「社内のパソコンでWebページを開こうとすると、ずっと読み込み中のまま…」
ブラウザのタブに表示される読み込みアイコン(ぐるぐる)が回り続けて、いつまで経ってもページが表示されない。こんな経験はありませんか?特に社内LAN環境では、自宅とは違う特有の原因でこの問題が起こることがあります。
今回は、社内LANでブラウザがずっと読み込み状態になってしまう原因と、その解決方法を詳しく解説します。
「ぐるぐる」とは?まず症状を確認

ブラウザがずっと読み込み中になる症状は、こんな感じです。
主な症状
ブラウザのタブに表示される読み込みアイコン(円形のマーク)が延々と回り続ける、ページの一部は表示されるが完全には表示されない、画面が真っ白のまま何も表示されない、数分待ってもページが開かない、といった状態が起こります。
自宅のWi-Fiでは問題なく見られるサイトが、会社のパソコンだと開けないこともあります。「会社のネットって遅いな…」と思っていたら、実は設定の問題だった、ということもよくあるんです。
社内LAN特有の原因とは?
社内LAN環境には、一般家庭のインターネット環境とは異なる特徴があります。この違いが、ブラウザの読み込み問題を引き起こすことがあるんです。
ファイアウォールやプロキシサーバーの影響
多くの企業では、セキュリティのためにファイアウォールやプロキシサーバーを設置しています。
これらが原因で、特定のサイトへのアクセスが遅くなったり、完全にブロックされたりすることがあります。ファイアウォールがページの読み込みに必要な通信を遮断していると、ブラウザは永遠に応答を待ち続けることになります。
特にプロキシサーバーの設定が正しくないと、すべてのWebページで読み込みエラーが発生する可能性があります。
DNSサーバーの問題
社内LANでは、独自のDNSサーバーを使用していることがよくあります。
DNSとは、「www.example.com」のようなドメイン名をIPアドレスに変換するシステムです。このDNSサーバーの応答が遅かったり、正しく動作していなかったりすると、ブラウザはいつまで経ってもサイトの場所を見つけられず、ぐるぐる状態が続きます。
ネットワーク機器の問題
社内LANでは、ルーター、スイッチ、ハブなど、複数のネットワーク機器を経由してインターネットに接続します。
これらの機器のどこかで問題が発生していると、通信が遅くなったり、不安定になったりします。また、多くの社員が同時にネットワークを使用する時間帯には、帯域幅が不足して速度が低下することもあります。
社内システムとの干渉
企業では、ウイルス対策ソフトやセキュリティソフトが一律で導入されていることが多いです。
これらのソフトが通信を監視・検査する際に、ブラウザの通信を遅延させることがあります。特に、HTTPSで暗号化された通信を検査する機能がオンになっていると、処理に時間がかかることがあります。
よくある原因と解決方法
ここからは、具体的な原因とその解決方法を見ていきましょう。
原因1:ブラウザのキャッシュが溜まりすぎている
なぜ起こる?
ブラウザは、一度訪れたWebページのデータを「キャッシュ」として保存します。次回同じページを開くときに素早く表示するための仕組みです。
しかし、このキャッシュが大量に溜まると、逆に動作が重くなったり、古いデータと新しいデータが混在してページが正しく表示されなくなったりします。
解決方法
ブラウザのキャッシュをクリアしましょう。
Google Chromeの場合
右上の3つの点(メニュー)をクリックして、「その他のツール」から「閲覧履歴を消去」を選びます。時間の範囲を「全期間」に設定し、「キャッシュされた画像とファイル」にチェックを入れて「データを削除」をクリックします。
Microsoft Edgeの場合
右上の3つの点(メニュー)をクリックして、「設定」を開きます。「プライバシー、検索、サービス」を選び、「閲覧データをクリア」の「クリアするデータの選択」をクリックします。「キャッシュされた画像とファイル」にチェックを入れて「今すぐクリア」をクリックします。
キャッシュをクリアした後は、必ずブラウザを再起動してください。
原因2:ブラウザの拡張機能が悪さをしている
なぜ起こる?
広告ブロッカーや翻訳ツールなど、便利な拡張機能(アドオン)ですが、これらがページの読み込みを妨げることがあります。
特に、複数の拡張機能を同時に使っていると、お互いに干渉し合って問題を起こすことがあります。社内LANの環境では、セキュリティ上の理由で特定の拡張機能が正しく動作しないこともあります。
解決方法
シークレットモード(プライベートブラウジング)で開いてみましょう。
シークレットモードでは、通常の拡張機能が無効になるため、拡張機能が原因かどうかを簡単に確認できます。
Google Chromeの場合
Ctrl + Shift + N(Macの場合はCommand + Shift + N)を押すとシークレットモードが開きます。
Microsoft Edgeの場合
Ctrl + Shift + N(Macの場合はCommand + Shift + N)を押すとInPrivateウィンドウが開きます。
シークレットモードで問題なく表示される場合は、拡張機能が原因です。通常モードに戻って、拡張機能を1つずつ無効にして、原因となっている拡張機能を特定しましょう。
原因3:ブラウザのバージョンが古い
なぜ起こる?
