「スマホのROM 128GBって、何が保存できるの?」
「PCのSSDとスマホのストレージって何が違うの?」
「RAM 8GB、ROM 256GBって、どっちが何?」
スマホやPCのスペック表を見ていて、こんな疑問を持ったことはありませんか?
実は、「ROM」という言葉の使い方は、スマホとPCで少し違います。さらに、ストレージの種類もいろいろあって、混乱しますよね。
この記事では、スマホとPCのROM/ストレージについて、基本から違い、選び方まで、すべて詳しく解説します。
難しい専門用語も、わかりやすく説明しますので、安心してください!
ROM・RAM・ストレージの基本

まず、よく混同される3つの用語を整理しておきましょう。
RAM(ラム)とは?
正式名称:Random Access Memory(ランダム・アクセス・メモリ)
一時的にデータを保存する「作業領域」のことです。
机の広さに例えられる
- 机が広い = RAMが大きい = 一度にたくさんの作業ができる
- 机が狭い = RAMが小さい = 一度に少しの作業しかできない
特徴
- データの読み書きが超高速
- 電源を切るとデータが消える
- 単位:GB(ギガバイト)
- スマホ:2〜16GB程度
- PC:4〜64GB程度
役割
アプリを起動したり、ウェブページを開いたりするとき、そのデータを一時的に保管します。
RAMが大きいほど、複数のアプリを同時に使っても快適です。
ROM(ロム)とは?
正式名称:Read Only Memory(リード・オンリー・メモリ)
本来は「読み出し専用メモリ」のことです。
しかし!
日本のスマホ業界では、ROMが「データ保存領域」を意味します。
つまり、日本ではROM = ストレージとして使われています。
ストレージとは?
データを長期間保存する「記憶領域」のことです。
引き出しや本棚に例えられる
- 引き出しが大きい = ストレージが大きい = たくさんのデータを保存できる
- 引き出しが小さい = ストレージが小さい = 少しのデータしか保存できない
特徴
- 写真、動画、アプリ、音楽などを保存
- 電源を切ってもデータが残る
- 単位:GB(ギガバイト)、TB(テラバイト)
- スマホ:64GB〜1TB
- PC:256GB〜4TB以上
RAM・ROM・ストレージの違い一覧表
| 項目 | RAM | ROM(本来の意味) | ストレージ |
|---|---|---|---|
| 役割 | 一時的な作業領域 | 読み出し専用 | データの長期保存 |
| 電源OFF時 | データ消える | データ残る | データ残る |
| 速度 | 超高速 | 低速 | 中〜高速 |
| 容量 | 小さい(2〜64GB) | 小さい | 大きい(64GB〜数TB) |
| 例え | 机の広さ | CDやDVD | 本棚・引き出し |
| スマホ表記 | RAM 8GB | ROM 256GB※ | 内部ストレージ |
| PC表記 | メモリ 16GB | ほぼ使われない | SSD 512GB |
※日本のスマホではROM = ストレージの意味で使われる
なぜ日本ではROM = ストレージ?
これは日本独特の習慣です。
理由
スマホのストレージには「フラッシュメモリ」が使われています。
フラッシュメモリは、広い意味でROMの一種です。
そのため、日本の通信事業者が「ROM 128GB」という表記を使い始め、それが定着しました。
海外では?
- Internal Storage(内部ストレージ)
- Internal Memory(内部メモリ)
- Flash Memory(フラッシュメモリ)
と表記されます。「ROM」とは書きません。
スマホのストレージ(ROM)の種類
スマホには、主に2種類のストレージが使われています。
eMMC(イーエムエムシー)
正式名称:embedded Multi-Media Card
特徴
- 古い規格(2015年以降は更新されていない)
- 低コスト
- 読み書き速度が遅い
- 半二重通信(読み込みか書き込みのどちらか一方だけ)
速度
- 読み込み:最大400MB/秒
- 書き込み:最大200MB/秒
使われている機種
- エントリーモデル(低価格)のスマホ
- 古いAndroidスマホ
- タブレット
- 一部のChromebook
メリット
- 価格が安い
- 消費電力が少ない
デメリット
- 速度が遅い
- アプリの起動に時間がかかる
- 複数のアプリを使うともたつく
UFS(ユーエフエス)
正式名称:Universal Flash Storage
特徴
- 新しい規格(現在はUFS 4.0まで)
- 高速
- 全二重通信(読み込みと書き込みを同時にできる)
- コマンドキュー対応(複数の命令を効率的に処理)
速度(UFS 3.1の場合)
- 読み込み:最大2,100MB/秒
- 書き込み:最大1,200MB/秒
速度(UFS 4.0の場合)
- 読み込み:最大4,200MB/秒以上
- 書き込み:最大2,800MB/秒以上
使われている機種
- ハイエンド・ミドルレンジのスマホ
- 最新のiPhone(独自規格だが性能は同等以上)
- フラグシップタブレット
メリット
- 超高速
- アプリの起動が速い
- 写真や動画の保存・読み込みが速い
- マルチタスクに強い
デメリット
- eMMCより高価
eMMCとUFSの違い比較表
| 項目 | eMMC 5.1 | UFS 3.1 | UFS 4.0 |
|---|---|---|---|
| 最大読み込み速度 | 400MB/秒 | 2,100MB/秒 | 4,200MB/秒 |
| 最大書き込み速度 | 200MB/秒 | 1,200MB/秒 | 2,800MB/秒 |
| 通信方式 | 半二重 | 全二重 | 全二重 |
| コマンドキュー | なし | あり | あり |
| 価格 | 安い | 中〜高 | 高い |
| 搭載機種 | エントリー | ミドル〜ハイ | ハイエンド |
どちらを選ぶべき?
