スマホのスペック表を見ると、「RAM 8GB / ROM 128GB」といった表記を目にすることがありますよね。
でも、「ROMって何?」「RAMとどう違うの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実は、日本のスマホ業界ではROMという言葉が独特の意味で使われているため、混乱しやすくなっています。本来の意味とは異なる使い方をしているんです。
この記事では、スマホのROMとRAMの違い、それぞれの役割、容量の選び方まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
スマホのROMとは?

日本特有の「ROM」の意味
日本のスマホ業界におけるROM:
ROM = ストレージ(データ保存領域)
スマホのスペック表で「ROM 128GB」と書かれている場合、これは写真や動画、アプリなどを保存できる容量のことを指しています。
本来のROMの意味
ここで混乱しやすいのですが、実は本来のROMは全く別の意味です。
本来のROM(Read Only Memory):
- 読み出し専用メモリ
- データの書き込み(保存)ができない
- 例:音楽CD、映画DVD、ゲームソフト
本来のROMは「読み出しだけができて、書き込みはできない」記憶装置のことなんです。
なぜ日本だけ意味が違うのか
日本のスマホ業界の慣習:
- 国内の通信事業者(ドコモ、au、ソフトバンクなど)が、データ保存容量を「ROM」と表記
- この表記が定着してしまった
- 本来は「ストレージ」と呼ぶべきもの
海外では:
- 「Internal Storage」(内部ストレージ)
- 「Storage」と表記
- 「ROM」とは呼ばない
つまり、日本だけの特殊な呼び方なんです。
スマホのROMの正体
スマホで「ROM」と呼ばれているものの正体は、フラッシュメモリという記憶装置です。
フラッシュメモリの特徴:
- データの読み書き(保存・削除)が自由にできる
- 電源を切ってもデータが消えない
- 高速でアクセスできる
- SDカードやUSBメモリと同じ技術
広い意味では「ROM」の一種ではありますが、本来の「読み出し専用ROM」とは全く違うものです。
この記事での表記
この記事では、日本で一般的に使われている意味で解説します。
この記事での用語:
- ROM = データ保存領域(ストレージ)
- RAM = 作業領域(メモリ)
RAMとは?
RAMの意味
RAM(Random Access Memory):
RAM = 作業用のメモリ(一時的な記憶領域)
RAMは、スマホがアプリを動かしたり、ウェブサイトを表示したりするときに一時的にデータを保管する場所です。
RAMの特徴
1. 一時的な記憶領域
- アプリを使っている間だけデータを保持
- 電源を切ると中身が消える(揮発性メモリ)
2. 高速アクセス
- ROMよりもはるかに速くデータを読み書きできる
- そのため、作業中のデータはRAMに保存される
3. 容量は小さめ
- スマホのRAMは2GB〜16GB程度
- ROMと比べると容量は少ない
RAMとROMの違い
分かりやすい例え
RAMとROMの関係は、作業机と引き出しに例えられます。
RAM(作業机):
- 作業をする場所
- 机が広いほど、たくさんの資料を広げて作業できる
- 作業が終わったら片付ける(電源を切るとデータが消える)
ROM(引き出し・本棚):
- 資料やファイルを保管する場所
- 引き出しが大きいほど、たくさんのものを保管できる
- 片付けてもなくならない(電源を切ってもデータが残る)
具体例で理解する
例1:写真を撮影する
- カメラアプリを起動 → RAMにアプリのデータを展開
- 写真を撮影 → RAMで一時的に処理
- 写真を保存 → ROMに保存
- カメラアプリを閉じる → RAMからデータを削除
保存された写真はROMに残るため、電源を切っても消えません。
例2:複数のアプリを同時に使う
- LINE、YouTube、Chromeを同時に起動
- それぞれのアプリのデータがRAMに展開される
- RAMの容量が大きいほど、スムーズに切り替えられる
- RAMが不足すると、動きが重くなる
例3:アプリをダウンロード
- アプリをダウンロード → ROMに保存
- アプリを起動 → RAMに展開して動かす
- アプリを閉じる → RAMから削除(でもROMには残る)
表で見る違い
| 項目 | RAM(メモリ) | ROM(ストレージ) |
|---|---|---|
| 役割 | 作業領域 | データ保存領域 |
| 例え | 作業机 | 引き出し・本棚 |
| 用途 | アプリの実行、一時的な処理 | 写真、動画、アプリ本体の保存 |
| 電源を切ると | データが消える | データが残る |
