インターネットやプログラミングをしていると、よく「UTC」という言葉を目にしますよね。
「日本時間の午後3時なのに、システムでは午前6時になってる!」なんて経験、ありませんか?これ、実はUTCと日本時間の時差が原因なんです。
この記事では、日本時間(JST)とUTCの関係について、誰でも理解できるように解説していきます。
UTCって何?世界の時間の基準

UTC(協定世界時)は、世界中で使われている時間の基準です。
英語では「Coordinated Universal Time」と書きますが、略称が「CUT」ではなく「UTC」になっているのは、英語とフランス語の妥協案だからなんですよ。面白いですよね。
UTCは、非常に正確な原子時計をもとに決められています。世界中のどこでも同じ基準で時間を測れるように作られた、いわば「世界共通の時計」というわけです。
UTCはどこの時間?
UTCは、イギリスのロンドンにあるグリニッジ天文台を通る「本初子午線」を基準にしています。
むかしは「GMT(グリニッジ標準時)」と呼ばれていましたが、現在は原子時計を使ったより正確なUTCが主流になりました。日常的な使い方では、GMTとUTCはほぼ同じと考えて大丈夫です。
日本標準時(JST)とは?
JST(Japan Standard Time)は、日本で使われている標準時間のことです。
日本では、兵庫県明石市を通る東経135度の子午線を基準にしています。明石市に「日本標準時子午線」の標識があるのは、このためなんですね。
日本時間はどうやって決まる?
現在の日本標準時は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が管理しています。
NICTは、東京都小金井市と兵庫県神戸市に設置された原子時計を使って、極めて正確な時刻を作り出しているんです。その精度は驚くべきもので、UTCとのずれは10ナノ秒(0.00000001秒)以内に収められています。
日本時間とUTCの時差は9時間
ここが最も重要なポイントです!
日本時間(JST)は、UTCより9時間進んでいます。
これを式で表すと、こうなります:
JST = UTC + 9時間
つまり、UTCが正午(12:00)のとき、日本は夜の9時(21:00)というわけですね。
なぜ9時間の差があるの?
地球は24時間で360度回転します。ということは、1時間で15度回転する計算になりますよね。
日本の基準である東経135度は、本初子午線(経度0度)から東に135度離れています。
135度 ÷ 15度 = 9時間
こうして、9時間の時差が生まれるんです。
日本にサマータイム(夏時間)はある?
日本にはサマータイムがありません。
アメリカやヨーロッパの一部では、夏の間だけ時計を1時間進める「サマータイム」を実施していますが、日本は一年中同じ時間を使います。
そのため、UTCとの時差も常に9時間で変わりません。これは覚えやすくて便利ですね。
日本時間とUTCの変換方法
実際に時間を変換してみましょう。
UTCから日本時間への変換
UTCに9時間を足すだけです。
例:UTCが午前10:00の場合
- 10:00 + 9時間 = 19:00(午後7時)
- 答え:日本時間は午後7時
例:UTCが午後11:00の場合
- 23:00 + 9時間 = 32:00 → 翌日の8:00(午前8時)
- 答え:日本時間は翌日の午前8時
日付をまたぐ場合は、注意が必要です。
日本時間からUTCへの変換
日本時間から9時間を引きます。
例:日本時間が午後3:00の場合
- 15:00 – 9時間 = 6:00(午前6時)
- 答え:UTCは午前6時
例:日本時間が午前5:00の場合
- 5:00 – 9時間 = -4:00 → 前日の20:00(午後8時)
- 答え:UTCは前日の午後8時
こちらも日付が変わることがあるので気をつけましょう。
UTCと日本時間はどんな場面で使われる?

それぞれの時間が使われる場面を見てみましょう。
UTCが使われる場面
UTCは、世界共通の基準時間として様々な場所で使われています。
- プログラミング:データベースやログファイルの時刻記録
- 航空業界:国際線のフライトスケジュール
- 気象観測:世界中の気象データの統一
- インターネット:サーバーのタイムスタンプ
- 科学研究:国際的な研究データの記録
世界中の人が協力する分野では、UTCを使うことで混乱を防げるんですね。
日本時間(JST)が使われる場面
日本国内では、ほぼすべての場面で日本時間を使います。
- 日常生活:テレビ番組、電車の時刻表、営業時間
- ビジネス:会議のスケジュール、締め切り時間
- 公共サービス:NHKの時報、117番の時報サービス
- Webサイト:日本向けサービスの表示時刻
日本で生活している限り、普段意識するのは日本時間だけで大丈夫です。
プログラミングでの注意点
エンジニアの方や、これからプログラミングを学ぶ方は、時間の扱いに特に注意が必要です。
データベースはUTCで保存するのが基本
多くのシステムでは、データベースに時刻を保存するときはUTCを使います。
なぜかというと、世界中のユーザーがいるサービスでは、各地域の時差を考慮しなければならないからです。
UTCで保存しておけば、あとで各ユーザーの地域に合わせて表示できるんですね。
表示するときは日本時間に変換
保存はUTC、表示は日本時間――これが基本パターンです。
たとえば、ブログの投稿時刻をデータベースに保存するときはUTCで記録して、日本のユーザーに見せるときは自動的にJSTに変換して表示します。
タイムゾーンの表記方法
時刻を書くとき、どのタイムゾーンなのかを明記することが大切です。
- 日本時間の表記:JST、UTC+9、GMT+9
- 協定世界時の表記:UTC、UTC+0、GMT
たとえば「2025年12月25日 15:00 JST」と書けば、日本時間だとはっきり分かりますね。
サーバーの時刻設定について
WebサーバーやクラウドサーバーをUTCで動かすべきか、JSTで動かすべきかは、悩みどころですよね。
国際的なサービスならUTC
世界中にユーザーがいるサービスなら、サーバーの時刻をUTCに設定するのが一般的です。
これなら、どの国からアクセスしても時刻の計算がシンプルになります。
日本国内向けならJSTも選択肢
完全に日本国内だけで使うシステムなら、サーバーをJSTに設定することもあります。
ただし、将来的に海外展開する可能性があるなら、最初からUTCにしておくほうが安全かもしれません。
まとめ
日本時間(JST)とUTCの関係について、おさらいしましょう。
- UTCは世界の標準時間で、原子時計をもとに決められている
- 日本時間はUTCより9時間進んでいる(JST = UTC + 9)
- 日本にサマータイムはなく、時差は常に9時間
- プログラミングでは、保存はUTC・表示はJSTが基本
- 国際的なサービスではUTCを使うのが一般的
時差の計算は慣れるまで少し大変ですが、一度理解してしまえば簡単です。
特にIT関係の仕事をする方は、UTCと日本時間の違いをしっかり把握しておくと、トラブルを未然に防げますよ。世界中の人と協力するとき、時間の基準を合わせることは本当に大切なんです。

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