ユニバーサルリンクとは?仕組みとメリットをわかりやすく解説

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iPhoneでウェブサイトを見ているとき、リンクをタップしたら自動的にアプリが開いた経験はありませんか?

たとえば、メールに書かれているショッピングサイトのリンクをタップしたら、Safariではなくそのショップの公式アプリが開いた、というような体験です。

これは「ユニバーサルリンク(Universal Links)」という技術のおかげなんです。この記事では、ユニバーサルリンクとは何か、どんな仕組みで動いているのか、わかりやすく解説していきます。

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ユニバーサルリンクとは

ユニバーサルリンクとは、ウェブサイトのリンクとアプリを結びつける技術です。AppleがiOS 9(2015年リリース)から導入した機能で、iPhoneやiPad専用の仕組みです。

どんなことができるの?

ユニバーサルリンクを使うと、以下のようなことが可能になります。

アプリがインストールされている場合

ウェブサイトのリンクをタップすると、Safariではなく、対応するアプリが直接開きます。しかも、リンクで指定された特定のページ(商品ページ、記事ページなど)をそのまま表示できます。

アプリがインストールされていない場合

普通にSafariでウェブサイトが開きます。ユーザーにとっては、何も不便はありません。

具体例で理解しよう

わかりやすい例をいくつか紹介します。

例1:ショッピングアプリ

友達から「このTシャツかわいいよ!」とAmazonの商品リンクがメールで送られてきたとします。

  • ユニバーサルリンクあり:リンクをタップ → Amazonアプリが開いて、そのTシャツの商品ページが表示される
  • ユニバーサルリンクなし:リンクをタップ → Safariが開いて、ウェブ版のAmazonでそのTシャツのページが表示される

例2:SNSアプリ

TwitterやInstagramの投稿へのリンクをタップしたとき、アプリがインストールされていればアプリで開き、インストールされていなければウェブ版が開きます。

例3:ニュースアプリ

ニュースサイトの記事リンクをタップすると、そのニュースサイトのアプリが開いて、記事を読むことができます。

ユニバーサルリンクの仕組み

ユニバーサルリンクは、どのような仕組みで動いているのでしょうか。技術的な部分を簡単に説明します。

基本的な流れ

ユニバーサルリンクが動作するまでには、以下のような流れがあります。

ステップ1:設定ファイルの準備

ウェブサイトの管理者は、「apple-app-site-association」(AASA)という特別な設定ファイルを作成し、ウェブサーバーに配置します。

このファイルには、「このウェブサイトは、このアプリと連携しています」という情報が書かれています。

ステップ2:Appleのサーバーが情報を収集

AppleのCDN(コンテンツ配信ネットワーク)が、定期的に世界中のウェブサイトを巡回して、AASAファイルを収集します。

ステップ3:アプリをインストールしたときに情報を取得

ユーザーがアプリをiPhoneにインストールすると、そのアプリに関連するAASAファイルの情報が自動的にiPhoneにダウンロードされます。

ステップ4:リンクをタップしたときの判定

ユーザーがウェブサイトのリンクをタップすると、iPhoneは以下のように判定します:

  1. このリンクに対応するアプリはインストールされているか?
  2. AASAファイルに、このリンクがアプリで開けると書かれているか?

両方の条件を満たせば、アプリが開きます。満たさなければ、Safariでウェブサイトが開きます。

わかりやすい例え

ユニバーサルリンクの仕組みを、郵便配達に例えてみましょう。

  • ウェブサイトのリンク = 手紙の宛先
  • AASAファイル = 郵便局の配達先リスト
  • アプリ = あなたの家
  • Safari = 郵便局の窓口

手紙(リンク)が届いたとき、郵便局(iPhone)は配達先リスト(AASAファイル)を確認します。

あなたの家(アプリ)がある場合は、直接家に配達(アプリで開く)されます。家がない場合は、郵便局の窓口(Safari)で受け取ることになります。

ユニバーサルリンクのメリット

ユニバーサルリンクには、ユーザーにとっても、アプリを作る会社にとっても、たくさんのメリットがあります。

ユーザーにとってのメリット

1. スムーズな体験

アプリがインストールされていれば、わざわざアプリを開いて検索しなくても、リンクをタップするだけで目的のページに直接たどり着けます。

2. 煩わしいポップアップがない

従来の「カスタムURLスキーム」という方法では、「〇〇アプリで開きますか?」というポップアップが表示されていましたが、ユニバーサルリンクではこれがありません。

3. アプリがなくても大丈夫

アプリがインストールされていなくても、普通にウェブサイトが開くので、困ることはありません。

アプリ提供者にとってのメリット

1. アプリの利用を促進できる

ウェブサイトからアプリへスムーズに誘導できるため、アプリの利用率が上がります。

2. セキュリティが高い

ユニバーサルリンクは、HTTPS(暗号化された通信)を使うため、安全性が高いです。悪意のあるアプリが勝手に起動することを防げます。

3. ユーザー体験の向上

アプリ内の特定のページに直接誘導できるため、ユーザーがスムーズに目的の情報にアクセスでき、満足度が上がります。

4. コンバージョン率の向上

商品ページやキャンペーンページに直接誘導できるため、購入や申し込みなどのコンバージョン(成果)が増えやすくなります。

ディープリンクとの違い

ユニバーサルリンクと似た言葉で「ディープリンク」というものがあります。この2つの違いを説明します。

ディープリンクとは

ディープリンクは、アプリ内の特定のページに直接リンクする仕組み全般を指す広い言葉です。

ユニバーサルリンクは、ディープリンクの一種です。

カスタムURLスキーム(従来のディープリンク)