| 速度 | 非常に速い | RAMより遅い |
| 容量 | 2〜16GB程度 | 64GB〜1TB程度 |
| 後から増やせる? | 増やせない | microSDで増やせる場合も |
スマホのRAM容量
一般的なRAM容量
スマホのRAM容量の目安:
エントリーモデル(低価格帯):
- 2〜4GB
- 価格:1万円〜3万円程度
ミドルレンジモデル(中価格帯):
- 6〜8GB
- 価格:3万円〜7万円程度
ハイエンドモデル(高価格帯):
- 8〜16GB
- 価格:7万円〜15万円以上
2024年〜2025年の傾向:
- エントリーモデルでも4GB以上が標準に
- ミドルレンジは8GBが主流
- ハイエンドは12GB〜16GBも珍しくない
用途別の推奨RAM容量
2〜4GB:ライトユーザー向け
- 用途:電話、メール、LINE、ウェブ閲覧
- 注意:複数アプリの同時使用は苦手
- 動画視聴やSNSは可能だが、やや遅い場合も
6〜8GB:一般ユーザー向け
- 用途:SNS、動画視聴、写真撮影、軽いゲーム
- おすすめ:ほとんどの人に最適
- 複数アプリの切り替えもスムーズ
8GB以上:ヘビーユーザー向け
- 用途:3Dゲーム、動画編集、複数アプリの同時使用
- 特徴:最高の快適さ
- 長期間使っても快適に動作
iPhoneのRAM
iPhoneの特殊な事情:
- Appleは公式にRAM容量を公表していない
- 一般的に Android より少ないRAMで快適に動作
- 理由:iOSの効率的なメモリ管理
参考(非公式情報):
- iPhone 15:6GB
- iPhone 15 Pro:8GB
- iPhone 16:8GB
- iPhone 16 Pro:8GB
AndroidとiPhoneでは、同じRAM容量でも動作感が異なります。
スマホのROM容量(ストレージ)

一般的なROM容量
スマホのROM容量のラインナップ:
一般的な選択肢:
- 64GB
- 128GB
- 256GB
- 512GB
- 1TB(1,024GB)
2024年〜2025年の傾向:
- 64GBは減少傾向
- 128GBが標準に
- ハイエンドモデルは256GB〜が主流
用途別の推奨ROM容量
64GB:最低限
- 向いている人:写真や動画をほとんど撮らない
- 注意点:アプリを多く入れると不足する
- 現在はあまりおすすめできない
128GB:標準的
- 向いている人:一般的な使い方をする人
- 保存できる目安:
- 写真:約20,000枚
- 音楽:約2,000曲
- 動画(4K):約2時間
- おすすめ度:★★★
256GB:余裕がある
- 向いている人:写真や動画をたくさん撮る人
- 保存できる目安:
- 写真:約40,000枚
- 音楽:約4,000曲
- 動画(4K):約5時間
- おすすめ度:★★★★
512GB〜1TB:大容量
- 向いている人:動画を大量に保存したい人
- 用途:YouTuber、写真・動画のプロ
- 価格:かなり高額
システム領域に注意
重要:
ROMの全容量を使えるわけではありません。
例:128GBモデルの場合
- 表示容量:128GB
- システム領域:約15〜25GB
- 実際に使える容量:約100〜110GB
システム(OS)やプリインストールアプリが容量を使うため、実際に使える容量は表示より少なくなります。
RAM不足の症状と対処法
RAM不足の症状
こんな症状が出たらRAM不足かも:
- アプリの起動が遅い
- タップしてもなかなか開かない
- 起動までに数秒〜数十秒かかる
- アプリが突然落ちる
- 使用中に勝手に終了する
- ゲーム中にホーム画面に戻される
- 動作がカクカクする
- スクロールがスムーズでない
- タップの反応が遅い
- アプリの切り替えが遅い
- 複数アプリ間の移動に時間がかかる
- バックグラウンドのアプリが勝手に終了
- キーボード入力がもたつく
- 文字入力の反応が遅い
- 変換候補の表示が遅い
RAM不足の対処法
対処法1:不要なアプリを終了する
Androidの場合:
- 画面下から上にスワイプ(または□ボタン)
- 起動中のアプリ一覧が表示される
- 不要なアプリを上にスワイプして終了
iPhoneの場合:
- 画面下から上にスワイプして途中で止める(ホームボタンがある場合は2回押し)
- 起動中のアプリ一覧が表示される
- 不要なアプリを上にスワイプして終了
対処法2:キャッシュを削除する
キャッシュとは、アプリが一時的に保存するデータです。
Androidの場合:
- 設定 → アプリ
- 重いアプリを選択
- 「キャッシュを削除」をタップ
iPhoneの場合:
- アプリごとに削除方法が異なる
- Safariの場合:設定 → Safari → 履歴とWebサイトデータを消去
