iPhoneで撮影した動画を見返してみると、「最初の部分が不要だな」「最後の方が長すぎる」と感じることはありませんか?
実は、iPhoneには動画を簡単に切り取る(トリミング)機能が標準で備わっています。アプリをダウンロードする必要もなく、写真アプリだけで手軽に編集できます。
この記事では、iPhoneで動画を切り取る基本的な方法から、動画の途中部分をカットする応用編、注意点まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
動画のトリミングとカットの違い

まず、動画編集の基本用語を理解しましょう。
トリミング(Trim)
トリミングとは、動画の前後(始まりと終わり)を切り取る作業のことです。
例:
- 動画の最初の5秒を削除
- 動画の最後の10秒を削除
- 30秒の動画から、真ん中の15秒だけを残す
用途:
- 撮影開始時の手ブレ部分を削除
- 撮影終了時の不要な部分を削除
- SNS用に動画を短くする
カット(Cut/Split)
カット(分割)とは、動画の途中の部分を削除したり、動画を複数に分割する作業のことです。
例:
- 1分の動画の20秒〜30秒部分を削除
- 動画を前半と後半に分ける
- 不要なシーンを途中から削除
用途:
- NGシーンを削除
- 無音部分を削除
- 動画を分割して別々に保存
本記事では、主にトリミング方法を解説しますが、途中をカットする方法も紹介します。
方法1:写真アプリで動画をトリミングする(基本編)
最も簡単な方法は、iPhoneに標準で入っている「写真」アプリを使う方法です。
対応するトリミング
- 動画の前後(始まりと終わり)のみ切り取り可能
- 動画の途中部分は削除できない
手順
ステップ1:写真アプリを開く
- ホーム画面から「写真」アプリをタップ
- トリミングしたい動画を選択
ステップ2:編集モードに入る
iOS 18の場合:
- 画面下部の「✂️」(トリミング)アイコンをタップ
iOS 17以前の場合:
- 画面右上の「編集」をタップ
ステップ3:トリミング範囲を調整
- 画面下部にフレームビューア(動画のサムネイル一覧)が表示される
- 白いフレームをタップすると、黄色いフレームに変わる
- 黄色いフレームの左端または右端をドラッグ
- 残したい部分だけが黄色い枠内に収まるよう調整
ポイント:
- 左端をドラッグ:動画の開始位置を変更
- 右端をドラッグ:動画の終了位置を変更
- 黄色い枠内の部分が残る
- 枠外の部分が削除される
ステップ4:プレビューで確認
- 画面上部の「▶️」(再生)ボタンをタップ
- トリミング後の動画を確認
- 問題なければ次のステップへ
- 調整が必要なら、黄色いフレームを再度調整
ステップ5:保存
- 画面右下の「✓」(完了)または「完了」をタップ
- 保存方法を選択:
「ビデオを保存」
- トリミング後の動画で上書き保存
- 元の動画は残らない
- iPhoneの容量を節約できる
「ビデオを新規クリップとして保存」
- 元の動画とトリミング後の動画の両方が保存される
- 元の動画も残したい場合はこちらを選択
- 容量は2倍必要
元に戻す方法
「ビデオを保存」で上書き保存した場合でも、元に戻すことができます。
手順:
- トリミングした動画を開く
- 「編集」をタップ
- 画面下部の「元に戻す」をタップ
- 「オリジナルに戻す」をタップ
注意:
- 「ビデオを新規クリップとして保存」で保存した動画は、元に戻せません
- この場合、元の動画は別に保存されているので、そちらを使用してください
方法2:iMovieで動画の途中をカットする(応用編)
写真アプリでは動画の前後しか切り取れませんが、iMovieを使えば動画の途中部分を削除できます。
iMovieとは
- Appleが提供する無料の動画編集アプリ
- App Storeから無料でダウンロード可能
- iPhone、iPad、Macで使用可能
手順
ステップ1:iMovieをダウンロード
- App Storeを開く
- 「iMovie」を検索
- 「入手」→「インストール」
ステップ2:プロジェクトを作成
- iMovieを起動
- 「+」(プラス)アイコンをタップ
- 「ムービー」を選択
ステップ3:動画を読み込む
- カメラロールから編集したい動画を選択
- チェックマーク(✓)をタップ
- 「ムービーを作成」をタップ
動画がタイムラインに追加されます。
ステップ4:動画を分割する
ここが重要なポイントです。動画の途中をカットするには、まず動画を分割します。
- タイムライン上の動画をタップ
- 画面を左右にスライドして、白い縦線(再生ヘッド)を削除したい部分の開始位置に合わせる
- 動画をタップして選択状態にする
- 画面下部の「アクション」ボタン(ハサミのようなアイコン)をタップ
- 「分割」をタップ
ステップ5:不要な部分を削除
- 再生ヘッドを削除したい部分の終了位置に合わせる
- もう一度「分割」をタップ
- 削除したい部分(真ん中のクリップ)をタップ
- 「削除」をタップ
これで、動画の途中部分が削除され、前後のクリップが自動的につながります。
ステップ6:プレビューで確認
- 画面上部の「▶️」ボタンをタップ
- 編集後の動画を確認
ステップ7:保存
- 画面左上の「完了」をタップ
- 画面下部の「共有」ボタン(四角と上向き矢印)をタップ
- 「ビデオを保存」をタップ
- 解像度を選択(通常は「HD – 1080p」または「4K」)
- 保存が完了するまで待つ
編集した動画が「写真」アプリに保存されます。
iMovieの便利な機能
トリミング:
