「このコード、タブとスペースが混在してる気がする…」
「インデントがずれているのに、どこが原因か分からない!」
「全角スペースが紛れ込んでいて、エラーが出る!」
コードを書いていて、目に見えない空白文字(スペースやタブ)が原因で困ったことはありませんか?特に、チーム開発でインデントがバラバラだったり、コピペで全角スペースが混入したりすると、見つけるのが大変ですよね。
今回は、Visual Studio Code(VS Code)でスペースやタブなどの空白文字を可視化する方法を、初心者にも分かりやすく解説します!
空白文字を可視化するメリット

まず、なぜ空白文字を可視化する必要があるのか、そのメリットを確認しましょう。
メリット1:タブとスペースの混在を防げる
プログラミングでは、インデント(字下げ)にタブを使う人とスペースを使う人がいます。
一つのファイル内でタブとスペースが混在していると、エディタによって見た目が変わったり、Pythonなどの言語ではエラーが発生したりすることがあります。
空白文字を可視化すれば、タブ(→)とスペース(·)が一目で区別できるため、混在を防ぐことができます。
メリット2:不要な空白を見つけやすい
行末に余計なスペースが入っていたり、空行にスペースが残っていたりすることがあります。
これらの「見えない空白」は、コードの品質を下げる原因になります。可視化することで、すぐに発見して削除できます。
メリット3:全角スペースを発見できる
日本語環境で特に問題になるのが、全角スペース( )の混入です。
プログラミングでは基本的に半角スペースを使うべきですが、日本語入力のままスペースキーを押してしまうと、全角スペースが入力されてしまいます。全角スペースが原因で、構文エラーが発生することがよくあります。
可視化することで、全角スペースを簡単に見つけられます。
メリット4:インデントの不整合を確認できる
コードをコピペしたときや、複数人で編集したときに、インデントの深さが統一されていないことがあります。
空白文字を可視化すれば、インデントの深さが一目で分かるため、不整合をすぐに発見できます。
VS Codeで空白文字を可視化する基本設定
それでは、VS Codeで空白文字を可視化する方法を見ていきましょう。
方法1:メニューから切り替える(最も簡単!)
最も簡単な方法は、メニューから切り替える方法です。
手順
VS Codeを開きます。画面上部のメニューから「表示(View)」をクリックします。「外観(Appearance)」または「レンダリング制御」にマウスを合わせます。「空白文字を表示(Render Whitespace)」をクリックします(チェックマークが付きます)。
これだけで、すべての空白文字が可視化されます!
元に戻す方法
同じ手順で、「空白文字を表示」のチェックマークを外せば、元の表示に戻ります。
方法2:コマンドパレットから切り替える
キーボードショートカットで素早く切り替える方法です。
手順
「Ctrl + Shift + P」(Windowsの場合)または「Cmd + Shift + P」(Macの場合)を押して、コマンドパレットを開きます。「render」または「空白」と入力します。「View: Toggle Render Whitespace」(または「表示: 空白文字の表示を切り替える」)を選択してEnterキーを押します。
これで、空白文字の表示/非表示を切り替えられます。
ショートカットキーを設定する
頻繁に切り替える場合は、専用のショートカットキーを設定すると便利です。
「ファイル」→「ユーザー設定」→「キーボードショートカット」を開きます(または「Ctrl + K, Ctrl + S」)。検索欄に「Toggle Render Whitespace」と入力します。表示された項目をダブルクリックして、好きなキーの組み合わせを入力します(例:「Ctrl + Shift + W」など)。
方法3:設定画面から詳細に設定する
空白文字の表示方法を細かく制御したい場合は、設定画面から行います。
手順
Step 1: 設定画面を開く
「ファイル」→「ユーザー設定」→「設定」を開きます(または「Ctrl + ,」)。
Step 2: 空白文字の設定を検索
設定画面の検索欄に「whitespace」または「空白文字」と入力します。
Step 3: 「Editor: Render Whitespace」を設定
「Editor: Render Whitespace」(または「エディター: 空白文字をレンダー」)という項目が表示されます。ドロップダウンメニューから、以下のいずれかを選択します。
設定値の説明
none(なし)
空白文字を一切表示しません。デフォルトの見た目に戻ります。コードがすっきり見えますが、空白の問題を発見しにくいです。
selection(選択)
テキストを選択したときだけ、選択範囲内の空白文字を表示します。これがVS Codeのデフォルト設定です。普段は空白文字が見えず、必要なときだけ確認できるので、バランスが良い設定です。