古いバージョンのブラウザは、最新のWebサイトの技術に対応していないことがあります。
また、セキュリティ上の問題もあるため、企業のファイアウォールが古いブラウザからの通信を制限している場合もあります。
解決方法
ブラウザを最新バージョンにアップデートしましょう。
Google Chromeの場合
右上の3つの点(メニュー)をクリックして、「ヘルプ」から「Google Chromeについて」を選びます。自動的に更新がチェックされ、新しいバージョンがあればダウンロードされます。
Microsoft Edgeの場合
右上の3つの点(メニュー)をクリックして、「ヘルプとフィードバック」から「Microsoft Edgeについて」を選びます。自動的に更新がチェックされます。
ただし、会社のパソコンの場合、システム管理者の権限が必要なこともあります。自分でアップデートできない場合は、IT部門に相談してください。
原因4:LANケーブルの接続不良
なぜ起こる?
有線LANで接続している場合、LANケーブルの問題が原因のことがあります。
ケーブルが半分抜けていたり、ケーブルのツメ(爪)が折れていたり、ケーブル自体が劣化していたりすると、通信が不安定になります。見た目では問題なさそうでも、内部で断線していることもあります。
解決方法
LANケーブルを確認して、抜き差ししてみましょう。
まず、パソコン側とハブ(またはルーター)側の両方のケーブルが、しっかり奥まで差し込まれているか確認します。カチッと音がするまで差し込んでください。
一度ケーブルを抜いて、再度しっかり差し直してみます。これだけで問題が解決することもよくあります。
ケーブルのツメが折れていないか確認します。ツメが折れていると、ケーブルが簡単に抜けてしまい、接触不良の原因になります。
可能であれば、別のLANケーブルに交換してみます。古いケーブルを使っている場合は、新しいものに替えるだけで速度が改善することもあります。
原因5:無線LANの電波が弱い
なぜ起こる?
Wi-Fiで接続している場合、電波が弱いと通信が不安定になります。
無線ルーターから遠い場所にいたり、壁やパーティションなどの障害物があったり、電子レンジやBluetoothデバイスなど他の機器からの電波干渉を受けたりすると、接続が遅くなったり途切れたりします。
解決方法
可能であれば有線LAN接続に切り替えるか、無線ルーターに近い場所に移動しましょう。
デスクが固定されている場合は、無線ルーターの位置を変更できないか、IT部門に相談してみてください。部屋の隅や棚の奥に置かれている無線ルーターを、より中央の開けた場所に移動するだけで改善することがあります。
また、無線LANの周波数帯を5GHz帯に変更することも有効です。2.4GHz帯は電子レンジなどの影響を受けやすいため、5GHz帯の方が安定した通信ができることがあります。
原因6:DNSサーバーの応答が遅い
なぜ起こる?
社内のDNSサーバーが重くなっていたり、設定に問題があったりすると、WebサイトのアドレスをIPアドレスに変換する処理に時間がかかります。
この場合、ブラウザは「サイトの場所を探しています…」という状態でずっと待ち続けることになります。
解決方法
DNSサーバーの設定を変更してみましょう。ただし、これは企業のセキュリティポリシーに関わることなので、必ずIT部門に確認してから実施してください。
一般的には、GoogleのパブリックDNS(8.8.8.8と8.8.4.4)やCloudflareのDNS(1.1.1.1)などに変更すると改善することがありますが、社内システムへのアクセスに影響が出る可能性もあるため、自己判断での変更は避けてください。
原因7:ウイルス対策ソフトやファイアウォールの干渉
なぜ起こる?
企業で導入されているウイルス対策ソフトやファイアウォールが、Webサイトへのアクセスを過度にチェックしていることがあります。
特に、HTTPS通信を検査する機能(SSL/TLSスキャン)がオンになっていると、すべての通信を一度ソフトウェアが中継して検査するため、大幅に速度が低下することがあります。
解決方法
これも基本的にはIT部門の管轄です。自分で勝手にセキュリティソフトを無効にすると、会社のセキュリティポリシー違反になる可能性があります。
まずはIT部門に相談して、特定のサイトがセキュリティソフトにブロックされていないか確認してもらいましょう。業務上必要なサイトであれば、例外リストに追加してもらえる場合があります。
原因8:複数のプログラムが同時に動いている
なぜ起こる?
パソコンのメモリやCPUが不足していると、ブラウザの動作が遅くなります。
特に、大量のタブを開いていたり、重いアプリケーションを同時に実行していたりすると、ブラウザに割り当てられるリソースが不足して、ページの読み込みが遅くなります。
解決方法
タスクマネージャーでリソースの使用状況を確認しましょう。
Windowsの場合、Ctrl + Shift + Escを押してタスクマネージャーを開きます。「プロセス」タブでCPUやメモリの使用率が高いアプリケーションがないか確認します。
不要なプログラムやブラウザのタブを閉じて、メモリを解放しましょう。特に、使っていないタブは積極的に閉じることをおすすめします。
原因9:プロキシ設定の問題
なぜ起こる?