eMMCがおすすめの人
- 予算重視
- 基本的な使い方だけ(電話、メール、SNS、ウェブ閲覧)
- ゲームはしない
UFSがおすすめの人
- 快適な動作を重視
- ゲームをよくする
- 写真や動画をたくさん撮る
- 複数のアプリを同時に使う
PCのストレージの種類

PCには、主に3種類のストレージが使われています。
HDD(ハードディスクドライブ)
特徴
- 磁気ディスクでデータを保存
- 物理的に回転する部品がある
- 古い技術だが、大容量で安い
速度
- 読み込み/書き込み:100〜200MB/秒
容量
- 500GB〜20TB
メリット
- 容量あたりの価格が安い
- 大容量が手に入る
デメリット
- 遅い
- 衝撃に弱い
- 消費電力が大きい
- 動作音がする
- 発熱する
使われ方
- データの長期保管用
- 動画や写真のバックアップ用
- 予算重視のPC
SSD(ソリッドステートドライブ)
特徴
- フラッシュメモリでデータを保存
- 物理的に動く部品がない
- 高速で静音
種類
SATA SSD
- 古い接続方式
- 速度:最大550MB/秒
NVMe SSD(PCIe 3.0)
- 新しい接続方式
- 速度:最大3,500MB/秒
NVMe SSD(PCIe 4.0)
- さらに新しい規格
- 速度:最大7,000MB/秒
NVMe SSD(PCIe 5.0)
- 最新規格
- 速度:最大14,000MB/秒以上
容量
- 128GB〜4TB以上
メリット
- 超高速
- 静音
- 衝撃に強い
- 消費電力が少ない
- 発熱が少ない
デメリット
- HDDより容量あたりの価格が高い
使われ方
- OSのインストール
- アプリケーションの保存
- よく使うファイルの保存
- 現代のPCの標準ストレージ
eMMC(PC用)
特徴
- スマホと同じ技術
- マザーボードに直接はんだ付け
- 交換不可
速度
- 読み込み/書き込み:200〜400MB/秒
容量
- 32GB〜256GB
使われ方
- 格安ノートPC(3万円以下)
- Chromebook
- 小型PC
メリット
- 安い
- 小型化できる
デメリット
- 容量が小さい
- 交換・増設できない
- SSDより遅い
HDD・SSD・eMMCの違い比較表
| 項目 | HDD | SATA SSD | NVMe SSD | eMMC |
|---|---|---|---|---|
| 速度(読込) | 100〜200MB/秒 | 550MB/秒 | 3,500〜14,000MB/秒 | 200〜400MB/秒 |
| 容量 | 500GB〜20TB | 128GB〜4TB | 128GB〜4TB | 32GB〜256GB |
| 価格(1GB) | 最安 | 中 | 中〜高 | 安 |
| 寿命 | 3〜5年 | 5〜10年 | 5〜10年 | 3〜5年 |
| 衝撃耐性 | 弱い | 強い | 強い | 強い |
| 消費電力 | 大 | 小 | 小 | 極小 |
| 動作音 | あり | なし | なし | なし |
| 交換 | 可能 | 可能 | 可能 | 不可 |
| 用途 | バックアップ | メイン | メイン | 格安PC |
どれを選ぶべき?