boundary(境界)
単語と単語の間の1文字の空白以外を表示します。例えば、blue skyのように単語の間に1つだけある空白は表示されませんが、インデントや連続する空白は表示されます。やや分かりにくいので、あまり使われません。
trailing(行末)
行末にある空白文字だけを表示します。不要な行末スペースを見つけたいときに便利です。通常のインデントは表示されないので、コードがすっきり見えます。
all(すべて)
すべての空白文字を常に表示します。タブとスペースの混在や、インデントの不整合を確認したいときに最適です。ただし、表示が多くなるので、慣れるまで少し見づらく感じるかもしれません。
おすすめの設定
初心者の方には「selection」(デフォルト)がおすすめです。必要なときだけ、テキストを選択して空白を確認できます。
コードの品質を厳密に管理したい場合は「all」がおすすめです。常に空白が見えるので、問題をすぐに発見できます。
表示される記号の意味
空白文字を可視化すると、以下のような記号で表示されます。
スペース(半角空白): · (中点、ドット)
タブ: → (右矢印)
改行(LF): 表示されない(改行記号は別の設定)
全角スペース: オレンジ色の矩形でハイライト表示(デフォルト)
settings.jsonで直接設定する方法
設定ファイルを直接編集して、より詳細に制御することもできます。
settings.jsonの開き方
「Ctrl + Shift + P」でコマンドパレットを開きます。「Preferences: Open Settings (JSON)」または「基本設定: 設定(JSON)を開く」と入力して選択します。
settings.jsonファイルが開きます。
基本的な設定
以下のコードを追加します:
{
"editor.renderWhitespace": "all"
}
値を変更する
"all"の部分を、"none", "selection", "boundary", "trailing"のいずれかに変更できます。
チームで統一する場合
プロジェクトごとに設定を統一したい場合は、プロジェクトルートに.vscodeフォルダを作成し、その中にsettings.jsonを作成します。
手順
プロジェクトのルートフォルダに.vscodeフォルダを作成します(すでにある場合はそのまま)。.vscodeフォルダ内にsettings.jsonを作成します。以下の内容を記述します:
{
"editor.renderWhitespace": "all",
"editor.tabSize": 2,
"editor.insertSpaces": true,
"files.trimTrailingWhitespace": true
}
各設定の説明
editor.renderWhitespace: 空白文字の表示設定editor.tabSize: タブのサイズ(スペース何個分か)editor.insertSpaces: Tabキーを押したときにスペースを挿入するか(true)、タブ文字を挿入するか(false)files.trimTrailingWhitespace: ファイル保存時に行末の空白を自動削除するか
この設定ファイルをGitで共有すれば、チーム全員が同じ設定でコードを編集できます。
全角スペースを可視化する方法
VS Codeは、デフォルトで全角スペースをオレンジ色の矩形でハイライト表示します。
デフォルトの全角スペース表示
特別な設定をしなくても、全角スペースは自動的にハイライト表示されます。
全角スペースにマウスカーソルを合わせると、「設定の調整」というメニューが表示されます。
全角スペース表示を無効にしてしまった場合
誤って全角スペースのハイライトを無効にした場合は、以下の手順で再度有効にできます。
手順
設定画面を開きます(Ctrl + ,)。検索欄に「unicode」と入力します。「Editor: Unicode Highlight」の設定項目を確認します。「Ambiguous Characters」がtrue(チェックが入っている)になっていることを確認します。
拡張機能で全角スペースをより目立たせる
より分かりやすく全角スペースを表示したい場合は、拡張機能「Zenkaku」を使うのがおすすめです。
手順
Step 1: 拡張機能をインストール
左サイドバーの「拡張機能」アイコンをクリックします(四角が4つ並んだアイコン、またはCtrl + Shift + X)。検索欄に「Zenkaku」と入力します。「Zenkaku」を見つけて「インストール」をクリックします。
Step 2: 自動的に有効になる
インストールするだけで、全角スペースが背景色付きで表示されるようになります。
デフォルトでは黄色または赤色で表示されるため、半角スペースやタブとはっきり区別できます。
タブとスペースの設定を確認・変更する方法
現在のファイルがタブとスペースのどちらを使っているか確認し、必要に応じて変更できます。
現在の設定を確認する
