「アプリを開いたら、見たかったページがすぐ表示された!」
そんな便利な体験をしたことはありませんか?これを実現しているのが「ディープリンク」という技術です。今回は、知っているようで知らないディープリンクについて、分かりやすく解説していきます。
ディープリンクって何?

ディープリンクとは、スマホアプリ内の特定のページに直接移動できるリンクのこと。
例えば、SNSで見た靴の広告をタップしたとき、ショッピングアプリのトップページではなく、その靴の商品ページが直接開く仕組みです。
わざわざアプリのホーム画面から検索する手間が省けるので、とても便利ですよね。
昔の意味と今の意味は違う?
実は「ディープリンク」という言葉、昔から存在していました。
スマホが普及する前は、ウェブサイトのトップページ以外のページに直接リンクすることを意味していたんです。でもスマホの登場で、意味が大きく変わりました。
今では主にモバイルアプリに関する技術として使われています。
ディープリンクの仕組み
アプリは本来、独立したプログラムとして動いています。ウェブページからアプリに直接移動する機能は、もともとありませんでした。
ではどうやって実現しているのでしょうか?
それは、URLを構成する「スキーム」「ホスト」「パス」という3つの要素を、アプリ内で動作するように設定しているからです。この設定によって、リンクをタップするだけでアプリの特定ページが開くようになっています。
主な技術は2種類
ディープリンクを実現する技術には、代表的なものが2つあります。
Custom URL Scheme(カスタムURLスキーム)
アプリ独自のURLを使う方法です。例えば「myapp://products/shoes」のような形式になります。
リンクをタップすると「このアプリを開きますか?」というダイアログ(確認画面)が表示されるのが特徴。アプリをインストールしていない場合は、何も起こらないか、アプリストアに誘導されることもあります。
Universal Links(ユニバーサルリンク)
Apple(iOS)が提供する技術で、通常のウェブサイトのURL(https://~)を使います。
Custom URL Schemeと違って、確認ダイアログが表示されず、スムーズにアプリが起動します。アプリをインストールしていない場合は、URLで指定されたウェブページが開く仕組みです。
セキュリティ面でも優れており、不正なアプリによる乗っ取りを防ぐ仕組みが備わっています。
ディープリンクの種類は3つ
使い方によって、ディープリンクは3つのタイプに分けられます。
1. ダイレクトディープリンク
最もシンプルなタイプ。すでにアプリをインストールしている人向けのリンクです。
タップすると、すぐにアプリ内の目的のページが開きます。
2. ディファードディープリンク
アプリをまだインストールしていない人向けのリンクです。
リンクをタップすると、まずアプリストアに移動してアプリをダウンロード。インストールが完了してアプリを起動すると、最初に見たかったページが表示されます。
途中でダウンロードを挟むので「遅延(ディファード)」という名前がついています。
3. コンテクスチュアルディープリンク
ダイレクトやディファードの機能に加えて、ユーザー情報を含んだリンクです。
位置情報や検索履歴、プロモーションコードなどの情報を持っているので、よりパーソナライズされた体験を提供できます。マーケティング効果の分析にも活用されています。
各プラットフォームの取り組み
主要な企業も、それぞれディープリンクのサービスを提供しています。
Androidでは「Android App Links」という技術を推奨。Google検索の結果から直接アプリが開けるようになっています。
アプリをインストールしていない場合は、Google Playストアに誘導してダウンロードを促します。
Apple
iPhoneやiPadでは「Universal Links」を採用しています。
セキュリティが高く、ユーザーの確認なしでスムーズにアプリが起動するのが特徴です。
「App Links」という技術を提供。Facebook上の投稿や広告から、アプリ内の特定コンテンツに直接移動できます。
iOSとAndroidの両方で利用可能です。
X(旧Twitter)
「App Card」という名前でディープリンク機能を提供しています。
投稿に画像付きのリンクを設定でき、そこからアプリの特定ページに移動できる仕組み。ただし、Xのアプリ版でのみ利用できます。
ディープリンクのメリット
ディープリンクを使うと、どんな良いことがあるのでしょうか?
ユーザーにとってのメリット
操作の手間が減る
ホーム画面に戻ってアプリを探して…という面倒な手順が不要になります。欲しい情報にワンタップでアクセスできるので、ストレスフリーです。
アプリを使いやすくなる
最近のアプリは機能ごとに分かれていることが多く、複数のアプリを切り替えて使う場面が増えています。ディープリンクがあれば、アプリ間の移動もスムーズ。
企業にとってのメリット
コンバージョン率が上がる
ユーザーが途中で離脱しにくくなるため、購入や登録などの目標達成率が向上します。
面倒な手順が原因で諦めていたユーザーを、ゴールまで導きやすくなるんです。
アプリのダウンロードが増える
ディファードディープリンクを使えば、アプリ未インストールのユーザーをスムーズにストアへ誘導できます。魅力的なコンテンツを見せてからダウンロードを促せるので、インストール率が高まります。
ユーザーの離脱を防げる
スムーズな体験を提供できれば、ユーザーは満足してアプリを継続利用してくれます。一度離れたユーザーを呼び戻すキャンペーンでも効果的です。
実際の活用シーン

ディープリンクは、こんな場面で使われています。
メールマーケティング
セール情報のメールにディープリンクを設置。受信者がタップすると、セール対象商品のページが直接開きます。
SNS広告
InstagramやFacebookの広告から、アプリ内の特定商品ページへ直行。広告を見て興味を持った瞬間に、すぐ購入できる導線を作れます。
プッシュ通知
「限定アイテム登場!」という通知をタップすると、そのアイテムのページが開く。ユーザーが自分で探す手間を省けます。
検索結果から
Google検索の結果に、アプリ内のコンテンツが表示されることも。検索からダイレクトにアプリが開く体験を提供できます。
まとめ:ディープリンクでもっと便利に
ディープリンクは、スマホアプリをより使いやすくする重要な技術です。
ユーザーは欲しい情報にすぐアクセスでき、企業はユーザー体験を向上させることでビジネスの成果を高められます。
何気なく使っているアプリの裏側で、こんな便利な仕組みが動いているんですね。
次にアプリを使うときは、「これがディープリンクか!」と気づけるかもしれません。スマホライフがもっと快適になる、そんな技術の1つがディープリンクなのです。


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