対処法3:バックグラウンド更新を制限する
Androidの場合:
- 設定 → アプリ
- 各アプリを選択
- 「バックグラウンドデータ」をオフ
iPhoneの場合:
- 設定 → 一般 → Appのバックグラウンド更新
- 不要なアプリをオフ
対処法4:スマホを再起動する
一時的なRAM不足は再起動で解消することが多いです。
対処法5:RAMの拡張機能を使う(Android一部機種)
最近のAndroidスマホには、ROMの一部をRAMとして使える機能があります。
対応機種:
- Samsung Galaxy(一部)
- OPPO
- Xiaomi
など
注意点:
- 速度はRAMより遅い
- バッテリー消費が増える
- すべての機種に搭載されているわけではない
根本的な解決:RAM容量の大きいスマホに買い替える
RAM不足が慢性的な場合、買い替えを検討しましょう。
ROM不足(ストレージ不足)の症状と対処法
ROM不足の症状
こんな症状が出たらROM不足:
- 写真や動画が保存できない
- 「ストレージが不足しています」と表示される
- アプリをダウンロードできない
- Google PlayやApp Storeでエラーが出る
- OSのアップデートができない
- 更新に必要な容量が確保できない
- スマホの動作が遅くなる
- ストレージ容量がほぼゼロだと動作に影響
ROM不足の対処法
対処法1:不要な写真・動画を削除
- ギャラリーアプリで不要な写真を削除
- 特に動画は容量が大きいので要確認
- スクリーンショットも意外と溜まりがち
対処法2:クラウドサービスに移行
主なクラウドサービス:
- Googleフォト:無料15GB(Googleアカウント)
- iCloud:無料5GB(Appleアカウント)
- Amazon Photos:無制限(Primeメンバー)
- Dropbox:無料2GB
メリット:
- スマホの容量を節約
- 機種変更時のデータ移行が楽
- 複数デバイスで共有可能
対処法3:不要なアプリを削除
- 設定 → アプリ
- 使っていないアプリを確認
- アンインストール
チェックポイント:
- 最近使っていないアプリ
- 容量の大きいゲームアプリ
- 同じ機能のアプリが複数ある場合
対処法4:アプリのデータを削除
アプリ本体は残して、データだけ削除できます。
Androidの場合:
- 設定 → アプリ
- アプリを選択
- 「データを削除」
注意:
ゲームの進行状況などが消える場合があるので注意
対処法5:microSDカードを使う(Android)
対応機種:
- 一部のAndroidスマホ
- iPhoneは非対応
容量:
- 32GB〜512GB程度
- 価格:1,000円〜10,000円程度
使い方:
- microSDカードを挿入
- 設定でストレージ先を変更
- 写真や動画をSDカードに保存
対処法6:キャッシュデータを削除
Androidの場合:
- 設定 → ストレージ
- 「キャッシュデータ」を選択
- 「削除」をタップ
iPhoneの場合:
- アプリごとに削除
- または、アプリの削除と再インストール
スマホを選ぶときのポイント
RAMの選び方
使い方別の推奨容量:
ライトユーザー:4GB
- 電話、メール、LINE、ウェブ閲覧が中心
- SNSや動画視聴も軽く楽しむ
- 複数アプリの同時使用は少ない
一般ユーザー:6〜8GB
- SNS、動画、写真をバランスよく楽しむ
- 軽いゲームもプレイ
- 複数アプリを切り替えて使う
- 最もおすすめ
ヘビーユーザー:8GB以上
- 3Dゲームをガッツリプレイ
- 動画編集もする
- 常に複数アプリを起動
- 長期間快適に使いたい
重要:RAMは後から増やせない!
迷ったら大きめの容量を選ぶのが安全です。
ROMの選び方
使い方別の推奨容量:
写真・動画をあまり撮らない:128GB
- アプリ中心の使い方
- クラウドサービスを活用
- コストを抑えたい
標準的な使い方:256GB
- 写真や動画もそこそこ撮る
- 余裕を持ちたい
- バランス重視の人におすすめ
写真・動画をたくさん撮る:512GB〜
- 4K動画を頻繁に撮影
- ゲームアプリを多数インストール
- クラウドに頼りたくない
ヒント:
- microSD対応機種なら、後から拡張可能
- iPhoneは拡張できないので、最初から大きめを選ぶ
価格とのバランス
RAMとROMは容量が増えると価格も上がります。
例:同じ機種でも
- 6GB / 128GB:50,000円
- 8GB / 256GB:60,000円
- 12GB / 512GB:80,000円
コスパ重視なら:
- RAM:6〜8GB
- ROM:128〜256GB
- このあたりが価格と性能のバランスが良い
よくある質問
Q1. RAMとROMは何の略ですか?
A.