VS Codeの画面右下を見てください。「Spaces: 4」や「Tab Size: 2」のような表示があります。
表示の意味
「Spaces: 4」: スペースを使用、1インデント = 4スペース
「Spaces: 2」: スペースを使用、1インデント = 2スペース
「Tab Size: 4」: タブを使用、タブ幅 = 4
「Tab Size: 2」: タブを使用、タブ幅 = 2
一時的に変更する
右下の表示をクリックすると、メニューが表示されます。
「Indent Using Spaces」(スペースを使う)または「Indent Using Tabs」(タブを使う)を選択します。次に、サイズ(2, 4, 8など)を選択します。
これで、現在開いているファイルの設定が一時的に変更されます。
デフォルト設定を変更する
新しいファイルを開いたときのデフォルト設定を変更したい場合は、settings.jsonで設定します。
{
"editor.insertSpaces": true,
"editor.tabSize": 2,
"editor.detectIndentation": false
}
各設定の説明
editor.insertSpaces: trueならスペース、falseならタブeditor.tabSize: 1インデントのサイズeditor.detectIndentation: ファイルを開いたときに、そのファイルのインデントを自動検出するかどうか(falseにすると、常に上記の設定を使う)
インデントガイドを表示する
空白文字の可視化とは別に、インデントガイド(縦線)を表示することもできます。
インデントガイドとは
インデントの深さを示す縦線のことです。コードのブロック構造が視覚的に分かりやすくなります。
インデントガイドを有効にする方法
settings.jsonに以下を追加します:
{
"editor.renderIndentGuides": true,
"editor.highlightActiveIndentGuide": true
}
editor.renderIndentGuides: インデントガイドを表示するeditor.highlightActiveIndentGuide: 現在のカーソル位置のインデントガイドをハイライト表示する
VS Code 1.23以降の場合
より新しいバージョンでは、設定名が変更されています:
{
"editor.guides.indentation": true,
"editor.guides.highlightActiveIndentation": true
}
便利な拡張機能
空白文字の可視化をより便利にする拡張機能を紹介します。
1. Trailing Spaces
行末の不要なスペースをハイライト表示し、簡単に削除できる拡張機能です。
インストール方法
拡張機能パネルで「Trailing Spaces」を検索してインストールします。
機能
行末のスペースを赤色でハイライト表示します。コマンドパレットから「Trailing Spaces: Delete」で一括削除できます。ファイル保存時に自動削除する設定も可能です。
2. Visible Whitespace
より詳細に空白文字を可視化できる拡張機能です。
インストール方法
拡張機能パネルで「Visible Whitespace」を検索してインストールします。
機能
タブ、スペース、改行、全角スペースなど、すべての空白文字をカスタマイズして表示できます。表示する記号や色をカスタマイズできます。特定の言語ファイルでのみ有効にすることもできます。
3. Better Whitespace
Sublime Textのような空白文字の表示を実現する拡張機能です。
インストール方法
拡張機能パネルで「BetterWhitespace」を検索してインストールします。
機能
選択したテキストの空白文字を、Sublime Textと同じスタイルで表示します。
よくある問題と解決方法
空白文字の可視化に関する、よくある問題と解決方法を紹介します。
問題1:スペースが表示されない
原因
設定が「none」または「selection」になっている可能性があります。
解決方法
「Editor: Render Whitespace」を「all」に変更してください。
問題2:タブとスペースが同じ見た目になっている
原因
VS Codeの設定で、Tabキーを押したときにタブ文字ではなくスペースに変換される設定になっている可能性があります。
解決方法
editor.insertSpacesをfalseにすると、Tabキーでタブ文字が挿入されるようになります。または、右下の表示をクリックして「Indent Using Tabs」を選択します。
問題3:フォントによってスペースが表示されない
原因
使用しているフォントに、スペース表示用の記号(MIDDLE DOT, U+00B7)が含まれていない可能性があります。
解決方法
フォントを変更してみてください。Consolas、Monaco、Fira Code、Source Code Proなどのプログラミング用フォントを使うと、空白文字が正しく表示されます。
