに1段階上げる
- 不安定になったら、前の安定していた値を採用
この作業を自動で繰り返すことで、あなたのGPUにとって最適なオーバークロック設定を見つけ出すわけです。
対応GPU
OC Scannerは主に以下のGPUで使用できます。
- NVIDIA GeForce RTX 20シリーズ以降(RTX 2060、2070、2080など)
- NVIDIA GeForce RTX 30シリーズ(RTX 3060、3070、3080、3090など)
- NVIDIA GeForce RTX 40シリーズ(RTX 4060、4070、4080、4090など)
- NVIDIA GeForce GTX 10シリーズでも一部対応
AMD製GPUでは、OC Scannerは使えません。AMD製の場合は、Radeon Softwareに搭載されている自動チューニング機能を使いましょう。
準備:MSI Afterburnerのインストール
自動オーバークロックを始める前に、MSI Afterburnerをインストールしておく必要があります。
ダウンロード
公式サイトからのみダウンロードしてください:
- MSI公式サイト(msi.com)
- Guru3D(guru3d.com)
重要: 偽サイトが存在します。ドメインが「msi.com」または「guru3d.com」であることを必ず確認してください。
インストール手順
- ダウンロードしたZIPファイルを解凍
- セットアップファイル(MSIAfterburnerSetup***.exe)を実行
- インストール中に「RivaTuner Statistics Server」にチェックが入っていることを確認
- インストール完了
最新GPUドライバーの確認
オーバークロックを行う前に、必ずGPUドライバーを最新版に更新しておきましょう。
- NVIDIA:GeForce Experience経由でアップデート
- AMD:Radeon Software経由でアップデート
OC Scannerの使い方【詳細手順】
それでは、実際にOC Scannerを使った自動オーバークロックの手順を見ていきましょう。
ステップ1:電圧制御のロック解除
まずは、MSI Afterburnerで電圧制御を有効にします。
- MSI Afterburnerを起動
- 右下の歯車アイコン(Settings)をクリック
- 「全般」タブを開く
- 「安全上のプロパティ」欄で以下にチェックを入れる
- 「電圧制御のロック解除」
- 「電圧モニタリングのロック解除」
- 「適用」→「OK」をクリック
これで、GPUの詳細な制御が可能になります。
ステップ2:リミット値を最大に設定
次に、OC Scannerが動作できる範囲を広げます。
メイン画面で以下のスライダーを右端(最大値)まで移動させます。
- Core Voltage(コア電圧)
- Power Limit(電力制限)
- Temp. Limit(温度制限)
「え、全部最大にして大丈夫?」と心配になるかもしれませんが、安心してください。これらはあくまで「上限値」であり、GPU製造メーカーが安全な範囲で設定している値です。
スライダーを最大にすることで、OC Scannerがより広い範囲で最適値を探せるようになります。
グレーアウトしているスライダーは無視してOKです。メーカーによってロックされているだけなので、問題ありません。
ステップ3:OC Scannerを起動
- MSI Afterburnerのメイン画面左上にあるOC Scanner(OCと虫眼鏡のアイコン)をクリック
- 新しいウィンドウが開く
ステップ4:スキャン実行
- 「Scan」ボタンをクリック
- スキャンが開始される
所要時間: 約20〜30分
スキャン中は以下の作業が自動で行われます。
- クロック速度の段階的な引き上げ
- 各段階での安定性テスト
- 最適なクロック速度の決定
スキャン中にPCで他の作業をしても構いませんが、重い作業は避けた方が無難です。
ステップ5:テストで安定性を確認
スキャンが完了したら、必ず「Test」ボタンをクリックしてください。
テストの目的:
- OC Scannerが作成した設定の安定性を確認
- 「Confidence Level(信頼性レベル)」を表示
所要時間: 約5分
判定基準:
- 60%以上:使用可能
- 90%以上:理想的
60%未満の場合は、設定がやや不安定な可能性があるので、手動でクロック速度を少し下げることをおすすめします。
ステップ6:設定を適用
テストで問題なければ、設定を適用します。
- OC Scannerウィンドウを閉じる
- MSI Afterburnerのメイン画面に戻る
- 「Core Clock」の表示が「+0」から「Curve」に変わっている
- 画面下部のチェックマーク(適用)ボタンをクリック
これで、自動オーバークロックが適用されました!