- RAM = Random Access Memory(ランダム・アクセス・メモリ)
- ROM = Read Only Memory(リード・オンリー・メモリ)
ただし、日本のスマホ業界では、ROMは本来の意味(読み出し専用メモリ)ではなく、ストレージ(データ保存領域)として使われています。
Q2. メモリとストレージ、どちらが重要ですか?
A. どちらも重要ですが、用途によって優先度が変わります。
RAMが重要な人:
- ゲームをする
- 複数アプリを同時に使う
- サクサク動くスマホが欲しい
ROMが重要な人:
- 写真や動画をたくさん撮る
- アプリをたくさんインストールする
- クラウドを使いたくない
理想は両方とも大きい容量を選ぶことですが、予算との兼ね合いで判断しましょう。
Q3. RAMは後から増やせますか?
A. いいえ、スマホのRAMは後から増やせません。
パソコンならメモリを増設できますが、スマホは基盤に直接はんだ付けされているため、増設は不可能です。
そのため、スマホを購入する際は、将来のことも考えてRAM容量を選ぶことが大切です。
一部のAndroidスマホには「仮想RAMプラス機能」がありますが、これはROMの一部をRAMとして使う機能で、本物のRAMを増やすわけではありません。
Q4. ROMは後から増やせますか?
A. 機種によります。
Androidスマホ:
- microSDカード対応機種なら増やせる
- ただし、最近はmicroSD非対応の機種も増えている
iPhone:
- 増やせません
- 購入時の容量で固定
代替手段:
どちらもクラウドサービス(Googleフォト、iCloudなど)を使えば、実質的にストレージを拡張できます。
Q5. 「メモリが128GBある」という表現は正しいですか?
A. 厳密には間違いです。
正しくは「ストレージが128GBある」または「ROMが128GBある」です。
メモリ(RAM)とストレージ(ROM)は別物なので、混同しないように注意しましょう。
Q6. iPhoneのRAM容量はどこで確認できますか?
A. 公式には確認できません。
Appleは、iPhoneのRAM容量を公表していません。知りたい場合は、技術系のレビューサイトや分解記事を参考にする必要があります。
Q7. スマホが重いのは、RAMとROMのどちらが原因ですか?
A. 症状によって異なります。
RAMが原因の場合:
- アプリの起動が遅い
- 複数アプリの切り替えが遅い
- アプリが突然落ちる
ROMが原因の場合:
- 写真や動画が保存できない
- アプリをダウンロードできない
- 「ストレージ不足」の警告が出る
両方が原因の場合もあります:
ROMが満杯に近いと、RAMの動作にも影響が出ることがあります。
Q8. 同じRAM容量でも、AndroidとiPhoneで体感速度が違うのはなぜですか?
A. OSの設計思想とメモリ管理の方法が異なるためです。
iPhone(iOS):
- 効率的なメモリ管理
- 少ないRAMでもスムーズに動作
- Appleが全てのハードとソフトを管理
Android:
- 様々なメーカーの端末に対応
- より多くのRAMを使う設計
- 機種によって最適化の度合いが異なる
そのため、iPhoneは6〜8GBのRAMで十分快適ですが、Androidでは同じ快適さを得るには8〜12GB必要になることもあります。
まとめ
スマホのROMとRAMについてまとめます。
RAMとROMの違い:
| 項目 | RAM | ROM |
|---|---|---|
| 日本語 | メモリ | ストレージ |
| 役割 | 作業領域 | データ保存領域 |
| 例え | 作業机 | 引き出し・本棚 |
| 電源を切ると | データが消える | データが残る |
| 容量 | 2〜16GB | 64GB〜1TB |
| 後から増やせる? | 不可 | 機種による |
日本特有の表記問題:
- 本来のROM = 読み出し専用メモリ
- 日本のスマホ業界のROM = ストレージ
- 海外では「ROM」とは呼ばない
- 正しくは「ストレージ」だが、「ROM」表記が定着
推奨容量:
一般的なユーザー:
- RAM:6〜8GB
- ROM:128〜256GB
ライトユーザー:
- RAM:4GB
- ROM:128GB
ヘビーユーザー:
- RAM:8GB以上
- ROM:256GB以上
不足時の対処法:
RAM不足:
- 不要なアプリを終了
- キャッシュを削除
- バックグラウンド更新を制限
- スマホを再起動
ROM不足:
- 不要な写真・動画を削除
- クラウドサービスを活用
- 不要なアプリを削除
- microSDカードを使う(Android)
スマホ選びのポイント:
- RAMは後から増やせないので、大きめを選ぶ
- ROMはクラウドやSDカードで補える
- 使い方に合わせてバランスを考える
- 価格と性能のバランスが大切
スマホを快適に使うには、RAMとROMの両方が重要です。自分の使い方に合わせて、最適な容量を選びましょう!

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