問題4:全角スペースがハイライトされない
原因
「Editor: Unicode Highlight」の設定が無効になっている可能性があります。
解決方法
設定画面で「unicode highlight」を検索し、「Ambiguous Characters」が有効(チェックが入っている)になっていることを確認してください。または、拡張機能「Zenkaku」をインストールしてください。
問題5:空白文字の表示が邪魔に感じる
原因
常に空白文字が表示されていると、コードが見づらく感じることがあります。
解決方法
「Editor: Render Whitespace」を「selection」に変更すると、テキストを選択したときだけ空白文字が表示されるようになります。または、「trailing」に設定すると、行末の空白だけが表示されるので、コードがすっきり見えます。コマンドパレットから「Toggle Render Whitespace」を使って、必要なときだけオン/オフを切り替えるのもおすすめです。
実践的な使い方
空白文字の可視化を、実際のコーディングでどう活用するか見てみましょう。
ケース1:コピペ後のインデント確認
他のサイトからコードをコピペしたとき、インデントが自分のプロジェクトと異なることがあります。
手順
空白文字を「all」で可視化します。タブとスペースが混在していないか確認します。混在している場合は、「Ctrl + H」で置換機能を開き、タブをスペースに(またはその逆)一括置換します。
ケース2:チーム開発での統一
チームでコーディング規約を決めて、タブとスペースを統一したい場合。
手順
プロジェクトルートの.vscode/settings.jsonに以下を設定します:
{
"editor.renderWhitespace": "all",
"editor.insertSpaces": true,
"editor.tabSize": 2,
"editor.detectIndentation": false,
"files.trimTrailingWhitespace": true
}
このファイルをGitにコミットすることで、チーム全員が同じ設定でコードを編集できます。
ケース3:Python開発でのタブ・スペース混在チェック
Pythonは、タブとスペースの混在に対して厳しい言語です。
手順
空白文字を「all」で可視化します。→(タブ)と·(スペース)が混在していないか確認します。混在している場合は、すべてスペースに統一します(Pythonのベストプラクティスはスペース4個です)。
ケース4:全角スペースの混入チェック
日本語のコメントを書くときに、誤って全角スペースを入力してしまうことがあります。
手順
デフォルトでオレンジ色にハイライトされるので、目視で確認します。または、拡張機能「Zenkaku」をインストールすると、より目立ちます。見つけたら、半角スペースに置き換えます。
まとめ:VS Codeで空白文字を可視化する方法
VS Codeでスペースやタブを可視化する方法をまとめます。
最も簡単な方法
メニューの「表示」→「外観」→「空白文字を表示」をクリック。コマンドパレット(Ctrl + Shift + P)で「Toggle Render Whitespace」を実行。
詳細設定
設定画面で「Editor: Render Whitespace」を検索して、none / selection / boundary / trailing / all から選択。
おすすめの設定値
初心者・普段使い:「selection」(テキスト選択時のみ表示)。コード品質を重視:「all」(常に表示)。行末スペースだけ確認:「trailing」(行末のみ表示)。
settings.jsonでの設定
{
"editor.renderWhitespace": "all",
"editor.tabSize": 2,
"editor.insertSpaces": true,
"files.trimTrailingWhitespace": true
}
全角スペース対策
デフォルトでオレンジ色にハイライト表示される。拡張機能「Zenkaku」でより目立たせることができる。
表示される記号
スペース: · (中点)、タブ: → (右矢印)、全角スペース: オレンジ色の矩形。
便利な拡張機能
Trailing Spaces(行末スペースのハイライトと削除)、Visible Whitespace(詳細なカスタマイズ)、Better Whitespace(Sublime Text風の表示)。
空白文字の可視化は、コードの品質を保つための重要な機能です。最初は表示が多くて気になるかもしれませんが、慣れてくると、タブとスペースの違いが一目で分かるようになり、とても便利です。
自分のコーディングスタイルに合わせて、最適な設定を見つけてくださいね!


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