プロファイルに保存して管理する

設定を適用しただけでは、MSI Afterburnerを閉じると設定がリセットされてしまいます。
設定を保存しておけば、いつでも簡単にオン/オフを切り替えられます。
保存方法
- MSI Afterburnerのメイン画面右下にあるフロッピーディスクのアイコン(保存)をクリック
- プロファイル番号(1〜5)のいずれかを選択
おすすめの管理方法:
- プロファイル1:デフォルト設定(オーバークロックなし)
- プロファイル2:OC Scanner設定
- プロファイル3〜5:手動オーバークロック設定や別のゲーム用設定
プロファイルの切り替え
メイン画面の右下にある数字(1〜5)をクリックするだけで、保存した設定をすぐに呼び出せます。
「今日は安定性重視でデフォルト設定」「ベンチマーク時はOC設定」といった使い分けができるわけです。
Windows起動時に自動適用する設定
毎回MSI Afterburnerを起動して設定を適用するのは面倒ですよね。
以下の設定をしておけば、Windows起動時に自動でオーバークロック設定が適用されます。
手順
- MSI Afterburnerの設定(歯車アイコン)を開く
- 「全般」タブを選択
- 以下にチェックを入れる
- 「Windowsと一緒に起動」
- 「最小化の状態で起動」
- 「適用」→「OK」
さらに、メイン画面右上のWindowsアイコンをクリックして色が変わった状態にしておくと、起動時に自動的に設定が適用されます。
これで、PCを起動するたびに自動でオーバークロック設定が適用されるようになります。
性能向上はどれくらい?実測データ
OC Scannerを使うと、実際にどれくらい性能が向上するのでしょうか。
一般的な性能向上
- 平均:3〜7%のパフォーマンス向上
- メモリクロックも手動で調整した場合:8〜12%向上
具体例
RTX 2080 Tiの場合:
- ベースブーストクロック:1,770 MHz
- OC Scanner後:1,838 MHz(+68 MHz)
- 実ブーストクロック最高値:1,980 MHz → 2,085 MHz(+105 MHz)
RTX 3070の場合:
- FPS向上例(FF14ベンチマーク):
- デフォルト:平均142 FPS
- OC Scanner後:平均149 FPS(約5%向上)
向上幅は個体差がある
同じGPUモデルでも、個体によって性能向上幅は異なります。これを「シリコンロトリー」と呼びます。
運が良ければ10%以上向上することもありますし、3%程度にとどまることもあります。
メモリクロックも調整してさらに性能アップ
OC Scannerはコアクロックのみを自動調整します。
さらに性能を引き上げたい場合は、メモリクロックも手動で調整しましょう。
メモリクロックの調整方法
- MSI Afterburnerのメイン画面で「Memory Clock」スライダーを確認
- +100 MHzずつ上げる
- ベンチマークソフトやゲームで安定性をテスト
- クラッシュやアーティファクト(画面の乱れ)が出たら、前の値に戻す
注意: MSI Afterburnerに表示されるメモリクロックは、実際の半分の値です。例えば「6003 MHz」と表示されていても、実際は「12006 MHz」で動作しています。
推奨設定
初心者の方は、まず+300〜500 MHzから試してみましょう。
安定していれば、+100 MHzずつ上げていき、不安定になったら少し下げるという流れです。
ベンチマークで安定性を確認
オーバークロック後は、必ず安定性をテストしてください。
おすすめベンチマークソフト
3DMark
- 有料だが最も信頼性が高い
- Time SpyやFire Strikeがおすすめ
Unigine Heaven
- 無料
- 10分以上安定して動作すればOK
FurMark
- 無料
- GPUに非常に高い負荷をかける「拷問テスト」
- 5〜10分安定すれば合格
FF14ベンチマーク(キャラ編)
- 無料
- 日本で人気のベンチマーク
テスト時の注意点
ベンチマーク中は、GPU温度を必ず確認してください。
- 70℃以下: 理想的
- 70〜80℃: 許容範囲
- 80〜90℃: やや高め(ファン速度を上げるか、クロックを下げる)
- 90℃以上: 危険(すぐにクロックを下げる)
よくあるトラブルと対処法
Q. OC Scannerが途中で止まる
原因:
- GPUの冷却が不十分
- 電力供給が不安定
- 初期不良の可能性
対処法:
- ケース内のエアフローを改善
- Power Limitを少し下げる(90〜100%)
- Temp. Limitを少し下げる(80〜85℃)
Q. テスト後にConfidence Levelが低い(60%未満)
対処法:
- メイン画面で「Core Clock」を手動で「-10 MHz」程度下げる
- 再度テストを実行
- 60%以上になるまで繰り返す