- タイムライン上の動画の黄色い枠をドラッグして長さを調整
- 写真アプリと同じ操作で前後をトリミング可能
複製:
- クリップをタップ→「アクション」→「複製」
- 同じシーンを繰り返したい時に便利
回転:
- クリップをタップ→画面下部の回転アイコン
- 90度ずつ回転可能
速度変更:
- クリップをタップ→画面下部の速度アイコン
- スローモーションや早送り効果
トランジション:
- クリップとクリップの間に効果を追加
- フェードイン・フェードアウトなど
方法3:サードパーティアプリを使う
より高度な編集をしたい場合は、以下のようなアプリもおすすめです。
CapCut(キャップカット)
特徴:
- 完全無料(一部機能は有料)
- SNS向け動画編集に最適
- テキスト、ステッカー、音楽追加が簡単
- TikTok、Instagram、YouTubeに直接投稿可能
トリミング方法:
- CapCutを起動
- 「新しいプロジェクト」をタップ
- 動画を選択
- タイムライン上の動画をタップ
- 「分割」または「トリミング」を選択
- 不要な部分を削除
- 右上の「エクスポート」で保存
Adobe Express
特徴:
- Adobe提供の動画編集アプリ
- デザイン素材が豊富
- クラウドストレージ(無料版5GB)
- 有料版では100GBのストレージ
トリミング方法:
- Adobe Expressを起動
- 動画を選択
- 「トリミング」をタップ
- 開始・終了位置を調整
- ダウンロード
Filmora(フィモーラ)
特徴:
- プロ級の編集機能
- エフェクト・トランジションが豊富
- PC版との連携が可能
- 一部機能は有料
トリミング方法:
- Filmoraを起動
- 「クイックアクセス」から「トリム」を選択
- 動画をインポート
- 開始・終了位置を調整
- 保存
動画から静止画(写真)を切り出す方法
動画の中のベストショットを写真として保存することもできます。
手順
ステップ1:動画を再生
- 写真アプリで動画を開く
- 写真として保存したいシーンまで再生
- 一時停止
ステップ2:スクリーンショットを撮る
iPhone X以降(ホームボタンなし):
- サイドボタン+音量上ボタンを同時に押す
iPhone 8以前(ホームボタンあり):
- ホームボタン+サイドボタン(またはトップボタン)を同時に押す
ステップ3:保存完了
スクリーンショットが「写真」アプリに保存されます。
注意点:
- 動画の解像度によっては、画質が若干落ちる
- 動いている被写体は、ブレて写ることがある
- 画面上のコントロールボタンが写り込まないよう、一度タップして非表示にしてから撮影
注意点とトラブルシューティング
1. 容量不足でエラーが発生する
症状:
- 編集中にアプリが固まる
- 保存時にエラーが出る
- 動画が消える
原因:
iPhoneのストレージ容量が不足している
対策:
- 不要な写真・動画を削除
- アプリのキャッシュを削除
- 空き容量を2〜3GB以上確保(理想は10GB以上)
空き容量の確認方法:
- 「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」
- 使用済み容量と空き容量を確認
2. トリミングした動画を元に戻せない
症状:
- 「元に戻す」ボタンがない
- 元の動画が見つからない
原因:
- 「ビデオを新規クリップとして保存」で保存した
- 元の動画を削除してしまった
対策:
- 「ビデオを新規クリップとして保存」の場合、元の動画は別に保存されているので探す
- 今後は「ビデオを保存」で保存する(元に戻せる)
- 重要な動画は、バックアップを取ってから編集
3. 動画の途中をカットできない
症状:
- 写真アプリで途中をカットしようとしてもできない
原因:
写真アプリは前後のトリミングのみ対応
対策:
- iMovieを使用する
- サードパーティアプリを使用する
4. 音がずれる・音質が悪くなる
症状:
- トリミング後、音声と映像がずれる
- 音質が劣化する
原因:
- アプリの不具合
- 動画ファイルの問題
対策:
- iPhoneを再起動
- アプリを最新版にアップデート
- 別のアプリで編集してみる
- 元の動画の音声形式を確認
5. 保存した動画が見つからない
症状:
- iMovieで保存したはずの動画が写真アプリにない
原因:
- 保存処理が完了していない
- iCloudの同期に時間がかかっている
対策:
- 写真アプリを一度閉じて、再度開く
- iPhoneを再起動
- 「最近追加した項目」を確認
- iMovieアプリ内の「ビデオ」→「iMovieメディア」を確認
6. 編集後の画質が落ちる
症状:
- トリミング後、画質が悪くなった気がする
原因:
- アプリの圧縮設定
- 解像度の選択ミス
対策:
- 写真アプリでトリミングする場合、画質は劣化しない(元の画質のまま)
- iMovieで保存する際は「4K」または「HD – 1080p」を選択
- サードパーティアプリの場合、設定で「高画質」や「オリジナル」を選択
7. iCloudストレージが足りないと表示される
症状:
- 「iCloudストレージが不足しています」と表示される
原因:
- iCloud写真がオンになっており、容量が不足している
対策:
- 不要な写真・動画をiCloudから削除
- iCloudストレージプランをアップグレード(50GB:月額130円)
- 「iCloud写真」をオフにする(写真→設定→iCloud→iCloud写真をオフ)
よくある質問
Q1. トリミングした動画の長さはどこで確認できますか?
