「XML」って聞いたことありますか?
Webサイトを作っていると、サイトマップや設定ファイルで見かけることが多いこの言葉。実は、私たちが普段使っているスマホアプリやWebサービスの裏側で、めちゃくちゃ活躍しているんです。
今回は、XMLが実際にどんな場面で使われているのか、身近な例を交えながら紹介していきますね。
そもそもXMLって何?

XMLは「Extensible Markup Language(拡張可能なマークアップ言語)」の略称です。
難しそうに聞こえますが、簡単に言うとデータに意味づけをして整理整頓するための言語なんです。HTMLと似ていますが、HTMLが「見た目をキレイにする」のに対して、XMLは「データをわかりやすく管理する」ことが目的なんですよ。
タグと呼ばれる記号でデータを囲むことで、「このデータは何を表しているのか」をコンピュータに教えてあげるイメージですね。
XMLの主な使い道
1. システム間のデータ交換
XMLの最も重要な役割が、異なるシステム同士でデータをやり取りすることです。
たとえば、あなたの会社のシステムと取引先のシステムが違うソフトウェアを使っていても、XMLという共通の形式でデータを送れば、お互いに理解できます。まるで「共通語」みたいなものですね。
B2B(企業間取引)の現場では、注文情報や在庫データをXMLで送受信することがよくあります。
2. Webサービスのデータ通信
WebサービスやAPIで、アプリとサーバーがデータをやり取りする際にもXMLが使われています。
SOAP(Simple Object Access Protocol)と呼ばれる通信方式では、XMLを使ってデータを包んで送信します。銀行のシステムや企業向けサービスなど、信頼性が重要な場面で採用されているんです。
最近はJSONという別の形式も人気ですが、XMLは今でも現役バリバリで活躍していますよ。
3. アプリケーションの設定ファイル
意外かもしれませんが、アプリの設定情報を保存するのにもXMLが使われます。
Androidアプリを作ったことがある人なら、「AndroidManifest.xml」というファイルを見たことがあるはず。このファイルには、アプリがどんな権限を必要とするかなど、重要な設定情報が書かれているんです。
Apacheなどのウェブサーバーも、XMLで設定を管理しています。
4. Microsoft Officeの文書フォーマット
ExcelやWordのファイルを開いたことがありますよね?
実は、これらのファイルの中身はXMLでできているんです。拡張子が「.xlsx」や「.docx」となっているファイルは、中にXMLが詰まっています。
文字の装飾、表の構造、画像の配置などの情報がすべてXMLで記述されていて、ソフトウェアがそれを読み込んで画面に表示しているんですよ。
5. RSSフィード(ニュース配信)
ニュースサイトやブログの更新情報を自動で取得できる「RSSフィード」も、XMLで作られています。
RSSは「Really Simple Syndication」の略で、新しい記事が公開されたときに、タイトルや概要、公開日時などの情報をXMLで配信します。これによって、複数のサイトの更新情報を一箇所でまとめてチェックできるんですね。
6. Webサイトのサイトマップ
Googleなどの検索エンジンに「このページを見つけてね」と教えてあげるサイトマップも、XMLファイルです。
「sitemap.xml」というファイル名で、サイト内のすべてのページURLや更新頻度が記載されています。これがあることで、検索エンジンが効率よくサイトを巡回できるようになるんです。
SEO対策をしている人にとっては、おなじみのファイルですね。
7. Androidアプリの画面レイアウト
スマホで使っているAndroidアプリの画面も、実はXMLで作られています。
ボタンをどこに配置するか、文字の大きさはどうするか、色は何色にするかなど、画面のデザインに関する情報がすべてXMLに書かれているんです。
プログラマーは、XMLファイルを編集することで、簡単にアプリの見た目を変更できます。
8. 学術論文のデータ管理
意外なところでは、学術論文の管理にもXMLが使われています。
日本の学術論文プラットフォーム「J-STAGE」では、論文の本文、著者情報、参考文献などをXML形式で保存しています。JATS(Journal Article Tag Suite)という専用の規格を使うことで、論文を長期間保存したり、検索しやすくしたりできるんですよ。
9. 地理情報システム(GIS)
地図アプリやカーナビで使われる地理情報も、XMLで扱われることがあります。
建物の位置、道路の形状、地形データなどを構造化して保存できるので、さまざまなシステムで同じ地図データを使い回せます。
国土交通省が提供する3D都市モデル「PLATEAU」でもXMLが活用されているんです。
10. 電子書籍のフォーマット
KindleやKoboで読んでいる電子書籍も、中身はXMLベースです。
EPUB形式の電子書籍は、内部的にXMLとHTMLを組み合わせて作られています。章立て、目次、本文の構造などがXMLで定義されているため、スマホでもタブレットでも、画面サイズに合わせて読みやすく表示できるんですね。
11. SVG画像(ベクター画像)
拡大しても画質が劣化しない「SVG画像」も、実はXMLで書かれています。
SVGは「Scalable Vector Graphics」の略で、図形の形や色をXMLで記述します。ロゴやアイコンなど、さまざまなサイズで使いたい画像に向いているんです。
テキストエディタでSVGファイルを開くと、XMLのコードが見えますよ。
XMLを使うメリット
なぜこんなにたくさんの場面でXMLが使われているのでしょうか?
それは、XMLには次のようなメリットがあるからです。
データの意味がわかりやすい
タグに好きな名前をつけられるので、「<名前>田中太郎」のように、データの意味を一目で理解できます。
システム間の互換性が高い
国際的な標準規格として認められているため、どんなプログラミング言語やシステムでも扱えます。
拡張性がある
必要に応じて新しいタグを追加したり、構造を変更したりできるので、将来的な変更にも柔軟に対応できます。
人間にもコンピュータにも読みやすい
テキスト形式なので、人間が見ても内容を理解しやすく、コンピュータも処理しやすい形式です。
XMLの仲間たち

XMLには、一緒に使われることが多い関連技術があります。
XSLT(XSL Transformations)は、XMLを別の形式に変換するツールです。たとえば、XMLデータをHTMLに変換してブラウザで表示したり、PDF形式に変換したりできます。
XPathは、XML文書の中から特定のデータを探し出す仕組みです。「〇〇というタグの中の△△を取り出す」といった操作が簡単にできるんです。
XML Schema(XSD)は、XMLの構造を定義するルールブックのようなもの。「このタグの中には必ずこういうデータが入る」といった制約を決めておくことで、データの正確性を保てます。
HTMLとの違いは?
「XMLってHTMLと何が違うの?」という疑問を持つ人も多いと思います。
どちらもタグを使う点は同じですが、目的がまったく違うんです。
HTMLは、ウェブページを表示するための言語。見出しや段落、画像などの「見た目」を作ります。使えるタグも<h1>や<p>など、あらかじめ決まっています。
一方、XMLは、データを整理して保存・共有するための言語。タグを自由に作れるので、どんなデータでも表現できます。
HTMLは「人間に見せるため」、XMLは「データを管理するため」と覚えておくといいですね。
まとめ
XMLは一見地味な存在ですが、実は私たちの身の回りのあらゆるところで活躍しています。
スマホアプリの画面、Officeの文書、ニュースフィード、電子書籍、学術論文まで、本当に幅広い用途で使われているんです。
「データに意味を持たせて、異なるシステム間で共有する」というシンプルな仕組みが、現代のIT社会を支えている基盤技術の一つなんですね。
次にXMLファイルを見かけたら、「ああ、これがあのXMLか」と、少し親近感を持ってもらえたら嬉しいです。


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