Q. ゲーム中にクラッシュやフリーズが起きる
対処法:
- オーバークロック設定をリセット(Resetボタン)
- より控えめな設定で再スキャン
- メモリクロックを下げる
Q. 設定を元に戻したい
簡単な方法:
- MSI Afterburnerの「Reset」ボタンをクリック
これで、すべての設定がデフォルトに戻ります。
プロファイルで戻す方法:
- デフォルト設定を保存したプロファイル(例:プロファイル1)を選択
Q. Windows起動時に自動適用されない
確認ポイント:
- 「Windowsと一緒に起動」にチェックが入っているか
- メイン画面右上のWindowsアイコンが点灯しているか
- プロファイルが正しく保存されているか
Q. オーバークロックが効いているか確認したい
確認方法:
- GPU-Zをダウンロード
- 「Sensors」タブでクロック速度を確認
- ゲーム中のクロック速度が上がっていればOK
安全性とリスクについて
GPUの保護機能
最近のGPUには、以下の保護機能が組み込まれています。
- 温度保護: 一定温度を超えるとクロックを自動で下げる
- 電力保護: 電力リミットに達すると性能を抑える
- 電圧保護: 危険な電圧にならないよう制限
これらの保護機能があるため、OC Scannerによる自動オーバークロックで物理的に壊れることは、ほぼありません。
それでもリスクはある
ただし、以下のリスクは理解しておく必要があります。
1. 寿命が縮む可能性
オーバークロックは、GPUに通常より高い負荷をかけます。長期的には寿命が多少縮む可能性があります。
2. 保証対象外になる可能性
多くのメーカーでは、オーバークロックによる故障は保証対象外です。
- MSI製GPU:Dragon Centerでのオーバークロックは保証対象
- その他のメーカー:基本的に保証対象外
3. 電気代の増加
オーバークロックすると、消費電力が10〜20%増えることがあります。
安全に使うためのポイント
- 温度を常に監視する(80℃以下を維持)
- 長時間の高負荷使用は避ける
- ベンチマーク以外では控えめな設定を使う
- 不安定な兆候が出たらすぐに設定を戻す
オーバークロックする価値はあるのか?
メリット
性能向上
- 平均5〜10%のFPS向上
- ベンチマークスコアの改善
- より快適なゲーム体験
無料でできる
- ソフトウェアのみで実現
- 追加費用なし
学習になる
- GPUの仕組みを理解できる
- PC知識が深まる
デメリット
リスクがある
- 寿命が縮む可能性
- 保証が効かなくなる可能性
手間がかかる
- 設定とテストに時間がかかる
- 定期的な確認が必要
性能向上は限定的
- 劇的な変化は期待できない
- 新しいGPUを買う方が効果的
結論:こんな人におすすめ
- ベンチマークスコアを競いたい人
- 現在のGPUであと少しFPSを上げたい人
- PC自作やカスタマイズが好きな人
- オーバークロックに興味がある人
逆に、安定性を最優先する人や、リスクを避けたい人には、無理にオーバークロックする必要はありません。
参考:手動オーバークロックとの違い
OC Scanner(自動)
メリット:
- 簡単(ワンクリック)
- 安全性が高い
- 初心者向け
デメリット:
- 最大性能は引き出せない
- メモリクロックは自動調整されない
手動オーバークロック
メリット:
- より高い性能を引き出せる可能性
- 細かい調整が可能
- メモリクロックも調整できる
デメリット:
- 知識と経験が必要
- 時間がかかる
- 不安定になるリスクが高い
初めての方は、まずOC Scannerで自動オーバークロックを試してみて、慣れてきたら手動調整にチャレンジするのがおすすめです。
まとめ:自動オーバークロックで手軽に性能アップ
MSI Afterburnerの自動オーバークロック機能「OC Scanner」について解説しました。
OC Scannerのポイント:
- ワンクリックで自動オーバークロック
- 約20〜30分でスキャン完了
- 平均5〜10%の性能向上
- GPUの保護機能があるため比較的安全
- 初心者でも簡単に使える
使い方の流れ:
- 電圧制御のロック解除
- リミット値を最大に設定
- OC Scannerでスキャン実行
- テストで安定性確認
- プロファイルに保存
- Windows起動時の自動適用を設定
注意点:
- 保証対象外になる可能性
- 温度管理は必須
- 定期的な安定性チェックが必要
オーバークロックは決して必須ではありませんが、「今のGPUでもう少しだけ性能を上げたい」という方には、試してみる価値がある機能です。
OC Scannerを使えば、複雑な設定をしなくても安全にオーバークロックできるので、興味がある方はぜひチャレンジしてみてくださいね!


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