社内LANでは、プロキシサーバーを経由してインターネットに接続することがよくあります。
このプロキシ設定が間違っていたり、プロキシサーバー自体に問題があったりすると、すべてのWebページが開けなくなります。
解決方法
プロキシ設定を確認しましょう。ただし、これも会社のネットワーク設定なので、勝手に変更せず、IT部門に確認してください。
Windowsでプロキシ設定を確認する方法
「設定」を開いて、「ネットワークとインターネット」を選びます。左側のメニューから「プロキシ」をクリックします。ここで、正しいプロキシサーバーのアドレスとポート番号が設定されているか確認できます。
設定が正しいのに接続できない場合は、プロキシサーバー自体に問題がある可能性が高いので、IT部門に連絡しましょう。
特定のサイトだけ開けない場合

「Googleは開けるのに、社内の業務システムだけ開けない」といった場合は、別の原因が考えられます。
原因:社内サイトのSSL証明書の問題
社内システムで使用しているSSL証明書が正しく設定されていないと、ブラウザが「安全ではない」と判断してアクセスをブロックすることがあります。
この場合は、IT部門に報告して、証明書の再設定をしてもらう必要があります。
原因:アクセス権限の問題
特定の業務システムにアクセスするには、適切な権限が必要な場合があります。
新入社員や部署異動したばかりの方は、まだアクセス権が付与されていない可能性があります。上司やIT部門に権限の設定を依頼しましょう。
別のブラウザで試してみる
1つのブラウザだけで問題が起こる場合は、ブラウザ固有の問題かもしれません。
試してほしいこと
Google Chromeで開けない場合は、Microsoft EdgeやFirefoxで試してみましょう。別のブラウザで正常に開ける場合は、元のブラウザに問題があります。
複数のブラウザをインストールしておくと、こういった切り分けに便利です。会社のパソコンでも、主要なブラウザを2〜3種類入れておくことをおすすめします。
ネットワーク機器の再起動も効果的
意外と効果があるのが、ネットワーク機器の再起動です。
パソコンの再起動
まず基本中の基本ですが、パソコン自体を再起動してみましょう。
一時的なメモリの問題やプログラムの不具合が解消されることがよくあります。「シャットダウン」ではなく「再起動」を選んでください。
ルーターやモデムの再起動
自分のデスク専用のルーターがある場合は、電源を切って30秒ほど待ってから再度電源を入れてみましょう。
ただし、フロア全体で共有しているルーターの場合は、勝手に再起動すると他の人にも影響が出るので、必ずIT部門に相談してください。
それでも解決しない場合は?
ここまで試しても問題が解決しない場合は、より深刻なトラブルの可能性があります。
IT部門に連絡する際のポイント
問題を報告する際は、以下の情報を伝えるとスムーズです。
いつから問題が発生しているか(今日からなのか、ずっと前からなのか)、どのWebサイトで問題が起こるか(すべてのサイトか、特定のサイトだけか)、どのブラウザを使っているか、有線LANか無線LANか、自分で試した対処方法(キャッシュクリア、再起動など)、エラーメッセージが表示される場合はその内容、を伝えましょう。
具体的な情報があると、IT部門も原因を特定しやすくなります。
緊急性が高い場合
業務上重要なシステムにアクセスできず、緊急性が高い場合は、その旨を明確に伝えてください。
「明日までに資料を提出しなければならないのに、必要なサイトにアクセスできない」といった具体的な状況を説明すると、優先的に対応してもらえる可能性があります。
予防策:日頃からできること
問題が起こる前に、日頃から以下のことを心がけましょう。
定期的にブラウザのキャッシュをクリアする習慣をつけましょう。週に1回程度クリアすると、動作が快適に保てます。
ブラウザのタブを開きすぎないようにしましょう。必要なタブだけを残し、使い終わったタブはこまめに閉じる習慣をつけると、メモリの節約になります。
不要な拡張機能は削除しましょう。便利そうだからとたくさん入れると、かえって動作が重くなります。本当に必要なものだけを残しましょう。
LANケーブルの状態を時々チェックしましょう。特に、デスクの下を掃除する際に、ケーブルを踏んでいないか、引っ張られていないか確認してください。
まとめ:原因の切り分けが大切
社内LANでブラウザがずっと読み込み中になる問題は、原因が多岐にわたります。
まず試してほしいこと
ブラウザのキャッシュをクリアする、ブラウザを再起動する、パソコンを再起動する、LANケーブルを抜き差しする、別のブラウザで試してみる、という手順を試してみてください。
それでもダメなら
シークレットモードで開いてみる、ブラウザを最新版にアップデートする、無線LANの場合は有線LANに切り替えてみる、IT部門に相談する、という対応を検討しましょう。
多くの場合、キャッシュのクリアやブラウザの再起動で解決します。それでも解決しない場合は、無理に自分で解決しようとせず、早めにIT部門に相談することをおすすめします。
社内LANは複数の機器や設定が複雑に絡み合っているため、専門知識を持った担当者に見てもらうのが最も確実で安全な方法です。快適なネット環境で、効率よく仕事を進めましょう!


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