HDD
- 大量のデータを安く保存したい
- バックアップ用
- 速度は気にしない
SATA SSD
- 古いPCをアップグレード
- 予算を抑えたい
- HDDより速ければOK
NVMe SSD
- 最速の動作が欲しい
- ゲームや動画編集をする
- 最新のPC
eMMC
- 予算最優先(ただし容量は我慢)
- インターネット閲覧だけ
- クラウドを多用する
スマホとPCのストレージの違い
物理的な違い
スマホ
- マザーボードに直接はんだ付け
- 交換・増設が基本的にできない
- 超小型(切手サイズ以下)
PC
- SSD/HDDは交換可能
- 増設も可能(デスクトップなら複数搭載)
- スマホより大きい
容量の違い
スマホ
- 一般的:64GB〜256GB
- ハイエンド:512GB〜1TB
PC
- 一般的:256GB〜1TB(SSD)
- データ保存用:1TB〜10TB以上(HDD)
速度の違い
スマホ(UFS 3.1)
- 読み込み:約2,100MB/秒
- SSDに近い速度
PC(NVMe SSD PCIe 4.0)
- 読み込み:約7,000MB/秒
- スマホの約3倍以上
ただし、体感速度はほぼ同じです。スマホの処理には、これ以上の速度は不要だからです。
価格の違い
スマホ
- 内蔵ストレージの増量オプション
- 128GB → 256GB:約1〜2万円
- 256GB → 512GB:約1〜2万円
PC(SSD単体)
- 256GB:約3,000〜5,000円
- 512GB:約5,000〜8,000円
- 1TB:約8,000〜15,000円
PCの方が容量あたりの価格が安いです。
拡張性の違い
スマホ
microSDカード対応機種(Androidの一部)
- 外部ストレージとして追加できる
- 容量:64GB〜1TB
- 速度は内部ストレージより遅い
非対応機種(iPhoneなど)
- 拡張不可
- 購入時の容量で我慢するしかない
PC
デスクトップPC
- SSD/HDDを複数搭載可能
- 容量不足なら簡単に追加
ノートPC
- SSD交換可能(多くの機種)
- 2台目のストレージ増設可能(一部機種)
RAM・ROM・ストレージの目安
スマホの場合
RAM(メモリ)の目安
2〜3GB
- 超軽量な使い方のみ
- 現在はほぼ販売されていない
4GB
- 基本的な使い方には十分
- SNS、ウェブ閲覧、動画視聴
- 軽いゲーム
6〜8GB
- 快適な使い方
- 複数アプリの同時使用
- 中程度のゲーム
- 写真・動画編集
12GB以上
- ハイエンド
- 重いゲーム
- プロ向けの動画編集
- マルチタスク
ROM(ストレージ)の目安
64GB
- 最低限
- 写真・動画はあまり撮らない
- アプリは必要最小限
128GB
- 標準的
- 写真・動画を適度に撮る
- アプリを多めに入れる
256GB
- 余裕がある
- 写真・動画をたくさん撮る
- ゲームをいくつも入れる
512GB以上
- 大容量
- 動画をたくさん保存
- 4K動画撮影
- 音楽をダウンロード
PCの場合
RAM(メモリ)の目安
4GB
- 最低限(もう推奨されない)
- ウェブ閲覧のみ
8GB
- 標準的
- オフィス作業
- ウェブ閲覧
- 動画視聴
16GB
- 快適
- 複数アプリの同時使用
- 軽い画像編集
- 軽いゲーム
32GB以上
- ハイエンド
- 動画編集
- 3Dモデリング
- 重いゲーム
- 仮想マシン
ストレージの目安
256GB(SSD)
- 最低限
- OSとアプリのみ
- データはクラウドか外付けHDD
512GB(SSD)
- 標準的
- OSとアプリ
- よく使うファイル
1TB(SSD)
- 余裕がある
- 大量のファイル保存
- ゲームをいくつも入れる
2TB以上(SSD)
- 大容量
- 動画編集
- ゲームコレクション
1TB以上(HDD、追加用)
- バックアップ
- 写真・動画の長期保存
- ファイルアーカイブ
ストレージ不足の対処法

スマホの場合
方法1: 不要なアプリを削除
使っていないアプリをアンインストールします。
手順(iPhone)
- 「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」
- 使っていないアプリを選択
- 「Appを削除」
手順(Android)
- 「設定」→「アプリ」
- 使っていないアプリを選択
- 「アンインストール」
方法2: 写真・動画をクラウドに移動
iCloud(iPhone)
- 5GBまで無料
- 50GB:月130円
- 200GB:月400円
Googleフォト
- 15GBまで無料(Googleドライブと共有)
- 100GB:月250円
方法3: キャッシュを削除
一時ファイルを削除して容量を確保します。
iPhone
- アプリを削除して再インストール(キャッシュが消える)
Android
- 「設定」→「ストレージ」→「キャッシュデータ」
- 「削除」
方法4: microSDカードを使う(Android)
対応機種なら、外部ストレージを追加できます。
- 容量:64GB〜1TB
- 価格:1,000〜10,000円程度
PCの場合
方法1: 不要なファイルを削除
Windowsの場合
- 「設定」→「システム」→「記憶域」
- 「一時ファイル」を削除
Macの場合
- Appleメニュー→「このMacについて」→「ストレージ」
- 「管理」から不要なファイルを削除
方法2: 外付けHDD/SSDを使う
- 容量:1TB〜10TB以上
- 価格:5,000〜30,000円程度
方法3: クラウドストレージを使う
- Googleドライブ:15GB無料
- OneDrive:5GB無料
- Dropbox:2GB無料
方法4: SSD/HDDを増設
デスクトップPCなら簡単に追加できます。
ノートPCでも、交換や増設ができる機種があります。
よくある質問
Q1: ROMとストレージは同じですか?