A. 写真アプリでは、トリミング中に正確な秒数は表示されません。トリミング後、動画を開くと画面上部に再生時間(例:0:15)が表示されます。正確な長さを知りたい場合は、「編集」→「調整」から確認するか、iMovieを使用すると秒単位で確認できます。
Q2. 複数の動画を1つにまとめることはできますか?
A. 写真アプリではできません。iMovieを使えば、複数の動画を1つにまとめることができます。新しいプロジェクトを作成し、複数の動画を選択してタイムラインに追加するだけです。動画と動画の間にトランジション効果を追加することもできます。
Q3. トリミングした動画をLINEやInstagramで送ると、また長さが変わってしまいます。なぜですか?
A. LINEやInstagramなどのアプリには、動画の長さやファイルサイズに制限があります。例えば、Instagramのストーリーズは15秒まで、フィード投稿は60秒までです。アプリが自動的に動画を圧縮・短縮している可能性があります。各SNSの仕様を確認し、事前に適切な長さにトリミングしてから投稿しましょう。
Q4. 縦動画を横動画に変更できますか?
A. 回転はできますが、縦横比の変更には注意が必要です。iMovieやサードパーティアプリを使えば、動画を90度回転させることができます。ただし、縦動画を横動画にすると、上下に黒い帯が表示されることがあります。撮影時の向きで編集するのがベストです。
Q5. トリミングすると、元の動画のファイルサイズも小さくなりますか?
A. はい、トリミングして動画が短くなれば、ファイルサイズも小さくなります。ただし、「ビデオを新規クリップとして保存」を選択すると、元の動画と編集後の動画の両方が保存されるため、合計の使用容量は増えます。容量を節約したい場合は、「ビデオを保存」を選択し、編集後に元の動画を削除しましょう。
Q6. トリミングした動画をパソコンに転送できますか?
A. はい、できます。以下の方法があります:
- AirDrop(Mac):iPhoneとMacが近くにある場合、AirDropで簡単に転送
- iCloud写真:iCloud経由でMacやWindowsのiCloudアプリに自動同期
- USBケーブル:iPhoneをパソコンに接続し、ファイルを直接コピー
- メール・メッセージ:小さいファイルならメールで自分宛に送信
Q7. 4K動画もトリミングできますか?
A. はい、できます。写真アプリでもiMovieでも、4K動画のトリミングが可能です。ただし、4K動画は容量が大きいため、編集や保存に時間がかかることがあります。また、iMovieで4K動画を編集する場合は、保存時に「4K」を選択しないと、解像度が下がってしまうので注意してください。
Q8. スローモーション動画もトリミングできますか?
A. はい、できます。スローモーション動画も通常の動画と同じ方法でトリミングできます。さらに、写真アプリの編集機能では、スローモーション効果がかかる部分の範囲を変更することもできます。動画を開いて「編集」をタップすると、タイムラインに白い縦線が表示されます。この線を動かすことで、スローモーション効果の開始位置と終了位置を調整できます。
まとめ
iPhoneで動画を切り取る(トリミング)方法をまとめます。
基本的なトリミング(前後のカット):
- 「写真」アプリで簡単にできる
- 黄色いフレームをドラッグするだけ
- アプリのダウンロード不要
途中部分のカット:
- 「iMovie」を使う(無料)
- 動画を分割して不要な部分を削除
- より高度な編集も可能
保存方法の選択:
- 「ビデオを保存」:上書き保存(元に戻せる)
- 「ビデオを新規クリップとして保存」:両方保存(元に戻せない)
注意点:
- 編集前にiPhoneの空き容量を確認(2〜3GB以上推奨)
- 重要な動画は「新規クリップとして保存」でバックアップ
- トリミングは元に戻せるが、新規保存した動画は戻せない
おすすめアプリ:
- 初心者:写真アプリ(標準)
- 中級者:iMovie(無料)
- 上級者:CapCut、Adobe Express、Filmora
iPhoneの動画編集機能を活用して、不要な部分を削除し、見やすい動画を作りましょう。SNSに投稿する際も、トリミングすることで再生回数や反応が変わることがあります。
簡単な操作で動画を編集できるので、ぜひ試してみてください!


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