ユニバーサルリンクが登場する前は、「カスタムURLスキーム」という方法が使われていました。

カスタムURLスキームの例

  • twitter://(Twitterアプリを開く)
  • youtube://(YouTubeアプリを開く)
  • amazon://(Amazonアプリを開く)

このように、アプリ専用の特殊なURLを使う方法です。

ユニバーサルリンクとカスタムURLスキームの違い

項目ユニバーサルリンクカスタムURLスキーム
URL形式通常のHTTPSリンク(例:https://example.com/page専用スキーム(例:appname://page
セキュリティ高い(HTTPSを使用)低い(誰でも同じスキームを登録できる)
ポップアップなし「アプリで開きますか?」が表示される
アプリ未インストール時ウェブサイトが開くエラーになる
対応OSiOS 9以降すべてのiOS・Android

まとめ

ユニバーサルリンクは、カスタムURLスキームよりも安全で、ユーザーにとって使いやすい、進化したディープリンクです。

Androidにもあるの?

ユニバーサルリンクは、iOSデバイス(iPhone、iPad)専用の機能です。

しかし、Androidにも似た機能があります。それが「Androidアプリリンク(App Links)」です。

Androidアプリリンクとは

Androidアプリリンクは、Googleが提供している、ユニバーサルリンクとほぼ同じ機能です。

仕組みもメリットも、ユニバーサルリンクとよく似ています。

クロスプラットフォーム対応

アプリを提供する会社が、iOSとAndroidの両方のユーザーにスムーズな体験を提供したい場合は、以下の両方を設定する必要があります:

  • iOS向け:ユニバーサルリンク
  • Android向け:Androidアプリリンク

ユニバーサルリンクの注意点

ユニバーサルリンクには、いくつか知っておきたい注意点があります。

注意点1:Safariのアドレスバーでは動作しない

Safariのアドレスバーに直接URLを入力しても、ユニバーサルリンクは動作しません。

あくまで、メール、メッセージ、ウェブページ内のリンクなどをタップしたときに動作します。

注意点2:同一ドメインでは動作しないことがある

すでにSafariで同じウェブサイトを閲覧している場合、そのサイト内のリンクをタップしても、アプリは開かず、Safariのまま次のページに移動します。

これは、「ユーザーがブラウザで閲覧を続けたいと考えている」とiOSが判断するためです。

注意点3:アプリ側の対応が必要

ユニバーサルリンクを使うには、ウェブサイト側だけでなく、アプリ側でも設定が必要です。

そのため、すべてのアプリがユニバーサルリンクに対応しているわけではありません。

注意点4:iOS 9以降が必要

ユニバーサルリンクは、iOS 9(2015年リリース)以降でのみ利用できます。

現在はほとんどのiPhoneがiOS 9以降なので、実用上は問題ありません。

どんなアプリが使っているの?

多くの有名アプリが、ユニバーサルリンクを活用しています。

  • Amazon:商品ページへのリンクをタップすると、Amazonアプリで商品が開く
  • Twitter(X):ツイートへのリンクをタップすると、Twitterアプリが開く
  • Instagram:投稿へのリンクをタップすると、Instagramアプリが開く
  • YouTube:動画へのリンクをタップすると、YouTubeアプリで動画が再生される
  • 楽天市場:商品ページへのリンクをタップすると、楽天市場アプリが開く

日常的に使っているアプリの多くが、すでにユニバーサルリンクを導入しています。

ユーザーとして気をつけることは?

ユニバーサルリンクは、基本的にユーザーが意識する必要はありません。自動的に便利に動いてくれます。

ただし、以下の点を知っておくと役立つかもしれません。

アプリで開きたくない場合

リンクをタップしたときに、アプリではなくSafariで開きたい場合もありますよね。

その場合は、以下の方法で切り替えられます。

方法1:長押しして「Safariで開く」を選ぶ

リンクを長押しすると、メニューが表示されます。そこで「Safariで開く」を選択すると、アプリではなくSafariで開きます。

方法2:アプリ内の「Safari」ボタンを押す

アプリが開いた後でも、画面右上などに「Safari」や「ブラウザで開く」というボタンが表示されることがあります。これをタップすると、Safariに切り替わります。

まとめ

ユニバーサルリンクについて、重要なポイントをまとめます。

ユニバーサルリンクとは

  • ウェブサイトのリンクとアプリを結びつける技術
  • AppleがiOS 9以降で導入
  • アプリがあればアプリで開き、なければSafariで開く

メリット

  • スムーズなユーザー体験
  • 煩わしいポップアップがない
  • セキュリティが高い
  • アプリの利用促進

仕組み

  • AASAファイルでウェブサイトとアプリを関連付ける
  • Apple CDNが情報を収集
  • アプリインストール時に情報を取得
  • リンクタップ時に自動判定

注意点

  • Safariのアドレスバーでは動作しない
  • 同一ドメインでは動作しないことがある
  • iOS 9以降が必要
  • すべてのアプリが対応しているわけではない

AndroidにもAppLinksがある

ユニバーサルリンクはiOS専用ですが、Androidには「Androidアプリリンク」という似た機能があります。


ユニバーサルリンクは、普段は意識しませんが、iPhoneを使っていると知らず知らずのうちに恩恵を受けている便利な技術です。

メールやメッセージ、SNSで共有されたリンクをタップしたとき、スムーズにアプリが開いて便利だと感じたことがあれば、それはユニバーサルリンクのおかげかもしれませんね!

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