A: 厳密には違いますが、日本のスマホ業界ではROM = ストレージとして使われています。本来、ROMは読み出し専用メモリのことですが、スマホのスペック表では「データ保存容量」を意味します。海外では「Internal Storage」と表記されます。
Q2: RAMが大きいとバッテリーの減りが早くなりますか?
A: はい、多少影響があります。RAMが大きいと、それだけ電力を消費します。ただし、最近のスマホは省電力設計なので、体感できるほどの差はありません。むしろ、RAMが不足してアプリが頻繁に再読み込みされる方がバッテリーを消費します。
Q3: eMMCとUFSはどうやって見分けられますか?
A: スペック表を確認してください。明記されていない場合、一般的にハイエンド・ミドルレンジ機種はUFS、エントリーモデルはeMMCです。ベンチマークアプリを使って速度を測定する方法もあります。
Q4: スマホのストレージは後から増やせますか?
A: iPhoneや多くの最新Androidでは増やせません。一部のAndroid機種はmicroSDカードで拡張できます。購入時に必要な容量を選ぶことが重要です。
Q5: PCのeMMCをSSDに交換できますか?
A: 基本的にできません。eMMCはマザーボードに直接はんだ付けされているためです。ただし、一部の機種では外付けSSDを追加して、そちらにOSをインストールすることで高速化できます。
Q6: SSDの寿命はどれくらいですか?
A: 一般的に5〜10年です。ただし、書き込み回数に上限があるため、使い方によって変わります。通常の使い方なら、HDDより長持ちすることが多いです。SSDには「TBW(Total Bytes Written)」という書き込み寿命の目安があります。
Q7: HDDとSSDは両方使えますか?
A: はい、デスクトップPCなら両方搭載できます。SSDにOSとアプリ、HDDにデータを保存するのが一般的な使い方です。この組み合わせで、速度と大容量を両立できます。
Q8: UFS 4.0とUFS 3.1の違いは体感できますか?
A: 一般的な使い方では体感しにくいです。アプリの起動や写真の保存などは、UFS 3.1でも十分高速です。ただし、大容量の動画ファイルを頻繁に扱う場合や、8K動画撮影をする場合は違いが出ます。
Q9: スマホのRAMは増設できますか?
A: 物理的には増設できません。ただし、一部のAndroidスマホには「仮想RAM拡張」機能があり、ストレージの一部をRAMとして使うことができます。例えば、「8GB + 8GB拡張」のように表記されます。ただし、実際のRAMより遅いので、効果は限定的です。
Q10: 容量128GBのスマホで、実際に使えるのは何GBですか?
A: だいたい110〜115GB程度です。OSやプリインストールアプリで10〜18GB程度使われています。iPhoneの方が、Androidよりシステム容量が大きい傾向にあります。
まとめ: スマホ・PCのストレージを賢く選ぼう
スマホとPCのROM/ストレージについて、詳しく解説してきました。
最後にもう一度、重要なポイントをまとめておきますね。
基本用語
- RAM:一時的な作業領域(机の広さ)
- ROM:本来は読み出し専用メモリ(日本のスマホではストレージの意味)
- ストレージ:データの長期保存領域(本棚・引き出し)
スマホのストレージ
- eMMC:古い規格、低速、低価格
- UFS:新しい規格、高速、高価格
- 最新機種はほぼUFS搭載
PCのストレージ
- HDD:大容量、低速、安価
- SSD:高速、中容量、中〜高価格
- eMMC:小容量、中速、超低価格(格安PCのみ)
スマホとPCの違い
- スマホ:交換・増設が基本的に不可
- PC:交換・増設が可能(デスクトップは特に)
容量の目安
スマホ
- RAM:6〜8GBが標準
- ROM:128〜256GBが標準
PC
- RAM:16GBが快適
- SSD:512GB〜1TBが標準
選び方のポイント
スマホ
- 後から増やせないので、大きめを選ぶ
- 写真・動画を撮る人は256GB以上
- ゲームをする人はRAM 8GB以上 + UFS搭載機種
PC
- SSDは必須(HDDは避ける)
- NVMe SSDならさらに快適
- データ保存用にHDDを追加するのもあり
スマホもPCも、ストレージは「大は小を兼ねる」です。
予算が許すなら、大きめの容量を選んでおくと、後悔しませんよ!


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